試合の論点
ウェスト・ハム vs アーセナルのトーキングポインツ。
📖 The story of #WHUARS
15 mins: 😕
17 mins: 😔
32 mins: 🤬
38 mins: 🤨
61 mins: 😬
82 mins: 😅Final whistle: 🥵
📺 Watch the key moments from today’s action-packed draw 👇 pic.twitter.com/BHaSN0sQir
— Arsenal (@Arsenal) March 21, 2021
一貫性の欠如という悪癖を治せない呪い
パフォーマンスの一貫性・安定のなさ。われわれはこれをどうしても修正できない。
ボスまで「悪夢」ということばを使うくらいには、重症という気はする。
今回もまたひどかった。
最初の失点はたしかにいいゴールだったが、冒頭にも書いたように、ぼくにはその時間帯はいかにも失点しそうな雰囲気に感じたものだ。あんなにいいところなく攻め込まれていれば、反発がなければ、いつかはやられるに決まっている。そしてゴラッソ。やっぱり。
疲れているのか、頭がまわらない、集中力もないみたいで、まるで気持ちが入っていなかった。戦う準備ができていなかった。フリーキックの不意を突いた2点目なんかもう見てられないくらいひどい。
それと今回「おや?」と思ったのは、バックからのプレイを最初から諦めていたこと。
WHUはハイプレスをしてこないだろうというマイケル・コックスの試合前分析もあったが、それに反して全体がプッシュアップしていて、たしかにGKからショートパスでつないでいくには危険な状態ではあった。だが、あまりにもイージーにあきらめていなかったか。
バックからのプレイは、最近のエラーの直接の原因にもなっていて使い方を誤れば手痛いしっぺ返しを食うことは、アーセナルの守備の選手たちは誰よりも痛感している。しかし、だからといってそれをあきらめるわけではない。なぜならリウォードがあるから。それはアルテタが云っていたことだ。
今回の最初からロングに行こうとするやり方は、あの試合の流れのなかで、いかにも消極的アティチュードに思えた。試合が始まって最初からそういう後ろ向きな空気が蔓延していたのだ。
ラカゼットが試合後に云っていた「コーチのゲイムプランをリスペクトしなかった」というのは、この件もあるのだろうと思う。
でも、なんでなんだろう? なぜこんなにうまくいかないのか。不自然なくらいに。
いいときの(ふだんの)アーセナルは、すごくレヴェルが上がってきた。アイディアも勇気もクオリティもある。個人のクオリティがチームのクオリティになり始めている。それはこの試合のあとの60分を観ればわかるとおり。ああいうプレイができるなら、まさにトップチームスとだって戦えるはず。
だが、それを維持できない。
理由がまったくわからない。ボスもわからない。だから呪いかもしれない。黒魔術。カエルとか使うやつかも。
こっちも魔術で対抗したほうがいいかもしれない。そしてそれをアニメ化しよう。
オーデガードにファブレガスを見た
3失点後に覚醒した(あるいはやけくそになった)アーセナルはすごかった。アルテタがシーズンベストと述べているのも納得。怒涛の攻撃だった。
攻撃のキーメンは、パーティ、ラカゼット、それにオーデガードか。
パーティはミドフィールドを掌握し(※ボールリカヴァリ14は両チームでトップ)、ボールを持っては鋭いヴァーティカルパスを連発。自分のところからつねに何かを起こそうとしていた。
またラカゼットはしばしばあの狭小なライン間に落ちてきて、そのキツいボールを的確に処理。周囲の選手を活かしていた。
そしてオーデガード。アーセナル公式(ファン投票)のぶっちぎりMOTM。ぼくも彼に入れた。
Martin Ødegaard’s game by numbers vs. West Ham:
93% pass accuracy
95 touches
16 penalty area entries (most)
9 crosses (most)
6 duels won
5 touches in opp. box
4 take-ons (most)
4 chances created (most)
3 shots
2 fouls won
1 shot on targetImpressed. pic.twitter.com/eWauBgqErC
