試合の論点
アーセナル vs NUFCのトーキングポインツ。
チームフォームの底上げは成功ならず
一応試合に勝ったのはめでたい。だが、スターティング11を見ればわかるように、この試合には一部のフォームを落としている選手たちにチャンスを与えてチーム全体のフォームの底を上げようという意図もあったはずである。
前の試合から一週間、あとの試合までも5日あったが、サカやESR、ラカゼットやジャカといったここ数試合のキープレイヤーズを軒並みベンチに置き、かわりにPLでチャンスの減っている選手や不調の選手を起用したことからもそれは明らかだ。
ぼくが選んだプレヴューエントリのスターティング予想の11人と、今回アルテタがやろうとしたことはコンセプトはまったく同じだったと思う。超納得。
しかし結局は、この試合の勝利に大きく貢献したのは、サブを含めてそういった最近活躍を続けている選手たちで、当初の目論見については残念ながらあまり成功はしなかった。
チャンスを与えてフォームを上げたかった選手とは誰かといえば、おもにはウィリアンとぺぺ。またスランプ気味のオバメヤンもそのひとりだろうし、なんならPLではチャンスの少ないウィロックもこの波に乗らせたいひとりに違いなかった。ネルソンはマルティネリのケガからの棚ぼただが、彼だってそうである。
このなかでもっともなんとかしたかったのは、ウィリアンか。
彼はとにかく自信が減退している様子がそこかしこに見られる。この冬に新たにNo.10を取らないのなら、残りシーズンをESRと一緒にNo.10でプレイするのはおそらくウィリアンになるはずなので、非常に心配なパフォーマンスだった。
左サイドの連携でパスが短くボールを奪われ、そのままナツメグで抜き去られるというシーンが試合後にバズっていたが、とてもウィリアンのような選手がやるようなプレイには見えず。もしかしたら、彼は極端にフォームを落とすなかで、自分のスタンダードに逆に苦しめられているんじゃないかと思えてきたくらいだ。
今回は先にも述べたように、ESRとほぼ同じポジション(ロール)でほぼ同じ時間プレイしているということで、彼らのプレイの違いや差といったものは、非常に興味深かった。
ESRはとくに周りの選手との距離が近く、ショートパスをやりすぐにスペイスへ動き出す。ボールを持つことに全然執着がないように見える。そういう意味では同じNo.10でもエジルとも違う。そして狭いスペイスで判断スピードがとても早く的確で、ボールを使って周囲の選手を使い、かつ自分もそこで生きようという、そういう意図のプレイが多い。彼のゴールシーンでもそれは観られた。
Defence to attack 𝗷𝘂𝘀𝘁 𝗹𝗶𝗸𝗲 𝘁𝗵𝗮𝘁.
💫 @emilesmithrowe pic.twitter.com/Elux7aTxji
— Arsenal (@Arsenal) January 10, 2021
先日はJunior GunnersのQ&Aセッションでキッズの質問に「ぼくはワントゥーをやるのが好き」と答えていたが、まさしくそういうプレイをする。
ウィリアンはもともとはワイドの選手だろうし、こういった仕草をそのまま期待するのは難しいのかもしれない。ワイドプレイヤーというのはどちらかといえば、広いスペイスがあるほうが輝けるタイプだろう。
だがそれよりももっと深刻に感じるのは、どうもそこで自分から何かを起こそうという気が最初からないような、消極的な印象を受けることだ。そもそもアーセナルに来てから彼のいいところはほとんど観られていないが、どんどんそういう傾向が強まっているようにも感じる。ワイドでも中央でも。彼がボールを持っても危険な匂いがまったくしない。
試合後には、彼の「やる気のなさ」を指摘するファンの声もわりと見たが、まるで自信の減退がモチヴェイションの下落に拍車をかけるという悪循環に陥ってしまっているようだ。
おなじみOptaグーナーのOrbinhoも詩的になっちゃった。
Willian ambling around the pitch reminds me of one of those dreams where you are trying to run, but you can barely move your limbs and no matter how hard you try you don’t get anywhere and then you wake up exhausted.
— Orbinho (@Orbinho) January 9, 2021
ウィリアンのピッチを歩き回るさまは、こんな悪夢を思い出させる。自分はなんとか走ろうとするのだが、どうしても足をうまく動かすことができず、いくらがんばってもどこにもたどり着けない。そしてひどく消耗して目が覚める。
何がきっかけで突然変わるとも限らないので、ウィリアンにはなんとかトライを継続してもらいたいが、あまり長引くとどんどん取り返しがつかなくなる。
エジルやバロガンなどピッチ外では問題が山積しているが、いまこのチームのなかでもっとも頭の痛い問題がウィリアンかもしれない。使えないとなっても、いまさら売ることもできないので、フォームを取り戻させるしか道はない。
ぺぺについては、ぼくはちまたで云われているほどは悪くなかったと思う。たしかにいつのようにため息を誘うような場面もあり、もちろん彼に期待されているベストには程遠いだろうが、それでも、いくつかいいところは見せたし、あのようなパフォーマンスでもうまくいけば結果を出せていた可能性もあったように感じた。(オバメヤンがショッツ5に対し、ぺぺはショッツ4)
ぺぺはいまサカに右サイドのポジションを奪われたかたちで(このチームにサカより右サイドでうまくできる選手はいない)、今回のような機会でアピールをしなければならなかったが、これを続けていけばチームにとって大きな問題でありつづけるようなことにはならない気がする。
オバメヤンは、このなかでは比較的いい試合の終え方をした。あれこそがオバメヤンのトレイドマークtap-inゴール。あのスピードのクロスに合わせるさすがの技術だった。彼はゴールを取ることで自信を取り戻す。彼にはどんどんあんなゴールを取らせないと。
ウィロックとネルソンはなあ。彼らは平凡な選手でアーセナルのスタンダードに達していないみたいな意見を目にするとぼくは非常に気が滅入る。まだ21とかやぞ。ネルソンは夏にもローンを拒んで残ったが、このままベンチで長い時間を過ごすくらいならやはり彼らはローンで出たほうがいいだろう。エンケティアもそう。AMNはもっと使おう。
ESRの去年のハダースフィールドでの経験はかなり大きかったと認めざるを得ないでしょう。
その他試合について
- KT、ESR、サカ、ラカゼット。この4人は攻撃ではちょっと外せなくなってきた。とくにKTはノリノリで、ほとんど毎試合で相手の右サイドが悪夢を見ている。ここまでチーム内でオープンプレイからのチャンスクリエイションがトップだとか。アーセナルでチームのなかに同時にファインフォームの選手がこれだけいるなんて最後がいつだったかちょっと思い出せない
- パブロ・マリーもここ数試合で、ポジショニング、試合の読みなどすごく称賛されていて全盛期のメルテザッカーを思い出すひと多数。ガブリエルが復帰したあと彼を即スタートに戻すのは、スクワッドにあまりいいメッセージにならないのではないかという…… まさかの左足CBコンビもありるのか?
