hotいま読まれているエントリ

Arsenal, Arteta, EPL, Match

【マッチレビュー】21/22EPL アーセナル vs クリスタル・パレス(18/Oct/2021)エラーで2失点。なんとか1ポイント

試合の論点

アーセナル vs クリスタル・パレスのトーキングポインツ。

期待はずれのパフォーマンス。問題はどこにあるのか

2週間ぶりのフットボールで、ほんとうにワクワクしながら待っていたのにこの仕打ちとは。がっくり。どちてなの?

すごく自信マンマンに見えた試合の始まりはよかった。オバメヤンがリードするハイプレッシングも効いていて、ショートカウンターのチャンスも何度かあった。

7分という早い時間にゴールできたことも。またしてもオバメヤンのゴールにぺぺの隠れアシスト(ぺぺのショットをGKがはじいたところを押し込んだ)というのも、得点パターンができているようでとてもよい傾向だと思う。

そして、ゴールをしたら意気揚々で、当然ホームチームがそこからさらにプッシュしていくのかと思いきや、アグレッシヴな攻撃マインドは徐々におとろえていき……

アーセナルのインテンスなハイプレッシングがもったのは、せいぜい20分程度か。そこからは、逆にボールを持たれるようになり、プレッシングの勢いも徐々に減退、高い位置でボールを奪えずどんどん下がっていき、いざボールを持っても前進させるのに苦労するという悪循環。引いた相手に対する攻撃もワンパターンで意外性なし。いまのアーセナルあるあるな感じ。

上のアタッキングモメンタムを観ると、アーセナルは序盤にゴールしてもうギアを落とし、そこからは後半15分程度までほぼパレスの時間。

結局、前半のポゼッションはパレスの57%。アーセナルはほとんどベストに近い11人がいて、それでいてホームでパレスにボール保持(試合の支配)で負けた。この事実を喜ぶファンはいまい。

アルテタはあきらかにボールを持って試合の主導権を握りたいタイプなのに、この試合に限らず今シーズンのアーセナルはボールポゼッションではとくに秀でていないことは深刻に思える(※現時点で平均ポゼッション46.3%はリーグ14位)。

この試合のがっかりパフォーマンスは何が問題だったかと理由をあらためて考えるに、いくつかのことが想起された。それは、フォーメイションとシステム、アグレッション、あとはアルテタの下でのチームの精神面のこと。

フォーメイションとシステムについては、今回パーティのパートナーにオーデガードを選んで(あるいはパーティの単独アンカー)、前にはぺぺを入れたこと。それがこれまでとの違いだった。ジャカがいれば当然ジャカがそこにいたのだろうが、ケガで離脱しているのでしかたがない。パーティをアンカーにした4-1-4-1については、PLバーンリーで一度同じことをやっていて、そのときも大した手応えはなかったように見えたものだが、アルテタは再度試した。

ここについてはいずれ書きたいことがあるので、あまり詳細には触れないが、現状のセレクションでこのフォーメイション/システムは実際あまりうまくいっているようには見えず、改善の余地がかなりあると思える。オーデガード個人のパフォーマンスが落ちている影響もあるかもしれない。いずれにせよ、1月までジャカはいないというので(さらに1月はパーティもいない)MFの最適な組み合わせを見つけることは、チームプレイを進歩させるうえでアルテタにとって急務になる。

それと、アグレッションについては、マッチスタッツのところでもタックルやジュエルに触れたように、ここしばらくの試合では、フィジカルな勝負で勝てていないことがアーセナルにとって大きな問題になっているように思える。この試合のパレスはそこまでハイプレスではなかったと思うが、局面での当たりは強く、序盤以降は陸上でも空中でもジュエルに勝ちまくっていた。局面でボールをキープできなければ、苦しくなるのは当然だ。

そもそもアーセナルは、アルテタ以前からPLクラブのフィジカルな激しいプレイにはずっと苦しまされてきたチームだろうが、テクニックやプレイのクオリティでそういった相手を上回っていたことで、優位性を保てていた。が、昨今のPLのミッドテイボークラブスは、フィジカルなうえに戦術的にオーガナイズされ、クオリティの高い個人もいて、単純に競争力が上がっている。プレイクオリティの落ちているアーセナルは相対的に違いをつくれなくなっているように感じる。それが2年連続8位フィニッシュの現実であり、今シーズン8試合消化して12位の現実。