— Squawka Football (@Squawka) March 21, 2021
試合後に彼のスタッツを見てびっくりしたのは、なんといってもパスアキュラシー93%。あの密集したエリアで。95タッチーズで(※パーティに次ぐ2位)。ふつう、あんな場所で攻撃的にプレイする選手のパス成功率がそんな高くなるはずがない。それがどうしたことだろう。バケモンか。
つねにボールを持ち(持ってないときは要求する笑)前でも後ろでもつねにゲイムメイキングをやろうとしていた。あのボールへのこだわり、「主役はいつもおれ」的なプレゼンスはすごいと思う。
アルテタが云っていたように、彼は一見シャイボーイのようだが、じつはピッチ上での自己主張はそうとうに激しい。自分のテクニックやスキルにかなり自信を持っていて、いい意味で自己中心的。リーダーの素質あり。
この感じは、アーセナルのチームにとってはセスク・ファブレガス以来なんじゃなかろうか。ボールを預けて安心できる漢。
意外と左足でエジルとも似たところがあるが、やはりぼくにはセスクっぽく見える。
以前、オーデガード本人も子どもの頃のあこがれの存在だったとファブレガスに言及していたが、パスセンスや視野の広さなど、プレイのスタイルもなんだか似ているし、22才という若さもセスクがアーセナルでもっとも油の乗っていた時期に近い。若くしてリーダーシップがあるところなんかも(セスクがアーセナルでキャプテンになったのもその年頃?)。
ぼくはこの試合を観ていて、彼はアーセナルが必ず獲得せねばならない選手だと確信した。
彼と同程度のクオリティを持った選手がほかにもいたとしても、PLとアーセナルにこれだけ早く順応する選手はなかなかいないだろう。彼がアーセナルに来てプレイするようになってからまだ6-7週間しかたっていないというのに、もうすっかり慣れたどころか、チームのメインマンになっている。いまや彼が世界一インテンスなリーグに適応できるかどうかという心配は、まったくの杞憂だった。
一説によれば、レアル・マドリッドが彼に設定しているリリースクロースは€350Mだとか。それは無理だろ(笑い)。
セバーヨス同様、RMが彼を戦力としてカウントしていなければ、夏にローンを延長というのが現実的な落とし所かもしれないが、いずれにせよ、彼のような選手はチームにいなければならない。
ところで、オーデガードは試合中のこんなプレイも気になった。たしかにこんなシーン何度もあったなあと。これはナイス分析。
Ødegaard undoubtedly put in a really good performance today but I don’t think it was without its creases.
1st half highlighted how he can find it more difficult when teams aren’t (yet) so inclined to sit passively at the edge of their own box.pic.twitter.com/25KMEXzkWg
— PM (@ThatGooner) March 21, 2021
ボールを持っているパーティに寄っていき、すぐ近くでボールを要求するという。何度も同じことをやっていて、ちょっと笑える。
ラカゼットの戦術的存在感と低調なオバメヤン
この試合のラカゼットとオバメヤンは対照的だった。
ラカゼットはCFとして、チームプレイに積極的に関与して自らも2得点(1得点はOGで取り消し)。
一方オバメヤンはワイドであまり存在感もなく、ショッツもゼロ。正直、あのパフォーマンスならぼくはマルティネリを最初からつかってほしかった。オバメヤンはチームプレイにはほとんど貢献しないので、彼をウィンガーで使うとピッチでひとり選手が減ってしまうようなものだ。
この試合のラカゼットはほんとうに輝いていて、アルテタにとって何よりうれしかったのは、彼が自分の思い通りの理想のCFしぐさでプレイしてくれたところなんじゃないだろうか。
ボスはつねづねラカゼットを称賛しているが、それは彼がハードワーカーというだけでなく、戦術的に(自分の思い通りに)動いてくれるという理由もあるだろうと思う。アルテタは基本的に、選手には自分たちがトレイニンググラウンドでコーチングした動きをピッチで忠実に再現してもらいたがっている、
