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Arsenal, Arteta, Data, Tactics

最近のアーセナルはいかにして強くなっていったか

こんにちは。

ミケル・アルテタの40才インタヴューは、いまのチームの好調さに対する充実感があらわれた、とてもポジティヴな内容だった。「いまが人生のプライム」などと云えるタイミングは、困難な仕事であればあるほど、なかなかあるものではないだろうに。

それにしても、ファンを絶望のどん底に突き落とした今シーズン3連敗スタートから、われわれは現在の位置までよく来れたものである。それはほんとうに驚く。

いったいアルテタは、どうやってこのチームの競争力を高められたのか。それについて『The Analyst』が、データをまじえてとても興味深い記事をアップしていたので、今回はそれをシェアしたい。

Project Arteta: How Arsenal Went From Bottom of the League to Top-Four Favourites

「プロジェクト・アルテタ:アーセナルはいかにしてリーグボトムからトップ4の有力候補になったか」

おもしろそうでしょう?



“アーセナルはいかにしてリーグボトムからトップ4の有力候補になったか” by The Analyst

記事全訳はしない。箇条書きでまとめっぽくしよう。それほど長い記事ではないので、時間があれば元記事を読まれることをおすすめする。

アーセナルはトップ4に近づいている。

彼らの戦術アイデンティティはグアルディオラにかなり影響を受けているが、アルテタはそれに調整を加えている。ポゼッション中心でありながら、複雑なポジショナルコーチングがある。プレスではアグレッシヴさを抑え、縦へのカウンターアタッキングがいくらか強調されている。

メリハリの効いた守備

  • 理論的には、アーセナルは危険な場所でボールを奪い取ろうと、ピッチの高い位置でプレスをしたがるチーム。リヴァプールとマンシティだけが、アーセナル(1,647)よりファイナルサードでプレッシャーをやっている
  • またアーセナルは、ショットで終わったハイターンオーヴァ(40)がリーグで4位であり、これはリヴァプール、リーズ、セインツに次ぐ
  • それなのに驚くのは、アーセナルのPPDA(※passes per defensive action:値が大きいほど悪い)は下から11位で(13.9)、プレスシーケンス(358)はワースト5位ということ。プレスシーケンスとは、ディフェンシヴサードで始まったシーケンスの数であり、相手が3以下のパスで、シーケンスがオウンハーフで終わったもの。これは、ウォルヴズ、ニューカッスル、レスター、ノリッチよりちょっとだけいいというに過ぎない
  • これに対する説明は、つまりアーセナルはプレスを自分たちのやるときだけやるということ。マンシティスタイルのハードプレスというより、圧縮したシェイプを長い時間キープするほうを好む
  • このコンパクトなストラクチャは、なぜアーセナルの選手たちが集団として、このリーグのどのチームよりもドリブルパストが少ない(192)かの理由のひとつである
  • ソリッドでタイムリーな守備の壁があるが、プレッシングには常時ではないトリガーがある。それがアーセナルのチームプレッシング(628)のランク11位の真相。しかし、平均プレス時間(6.6秒)では1位であり、チームプレスのプレッシャー平均数はマンシティ、リヴァプールに次ぐ3位
  • これがアルテタの要約:がまん強いが、完璧に計算されている。エナジーを節約し、ときが来たらすべてをぶっこむ
  • 今シーズンのアーセナルでは、2017-18シーズン以来の13クリンシーツ、コーナーからゼロ失点。これはコーチングの証

ビルドアッププレイ

  • ビルドアッププレイもグアルディオラっぽいが、重要な違いがある
  • 「ダイレクト」スピードにおいては、アーセナルよりも遅いのはブライトンとマンシティだけ。アーセナルはボールの前進が1.23m/秒。
  • アーセナルはビルドアップアタック(78)が5位。ビルドアップアタックとは、10以上のパスを含むパスシーケンスがあり、自分のボックスから始まり相手ボックスでショットかタッチで終わること。全体のプレイに対し、計算されたポゼッションスタイルが浮き彫りになる

