試合のかんそう
チェルシー vs アーセナルのトーキングポインツ。
きれいなアーセナル。ポテンシャル
今シーズンのアーセナルはずっと一貫性のなさが問題になっていて、それはつまりいいときと悪いときを交互に繰り返しているということであり、なかなかいいときがつづかないということ。
そういう意味で今回はあきらかに「いいときのアーセナル」だった。きれいなアーセナルだった。こういうパフォーマンスを毎回していれば今シーズンだって目標は達成できたはず。
今回は結果が出たのはすばらしいが、なにより内容だ。
中立のファンが観たら、チェルシーが攻めつづけてアーセナルが守るだけの、ただの一方的な試合にしか観えなかったかもしれないが、最近のアーセナルを観ていれば、この日のパフォーマンスは全然違っていたことに気づいただろう。
この日は試合が始まってすぐからずっとよかった。おれのメモには5分でもう「ええやん」て書いてある。そして、ロウブロックすぎてボールを奪っても攻撃できなくなる30分くらいまで、ずっとええやんだった。理由はわからないが、とにかく自信や勇気を感じた。
ハイプレッシングを積極的にやり、守備もまとまりがあり強固。バックからのプレイも復活させていた。とくに33分あたりのGKからビルドアップは、以前のアルテタが来てから観られたパターン化されたビルドアップを彷彿とさせるようないいものだった。カウンターでは、シュートまで結びつかなかったものの、何度か印象的なチャンスもあった。ESRが効いていた。
チェルシーのジョルジーニョがあわやオウンゴールかというバックパスをしたところからアーセナルの唯一の得点は生まれているが、あれもハイプレッシングがなければなかったゴールだ。
こういった積極的なマインドのプレイは、なんだかとても久しぶりのように感じる。
90分を通しては終始守勢ではあったが、弱気はいっさい見えなかった。相手にボールを持たれても落ち着いた様子で、チームで冷静に対応できていた。マリやガビに致命傷になりそうなパスミスもあったが、それもロングボールに逃げなかったから起きたこと。いまのチームなら、そのことを高く評価せねばならない。
この試合の勝利は、チェルシーのふたつの大きなミス(ハヴァーツが1 v 1を外すというショットミスとジョルジーニョのパスミス)から得たもので、もしそれがなければ、アーセナルが結果を得られていなかったことも十分想像できる。だが、繰り返すが、ここで重要なことはSBで10年ぶりに勝ったという結果よりも、このポジティヴアティチュードでパフォームできたことだろうと思う。
アーセナルは、選手クオリティが足りていないとか、バランスが悪いとか、いろいろな問題があるのはたしかだが、それでもこうして現状のチームでも、CLファイナルにまでたどり着くような強いチームを相手に恥ずかしくない試合ができる。
アーセナルはこのパフォーマンスを基準にしなければならない。
それにしても、どうしてこの試合でアティチュードやメンタリティが改善されたのか。考えるに、やはりプレッシャー理由だろうか。アーセナルはもうシーズンは消化試合でありたしかに勝負に対するプレッシャーはなかった。
逆にいえば、プレッシャー理由で毎回高いレヴェルでパフォームできない。そこが大問題。
やはり彼らに必要なのは催眠術だろうか(いつもの結論)。
チェルシーのほうがアーセナルだった
プレヴューエントリで書いたように、アーセナルと彼らの違いは何かを興味深く観ていた。
さすがに大金で集めた優秀な選手が揃っていて、かつチームとしてもインフォームということで、彼らはかなり強かったと思う。
アーセナルとの一番の違いはどこだったかと思うに、やはり攻撃のバリエイション。
今シーズンのアーセナルの攻撃は、ワイドをオーヴァーロードしてクロス、あるいはボックス際で深く侵入してからのカットバック。おもにはこの2パターン(1パターン?)しかない。そう云われたりしているが、あながち間違いでもなさそうに思う。
そして、クロスの数に対してこれらの成功する確率はさほど高くない。ボックス内に人数がいないのにシンプルなクロスを放り込んだり、高さ・強さで勝負するようなフォワードもいない。そもそもクロスを多用する戦法に向いたセットアップではないという矛盾がある。それがアルテタが有効だと信じた戦術だったのだから(選手たちが勝手にやっているはずがない)残念すぎた。
一方のチェルシーは、ボールを持って相手をゴール前に押し込んだとき、アーセナルと違ってなかなか単純なクロスボールは上げなかった。辛抱強くブロックの穴を探った。
完全に陣形が整った守備に対し、ワイドからショートパスの連携で相手を崩しボックスに侵入していくか、あるいは、ゴール前のかなり狭小なスペイスにいる味方にひとまずボールを預け、そこから展開する。彼らにはポケットでプレイできる選手が何人もいる。ドリブルもやっかいだ。あんな攻撃をつづけられていれば、いつかはペナルティを取られてしまうだろう。
