先週のアタランタにつづき、CLのリーグフェイズ8試合のなかの2試合め。
アーセナルの対戦相手は、フランスのPSG@エミレーツ。名実ともにヨーロッパのトップチーム。ドロウでポット1から引いたチームであり、アーセナルにとってはリーグフェイズでも間違いなくもっともタフな相手のひとつ。ビッグテスト。
そしてアルテタにとってPSGは、かつて彼が初めて海外でプレイしたクラブであり、マネジャーとして初めて彼らと対戦するこの試合に、特別な思い入れがある。
アーセナルは、昨日の時点でしばらく離脱していた複数のケガ人がトレイニングに復帰したのが確認され、ポジティヴな雰囲気もあるが、彼らがこの試合で起用できる可能性は低い。
いっぽうのPSGも、現在はケガ人を多く抱えており、なかでもエースのOusmane Dembéléがロンドンへの遠征スクワッドに帯同しなかったことがニュースになっていた。
どんな試合になるか。
アルテタの試合前コメント「PSGはとてもよいテストになる」
昨日行われた試合前記者会見。今回の会見には、選手からはジュリティンが同席した。AFC公式サイトより。
(ケガ人について……)
アルテタ:とくにお知らせはない。今日の午後トレイニングセッションがあり、何人かの選手はそこで様子を見る。だが、全体的に、とくに誰かの復帰については、とくに話すことはない。
(今シーズン最初のCLホーム試合……)
楽しみにしている。われわれが体験したかった夜であり、信じられないようなチームとの対戦も望んでいる。それに準備をするだけ。
(今シーズンはいろいろなやりかたで結果を出せることを示している……)
いくつかまったく違うのがあったね! マンシティでは、後半まったく違うプレイを強いられることになったし、最後には2ポインツを失った。
そして(レスターでは)シティでわれわれがやったようなロウブロック相手にプレイするという、まったく違うことをやった。だが、試合を振り返っても、われわれの生み出したものの量を考えれば、わたしはチームにとても満足できる。
(ベン・ホワイトとリカルド・カラフィオーリはフィットしている? カラフィオーリはヒザを痛めて泣いていた……)
そのふたりはセレクションの対象には入る。今日観てみないと。われわれは、昨日はトレイニングセッションを行わなかったから。リカルドは試合後にちょっと感情的になっていた。彼は今日どうか観てみよう。
(選手としてのあなたのPSG時代……)
あれはわたしは初めてのプロの経験だった。あそこで過ごしたのは信じられないような時間だったし、どのときも愛した。いつもあのクラブには感謝しているし、Luis Fernandez(※当時のPSGマネジャー)にも感謝している。彼は、17-18才くらいのわたしを信じてくれたひとりだから。
わたしはそこでプロのフットボールをプレイし、そのときからそれが経験を共有するプラットフォームになった。クラブの大きさ、街、それはおそらくはヨーロッパでももっとも美しいものだろう。
それは、わたしが一生抱きつづける経験になった。チームメイツはわたしを助けてくれたし、自分が選手としてなりたい選手をかたちづくった。そして、将来いつかマネジャーになるんだとわたしのなかに火がついた。そこには、わたしのキャリアのなかでも、とても重要な個人も何人かいたよ。
(なぜそこにとどまらなかったので?……)
Ronaldinho、Anelka、Okocha、Pochettino、Gabriel Heinzeは、みな信じられないような選手たちだった。わたしもそこにいたかったけど、当時のわたしはまだバルセロナに所属していて、彼らと合意ができず、そしてわたしはべつの場所でやっていかねばならなかった。
わたしはそこでハッピーだったし、そこに残りたかった。しかし結局はそうならず。それもフットボールさ。
(PSGに戻りそうになったことはある?……)
一度ここに来たら、わたしのキャリアは進み始めて、それ以来何年もたってしまった。
(レスター戦のような勝利の勢いについて……)
