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アーセナル2021冬の移籍ウィンドウまとめ。エドゥの豪腕でスクワッドを大整理。チームミケルはつぎのステイジへ

アーセナルが2021冬に放出した選手(※ローン含む)

箇条書きにて。

  • マット・メイシー(ハイバーニアンへ)
  • パパ・ソクラティス(オリンピアコスへ)
  • メスト・エジル(フェネルバチェへ)
  • シュコドラン・ムスタフィ(シャルカへ)

以下はローン。

  • セアド・コラシナツ(シャルカへローン)
  • ウィリアム・サリーバ(ニースへローン)
  • マット・スミス(チャールトンへローン)
  • ゼック・メドリー(キルマーノックへローン)
  • ジョー・ウィロック(ニューカッスルへローン)
  • AMN(ウェスト・ブロムへローン)

エジル、ムスタフィ、コラシナツ、ソクラティスと4人のシニア選手を整理。そしてアカデミー選手と、ファーストチームでプレイタイムの少ない選手をローンへ。どの案件も非常にメイクスセンスなものとなっている。

チームの将来的なプランに入っていないことは明白だったにも関わらず、夏まで残ることも十分想定されていたシニア4人。それを説得して?一度のウィンドウで一気に片付けられたとは。まったくすごい。コラシナツはいちおうローンで、アーセナルとの契約も2022年まで残っているが、もう戻ってくることはおそらくないだろう。

エジル、ソクラティス、ムスタフィについては、フリートランスファーで、アーセナルとの残り半年の現行契約を解除して移籍していった。また、契約解除の条件として破棄された分の残り契約のうちいくらかをアーセナルが負担するようだ。さすがに、残り半年分のサラリーをまるまる放棄してくれるほど甘くはなかった。

これは要するに、彼らにはお金を支払ってお願いして退団してもらったようなものである。雇用主でも立場は非常に弱い。本来契約とは両者の受ける利益が釣り合っているから成立するものだろうが、バランスが崩れてしまえば契約とはこんなにも恐ろしいものになる。これはわれわれが長期&高額の契約に、いかに慎重にならねばならないか今後の教訓にせねばならない。もっともウィリアンで現在進行系でやらかしてしまっている可能性もあるわけだが……

さすがにエジルについてはメディア等でもほかの選手より詳しく伝えられているが、一説によれば、アーセナルはエジルがフェネルバチェで受け取る今シーズン終了までのサラリー(€100kpw)を負担するという。真偽はさだかではないが、その条件でチームに登録すらされていなかった彼と契約解除ができたのなら、アーセナルは大勝利というほかない。

エジルの退団について

彼の退団については、ずっと何か書こうと思っていた。

ぼくは、彼が巨額契約を勝ち取って契約更新してからはとくに批判的なトーンでブログ記事を書くことが多かったので、もしかしたらブログ読者のかたにはアンチエジルと思われているかもしれないが、そんなことはない。彼の天才的に美しいプレイはいつだって眼福だったし、ワクワクドキドキもしたし、ちゃんと熱狂していた。おもしろかったし楽しんだ。

ぼくが思い出せる一番好きな試合は、15/16のマンU(H)3-0。サンチェスとエジルでマンUのDFをズタズタにしたあの試合は最高に気持ちよかった。

彼はアーセナルで、というよりこのモダンフットボールワールドにおいて、「守備をしたがらない」というワークレイトやワークエシックを一貫して問題にされていたと思うが、それすらもぼくはここ数年はどちらかといえば、ヴェンゲルさんに近い意見を持つようになっていた。すなわち、彼のような天才を使うためにはチームはある程度の犠牲も払わなければならないと。

全員で攻め全員で守るという考え方が当然の現在では、それはすでに少数派で時代遅れな意見だろうが、それで彼が最大限のちからを発揮できるなら、そうする価値はあったといまでも思う。それくらいには彼の才能を信頼していた。ここしばらくのアーセナルにはとくにエジル的クリエイティヴィティが熱望されていたのだし。

フットボールにおける守備と攻撃という、いまなら不可分のふたつの側面が、きっちり分かれていた最後の時代にエジルは生きたと云えるかもしれない。最後の生き残り。スタイルが移り変わっていく、この過渡期の時代で彼自身も苦しんだことだろう。

ただ、そのようなピッチ上での二面性にくらべると、ピッチ外での二面性については、ぼくは受け入れるのは少し難しかった。

似たようなことをこれまでにも何度も書いているので繰り返しになってしまうが。

恵まれない子どもたちのためのチャリティに熱心だったことや、正義のために政治的にセンシティヴなことにもちゃんと声を上げたことなどは、尊敬すべきだと思う。もし計算高いだけならチャイナマニーを放棄するようなことはしなかったはずだ。エルドアンのような人物と懇意にしていたりとツッコミどころはあるにせよ、まあ概ね、彼は人道主義的で篤志家と評価できる人物であり、そんな彼に救われたひともきっと多くいるだろう。なによりプレイで世界中の子どもたちに夢を与えた。それこそプロフットボーラーの仕事だと思う。