- この試合はジャカがゲイムチェインジャーだったという意見も。わりと同意。彼のひらめきパスがなければオバメヤンのゴールはなかった
- レノFC。ぼくはルナーソンを予想したが、もしそれをやっていたらここで敗退していたかも
- オバメヤンはペナルティもらえたはず
- 試合前にアーセナルのセットピース守備が著しく改善しているというデータがあったがあれはマジのようだな。去年はワーストで今年はベスト。どんだけ
11% – Arsenal have conceded a league-low 11% of goals from set pieces this season in the @PremierLeague; this after conceding the highest ratio in 2019-20 (46%). Shift.@Orbinho looks at the data to analyse what’s changed for the Gunners in 2020-21.https://t.co/eILzBkzpnB pic.twitter.com/ZaCWG8ORA5
— OptaJoe (@OptaJoe) January 8, 2021
試合については以上。
僕はぺぺは良くなってると思う。
この試合は守備でポジション修正をサボらなかったし、ボールを持った時もシンプルで、攻守によく走ってたと思う。(ぺぺが上半身を当てるプレーをしてる!)
屈強なマルティネリはともかく、サカと同レベルのハードワークなら要求してもいい感じがする。
最後の精度を欠いたのは、慣れないハードワークのせいかも。
しかし最後の精度だけがあっても、ボールのないところで走らなかったらどの道トップレベルにはなれない。走って失敗するほうが100倍マシだと思うし、とにかく続けることだと思う。
正直僕はぺぺのハードワークの可能性についてあまり信じてなかったけど、ここ数試合で認識を改めつつある。
何だやればできるんじゃないか。ってかむしろ最初からやれや。という認識にw
ティアニーは重要すぎるからこそ代えて欲しかったし
単純にセドリックよりはナイルズだと思うから代えてほしかった
ナイルズはむしろベジェリンよりも良いくらいなのに何故使われないのか。
ボランチでも見てみたいし
チェンさんのアルテタとの波長の合いっぷりがすごいですね。個人的にこのタイミングでのウィロックCM起用を当てたのは特に(笑)記事の内容も同じ思いだったりなるほどでコメントせずにそのまま閉じちゃうくらいです(笑)
私もペペの出来は悪くなかったと思います。最近のサカの貢献や結果には届かないかもしれませんが、近づく傾向は見て取れましたし、試合を通しての姿勢の一貫性がありました。個人的に惜しかったのはフィニッシュの部分でシュートよりオーバへのパスを選択する方がビッグチャンスになりそうな場面が1回あったかと。細かい場面での判断の変更というか余裕やこだわりがもう少し柔軟になれば活躍出来そうな期待を持ちました。なんならペペとしては一番試合を通してのパフォーマンスとしては良かったのでは?
あとオーバがペナルティーエリアにドリブルを仕掛けて抜けたシーンがあったのが彼にとってポジティブになるんじゃないかと。ああいう仕掛けが有効になると分かればプレイも変わるかもだし今後もトライして欲しい。
以前から走れてないということは言ってましたしまだ感じますけど、それ以外にもプレイの迷いというか引いた相手にどうプレイしていいか分からない印象を受けてて、あと味方を活かすことやチームプレイのことを意識しようという意図が見えててでもそのプレイに自信がなかったり、最後のパスのところがおざなりになって結果にならない、みたいなになってる部分もある気がするんで、得点もそうだけどあのプレイが今後の復調のきっかけというか、引いた相手に対するプレイの自信やバリエーションに繋がればなと期待したいですね。
ウィリアンはなんかオーバのパフォーマンスとも被るんですけど、全然走れてなくて自分でもドリブルを仕掛けても抜けないと自覚があるから仕掛けないみたいにも感じます。守備タスクをこなすくらいの体力はあるけど攻撃にかける基本的な体力がコンディション的にない印象。それともアーセナルはパスのチームだという思い込みがプレイに影響…ないな。まぁとにかくドリブルを仕掛けることがチェルシー時代より少なすぎるし切れがないどころじゃないし、あまりに低調なプレイが目立ちますね。まずはコンディションな気がします。