トミヤスやガブリエルのような選手がいまのチームにばっちりハマったのは、そういった状況があったからでもあるはず。だが、今回のような試合を観るに、アーセナルにはまだまだピッチ上のフィジカルプレゼンスが足りていないし、チームとしてのアグレッシヴなプレイをしようという考えも足りていないように思える。本来、プレスやタックルでリーグワーストのようなポジションが問題ないわけがない。今回は、そのことがまたしても露呈した試合のように感じた。いまのままじゃダメだろう。

ちなみにSky SportsのMOTMだったパレスのギャラガーは、2点めのきっかけとなるタックルも彼だし、守備でもかなりアグレッシヴだった。クリエイターでありながら泥臭い仕事もいとわない。ESRは彼のような選手を見習う必要がありそうだ。

最後に、精神面について。

アルテタは、リードしてからのチームの消極性、ボールを持ったときの自信と落ち着きのなさ、本来のレヴェルを下回るパフォーマンについて述べていた。

彼はこの試合で起きたことをもちろんちゃんと理解している。だが、どうしてそうなったのかがたぶんわからない。だから、改善できず、似たようなことを繰り返してしまう。

いまのアーセナルは選手個人やスクワッドのクオリティは、PLのなかでも高いレヴェルにあるだろうと思う。トップ4には入っていなくてもトップ6くらいにはなんとか入っているといえるくらいには。少なくも平均よりは上のはず。近年は才能ある選手の獲得にしっかり金を使っているし、いまこれだけの有望な個人が揃っている。

ところが、集団としてのアーセナルはそれこそボトムチームかというくらい、凡庸なレヴェルにとどまってしまっている。とくに攻撃ではプレイスピードが遅く、意外性もなしで相手の脅威になれない。これはチームワークの問題であり、マネジャーの問題そのものだ。グレアム・ポッターもパトリック・ヴィエラもアルテタがアーセナルをワークさせるよりは、よほど上手にチームをワークさせているように見えた。

この試合でいちばん問題だと感じたのは、チームとしての精神面だ。たった1点リードしたくらいで、攻撃に消極的になってしまうなど、まるでウナイ・エメリのアーセナルみたいである。

アルテタが試合後コメントで何度もボールを持ったときの落ち着きについて言及していたように、どうにも選手たちに心の余裕がない。自信がない。アウェイならまだしも、ホームでだ。

この試合でもたしかにプレスはきつかったが、リラックスしているときのアーセナルなら、あるいは勝っている試合のなかでなら、さほど問題にもならなかったはず。むしろ本来は、相手のそういう反発を逆手に取って利用するくらいの余裕はほしい。そうしたアーセナルの姿はもうしばらく観ていないような気もするが……。この試合では逆転したパレスのほうにそうした心の余裕が観られたほど。

このチームは、あいかわらず自分たちがやっていることに確信を持てないでいる。観ていてそんなふうに思った。

CMふたりの個人エラー。正しいMFのセットアップ

今回の失点ふたつは、データ上は、どちらもパーティとロコンガのふたりのセントラルMFのエラー(Errors leading to goal)とカウントされているようだ。

どちらもタックルで強引にボールを奪われたところからショット&失点につながっていて、ゴールからの距離こそだいぶ違うが、似たエラーだったといえる。

ひとつの試合で個人エラーで2失点なんてふつうはあまりないことだろう。

FBrefによるとアーセナルは今シーズンここまでで、「ショットにつながったエラー」がリーグワーストということ。その数、リーズと同じく「6」。ランク3位以下の数が3以下なので、突出して多いことになる。

まあ、それはともかく、今回のことであらためてフォーカスされているのが、パーティのCDM適性。

ロコンガは単純にまだPLに適応ができていないし、選手として成長中ということもあり、システム云々というよりは個人の問題のほうが大きいだろうから、とりあえずそれはいいとして。パーティはすでに完成された選手であり、キャリアのなかではピークの年齢でもあるため、やはり彼はシングルピヴォット(単独アンカー)が向いていないのではないかという議論が再燃しているところがある。