  •  チームシェイプのバランスを完全に取り戻してから攻撃をしかけるグアルディオラと違って、アルテタは、攻撃トランジションのアドヴァンテッジにもっとオープンだ。彼のチームは、シティよりももっとショットで終わったターンオーヴァが多い
  • また、彼らはカウンターアタックから5ゴールしていて、これより多いのはマンU、トッナムとレスターしかいない
  • 彼が師匠のアイディアから戦術的に柔軟になったのは、2020-21の時期から。アルテタがチームのプアなフォームにトライアル&エラーのアプローチをしていたとき。それはアルテタが自分の内なる声を聴いたときだった。彼は、選手たちがより自然なフロウを見せることにオープンになった。たとえそれがトレイニングでコーチしているポジショナルストラクチャと矛盾が生じたとしても
  • それでもまだ、バックからの遅いビルドアップをやることがほとんどではある。それはマーティン・オーデガードによるところが大きい。彼はトーマス・パーティやブカヨ・サカと、ピッチの中心で複雑なパッシングトライアングルをつくっている

中央からの攻撃

  • アーセナルの「絶対的幅」は、リーグで4番めに狭い(24.6m)。トップチームとしては例外的にナロウである。彼らより狭いのは、ニューカッスル、ブレントフォード、バーンリーしかいないが、彼らの場合はかなりダイレクトでしばしば支配される側なので、それは強いられたナロウ
  • アーセナルは、カギとなるクリエイティヴな選手を中央に集めることで、ラインを通す縦パスのオプションをたくさんもっている
  • そして、十分に選手間が近いため、素早い1-2パスが最近はよく観られるようになっている。それは、トーマス・パーティにディフェンスをスクリーニングし、つねに縦へのパスを狙うことを助けている
  • また、ベン・ホワイトの落ち着きや前向きなポゼッションが、かなり大きく影響している
  • 今シーズンのPLでアーセナルより多く(133)、相手ハーフでセントラルサードからチャンスをつくっているチームはない。これは彼らの全体の46.7%であり、リーグトップ。アルテタのワイドのクリエイティヴな選手は、しばしば自分の利き足でカットインし、オーデガードはNo.10として大きなクリエイティヴ力になっている

  • 今シーズンのアーセナルの中央からのチャンスクリエイションは、昨シーズンからのビッグシフト。昨シーズンの彼らは相手ハーフで中央からの攻撃はワースト2位だった(32.7%)

攻守に改善・ラカゼット・433

  • これらすべては、PL直近7試合で顕著に観られるようになっている。この期間アーセナルは6勝し、リヴァプールに敗けがひとつ。それすらもアルテタにとってはいい試合だった
  • この期間をそれまでのリーグ22試合と比べると、アーセナルは平均でオープンプレイパスシーケンス(12.2→14.7)、プレスシーケンス(12.9→14.9)、ハイターンオーヴァ(4.7→5.7)へと改善した
  • 心理的な要因はともかく、戦術的な変化では、PEオバメヤンとアレクサンドル・ラカゼットの交代があった
  • ラカゼットはよりハードワーキングストライカーであり、フォルス9で、ピッチ中央で鋭いパスに集中。驚くべきことではないが、ラカゼットのオープンプレイパス(22.5/p90)はオバメヤン(16.7/p90)よりかなり多い
  • その他の注目に値するシフトは、グアルディオラスタイルのふたりのフリー8がいる4-3-3をやるようになったこと。その8のひとりがグラニト・ジャカ
  • 過小評価された彼のプレッシャーのなかでのパス能力で、彼はクラブのあらたなメトロノームになっている。鈍足の守備問題も限定されている。ミドフィールドの底でボールを回すよりも、つねに動いているので、ジャカはさらされなくなった

