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StatDNAのファウンダー、ジェイソン・ローゼンフェルトがアーセナルFCからFIFAに転職へ

StatDNAの高評価?

この記事では、彼らがクラブにデータアナリティクスをもたらした功績や、ローゼンフェルトに対する社内・AWからの高い評価などが指摘されている。優秀で人望もあると。ヴェンゲルさんがFIFAに引っこ抜く?くらいだから、実際に信頼も相当に厚いのだろう。

一方で、彼らがアーセナルで働いていたこの10年は、そっくりそのままリクルートの失敗が指摘されがちな期間で、記事のなかでそのことにまったく触れていないのも少し奇妙に感じる。

また「選手のケガ予防に貢献」というくだりもあるが、AW時代の選手のケガマネジメントについては、どちらかといえば疑問を持たれるようなものだったのではないだろうか。それをもって、彼らのデータ分析が役に立ったと主張するのも若干違和感はある。

スヴェン・ミズリンタットがAFCにやってきたときも思ったものだが、そもそもインハウスのデータ分析会社を社内に持っていて、なぜさらにデータ分析のスペシャリストを招き入れる必要があったのだろうか。ミズリンタットのチームとStatDNAが当時どういうふうに一緒に、あるいは分担して仕事をしていたか知らないが、ぼくはてっきりAFCがStatDNAに満足していないからミズリンタットを連れてきたのだと思っていたくらいだ。

ファンからの悪評はもっぱらリクルートによるものだろう。典型的なのはこういう意見だ。

とくにムスタフィ(£36.9M)とジャカ(£40.5M)というふたりで£80M近い巨額を投じた補強は、StatDNA主導で失敗した象徴的な案件だとファンから認定され、リターンに見合わない投資だったとチーム事情が悪化すればするほど云われたものだった。カンテを取り逃して八つ当たりをされているだけかもだけど(笑い)。実際いま振り返っても、あのときにわれらに必要なのはジャカではなくカンテだっただろうとは思う(未練)。

もちろん彼らはあくまでデータ分析ファームであって、選手をリストアップしたり推薦したりするだけで、実際にその選手に決めたのも、獲得・交渉に動いたのもStatDNAではないし(ディック・ロウとかハス・ファーミーとか?)、最終的な意思決定やリクルート活動そのものに携わっていたわけではないだろうから、そこで彼らだけを責めるのは筋が悪いとは思う。

ただ、その一端を担っていたことには変わらない。

この記事がそういったネガティヴサイドに一切触れられていないのは、AFCの内部の人間との関係が考慮されているからなのかもしれない。ジャーナリストとして、こんなインサイダー情報を優先的に得られるような立場は守らねばならないのだろうし。知らんけども。

またしてもラウル・サンレヒの影響で辞めていくスタッフ

サンレヒの権力が増すなかで、クラブ内での影響力がなくなって辞めていく重要スタッフというのは、ミズリンタットに続いてこれでふたりめとなった。そしてふたりともデータアナリティクスに携わる担当者。

アーセナルのリクルート活動のアプローチにおける「データ主導(data led)」と「コネ主導(contact led)」の対立構図というのは、ミズリンタット退社のときから、その後のサンレヒのリクルート活動(スーパーエイジェントや他クラブの重役たちとの個人的なつながり)の話題のときなどでたびたびフォーカスされているが、今回の件もメディア等でまたそのような見方をされることは免れないだろうと思う。

クラブのなかでサンレヒの力が大きくなりすぎることでの最大の懸案は、やはり彼自身のコネクションに頼りすぎた動きに傾くことだ。

結局冬にレイヴィン・クルザワは来なかったが、ああいった「お友だち案件(何やらともて邪悪な響き)」と疑われるような案件がこれからも出てくるのは、決してクラブのためにならず、とても心配だ。それが優秀な選手なら何も云うことはないが、アーセナルの選手としてふさわしいクオリティかどうかが二の次にされるようなことはファンとしても受け入れがたい。

実際キア・ジューラブシアン案件のセドリック・ソアレスの獲得は1月に(とても奇妙なかたちで)実現しているし、彼のAFCへの入れ込み具合からすれば(※大ファンらしい)好むと好まざるとにかかわらず、サンレヒのコネ主導は今後も続きそうな傾向ではある。

オーンステインの記事中にもあるように、StatDNA(Arsenal Data Analytics)自体がなくなるわけでもないので、ローゼンフェルトが退職することでアーセナルFCからデータアナリティクス部門そのものがなくなるわけではないが、いずれにせよその影響が今後の補強にどう現れるのか注目したい。

アーセナルはエドゥが来て、サンレヒもいて、いま南米方面スカウトで自分たちにアドヴァンテッジがあるというふうに考えているらしいが、できれば今後もガビ・マルティネリを連れてきたような地道なスカウティングによる補強を堅実に勧めてもらいたいと願ってやまない。カジガオがんばれ。

 

おわり



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8 Comments on “StatDNAのファウンダー、ジェイソン・ローゼンフェルトがアーセナルFCからFIFAに転職へ

  1. >また選手のケガを予防するためのトレイニングにもデータが役立てられた

    ( ゚д゚) ・・・
     
    (つд⊂)ゴシゴシ
     
    (;゚д゚) ・・・
     
    (つд⊂)ゴシゴシゴシ
      _, ._
    (;゚ Д゚) …!?

