試合の論点
アーセナル vs ウェスト・ハムのトーキングポインツ。
深刻なショッツ不足
今回アウェイチームのショッツ14に対し、アーセナルのショッツはたったの「7」。SoTは3で同じだが、たくさんシュートを打たれすぎであるし、打てなさすぎである。
シュートに関しては、たしかにこれまでもっと悪い試合をやったこともあるが、いまインフォームに見えるチームの結果としてはかなり残念なものであると云わねばなるまい。
本来は、このような状況ならもっともっと悪い結果になっていてもおかしくはない。
アルテタがアーセナルに来て以来、シュート数がPLの20チーム中でわれらは18位だという。ショッキング。ほぼワーストみたいなものだ。
アルテタのチームはシュートが打てない。
それでも多くのチームより得点は多いのだから、それだけ効率よく得点ができているということでもある。だが、単純に考えれば、シュートが増えればもっと得点も増えるはずで、シュート数はある程度チームの強さに直結していると考えられる。ショッツ上位チームはテーブルでもだいたい上位チームである。
上を目指すには、シュートを打たねばならないし、シュートを打つためにはクリエイトしなければならない。問題は攻撃だ。
進歩が必要なプランA
昨シーズン終盤に、われわれはシティ、リヴァプール、チェルシーといったビッグチームに勝ち、多くのファンにこのチームの将来に夢をもたせた。だが一方で、もっと平凡なチームを相手にしたときには苦戦した印象が強かった。逆に、より苦戦していると云ってもいいくらいだ。
アルテタが来てからPLで勝てなかったミッドテイボーチームは、ボーンマス、パレス、シェフU、バーンリー、ブライトン、ヴィラ(このうちブライトンとヴィラには敗け)。それに勝ってはいるが、辛勝だったといえる試合もいくつもあった。3月のウェスト・ハムがいい例である。冒頭に書いたように、ホームで集中力を欠き、苦しむ展開は今回の試合にそっくりだった。
一見ホームでイージーに対処できると思えた相手に対し、攻めあぐね、ミスをし、徐々に増長してきた相手に逆にカウンターを何度も食らう。いかにも自滅という感じ。苦戦するときのパターンがある。
乱暴にいえば、強者に強く、弱者にはそうでもない。そんな状況がある。
プレイの仕方で明らかな違いは、アルテタのアーセナルは強者に対しいわゆる「プランB」的に勝っているということ。
云うまでもなく強者の特徴は相手が人数をかけて積極的に攻めてくることで、アルテタのチームは、逆にそれをうまく利用している。守って勝っていると云えるかもしれない。そして少ない攻撃の機会を逃さず、蜂の一刺しで葬る。シティにもプールにも7割ボールを持たれて勝っているし、あの連勝ではプランBのかたちができつつあることを強く印象づけた。
だとすれば、アルテタのチームが苦しんでいるのは一貫して「プランA」のほうだと云える。こちらがボールを持ち、シットディープでカウンターを狙ってくる相手。このチームには引いた相手のファイナルサード攻略に必要な、決定的な、素敵なサムシングが足りない。
アタッキングMFの穴
HTのOrbihno氏。
Big gaping hole in our midfield
— Orbinho (@Orbinho) September 19, 2020
ぼくも前半、ジャカとセバーヨスがボールを持ちつつ、オバメヤン、サカ、ラカらアタッカーたちが横並びでみんな裏抜けを狙うような動きをしているシーンを観たときに同じことを感じたものだ。基本的にこのストラクチャでは、ジャカもセバーヨスも前後の動きに乏しいので、最前線の選手とは自然と距離が開くが、その空間でのタスクを担う選手がいない。CMとFWをリンクさせる選手がいない。その結果いつもどおりのUシェイプっぽいボール回しが増える。
今回はボールを持っているときに、サカとウィリアンがMF化(redditでは「フォルスウィンガー」なんて呼ばれていた)し、ライン間にポジションを取ろうとしていたようだが、ポゼッションですごく効果的だったというわけでもなかった。
サカに関してはふたつのプリアシストもあったし(そこは役割をきっちり果たした)、今回もまた評価を高めるパフォーマンスだったが、ウィリアンは前回のフラムほどには目立った活躍はなかった。早めに代わったので疲労だったかもしれない。
⏪ Throwin’ it back to this time on Saturday…@adrianjclarke had plenty of praise for @BukayoSaka87 on The Breakdown 📺
— Arsenal (@Arsenal) September 21, 2020
やはりここはスペシャリストがほしい。
アルテタはスペイスの攻略(クリエイション)はセバーヨスに期待していたようなコメントもしていたものの、セバーヨスは基本はジャカのとなりにおり、ライン間で仕事をするような役割があるようには見えず、ほんとにそう思っていたのかは若干疑問がある。終盤のエンケティアへのアシストではかなり前にいたが。