その他

  • 最近の結果は、アーセナルの比較的ラクだったフィクスチャのおかげだという批評もある。そして、たしかに進歩の余地はある
  • たとえば、敗けているポジションからのポインツ(4)。アーセナルよりそれが少ないのはウォルヴズしかいない。つまり気持ちの弱さがまだ垣間見える
  • アーセナルは、ショットで終わったターンオーヴァを45も喫している。これはPLでワースト4位。ポゼッションでしばしばうっかりをやる。とくにバックでのやらかしは止めなければならない
  • しかし、これらは若いチームゆえの短期的な問題ということも考えられる(平均年齢24と317日)
  • またつぎの移籍ウィンドウでは改善されそう。ここはアルテタが、これまでほとんど失敗していないエリア
  • アーセナルにはCL出場から、タイトル候補になるというチャレンジがある。アルテタは、ファンの忍耐と信頼を勝ち取っている

以上

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

3 Comments on “最近のアーセナルはいかにして強くなっていったか

  1. データはここまでの数字なんで、まだこれから良くなる部分もあれば、逆に上位チーム相手ではどうなるかまだ分からない部分もあると思う。

    個人的に注目してるのはトッテナムで、盛大に取りこぼしてはいるものの、ガチガチに引いてカウンター「だけ」ならものすごく強いと思う。競り勝ったシティ戦を見たけど、ソンとケインの2人はあの展開になったら世界一と言ってもそんなに間違ってないと思う。

    記事にもあるようにアルテタはオンオフをうまく使い分けて戦ってる感じはするし、その中にジャカのような偏った選手まで組み込んで独特のバランスを作ってるのも見事だと思う。ただトッテナムのように「ここだけなら世界一」みたいな相手に対してどうか?

    ポイントや順位もそうだけど、トッテナムやマンUのようなPLの強豪と戦って勝ちきれるかどうかは、「本当にCLにふさわしいチームかどうか?」とほぼ同義だと思う。ベスト8くらいまでは普通に行けるチーム。やっぱりアーセナルはそうでないと。

  2.  各ポジションに自由を認めたというよりも、むしろタスクを絞り明確にしつつ、徐々にその幅を広げていったという言い方が正しい気がします。昨シーズンのラカゼットのトップ下がうまくいっていないように見えたのは、彼の責任でもトップ下の役割を制限したからでもなく、サイドハーフ、サイドバックの役割が曖昧で、かつ冨安のように臨機応変さにかける選手を使っていたからだと思います。無駄に上がって、前線でトップ下が動くスペースがなくなっていた。
     戦術というのはいわば選手のなかでルールを共有するということで、今のアーセナルはそれが一番浸透しているように見えます。あと約束事1が反故になったときに、別のプランをすぐに練れる対応力のある選手をスタメンで使い続けていることも後半戦の躍進につながっていると思います。ぺぺ、ンケティア、ロコンガ、あと補強で出した選手を無理に使わなくなったことが大きい。
     トップ4の最終的な結果はおいといたところで、チームの練度ととしては競っているチームのなかで今一番高いと思います。ユナイテッドは監督がバカで、ウェストハムこそが基本引いてカウンター。トッテナムはさすがコンテ、ベンタンクールなどがここまでの選手になるとはいうくらい、ちゃんと一芸だけではなく戦術を浸透させているけど、昨シーズンのアーセナルのように、バックがインテリなサッカーをやるには厳しいメンツが多いかなという感じ。
     来季ユナイテッドがマシな監督に替え、トッテナムがコンテの希望する補強をきちんと出来てしまうという来シーズンのトップ4入りはさらに難しくなるのだから、是が非でも今季トップ4に入られなければ、長期プランが結構厳しいことになると思う。
     

  3. 新たなデ・ブライネと言われたらグーナーにとってはスミス・ロウ一択ですね
    二人とも共通して股関節を痛めていましたがボールを強くこする感じのインサイドキックが原因なのでしょうかね? リバプールの右SBの人はいつも元気に見えるから関係ないのかな

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