  2. この人自身元コンサルで経営者ポジションにいた人っぽそうなので、
    若手優良実務者が離れていかない限りはインパクト少なそう?
    今の時代どこまで内部に抱えこむのか微妙やし。

    スポーツアナライズの本場、アメリカ資本が入ったアーセナルとリバプール、、、
    近年のリバプールの成功みるとアーセナルがスカウンティング、メディカルで遅れとってる感じがして歯がゆいなー

    こういうデータ分析が好き、でもスカウト任せ connect led も好んだベンゲル。。
    うまく折衷できたかは不明。。
    現首脳陣はどうなるか。。
    スカウンティングはなんともなあ。。アルテタの師匠のあの人だってアホほど失敗して理想追い求めてだしなー。

    ソアレスのプレー見れたらまた色々議論でそうなテーマなんですがねー
    うーん、、

  3. そもそもこのデータ主導とコネ主導という対立構図自体がおかしい。どちらが良し悪しではなくて、どちらもリクルートにおいては必要不可欠な要素なわけで。データ、コネそれぞれを必要とするプロセスがまず異なって、前者は監督の求める選手とギャップが無い適切な選手を数値化して議題に挙げる際に使われ、じゃあその選手を獲得するために交渉しようというときに必要なのが後者。
    決してアナリティクス部門を無くそうとしてるわけではないのはいいが、今後もこの部門を機能させていくにはローゼンフェルトの抜けた分析担当は必要なわけで、実際のところムスティやジャカ筆頭に補強で失敗してたのを、これを機に新たな人材を連れてくるなり改革を進めてほしい。
    それにしても、ミスリン、ローゼンフェルトと立て続けにデータアナリストを排除する動きは、近年のサンジェイのエージェント絡みの暴走に相まって非常に懸念している。クラブ、経営組織としてサンジェイの独裁に歯止めをかける監査機関が必要なんじゃないか?

  4. リクルートに関しては難しいテーマですね。他の方のコメントでもありましたが、どちらも必要な要素で、どちらに比重を重く置くかの違いだと思います。

    どれだけ科学的なアプローチで論理的に整理しても獲れない選手に時間かけてもしょうがないですからね。選手にそのクラブに入る決断を促す大きな要素のひとつに代理人の存在があるのは事実ですしね。

    強いチームやCLなど選手をひきつける魅力があるチームであれば、コネに重きを置かなくても選手からなびいていくる要素もあるんでしょうがね。

    やはりフットボール自体の継続的な成功なしにはリクルートも簡単にはならないでしょうね。

  5. ファンはどうしても外したことをずっと覚えていて、印象値だけなのかなと言う気もします。シェルストレームやパクさんみたいなのですね。
    浅野や宮市を含めて若手が当たらなかったのはカウントしないとして、デュビッシー、リヒトシュタイナー、アンドレサントス、ルーカスペレスくらいですかね。
    費用対効果が悪いという感じになるともっといそうですけど
    エジルとサンチェスは契約更新絡むまでは紛れもなくワールドクラスでした。前者は単純に売りどきに失敗でしたね。サンチェスのトラウマがあったのは否めませんけど。チェフいなかったら4位維持してた時代はもっと短かったでしょうし。
    チームの年齢バランスとポジションバランスをセレクション部門が担ってたとは思えないのでそこの歪みがずっとファンがやきもきしていた所ですしね。なぜCBをずっと狙わない?という。
    この手の話はすべて結果次第なので、今期もはじめはかつてないビッグディール達成と賛辞ばかりでした。エメリに契約延長オファーという辺りで地に落ちた感のあるサンレヒの評判はどうなるか?やり方が今までと違うというのは変化とも取れるのでホントに結果次第でありますね。

    1. シェルストレーム、パク、リヒトシュタイナーみたいな頭数合わせの補強は、リクルートというより、ファーストチームが望む人材を供給できないというアカデミーの問題だと思っています。補強費が限られていたあの時期、サブは本来アカデミーが供給すべきポジションです。
      デュビッシーは実力的に見ても開幕怪我がなければ堅実な補強だったのでは? ただし、ここでも結果的にベジェリンがいたのにそれを押し込めないアカデミーの弱さを感じます。

  6. イヤまたマニアックな話題で。さすがarsenal change everything。

    過去10年で言うとデータ分析というよりも、ベンゲルが必要だと考える選手のイメージが間違ってたような気がする。サッカーがどんどんフィジカルに(スプリント力や運動量も含め)なっていくのに、あくまでも真逆の方向に舵を切り続けたのが問題かなと。

    その点アルテタはガチで優勝を争ってきただけあって、フィジカル面の重要性は理解してると思う。必要とする選手のイメージは間違わないんじゃないだろうか。

    僕はローゼンフェルトはもちろん、サンレヒがどういう人かもよく知らない(w)。ただ組織のことなので、何事も完璧には行かないと思う。どのクラブにもいろんな人間がいて、派閥や不合理や非効率との戦いは常にあるんだろう。

    ただ根本となるアルテタの考えが間違ってないなら、問題の性質はこの10年よりもずっと軽いと思う。ポゼッションに対抗する戦術が進化して、どんどんベンゲル流が通用しなくなっていったこの10年は本当に情けなく、キツかった。あれに比べれば。

    1. 結局サンレヒもイマイチ信用無いんですよね
      今年の移籍ははっきり言って失敗ですし
      この件はミスリンとの別れから進展無い模様

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