彼がアーセナルに来てから、ミドフィールドで孤立して苦しむのを観るのはこれが初めてではない。いくらプレス耐性があるといっても、今回のように周囲を囲まれていると、100%奪われないことはちょっと難しいだろう。むしろ彼自身はボール保持に自信があるだけに、危険な場所でやらかす可能性もけっこう高い。

試合後に、今回の試合を決めたキーポインツのひとつはミドフィールドだったという意見も散見されたように、4-2-3-1ならパーティにはふさわしいパートナーが必要論も再燃しているし、あるいは4-3-3(4-1-4-1)なら、彼はアンカーではなくNo.8/6で使うべきで、やはりアンカーでプレイできるNo.6が別に必要という意見もよく見る。

アルテタは試合後に、あれは個人の問題ではなく集団の問題だと述べていたが、そのとおりに思える。

ケガする前はいいパフォーマンスをしていたので、今回「ジャカがいれば」のような声もあるが、おそらくいまのセットアップやプレイのやり方なら、この試合にジャカがいても同じことが起きていたんじゃないか。今回はそれがパーティとロコンガだったというだけで。ジャカがLCBとして90分プレイするならやらかす機会は減るが、今シーズンのアルテタは彼をもっと前で使おうとしている。むしろ今回のエラーはどちらもいかにもジャカがやらかしそうなもので、ファンのあいだで無駄ないさかいを起こさないためにも、彼じゃなくてよかったと心底思う。

アーセナルのMFの組み合わせ問題については、先日にredditでとても興味深い議論があったので、つぎの試合までに書けるようなら何か書こう。

マイク・ディーンの判定

ひさびさにマイク・ディーンな試合だった。

ああ、これがマイク・ディーンだったなと、とても大切なサムシングを思い出させてくれるような。

あれをファウル取らなかったのに、そっちを取るの!?みたいなのがあちこちに。ある種の懐かしさ。

この試合はとくにアーセナルに不利な判定が多かったように感じたが、なかでもこれだよなあ。サカの軸足を後ろから思いっきりいった。

マイク・ディーン以前に、アレは蹴った彼はどういうつもりだったんだろ。故意じゃなくて、ああいうのは思わずやってしまうものなのか。

軸足に後ろからキックって、ふつうに危ない。しかもリプレイをよく観ると笛なったあとだし。

サカはこれでプレイがつづけられなかったというのだから、相手チームに直接損害を与えているわけで、これはさすがに許せないな。

その他試合について

  • オバメヤンのワークレイトはすごかった。だがハイプレスはひとりでは成立しない
  • つぎのアストン・ヴィラではラカゼットを使ってほしいという声多数
  • バメやんとラカのコンビ珍しくよかった
  • トミヤスがスロウインにやけに時間をかけていて、受けるほうに動きの工夫もあって、それを改善しようという意図を感じた
  • 今シーズンのKTは心配だったから、あのショットが入っていればなあ
  • オバメヤンのゴールのプリアシストがトミヤス。KTがちゃんと彼をねぎらってた
  • ラムズデイルFC(セイヴ4)
  • マルティネリはスタートから観たい
  • エドワールは取ったほうがよかったかも
  • パーティがゴールに近づいている!
  • 5試合無敗!

試合については以上。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

9 Comments on “【マッチレビュー】21/22EPL アーセナル vs クリスタル・パレス(18/Oct/2021)エラーで2失点。なんとか1ポイント

  1. こんばんは。
    何だか今回もやれやれな試合で、NLDのトキメキを返してほしいくらいです。このモヤモヤが晴れるゲームを見られるのはいつになるのか…そしてサカを蹴って交代に追い込んだパレスの輩とあれをイエローにするディーンの2人のサイコパス。いいかげんにしてもらいたいもんです。サカが無事でありますように。