それがキャラクターやチームの身体をかたちづくる。彼らには、どんな状況でも勝てるという確信があり、試合のどんな状況にも対応できる。
CLの要求があり、こういう種類の相手でも95分支配できるかのようなふりをすることもできるが、実際このレヴェルでそれは起きない。だから、フェイズごとにとてもうまくやらねばならない。試合に残り、快適にプレイし、試合に勝つ信念と意図をつねに持つことだ。
(エミレーツでのCLの夜……)
みんなが楽しみにしている。われわれは、それをもう何年も失ってきた。そして去年、われわれが何年もそれを経験してきた数年ぶりの復帰となった。
今シーズンのグループステイジはちょっと違っていて、明日の相手はおそらくはヨーロピアンフットボールで対戦できる最高レヴェル。だが正直、われわれにはよい機会だ。チームがいかにこうした夜に対応するかを観られるし、いかに準備し、いかに自分たちを出していけるかを観られる。
(あなたとLuis Enriqueとの関係……)
笑顔になってしまうね! わたしは彼にはとても大きな尊敬がある。信じられないようなパーソナリティであり、大きなキャラクター、エナジー。つねに若い選手たちに協力的だ。
彼についてわたしが大好きなところは、選手としてもマネジャーとしても彼のやってきたことだ。彼の足跡はいたるところにある。彼のチームでの選手たちの振る舞い、どう攻撃し、どう試合を支配するか、それを感じ取ることができる。
そこにはスピリットとエナジーがあり、彼がいたどのクラブでもこの信じがたいパワーがあった。スペイン代表でもそう。
そして、彼の人生、職業への取り組みかただ。これは非常に見るべきものがあり、わたしも彼からは多くを学んでいる。
(Enriqueから受けた影響……)
わたしは彼を尊敬している。彼は実直であり、自分の考えていることを相手の目を見て話す。結局、選手はそういうものを喜ぶんだ。彼らがそれを好むのは、それがどうなったにもよるだろうが、わたしにもナショナルチームで彼といっしょだった2-3人がいて、彼らもいつも同じことを云っていた。彼らはみな彼の下でのプレイを楽しんだ。
あの仕事で、誰かをそんな気持ちにさせられるなら、それは大きなクオリティなのだ。
(ティンバーとカラフィオーリがフルバックに新しいものをもたらしている……)
われわれはジュリアンを11ヶ月失っていて、リッキーはまだいなかった。彼らは、フットボール脳があるふたりだ。知性、クオリティ、攻撃でも守備でもいろいろなスペイスを支配できる適応力がある。
それがチームに異なるダイナミックをもたらし、相手守備に予測不可能性をもたらす。どちらもとても大きなパーソナリティもあるね。わたしはそれが大好きだ。
(フルバックたちがみんな違うクオリティを持っている?……)
彼らも共通して持っていなければいけないものがある。それは、まず守備を愛す必要があるということ。なぜなら、彼らはディフェンダーだから。そのあとに、加えるクオリティがある。それがグレイト。
それに、フルバックが自然な足でプレイすることも。とくにわれわれは、AMやWGが何度もインヴァート(※内側に入る)してプレイするとき、そのユニットのフロウのために、それが極めて重要である。見てもらえればわかるとおり。
(ティンバーのオフザピッチでのキャラクターについて……)
彼はリーダー。つねにこう考えている漢だ。「どうやってほかのみんなを助けよう?」。彼はここに来てからの時間でも、彼のやることすべてについて信じられないようなコミットメントをもたらしている。とくに、オフザピッチで過ごした長い時間もある。
誰に訊いても、彼のことを高く評価する。彼を尊敬している。彼を見る目が彼のパーソナリティを物語っている。
(ティンバーはゆっくりとチームに入れていくことになった……)
彼に自分の靴をはかせるためだ。彼はアヤックスから来て、そこではキャプテンだった。大きな移籍だ。違う国でもある。
彼は大きな期待を背負ってここにやってきて、とてもよいスタートをし、最初の試合でケガをした。そのあとどうなったか?