しかし、一方でセレブリティとしてのエゴイズムのようなものはつねに彼から感じられた。

ウナイ・エメリにとってはチームを掌握するうえでは、まさにドレッシングルームのガンだったろうし、ソーシャルメディアを使って公の場で巨大なフォロワーをバックに、クラブとのPRバトルのようなものまで仕掛けたことについては、まったく感心しなかった。クラブのなかでしっかり話し合うとかもっと建設的で穏健なやり方はいくらでもあったはずなのに、彼と彼のチームがそうせずに、自分たちの「腕力」に訴えたのは、まあおごりのようなものだろうとぼくは思っている。

どんなに素晴らしい選手で実績を残していたとしても、彼をクラブレジェンドだと認めたくないのはそういう理由が大きい。実際、いまや彼のことをそこまでの選手だと感じているファンもあまりいないのかもしれないが。

彼が退団するとなったときに、twitterなどでもたくさんの「Thanks Mesut」のメッセージを見かけたが、ぼくの観測範囲内ではエミレーツに彼の銅像を建てようなんて意見はまるでみなかった。みんな、ただただこういう最後になり残念だと。同感である。

もし彼が口先だけでなく、クラブへの真の忠誠心・愛情・尊敬を持っていたなら、もっと違ったものをこのクラブに、ファンのこころに残していけたんじゃないかと思えてならない。彼のこれからのビジネスにもそのほうがよほど利益があると思えるのが、なんとも皮肉だ。

ということで、Thank you and good luck Mesut。いろんな意味でありがとう!

ウィリアム・サリバの気持ち「傷ついた」

退団したムスタフィやローン移籍のウィロック、AMNらのこともいろいろ書かねばと思いつつ、サリバだけ。彼が最近のインタヴューでこんなことを云っていたのが気にかかっている。

William Saliba: “I believe in myself.”

(1年前に、2021年1月にニース vs ASSEの試合でプレイするなんて聞いてた?)

サリバ:ぶっちゃけ1年前にそんなことを聞いたって信じなかったよ。

(アーセナルでの難しいとき)

ほんとにほんとにほんとに思わなかった。まさか€30Mで移籍して、みんなもすごくぼくに期待してくれて、ファンの興奮もあって、それでリザーヴとは。プレイはゼロだよ。ELでもリーグでもまったくのゼロ。リーグカップのスクワッドに入っただけ。傷ついたね。

ぼくは早すぎるなんて思わない。準備できてると感じるのなら行かないと。移籍が早すぎたとも思わない。そうなったんだし。ぼくは自分を信じるよ。

(OGCニースへの移籍)

ベストチョイスだと思う。ニースに行こうと決めたのはいいプロジェクトといいチーム、いい野心があったから。プレイスタイルがある。プレイするのは気持ちがいいし、試合でプレイする時間もある。

ぼくはまだ若い。19だ。こうして試合でプレイするからこそ成長できる。やらかしても修正できる。つぎの試合がある。いまはたしかに最高の状況ではないけど、ここから抜け出すためいんはなんでもやるつもりさ。

(ダンテのケガ)

ダンテのケガのあと、誰がディフェンダーのトップか、誰がこのチームのボスかということになって、ぼくはボードからその役割を頼めるかと。イエスと云ったよ。若くたって関係ないね。

(将来について)

わからない。いまはあまり遠い未来のことまで考えないほうがよいと学んだ。だからぼくはこの6ヶ月に集中して、すべてを出す。そしてあとはどうなるかだ。

19才でローンで来た選手にチームのボスになるようクラブが打診するというのもすごい話だが、要するにフランスではそれほど彼の評価は高いということなんだろう。もはや天性のリーダーだと思われている。

そんなサリバに対するアーセナルの扱いかたは、ほんとうに「謎」という以外の感想がない。どういうつもりなのか。

アルテタは彼をELスクワッドに登録しなかったことは間違いだったとあとで話していたし、彼はアーセナルでの数ヶ月のうちにすごく成長したとも云っていた。それは果たして本心なんだろうか?

ひとつ間違いないのは、サリバ本人がアーセナルの扱いに不満や不信を持っているということだ。家族の問題や外国での暮らしなど、いろいろないい訳じみたことがこれまで説明されてきたが、なによりもまず選手本人をケアしてほしい。大切な仲間だと伝えてほしい。それを行為で示してほしい。

彼がその間違ったマネジメントを理由に退団を希望するような未来だけは、ほんとうにごめんこうむりたい。

フォラリン・バロガンの去就?

