試合の論点
アーセナル vs PSVのトーキングポインツ。
意外に歯ごたえがなかったPSV。トミヤスに無力化されるガクポ
アヤックスが毎年あれだけヨーロッパで存在感があって、オランダリーグがそこまでとは思っていなかったのだが。
この試合では、もちろんアーセナルとPSVのチームクオリティの差も感じたが、やはりリーグの差も感じた。彼らは、アーセナルのインテンシティやプレッシャー、スピードに対応できていないように観えた。PLではあたりまえのフィジカルなプレイに明らかに手こずっていた。アーセナルが、相手よりフィジカリティで上回ったと思える試合はあまりないので、逆に新鮮だったな。
それと、じつは彼らのチームの平均年齢はアーセナルより少し高いだけで、ほとんど同じくらい。わりと目立っていたXavi Simonsは19才で、その年齢らしい雑なプレイもあったように、チームとして荒削りな部分は否めないように感じた。いまのアーセナルが、若さに似合わない成熟したところを身につけ始めているのに対して、PSVはわりと年齢なりというか。
アーセナルについで、彼らがグループAで最強と思いこんでいたのがそもそもの間違いだったのか。あれならBodo/Glimtのほうがよほどオーガナイズされていて強かった印象がある。
アーセナルはポゼッションこそ70%未満ながら、ほぼ試合を支配したと云ってよいだろう。ここまで一方的なのもひさしぶり?
SofaScoreのAttack momentum。
Scott WillisのField Tilt。
The AnalystのAttcking Threat
どれを観ても、PSVは試合を通してほとんどなにもできなかったみたいなもの。もちろん、フェアに云えばいくつかめぼしいチャンスもあったにはあった。しかし、それでターナーが脅かされるというほどでもなく。
ただ、来週のアウェイではわからない。彼らのなかには、キラリと光る選手も何人かいたのはたしかで、ホームサポーターのまえでもっと自信を持ってプレイすれば、アーセナルが苦しむ展開だって用意に想像できる。少なくとも今回のような楽な試合は期待しないほうがいいかもしれない。
キラリと光るといえば、この試合のコーディ・ガクポはさすがに期待はずれだったと思う。
Cody Gakpo in the Eredivisie this season:
◉ Most xG
◉ Most G/A
◉ Most goals
◉ Most shots
◉ Most shots on target
◎ Joint-most assists
◎ 2nd-most chances created
◎ 2nd-most xAAll eyes on the Emirates. #UEL pic.twitter.com/tKIQo3RgsH
— Squawka (@Squawka) October 20, 2022
彼はイングランドのこのタフな場所で自分の価値を証明せねばならなかったが、これでは逆宣伝になってしまった。まだ23才で、もちろん将来性はあるにせよ、1月に彼に€50mを投じるPLクラブがあったらちょっと驚く。マンUの関係者が、もっとも胸をなでおろしていたりして。
本人が感じているプレッシャーもあったのかもしれない。キャプテンであり、注目度は高かった。彼を検討するクラブの関係者はみんなこの試合を観ていたはず。
しかし、それも大部分はトミヤスのせいだ。
トミーのこの試合のデュエル勝率は、空中戦5/7(71%)。陸上戦2/2(100%)。いっぽうのガクポは、それぞれ2/8(25%)と2/6(33%)。彼は得意のドリブルもゼロ。ショッツもゼロ。これはまさしくシャットアウト。
トミヤス vs ガクポは、見た目の印象でもずっとトミヤスのターンという感じだった。トミヤスはボールを跳ね返しつづけたし、ガクポはトミヤスと対峙したときに積極的に仕掛けなかった。
今回もアルテタはトミヤスのマンマーキングの仕事に満足しているに違いない。彼はまた、ウィンガーキラーとしての評価を高めてしまった。ソンもサラーもガクポもみんなポケットに。最高。
ジャカが好調をつづけ、試合を決めるゴール
今シーズン3点め。過去3シーズンと同じ。。
アーセナルでの17ゴールのうち、彼が右足でゴールするのは初めてだとか。なんてこった。みんな積極的に弱足を使おうとしているみたいだ。
そうそう、これトミヤスのカットバックからのアシストだった。あのクロスはセンスを感じた。
3 – Granit Xhaka has scored as many goals this season (3) as in his previous three seasons combined. Tonight’s goal was the first of his 17 for @Arsenal not to be scored with his left foot. Remodeled. pic.twitter.com/KkMWEGa2fd
— OptaJoe (@OptaJoe) October 20, 2022
この試合でもジャカは活躍していた。左8で抜群の存在感だった。
過去3シーズンとゴールで並んだというが、過去のシーズンと彼の役割の違いを考えれば、それもおかしくない。チャンスであんなところにしばしば顔を出すなんてことは、これまでの彼の仕事ではなかったのだから。(Edu’s BBQのひとが、そのおかげで彼は守備は「無断欠席」と書いてたのがおかしかった)ポジションをコンヴァートして大成功の事例になっている。
彼は、いま自信マンマンでプレイしているという感じがにじみ出ている。今回は、ヴィエラのような周囲の選手が彼ほど自信なさげに観えたのでなおさらだった。
ダブル8のパートナーであるヴィエラは、今回も試合に入って行けてないふうだった。29分のジェズースへのパスこそ彼に期待されているプレイなのだが、最近ようやくプレイするようになった彼は、まだあまり自信マンマンに観えんのだよなあ。
自信といえば、トミヤスも。彼のクオリティなら通りそうなチャンスがあっても、中央の混んだエリアへのチャレンジングなパスを躊躇してしまう。この試合のなかでも、もったいなく思える場面がいくつもあった。
みんなグラニトを見習ってほしいぜ(目をそらしながら)。
サカを休ませるか問題
試合後の会見でも質問が出ているように、最近イングランド代表のレギュラーでもあるサカのオーヴァワークが注目されている。
彼はアーセナルでも毎試合のように、どこか蹴られて痛そうにしているし、年齢を考えるとちょっと働きすぎの感はある。
アルテタは、週3回プレイできなきゃトッププレイヤーになれないと述べていて、CLでプレイしているクラブなんかを観ても、それは完全に正論だと思う。が、ケガしてしまっては元も子もない。世間的にも、ケガでワールドカップを断念する選手が続出している最中でもある。
彼はこの試合を含めて今シーズンのアーセナルで、プレイできる試合で179分しか休んでいないらしい。179分というのは、約2試合分。PLはもちろんすべてでプレイしているし、ELでもプレイしている。今回も85分。
若い選手が過労で燃え尽きるのを観るのは、いたたまれない。サカのようなタレントならとくに。彼の相手を背負ってボールをキープするようなスタイルも、相手のアグレッシヴなプレイのターゲットになりやすい。アレだけシャープなら、今後もずっと狙われる。
現在のアーセナルは、PLでもっともスターティング選手を変えないチームということで、それだけスクワッドデプスがないということもあるし、レギュラーがケガをしないとか、アルテタのこだわりもあるのだろう。
しかし、これが今後も持続可能かどうかはわからない。とくにシーズン後半はそこが浮沈のカギになりかねない。
おそろしい。
この試合については以上
勝った!
エンケティアほんと体幹強いなあ〜。
控えにはもったいない。
リーグ戦でもどこかでスタメンで使って欲しい。
おっしゃるとおり、レベルが違ってましたね。
そしてトミヤス。まさにアーセナルのオオタニサン。どこでもできる。
例の70試合発言ですが、CLのチームは正にそうですもんね、大事なことなんですよね。先を見据えた采配ともとれますし、サカだからこその発言、正にチームの象徴とゆうことなんでしょうね。