雑感
なかなか興味深い。やっぱり、アルテタのアーセナルは以前からだいぶ変わっているのだよね。
この筆者は、アルテタが選手の自然なフロウに任せるよう厳格なやりかたをすこし緩めたのは、2020-21からだと述べているが、おそらくそれはESRを抜擢したときのことを云っているんじゃないかと思う。あそこから、アーセナルは、はっきり10番のいるフットボールになった。それまでアルテタがNo.10システムを使っても、あんまりそれっぽくなかったのは、そのポジションでプレイしていたウィリアンやラカゼットがESRやオーデガードほど自由に10ぽくプレイしなかったからだろうか。
No.10のフットボールというのは、つまり戦術的自由であり、なにをやるかわからない意外性が含まれるということ。戦術の厳格さゆえに予測可能性がつねに課題だったアルテタのチームには、自由はもっとも必要なものだった。あれから、アーセナルのフットボールはすっかり楽しくなったと思う。
それ以降は、もちろんオーデガードがチームに加わったことが大きい。ローンの成功によって、今年はアーセナルにパーマネント移籍。今シーズン序盤、チームにフィットするのに苦しんだ時期もあったものの、最近は水を得た魚のようになっている。彼が周囲の選手をよくするし、周囲もまた彼が活躍するのを助けている。チームがユニットになってきた。
そしてラカゼット。今シーズンが終わったあとにシーズンレヴューをやるなら、オバメヤンOUTラカINは、シーズン中のターニングポイントとして振り返らざるを得まい。アーセナルでは、2大スターストライカーズのジレンマがようやく解消されて、ラカはチームの戦術ともばっちりハマった。彼はチャンスさえ決めてくれれば、もう云うことなしだったのだが。。
オバメヤンの退団は、珍しく全方向がハッピーになった移籍案件と云われているが、アーセナルのファンとしては彼には感謝しかない。バルサでの大活躍も素直にうれしい。それも彼の移籍以降、アーセナルがかなりうまくいっているおかげだ。
直近で最大の変化は、やはり4-3-3の3MF。
ジャカはアルテタの下でポジションを変えられてばかりで、もはや流浪の民(笑い)。しかし、なんだかんだ、新しいポジションが彼にいちばん合ってると毎度思えるのだから、すごいことだ。ジャカのポジションの変遷がアーセナルの進化とリンクしているみたいである。
それと、この記事のプレッシャーについての説明はなるほどと思ったところがある。
このブログでも試合プレヴューなどで、よく対戦相手のプレッシャーのスタッツを確認したりしている。そのときにアーセナルのスタッツも調べると、たいてい低い数字で、自分がアーセナルの試合を観ているかぎりではけっこうがんばっているように見えたのに……ということがわりとある。試合を観た自分の印象とデータが違う。これがいわゆるeye-testってやつなのかと。
でも、この記事を読んで合点がいった。
要するに、アルテタはプレッシャーでは闇雲に動かないで、もっと効率を求めているということなのだね。プレスに行くときと行かないときのメリハリをつけて、本気でプレスに行くときのインテンシティを確保している。量より質を求めた結果であると。その結果、ショットエンディングなハイターンオーヴァのようなスタットが優秀ということは、そのやりかたが成功しているということでもある。これは、さすがだ。
それほどタフでない相手のときも、試合中オウンサードに全員戻ってブロックをつくるというような守備がアルテタのアーセナルではよく観られる。あれでは、かんたんに失点してしまうのではないかとけっこうハラハラするし、もっと積極的にボールを奪いに行くべきなんじゃないかと思ったりもするが、それも重要な守備戦術のひとつということなのか。たしかに実際、あの守備のやりかたで非常に不味いというシーンはあまりみかけない。コーナーになっても失点しないし。
さて、4-3-3フォーメイションへのシフトについては、最近Squawkaがおもしろい動画をアップしていた。
100pts達成でタイトルを取った2017-18式マンシティの3MF(シルヴァ、フェルナンジーニョ、KDB)と、現在のアーセナルのMFsを比べ、ジャカのリプレイスメントとして(アーセナルのKDBとして)補強におすすめのMF候補をピックアップしている。
シティのMFトリオがアルテタの3MFの理想だとすると、そこへ至るにはまだまだ長い道がありそうでいて、オーデガードやパーティを観ていると、そこまで遠くないのかもと思ったりもする。そこに、3人めとして誰が加わるか次第かもしれない。ケミストリ。
この動画は最後のオチがなかなか気に入っている。
おわり
データはここまでの数字なんで、まだこれから良くなる部分もあれば、逆に上位チーム相手ではどうなるかまだ分からない部分もあると思う。
個人的に注目してるのはトッテナムで、盛大に取りこぼしてはいるものの、ガチガチに引いてカウンター「だけ」ならものすごく強いと思う。競り勝ったシティ戦を見たけど、ソンとケインの2人はあの展開になったら世界一と言ってもそんなに間違ってないと思う。
記事にもあるようにアルテタはオンオフをうまく使い分けて戦ってる感じはするし、その中にジャカのような偏った選手まで組み込んで独特のバランスを作ってるのも見事だと思う。ただトッテナムのように「ここだけなら世界一」みたいな相手に対してどうか?
ポイントや順位もそうだけど、トッテナムやマンUのようなPLの強豪と戦って勝ちきれるかどうかは、「本当にCLにふさわしいチームかどうか?」とほぼ同義だと思う。ベスト8くらいまでは普通に行けるチーム。やっぱりアーセナルはそうでないと。
各ポジションに自由を認めたというよりも、むしろタスクを絞り明確にしつつ、徐々にその幅を広げていったという言い方が正しい気がします。昨シーズンのラカゼットのトップ下がうまくいっていないように見えたのは、彼の責任でもトップ下の役割を制限したからでもなく、サイドハーフ、サイドバックの役割が曖昧で、かつ冨安のように臨機応変さにかける選手を使っていたからだと思います。無駄に上がって、前線でトップ下が動くスペースがなくなっていた。
戦術というのはいわば選手のなかでルールを共有するということで、今のアーセナルはそれが一番浸透しているように見えます。あと約束事1が反故になったときに、別のプランをすぐに練れる対応力のある選手をスタメンで使い続けていることも後半戦の躍進につながっていると思います。ぺぺ、ンケティア、ロコンガ、あと補強で出した選手を無理に使わなくなったことが大きい。
トップ4の最終的な結果はおいといたところで、チームの練度ととしては競っているチームのなかで今一番高いと思います。ユナイテッドは監督がバカで、ウェストハムこそが基本引いてカウンター。トッテナムはさすがコンテ、ベンタンクールなどがここまでの選手になるとはいうくらい、ちゃんと一芸だけではなく戦術を浸透させているけど、昨シーズンのアーセナルのように、バックがインテリなサッカーをやるには厳しいメンツが多いかなという感じ。
来季ユナイテッドがマシな監督に替え、トッテナムがコンテの希望する補強をきちんと出来てしまうという来シーズンのトップ4入りはさらに難しくなるのだから、是が非でも今季トップ4に入られなければ、長期プランが結構厳しいことになると思う。
新たなデ・ブライネと言われたらグーナーにとってはスミス・ロウ一択ですね
二人とも共通して股関節を痛めていましたがボールを強くこする感じのインサイドキックが原因なのでしょうかね? リバプールの右SBの人はいつも元気に見えるから関係ないのかな