動きのなかった彼についても。

結局彼はこの冬には移籍しなかった。一時アーセナルは彼をフリーで手放すよりも1月にいくばくかの金で手放すのではないかとも云われていたが。

そして、海外クラブとプリコントラクト締結間近と伝えられてから、結局彼はそれもまだ行っていないそうだ。いまもまだ彼がAFCと新契約を結ぶ可能性は残されていると。

じつはバロガンはもうしばらくファーストチームのトレイニングにも参加していないそうで、しかし、もう海外クラブからは引く手あまたで自由に交渉もできるのにまだ何も決めてもいない。本人は残留希望だという説。

アーセナルは、彼に契約更新をオファーしていることはアルテタも述べているとおりで、だとすると、彼が試合にもトレイニングにも関与していないことと無関係とは考えにくい。

そういった状況を総合すると、どうも各パーティの思惑が見えてくるような気がしないでもない。

  • バロガンは最終的にはAFCの新契約を受け入れるつもりだが、できるだけ有利な条件にしたい。交渉という名の駆け引きの真っ最中
  • そしてアーセナルは彼サイドが契約を受け入れてくれさえすれば、すぐにでもふさわしい扱いをする。しかしそうでなければそうしない

もちろんただの憶測だが、なんというか、我慢くらべみたいな?

というよりは、バロガンがどれだけチームに残りたがっているかが最重要な要素だろうが、なんだか、彼がほかのクラブとのプリコントラクトを締結しなかった今月を境にして、選手よりもクラブのほうが立場が強くなっているようにも見えなくもない。

ひとつ確かなのは、バロガンが自らの自由意志でまだあらゆる可能性を残していること。それはつまり、彼をキープしたいアーセナルにはポジティヴな状況なんじゃなかろうか。

なんつって夏にあっさり去っていったりな。まあよくわからない。わからないが、この流れでバロガンが結局ブカヨ・サカのように新契約を受け入れたら、やはりエイジェントカンパニーがガンだったことになりそう。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

5 Comments on “アーセナル2021冬の移籍ウィンドウまとめ。エドゥの豪腕でスクワッドを大整理。チームミケルはつぎのステイジへ

  1. ラストサムライ。
    チームを去ってもなお愛される選手たちとは、やっぱ違いますね。アルテタも最初は使ってましたからね。口には出せないことがあったのでしょう。
    そして、これからが大事ですね。
    グーナーとしては、ネルソン、ウィロック、エディ、ナイルズを中心としたチームを期待して、アルテタもそうしようとしてるふしはありましたが、結果が出なかった。
    そこにさっそうと現れたのが次の世代。
    スミスロー、サカ、ガビ、ここにもしかしてバロガンも。ローとサカはすでに絶対的な存在にまでなってますよね。
    嬉しいことですが、エディたちもまだあきらめないで、アーセナルでチャンスをつかんでほしいっすね。

  2. わたしはある意味、アーセナルは選手の最終目的地で、一番脂がのっているシーズンをあまねく、ここで過ごしてほしいので、外で実績積んでいるプレイヤーの売却益はそこまで狙わなくてもいいのかな、と思います。まあ、コロナ禍でクラブ運営に支障がきたすようでは本末転倒なんですが・・・。でも、コッシーとか、プレーしているときは銅像あってもいいレベルだと思ったんですが、終わり方とか、晩年の過ごし方、って本当に難しいですね。お金を置いて行ってくれたイウォビとか考えると、アカデミー選手で核になる可能性が低ければ、むしろいいタイミングで外にだしてあげるほうがアカデミーにいい選手が入るサイクルができるし(お金も得れるし)。いまはじっくり、エジルが来てくれた興奮の余韻を楽しもうと思います。サンチェス、エジルが一番脂のっていて、最も輝いていた時代、本当に我ら幸せをくれたように思います。で、ヴィラ戦から、また新たな一章ですね。

  3. ロビンから続いた左のNo.10、次は誰が付けるのか。
    そのうち、1回まるまるメスト・エジルについてのエントリを執筆されるかと思ってました。笑

  4. サリバはパスを出す能力が問題なんじゃないかと思う。
    自分でボールを運べるけど、運んだ先で手詰まりになるケースも多い。
    ホールディングは最近ああいう詰まり方をしないから、違いはそのへんかも。

    サリバを獲得した時点ではエメリだったから、評価されるポイントが変わってきてるのも気の毒だ。
    速いし強いし守備は満点だと思うんだけど。

    ただホールディングだってロングパスの才能があるわけではないし、足元のつなぎもアルテタが満足してベンチに呼ぶまでにずいぶん時間がかかった。
    もしホールディングに近いレベルの球出しができれば、ボールを運べる分サリバが有利だと思う。
    僕は今でも、サリバはそこまでスタメンから遠くないと思ってる。

  5. どこを目指すかで変わるよね。売るクラブでありながらCL出場権はプレミアではムリゲーじゃね。 says:

    アーセナルを買うクラブにするか売るクラブにするかのビジョンがまちまちなように思う。
    (それはクラブ関係者だけでなくてファンもね)
    バルサもマンUもマンCもPSGもチェルシーだって、買うクラブは売るのはヘタ。
    ポルトやアヤックスは売るのも育てるのもうまいけど本当にスーパーな選手はKeepできるクラブじゃない。
    ってことはプレミアリーグにいるアーセナルの場合は、売るクラブ路線の場合CL出場権はほぼ諦めつつ、サウサンプトンやレスター位のポジションを目指すことになる。
    アヤックスやライプツィヒ、ポルトやセルティックとかとは国のリーグの競争力が違うから、
    「育てながら買って、売る」は今のプレミアではムリかも。まじで。

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