ファースト11
SofaScoreより。
4-2-3-1
ジェズース
マルティネリ、オーデガード、サカ
パーティ、ジャカ
NT、ガブリエル、サリバ、セドリック
ターナー
前回のニュルンベルクより、さらにレギュラー成分が高まったスターティング11。
4-2-3-1表記だが、実質はいつものような、ジャカとMØのダブル8の4-3-3と思われる。
そしてついに、ウィリアム・サリバがスタート。
Arsenal fans after watching Saliba in a friendly pic.twitter.com/R203tlF7Yh
— Simpsons Arsenal (@SimpsonsArsenal) July 17, 2022
ウケるw
後半開始で6人入れ替えで3-5-2、残り20分で4人入れ替えて4-3-3に戻しで、ニュルンベルクとだいたい似たようなやりかたをしているので、フォーメイション変更なども含めて、サブはだいぶ意図的やっていた模様。
後半(70分~)のメンバーはこうか。
4-3-3
ネルソン、エンケティア、ぺぺ
サンビ・ロコンガ、エルネニー、AMN
ウォルターズ、マリー、ホールディング、ベレリン
ターナー
レウ・ウォルタース17才
またしてもアカデミーからレウ・ウォルタースが起用されている。
彼は非公開だったイプスウィッチ・タウンとのフレンドリーではRBでプレイしたそうで、これが今回のプリシーズンで3つめのポジションらしい(RB、RCB、LB)。LBでのプレイもじつに落ち着いていて、堂々としていた。
彼はまだ17才で、アーセナルとも今年プロ契約したばかり。彼より名前を知られているアカデミー選手などたくさんいるわけだが、ここで飛び級でファーストチームに関与していくんだろうか。
ファンのあいだでも、そこまで騒がれていないようだが、これはけっこうすごいことでは?
※今回AFCが中継した試合コメンタリが「レウ・ウォルタース」と呼んでいたので、このブログでもこのあとはレウと書くかもしれない。彼のtwitterアカウントもReuだし。
試合の論点
ジェズースがひきつづきチームにフィット
G1 A1。さらに印象づけた。シュートもうますぎである。
この試合は、エヴァトンの選手たちがあまり集中していないこともあり(ミス多すぎ。それでいてイライラして怒る。中学生か)アーセナルのよさが際立ったところもある。
とくに前半のアーセナルは、選手の意図が噛み合って非常にうまく攻撃できていた。
ジェズースはこれまでどおり、ラカゼットやエンケティアがやっていた9のタスクを担っているだろうが、アルテタが指摘しているように、彼はチャンスのときにかならずゴール近くにいて、それが相手にもかなり脅威になっていた。
ゴール前でゴール脅威になれるのはストライカーなら当然として、ワイドに流れたときにウィンガーとして戦える。1 v 1でも負けない。それが、オバメヤンとラカゼットをトップにおいていた時代との決定的な差に思える。彼らは、ゴール前からポジションが外れてしまえば脅威は半減だった。ジェズースはどこからでもチャンスをつくれるし、ゴールも狙える。
まるで、長所が限定された武器から、弾数も命中率もあるオールラウンドな武器に持ち替えたみたいだ。まさにアーセナルの新時代。
ジェズースがここまでいいと、彼がケガなどしてしまったらチームに与える影響がかなり大きいかもしれない。
ところで、試合やトレイニングだけでなく、選手のインタヴューや楽しんでいる様子など、USツアーの映像はアーセナルFCがせっせと公開しているが、「3人のガビ」のバラエティ企画がおもしろかった。全員名前がガブリエルでふだんどうしてんのかと。なかよし3人がキャッキャと盛り上がってる。
このなかで、ガビーがファーストネイムの発音について「ヘズース? ジェズース?」と訊かれて、「ジェズース」でと答えていた。英国人でも、たまに彼をヘスースと呼ぶひとがいたので、もしかしてそっちが正しいのかと思っていた。解決してよかったよかった。