アーセナルはゴール前に人数を割いて、なかなかスペイスを与えず、チェルシーに攻めあぐねさせていたが、それでも何度かは完全にブロックを崩したというシーンがあった(22分とか)。いかにもロウブロックの攻め方を知っているという攻撃だと感じた。いまのアーセナルにあんな攻撃はまったく期待できない。
そのような攻撃を長時間受けながらアーセナルが失点しなかったのは、アルテタも云うようにラッキーもあっただろう。
長い時間がたち、アーセナルがどんどんチームプレイを劣化させていき、いつのまにかライヴァルチームのほうがよほどアーセナルらしいフットボールをやっていた。そんなふうに感じた。ああいうショートパスの連携と素早さは長らくアーセナルのトレイドマークだった。
トーマス・トゥクルについては、90分みてもどのへんが彼らしいのかは、ぼくにはよくわからなかった。
その他試合について
- 個人的MOTMはESR(※Skyはエルネニー、BBCはKT)。得点がなくても彼を選びたい。攻守にハードワーク。とくにカウンターのときの貢献度は高かった。チアゴ・シルヴァの股を抜いたドリブルはみごと。最後はピッチに座り込んでしまうほど消耗していたのが彼のハードワークっぷりを物語っていた。彼はどんどんどんどん成長する
- オバメヤンは交代に不満げ
- パーティ活躍
- パーティとエルネニーのCMコンビがやはり安定しているという説
- ぺぺもマルティネリも出番なし。やはりコントロールフリークのアルテタはこのふたりはあまり信頼していないのか
- ベンチにRBが3人。信頼されてないのか
- ジルーのようなオプションがチームにほしい。彼が出てくるとそれまでと違うプレイができるようになる
- ケパは味方にゴールを脅かされている(笑い)
試合については以上
私にはビルドアップはあまりできているようには見えませんでしたね。
プレスかけられてボール捨ててるシーンが何度も散見されましたし。。
まぁ無理してミスされるよりは良いですが。
ただ、後ろの人数増やしてエルネニーが居れば逃げるパス回しはけっこうできるんですよね、
押し込まれたときのエルネニーには光るものがある。笑
今回の結果は嬉しいのですが、アルテタにとっては悩ましいところもあるんじゃないかとも思っています。
アルテタがやりたいサッカーをやろうとすると結果がでず、
今回のように(FA杯の頃のように)割り切った戦い方をすれば結果がでる。
もうちょっと自分がやりたいことに拘るところと、結果に重きを置くところを使い分けて欲しいとか思います。
まぁファン目線の勝手な言い草ですが。
今季の結果はともかく、来季に向け選手のモチベーションが上がるように上手く手綱を取って欲しいです。COYG!
アルテタのメディアへの怒りの件ですが、この一連のツイートを読む限り、アルテタへの質問の前半がオミットされたことにより意図してない捉え方をされてしまったように見えます。
https://twitter.com/arseblog/status/1392770090022670340?s=21
オーバにスペースを与えたこと、チームとして意思が明確(ボールを持たせる)だったこと、が一番かと思いました。まあ、マリよりもルイスのほうが効果的だったかもしれないなあ、というのと、交代はなぜセドリック右で左にサカを回さないのか、ESRを最後まで引っ張りすぎではないか(これはベジェリンのケガで仕方ないのかもしれないけど)、などありますが、プランBで蟻の一刺し、をもって結果がでるというのはベンゲル時代ではなかった(華麗なる玉砕)ので、わたしはこれはこれで宜しいかと思います。たとえFAカップのためにローテーションをしたとしても、スタンフォードブリッジのCLファイナリストは伊達ではない。本当、EL準決勝はなんだったんだ(コンディション不良とフォーメーションじゃないの?)との思いを強くする次第。多分、オーバを活かす、のと、ペペが活きる、のが両立しないからではないかと。状態がよければ、ラカ、ESR、サカ、ガビが一番いまはよさそう。あと、DFもっとヘッダーで得点力発揮しないと。とりあえず終盤5連勝で本年は終えるということで。COYG
質問です。
ジョルジーニョのバックパスを、ケパが必死にクリアした場面ですが、
カードが出ませんでしたが。得点したからでしょうか?
ハンドだし、ある意味、決定機だったので。
決して審判批判とかではありません。ルールに疎いので、どなたかご教授を。
ミスキックの場合、GKのハンドはほぼ取られ無いですね。ESRのシュートが枠を外れたとしても、カードは無かったのでは無いかと思います。
ありがとうございました。
それにしても、ケパのクリアのスピードは、敵ながら凄かったですね。(^_^;)