この試合のジャカの働きを称賛する向きもあるが、それはつまりシットディープした相手に対し、彼のほかに攻撃のアクセントをつけ、トリガーになれる選手がいないということだろう(いわゆるゲイムメイカー的な)。ミドル/ロングレンジの正確無比なパスはもちろんどんな相手にも効果的だが、ショートパスをつないで崩そうという、アルテタが本来やりたがっているであろう(シティっぽい)コレクティヴなプレイというよりは、ロングレンジのパス一本で状況を打開するような(リヴァプールっぽい)ダイレクトなプレイに見える。
Granit Xhaka’s second half v West Ham pic.twitter.com/g6r9w7dVAZ
— Billy (@Billyinho7) September 20, 2020
ジャカのパスによるゲイムメイキングは、それしかできないのと、それがオプションのひとつであることはだいぶ違うと思う。
ジャカのようなパッサーがいるチームが、相手ハーフでもっとショートパスのコンビネイションを使うようになれば、そのなかで彼のパスはもっともっと効果的&決定的になるはずである。
とくに相手が引いた状態では、地道に辛抱強くボールを回してスペイスを探すことが重要になるし、相手の嫌がっているエリアに侵入しクリエイトすることはもっともやられたくないことだろう。それをやらなくちゃ。
いまアーセナルが自分たちがやろうとしているプレイ(プランA)をなかなか進歩させることができていない理由のひとつは、やはりアタッキングMFが理由のように思えてならない。
そしてそのことが、昨今のファンベイスにおける「アワー待望論」に拍車をかけているという状況もある。
そういえば、シティといえば、昨日の試合を観たひとがアルテタのやろうとしていることとシティのプレイはかなり似ていると指摘していた。まあこの場合アルテタがペップをコピーしているというほうがフェアなのかもしれないが。ぼくはシティの試合を観ていないのでなんとも云えない。
いずれにせよ、アーセナルはミッドフィールドを自分たちでコントロールできるようになるまでは、いまのようにストレスフルな試合がつづきそうな気がする。
攻められる試合ではまったく気にならない問題が、こちらが相手を押し込む試合で露呈する。
その他試合について
気づいたことなど。
- 今回はオバメヤンが得点せずに試合に勝った珍しい試合だったようで。アーセナルの彼への得点依存度は高すぎるので、なんとかチーム全体で得点していくようになってもらいたい。しかしゴールをしないことがポジティヴに語られるのも変な感じである
- KTの不在で、現在のチームにおける彼の重要性&コラシナツのダメさが試合後に話題になっていた。プリーズカンバックKT
- 後半開始してすぐあとのレノのポジショニング。試合中映像にちらっと映ったけどほとんど中央のサークル付近にいた。なんだあれ
- ガブリエルのフィジカルつよし。WHUのミカエル・アントニオは自称「ビースト」だそうで、そんな彼に負けてなかった
- MOTMがかなり割れていた。Sky Sportsがバーヨス、BBC Sportsがエンケティア、AFC公式(アンケート)がガブリエル、PL公式(バドワイザーKOTM)がバメやん
そんなところ。
試合については以上。
誰がどう見てもMFに問題点があると明確に出た試合
ボール持たされてもジャカでは何もできない、セバもコンディション悪くパーティ、アワーの両取りは実現させないとまずいかなと感じましたね
MFのクリエイティビティに加えKT不在の大きさをまざまざ感じました。
個人的にはU字シェイプになってしまっている時、チームにスイッチを押すリスキーなパスはいつもKTかベジェリンからのイメージなので、そう言った意味でもコラシナツとの差が浮き彫りになってしまった印象です。
ダニセバも良かったと思うのですが、観衆の斜め上を行くような決定的なパスなんかはエジルが恋しかったり。
んーやっぱり両獲りが難しいのならアワー>パーテイだなぁ。
更新お疲れ様です。
フラム戦では左サイドのハーフスペースはワイドの選手(オーバ)かWB(ナイルズ)か3CBの左(ティアニー)が流動的に入ってましたね。
ウエストハム戦ではサカとコラシナツがその役割してましたが、やはりティアニーとコラシナツではだいぶ差があるなと感じました。
その位置にセバージョスが入っていくことは得点シーンぐらいまでなかったので、今のところセンターの選手は基本センターに固定なんでしょうね。
5バックのまま固定するならセンターの選手よりWBの選手がよりリンクアッププレーの質を上げないと引いたチーム相手にはこれからも苦戦しそうですね。
おれたちの惚れたアーセナルのパスワークはどこへ…
まあ結局応援し続けるんですけどね笑
攻撃時にサカが真ん中に入る形から2点取れましたし、そこはAMNより優れている点に思いますね。この形が継続出来ればよいと思いますが、そこに出せる人がいない。ここはサカのポジショニングももちろん関係してきますが。
左ではサカ、右ではウィリアンあたりのハーフスペースにいる選手にパス出せる選手が必要な感じでしょうか。
他の皆さん同様、KTのバックアッパー不在が重くのしかかるような感じでしたね。コラシナツは相当きついな。。ソアレス両サイド出来るって聞いたことあるし、試してほしいレベルですね。
あっぶなかった!