早くもケガの懸念? トミヤスが心配
ケガといえば、今回アルテタからわりと衝撃的なコメントが。
- KT
- ホワイト
- ESR
- トミヤス
- ヴィエラ
みんなちいさいながら問題ありと。けっこう多くないか。。この試合のスクワッドが発表されたとき、ベンチにも入っていないレギュラー選手が多くて、つぎの試合に備えているだけなんて云われていたのに。
このなかでいちばん心配なのは、やっぱりトミヤス。
彼は昨シーズンも後半はほとんどずっとアウトで、シーズンが終わってもなおフィットしていない。アメリカキャンプに参加しても、チームといっしょにトレイニングもしていないようだ。
彼はシーズン中も一度セットバックしていて、その後クラブは彼の復帰にかなり慎重になっていると云われながら、それがいまだにここまで長引いているのはなにかよくない問題を感じさせる。
🤦♂️🤦♂️🤦♂️
“Well played Tomi…” 😭 pic.twitter.com/bkVqOMbZHZ
— Alex Taylor (@AlexTaylorAFC) July 17, 2022
「いや、おれプレイしてないけど……」にファンは大ウケだった。。
KTのLBはジンチェンコが加入しそうで、ひとまずは問題なさそうだし、ホワイト不在のRCBも、この試合でも安定していたサリバがプレイするなら心配なさそう。ロブホだっている。
ほかのケガ人がいるエリアと違ってRBが心配なのは、トミーのバックアップがセドリックだからだ。
基本的に、アルテタのセットアップでもFBは試合のなかでもっともタッチやパスが多いポジションで、なんなら攻撃はFB(RB)から始まる。チームのなかでそのような重要エリアを任せるのが、RBのレギュラーを競っているわけでもないセドリックとはあまりにもバランスが悪いように思える。彼はエルネニー同様、緊急時のバックアップとしては悪くない選手だが、いまのアーセナル基準でいえば、あくまでOKかせいぜいGOODのクオリティの選手であり、けしてレギュラースターター候補ではないだろう。
今後のトミヤスの状態によっては、RBの補強も真剣に検討する必要が出てくるんじゃないか。予算は無限ではないので優先順位はつけねばならないが、そもそも理想を云えば、RBもLBのようにトミヤスとポジションを競うレヴェルの選手がほしいところ。
ファビオ・ヴィエラは、代表試合でケガをしたそうで、ほかのケガ人と違って慢性的な要素はないらしい。それは朗報。
2ストライカーとバック3が新シーズンのオプションになるのか?
ニュルンベルク戦もこのエヴァトン戦も、後半開始からしばらくは「2ストライカー+バック3」でプレイしていたことが印象的だった。3-5-2でポゼッション時は2-3-5の可変システム。
エンケティアとジェズース、あるいは今回だとエンケティアとぺぺ。アルテタは、これまでもあまりやっていない2ストライカーを戦術オプションにしようとしているのかもしれない。試合スタートからだけでなく、当然状況に応じた試合中の変更も含めて。たしかにエンケティアとジェズースのコンビネイションは全然悪くない。ジェズースもニュルンベルクのあとには、2ストライカーでのプレイについて「やりかたが違う」と言及していた。
また、バック3はこれまでもやってきているが、いまのメンバーで全体がどうなるかを観ている部分もあるんだろうか。
今回は左のウィングバックをマルティネリが務めていた。彼は、これまでも試合中にスクランブル的な状況で何度かLWB(LB)を任されることもあったと思う。
サリバはマルセイユでもバック3でプレイしているし、どちらかといえばそれに慣れているということもある。
あるいは、もしかしたらRBのトミヤス問題もすこしくらいは関係しているかも? どうだろう。
バック3と2ストライカーは、シーズンが始まってからもどうなるか注意していよう。