とにかく前を見なきゃならなかった…… 8ヶ月、9ヶ月、もしかしたら10-12ヶ月かも。それは難しい期間だ。そして、あれだけの期待から大きく外れてとても孤独でもありえた。とても失望したかもしれないし、個人的にも感情的にも対処が難しかったはず。
しかし、彼はまったく反対のことをやった。彼はフィジオやチームメイトたちと信じられないような関係を築き始めた。彼はチームがどのようにプレイしていたのかすべての情報を集めはじめ、どのミーティングにも顔を出した。それが、彼を人間的にも成長させることを助けたし、チームが望むことへの理解も助けた。いざ彼が復帰したときの準備になったのだ。
(あなたはPSGをどれほど高く評価している?……)
彼らはじつにタフだ。彼らは際立っているし、プレイのどのフェイズも支配する。ボールを持って試合をどう支配したいのか、かなりはっきりとした意図を持っている。そしてボールがないときは、すぐに取り戻そうとする。
彼らはそれに非常にアグレッシヴであり、相手に立ち向かう。
(この試合とEnriqueとの対戦はどれほど重要?……)
もちろん、アタランタでのドロウもあるので試合には勝ちたい。このあとの試合数も考えれば、この試合はとても重要になるだろう。明日のことはまだ何も決めていない。
Luisとわたしについては、お互いのクラブの健闘を願っている。彼はすでにキャリアのなかで想像できるすべてのコンペティションを勝ってきているし、彼はとても明快なアイデンティティを持ったクラブに変貌させる。これはわれわれ全員にとりとてもよいテストになる。
(カラフィオーリのどこに感心している?……)
彼の意志。初めて彼と電話で話したとき、彼はここに来たがっていた。彼はすぐにわれわれの要求を理解したし、彼もまた自分が完璧にそれにフィットすると感じた。
彼は、満面の笑みでここに到着したんだ。彼にはエナジーがあり、周囲にはオーラがある。とても好ましい人物だし、ファイターでもある。われわれがやりたいようなプレイをしたがる選手であり、チームのためにはなんでもやる。
そうしたクオリティがあるなら、成功しないわけにはいかないだろう。
(彼とは特別な関係がある?……)
すべての選手とある。われわれは、彼らと彼らの家族にできる限りの環境を与えようとしている。
彼も、彼がここに来てからのクラブとスタッフの努力に感謝していると思う。彼は楽しんでいるよ。
(PSGスクワッドにOusmane Dembeleが含まれない可能性……)
われわれもそのニュースは聞いたばかりだ。ほんとかどうかは知らないがね。われわれは、いつもやっているようにあらゆる可能性に備えて準備をするつもり。彼らにはほかにも多くのオプションもある。
(アーセナルはセットピースが有利になる?……)
どのチームにもそれぞれの強みと弱みがあると思うし、明日はわれわれも自分たちのそれを利用するつもりだ。
会見の後半。
- Life at PSG as an 18-year-old: It was for me and my family. Haven’t played professional football and you look at those names and say are you sure? I had to do all the defending because Ronaldinho and Okocha were in front of me. It was a dream. I was so blessed.
- Champions League debut: I was in the tunnel, there was Maldini, Pirlo etc and I was being thrown to the lions.
- Ronaldinho: We were room mates for a year and half: He was a huge talent, but he’s the only player who could transform two clubs by himself.
- Rooming with him?: Always fun, never a problem.
- How did being at PSG ignite your managerial want: Mauricio Pochettino and others, always guiding me and they were an inspiration.
- Is this squad ready to compete on all fronts: This is what we have to prove. We have to progress further in the cups.
- Bringing your experiences to the team: What do the boys need? Respect from their teammates. The manager has that responsibility to communicate.
- Gabriel: His role in the team, the way he was perceived, he didn’t have the environment or family. The way he’s proved how committed he is.
- Luis Enrique at Barcelona: He could play anywhere. He was extremely supportive of the young players.
- Was he an inspiration?: For sure. His teams are always specific with his thinking.
- Sleeping habits with Ronaldinho?: For me it was perfect.
- PSG: They’ve been close, they have the ability, the experience and the hunger.