.@LacazetteAlex vs West Ham (A) | Class pic.twitter.com/ae9rWgT66R
— 28 (@11ockk) March 21, 2021
たぶんこれはかなり理想に近いはず。
ライン間でハーフターンでボールを受けて、そこから展開。これ相手はめっさ嫌なプレイだよなあと。狭いエリアでもなかなかボールを失わず、必ずつぎにつなげてくる。
とくにワンタッチプレイをやるときは、相手DFはついていけず、アーセナルの選手の侵入を許し、ブロックを崩されてしまう。
今回はそれだけでなく得点まで取ってくれた。サカへのスルーボールは惜しくもゴールにはならなかったが、ゴールのチャンスまでつくってくれた。アルテタにとってはそれ以上望めないというくらいのCFだったはず。
アルテタがいま悩ましく思っているのは、夏に残り契約が1年になるラカゼットをどうするか、かもしれない。
ちまたの噂では、ラカゼットは夏に売却される可能性が高いということだが、ここまで理想のプレイをしてくれるとなると、いまむしろ売却したいのは契約更新以来スランプ気味のオバメヤンのほうになってしまっている。
短期的な逆転現象なのか、いずれオバメヤンがフォームを取り戻すのか、先のことはわからないが、ただ、現状としてはラカゼットがここまでいいプレイをするといろいろ悩ましくなってくる。
パーティ+オーデガード+ESR=4-3-3
74分にジャカが退いてからの約20分、パーティの単独ホールディングMFの前にオーデガードとESRというふたりのNo.8/10がいる4-3-3のかたちが実現した。ついに。
マルティネリがオバメヤンに変わって入った最後の10分はこんな感じだったろうか。なんという夢のある。この時間帯にはゴールも決まっているし。
短い時間で、ああいったスクランブルっぽい状況で、相手もほぼ完全に引いていたので、この3人がMFとして一緒にプレイしたときの効果を測るには、たしかにあそこはすごく適切ではなかっただろうとは思う。
だが、ファンの試合後の反応を観ると、パーティが単独でホールディングロールをやっていた時間帯にポジティヴな印象を抱いたひとが多くいるようである。わしもである。
守備のバランスを取るなら、オーデガードがNo.6/8で、ESRがNo.8/10のように動くほうが安定しそう。とかなんとか、これを見ながらあれこれ考えるだけでもけっこう楽しい。
かねてよりアルテタは、いずれはアーセナルでも4-3-3でプレイしたいと公言しているので、われわれは未来を垣間見たのかもしれない。
ここ数年のアーセナルからすれば、あまりに攻撃に偏りすぎに見えるかもしれないが、ヴェンゲルさんの時代ならDMのとなりにB2Bがいるようなセットアップはふつうだったんだよね。コクランとカソルラとか。でも、あの時代のアーセナルはいまよりずっと攻守で安定していて強かった。
要はバランスなんだろう。
4-3-3については、これからどうなるか注目しよう。
その他試合について
- ラカゼットの3点めが決まったとき、交代したはずのオバメヤンがセレブレイションに加わっていたのですごく混乱した
- サカ惜しかったなあ
- パーティのショット。あれはいつかゴールに近づくんだろううか
- チェンバースはACLからの生還。感動。Sky SportsのMOTM。この試合で出場試合がパスカル・シガンを超え、フィリップ・センデロスと並んだとのこと。レジェンド
- アルテタはアーセナルで「ユナイテッド」が名前につくチームに15戦敗けなし(11勝)。ウケるw
- オーデガードはアーセナル(474分)に来てから、すでにリーグではレアル・マドリッドでのプレイタイム(264分)を超えたのだとか。これおかしいのは、このスタッツを紹介するならもっと早いタイミングがあったはずで、Orbinho氏もあとから気づいたんだなと
- ジェシー・リンガードとかいうやつはアーセナルでたっぷり得点してた(6試合でG4)。だからぼくは記憶から消していたらしい
- ライス・イズ・ナイス
最後に悲報をひとつ。
Arsenal can no longer win the Premier League this season
— Orbinho (@Orbinho) March 21, 2021
絶望した!
試合については以上。
どんな試合でもふわっと緊張感なく試合に入ってしまうのはもうベンゲル末期くらいの悪癖と思いますが、キャプテン不在なのが原因じゃないですか?