アルテタは、昨シーズンの「逆転できない問題」を念頭に、試合中の攻撃へのバランスシフトについて考えているのかもしれない。試合の状況に応じて、もっともっと大きくバランスを変える必要があると。
アカデミー選手とファーストチームのデプス
今回プリシーズンUSツアーに、多くのアカデミーの選手が漏れていたことは不可解だった。ドイツキャンプに含まれていたパティーノやサラー・エディンも不在。彼らこそ、プリシーズンでアルテタにアピールしたかったろうに。
彼らのかわりに参加しているのは、シニアでもフィットネスのあやしい選手、あるいはマリー、ネルソン、ぺぺのようなこの夏の売却対象と思われるプラン外の選手たち。まあ、まだ本気オファーもなく、彼らの去就がどうなるか見えていないということなのかもしれないが(AMNは残るんじゃないかという噂も)、トレイラのような退団希望を隠していない選手までトレイニングキャンプに含めているのは、けっこう謎に思えたものだ。
で、アカデミーの選手たちはさぞかしがっかりしているだろうなと思っていたら、オマリ・ハッチンソンがさっそくチェルシーに移籍してしまった。
彼は、パティーノやフローレスと同年代か、あるいはつぎのプロスペクトであり、そのようなアーセナルのニュースター候補がチェルシーのようなクラブに去ったのは、わりと衝撃だった。よりによってチェルシーとは。
もちろん、その理由がUSツアーから漏れたからなんてことはないだろうが、彼の移籍の動機のひとつは、アーセナルのファーストチームで彼のポジションのデプスが厚くなってきたことがあるらしい。マルキーニョスとの契約が決定打になったとも。そんなことを云ったら、チェルシーだって大して状況は変わらない、あるいはもっと厳しいだろうに。だから、金のために移籍したなんて揶揄される。
まあ、優秀だからといってユース全員を引き止めておくことはできないので、こういうこともあるのは、ある程度しかたないとして、今度はマルセロ・フローレスのうわさがある。
彼はこのアーセナルのUSツアーのために、メキシコU20の招集を辞退していたとかで、にも関わらずそれに参加できないことに不満を持っていると。また、そんなタイミングでバルサ(※バルサB)行きのうわさも。バルサBのコーチに元メキシコ代表のラファエル・マルケスがあらたに就任するということで、そのコネクションで彼らがフローレスのことを狙っているらしい。
フローレスはすでに昨シーズンもアーセナルのファーストチームに招集されているし、アーセナルアカデミーのなかではつぎのシニア昇格の有力候補のひとりのはず。それが、ここで彼がアーセナル以外の道に進むとなれば、わりと痛い。
もっとも彼の契約は来年まででも、アーセナルは2年の延長オプションを持っているということで、クラブが積極的に売りたい/本人が移籍希望でもなければチームに残る可能性のほうが高いだろうが。
これらの件で思ったのは、ファーストチームのスクワッドが充実するのも良し悪しだなと。
アーセナルFCといえば、若い選手を積極的に起用するクラブとしても知られるが、それはファーストチームのデプスの薄さと表裏一体の部分もあったあろう。
シニアチームのデプスが厚くなればなるだけ、ユース選手の入り込む余地は減る。現在のアーセナルのスクワッドデプスは近年ではあきらかに充実してきていて、たとえばヴィエラやマルキーニョスのような選手が加わったあと、パティーノやフローレスがいまのファーストチームのなかにすんなり入っていけるかどうかも考えてしまう。それは、過去数年よりも、もっともっと難しくなっているように思える。ジレンマ。
アーセナルユースで育ったからといって、その選手がクラブに生涯の忠誠を捧げているわけではない。今後も、引き止めておきたい優秀なアカデミー選手が、ファーストチーム入りを絶望して移籍していくようなことが増えないことを祈りたい。
つぎの試合は、水曜のオーランド・シティFC。日本時間木曜の朝。
ごきげんよう。
パーティ、大丈夫だったんですか?
いるといないのでは、雲泥の差ですからね。