ボスはロナウジーニョとルームメイツだったのか。。あいかわらず人脈やべえな。あらゆるところにアミーゴがいる。そういえば、ちょっと前にロナウジーニョがエミレーツに来ていたやつ。もしかしてミケルに会いに来ていたのかも?
今回も観に来るかもしれない。
ジュリアン・ティンバーの試合前コメント「(過密日程)危険なこと」
ミケルの会見に同席したティンバー。AFC公式サイトのトランスクリプトより。なお、試合前の恒例になっている宣教師TWには誰もツッコんでいないようだ。
JT:(長期離脱)それがチームに溶け込むのにかなり役立った。彼らのことをよく知ることができたし、ぼくのこともよく知ってもらうことができたから。
ぼくは、とにかくそこに関わっていたかった。遠くから彼らを眺めていても、彼らは素晴らしかったからその一員になりたかったんだ。いまは、そこにいられることにとても感謝している。
(メリーノ)彼はとてもよくやっている。彼にもグレイトなキャラクターがあるし、ぼくが去年やっていたみたいに、グループの近くにいようと同じことをやろうとしている。だから、ぼくが彼を助ける必要はあまりないんだ。彼は自分で完璧にやっているから。
彼がチームに戻ってくることが楽しみだよ。
(ストリートワイズ)ここでは多くの選手たちがビッグゲイムをプレイしてきた。もちろん、CLはちょっと違うけど、ぼくがほかの選手にビッグゲイムでのプレイや準備のしかたを伝える必要はないね。
当然ぼくらは勇敢にプレイする必要があるし、自分たちのプレイをする必要がある。
ぼくはPSGとは対戦したことはないが、彼らはとてもいいチーム。とてもよくコーチされているし、とてもたくさんのワールドクラスの選手たちがいる。ぼくらは、ただ準備をして自分たちのことに集中しなければならない。
ぼくはいまを楽しんでいる。去年はプレイできなかったから。
このほか、双子の兄弟(クエンティン・ティンバー)のことや、カラフィオーリのクオリティ、慣れないレフトバックでのプレイなど、なかなか興味深いやりとりが多い。
そのなかでも、メディアで注目されたのは、選手のウェルフェアについてのやりとり。もちろん彼は昨シーズンはいきなりの重症を負ったこともあり、少し前にシティのRodriが警告していた試合の過密日程について、彼も同意していた。
(過密なフィクスチャスケジュールについて?)彼には完全に同意する。これはいま、ドレッシングルームでも大きな話題になっている。シティだけでなくリヴァプールもそうだし、ぼくらもそう。
ぼくは昨シーズンはプレイしなかったから、いまはただプレイを楽しんでいるところ。ぼくから不平不満は聞けないだろうね。しかし、彼らが云っていることは完全に理解できる。
(選手は過密日程によって大怪我のリスクにさらされている?)そのとおり。正直に云って、これはもう危険だと思う。先週のぼくらはシティとプレイした2日後には試合をした。これはやりすぎだ。
(グアルディオラは選手主導のカレンダーにすべきと云い、アルテタは選手の声を聞くべきと述べた)それはとてもいいポイントだ。いま選手はそれについて話しているし、彼らの声は聞かれるべき。しかし、現時点ではそれが減りそうな気配はない。
ぼくらは、どの試合にもベストを尽くそうとしているが、こう試合が次から次へとやってくるとそれも難しくなる。とくにウィンターブレイクのないイングランドでは、とてもハードだ。
(CLの新フォーマットでさらに2試合追加の可能性)そこも違いになる。考えられる最高を目指してトップ8に入りたいが、そうできなければ、休息に関しては違いが出てくる。
Rodriコメントに関しては、先日ToTのSonもアツく語っている動画をなぜか見てしまった。みんなが自分たちの身の危険を訴えている。
試合が多すぎるという選手からの訴えは、いまに始まったことではないし、それでもCLの新フォーマットのように、ものごとは逆方面に動こうとしている。これに対しどういった解決ができるのか、フットボール世界のえらい人たちにちゃんと検討されているのか不安になる。選手が大怪我をしてからでは遅いのだから。……とRodriを失ったマンシティの皆さんはとくに思っているでしょうな。