今オーバがキャプテンマーク巻いてますけどそれらしい事はしませんし
来季は変えた方が多少は改善されるんじゃないでしょうか
リアルタイムで見始めて、3点目が入ったときにテレビを消してしまいました。こんなこと初めてでしたが。
夢の中で4-1で負けたことになってて、そのあと結果を見たときには驚いて試合を見直しました。
ほんと、いつまでたってもこんな感じですね、一貫性ない問題。
誰が悪いとか言うべきではないかもですが、マリがスタートする試合はなんか気持ち入らないスタートが多い気が。
マーティンやばいっすね。ここはグエンドゥージ、トレイラにウィリアンもつけてトレードでどうでしょう。
ラカゼット覚醒。うれしいっすね。マーティンのいる今のシステムだからオバメがあそこで耀かないんですかね、あんなことなら最初からペペかガビが見たかったっすね。
まぁこれでこんなスタートすることは2度とないとなると、これから奇跡の9連勝ってことでいいですよね。
2週間長い。COYG
いつも楽しく拝見させてもらっております。
昨日の試合を受けて今回はいつも以上に楽しみにしておりました!笑
黒魔術にアニメ化と期待通り面白かったです!
まだまだ失望も多いですが、明らかに夢は膨らんでいる実感があるので
これからも楽しんで応援していきましょう!COYG!
悪夢の立ち上がりは、プロフェッショナルとは呼べない酷い有様でしたね…。
流石に繰り返しすぎなので、そろそろ反省とか言葉ではなく行動で示してほしいですね。
やれば出来る選手達なので。
オーデガードとスミスロウはホントロマンがありますよね〜。
いつかスタートで見たいです
今回はずいぶんハイテンションで笑ってしまいました。
まぁあの試合の後なら確かに。
4-3-3になった瞬間は、私も思わずツイートしてしまいまして。
オーデガード獲得できないのなら、もっかいアワールにトライして欲しいと思うくらい夢のあるフォーメーションでした。
でも私もやはり勝って欲しかった。
レディングの記憶が脳裏にあるのでどうしてもラストまで期待しちゃいますね。コレもアーセナル脳。
前半の30分間、全ての局面・全てのクロスでマークを外してた。
あれでたった3失点で済んだのは幸運だったと思う。
後半を認めてやりたい気持ちはあるけど、ここまでひどい前半の後で何をやってもチームの強さとは何の関係もないと思う。
レンタルの選手に頼り切ってかろうじて1ポイント取った。それ以上の評価はできない。
先日カスヤヒデキ氏がやけに上機嫌でアーセナルを持ち上げてたのは、そのせいだと僕は確信してる。
この試合を見て、このチームがELであと3チームを倒すだろうとか、リーグ戦の残りを全勝して5位に滑り込むだろうとか、誰か思っただろうか?僕は全く思わなかった。少しも。
賞賛されている選手が良い部分があったのは勿論なんですが、個人的には前半悪かった原因もその良かった選手がしかるべき仕事をしてなかった部分も結構大きいように感じました。まぁ要因の一つかな程度ですが。
1失点目のチェンバースのフラフラした中途半端な対応で躱されたところから始まっているし、
攻撃での停滞もオーデガードやラカが相手の中央の部分で受けられなかったのも要因の一つだと思います。
オーデガードはポジショニング自体が最初良くなかったかと。ラカは前半から意識していたけどオーデガードのポジショニングの関係もあるけど相手に対応されて機能していなかった。避けさせられて主導権争いに負けた感じとも。
後半は相手のペースが落ちたのもあるし、避けてた中央の狭いスペースにボールを入れたときに相手のプレスが正直かなり弱まっていたのも大きいかと。
ケガ明けなので仕方ないかもしれないですがチェンバースは守備も不安定な場面は結構あったかと。
攻撃では前もコメントしましたがボールを持つといいパスを出すことはあるけどポジショニングがまだまだかなと。
良いポジションに行くまでにかなりの時間がかかるというか。
失点部分はまぁ悪い時間帯があるのは仕方ないでしょうけど自滅的なのは何とかして欲しいですね。
批判的なこと書きましたが良かった時間帯のオーデガードは良かったと思いますしペペが右足を改善してきていて使ってきているのはポジティブに思いました。シュートはちょっと残念だったかもですがクロスは良かった。シンプルな繋ぎもしていたし。