ごく控えめに言ってもひどい出来だったと思う。
僕はハイプレスをはがすところに一番不満が残った。
確かにフラムよりは相手のプレスが緻密だったけど、何よりもアーセナルのボール回しの判断が悪くミスも多すぎた。
相手が引きこもってスペースがなかったのならともかく、ハイプレスに来てるのだからどこかにスペースがあるはずで。
後方の全員が目ざとくそれを見つけて、同じ意識でサイドやトップの空いたスペースに持ち出せなければ。
当節それが一番難しいことではあるけども、それができなければ攻撃の前提が作れない。
僕も将来的なプレーメーカー補強は賛成なんだけども、今回はそれ以前の問題だったと思う。
あとCBの欠員を補ってくれてるコラシに文句は言いたくないが、やっぱりこの人はLBというよりWBのような気がする。
CBさえ揃ったらティアニー欠場時はガブリエルのほうがいいかも。
完全な3バックにしてルイスが前に出たほうが。
こんな試合もあるし、まぁ勝ちゃ良いんすよ。
と思いつつ、セバジャカ大丈夫?
タッチ集見直すと悪くない(どころか流石なトコある)が…
ここを仮にアワール・パーティにリプレイスして大きく前進するのかも疑問ですねぇ。
そしてベンチにすら座れなくなるCMが溢れてしまうような。。
433やるなら一枚は欲しいよなぁ。
それがミッドテイボーチームに対する策になる事を祈る。
COYG
セバーヨスとエンテケアの連携が良く、
凄く安心したのは私だけでは無いしょう・・・
個人的には、
この試合はサカとウィリアンがインサイドハーフ的なポジショニングを取っていた割合が多かったので、アルテタもそういう適正があるという認識あるのでは?と思うと嬉しく思った次第で。でもそれだと右WGが欠けているような状態で足りないと、そしてウィリアンがWGポジ取ると中央が足りない、離れすぎという印象で見てました。それでも4-3-3にしないのはやはり守備の不安からかなとも。
2点目のシーンのセバージョスはこの試合初めて相手陣内ファイナルサード付近でWBより高い位置を取ったんじゃないかな。
これが効果的だったけどあまりに頻度が少ない。それが出来ないのはセバージョスジャカの機動力の問題(スピードの遅さとフォロー範囲の狭さ)にあるんじゃないかと。もちろん2人が後ろ目からパスを出すプレイ傾向があるというのもある。
クリエイティビティがないという部分もだし広い範囲でプレイする機動力がないというのも大きく影響しているような。
でもあれを意図的に戦術として出来れば面白いなとも思うんですけどね。たまにCMを上げて(逆サイドの)WBやCBのポジショニング変更でカバーする。でもそうするにもバックラインや両MFの機動力がやはりネックなのかも。
ガブリエルは個人的には課題が色々あったなと。フラム戦でも感じた(1度あった)課題がこの試合でもあったなと。修正というか適応は出来ると思うので楽しみですけど。
ウィリアンは個人的には良かったと思います。潤滑油となる動きは出来ていたと。ウィリアン交代せず他の攻撃的選手を追加するという選択が出来ないかは少し葛藤してました(笑)