  2. かなり早い時間のファインゴールだったんで、これは何点とってくれるんだろう、って思いましたよね、それが…
    いい選手はかなりいると思います。
    それでも勝てないのは…
    トミヤスしか見てない解説にもうんざり。
    ザハのいないパレスにホームでこんなにやられるなんて、ちょっともうやばいですね。
    ブライトンとかブレントフォード、リーズのほうがアーセナルよりいいフットボールをするなんて、許されるべきではない。いい監督にめぐまれた彼らがうらやましい。

  3. いつも長文失礼します。

    サカのポジションはぺぺもそうなのですが、スミス郎と入れ替えても良いのではないかと思います。右はぺぺがはって、サカが中、左はティアニーがはって、スミス郎が中、ウーデゴールは下でビルドアッパーに、みたいな。今回、特に左の人選は誰がはって、誰が中をとるかを臨機応変にできるようにアルテタはおそらく考えたと思うのですが、シティやリヴァプールみたいに。でも、それってペップやクロップが数年基本をやらせたから選手たちが自ずとできるようになったのであって、アルテタにはまだ早い。チェルシーでさえまだ、誰がはって、誰が中をとるかということはかなり固定されているように見えます。臨機応変と単に無策なのは紙一重。アルテタには、一度シンプルに立ち戻って、選手の役割をもっと限定してほしいです。ウーデゴールのフォームが安定しないのは、彼の請け負ったタスクが曖昧になっていることも関係している気がします。

    ぺぺはいつも結果的に点には絡んだけど…
    無駄に中に入ってきたり、はっても位置が高すぎたりして、そのせいでスミス郎やウーデゴールがとるべきポジションが取れていない。ラスト追い上げの際、ぺぺが内で、スミス郎が外という位置どりになっていて、おいおいという感じでした。

    これらの問題や、ロコンガの攻守における位置どりの悪さ、ビルドアップ時キーパー含めボールを蹴りすぎてしまうことなどは数試合解決されずに放置されているのが見ていてつらい。毎試合ツッコミどころが同じで張り合いがないです。

    ラカゼットはスタメン、契約延長すべき、というのも何度目か。

  4. 結局NLDのパフォーマンスが特別で、それ以外が平均値なんでしょうな
    問題は変わってないのに2年程それをクリア出来ない
    これで危機感を持たないオーナーなので先は暗い

  5. お疲れ様です。
    午前4時開始の試合って、こんな感じの凡戦が多い印象があります。
    ダメージが大きいです。
    CLに戻れれば、こんな月曜日の日程、減るんですがね・・・

  6. お疲れ様です。
    ウナイエメリのアーセナルは全く同じこと思いました。一点取ったら露骨にボールを渡してカウンター狙い。
    意図的なのか違うのか分かりませんが、なぜNLDで見せたようなプレッシングをやらないのか。
    試合数が多い上位クラブがこちら以上のインテンシティを見せているのを見ると悲しくなってくる。

  7. やりたいことはわかるんだけど、、
    左サイドはシティっぽいポジション入れ替えながらやろうとしてたり(ティアニーは攻撃面ほんと器用だなあ)
    右サイドは冨安ロールに改めてチャレンジして一応は得点に繋がったり、、、
    だけど、うーん中途半端。。
    やり方試行錯誤してる間に対戦相手はプレスしっかり定めてきてるわけで、、
    ヴィエラ監督ってなかなか優秀なんですね。
    失礼ながら今まで監督したチームまともに見たことなかったので、、
    チームのwell disciplinedっぷり見事でした。
    ザハいなくてもベンテケさんエドゥアールくんで起点作られてたし。

    この調子はまずいなぁーー
    サカの軽症を祈ります。
    (アレって遡及調査、追加処罰になるような単なる暴力行為じゃないのかな、、、)

  8. 全くアグリー。
    初めてアルテタに危機感を覚えました。

    特に前半途中〜後半15分に掛けてくらいは、絶対chan氏は「どちて?」ってブログ書くだろうな〜と思いながら観てました。

    しかし、マッカーサーのアレはどういうつもりなのか、、、理解不能です。
    初めて選手個人に憎しみに近い感情が生まれ、不快な気持ちに。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *