試合の論点
ウォルヴズ vs アーセナルのトーキングポインツ。
🍿 Enjoy the action from Molineux all over again, Gooners!
📺 Highlights | Wolves 0-2 Arsenal pic.twitter.com/i2Ow7lBkYK
— Arsenal (@Arsenal) November 13, 2022
PLのなかでシティ化しつつあるアーセナル
今回はウォルヴズがなかなか試合に勝てず低迷し、暫定マネジャーで、つぎのボスも内定しているなか、おそらく<シットディープ&カウンター>みたいな、なるべくシンプルな戦術にするしかなかったんじゃないかと思う。あまり込み入ったインストラクションのいらないやりかた。
だからそういう理由もあって、この試合は典型的な弱者 vs 強者の構図があったように感じた。攻めるほうと守るほうがはっきりした試合。そして、そうなったときは、得てして攻める側はうまくいかないものだ。ウォルヴズはこれでボトムチームかと思わされるほど、守備ブロックはオーガナイズされていたし、カウンターも鋭かった。
この試合の前に、シティとブレントフォードの試合を観ていたからよけいにそう感じたのかもしれない。シティはボールを持っても攻めあぐねて、結局ミッドテーブルチームにカウンターで敗けてしまった。
これから、明らかにクオリティ差のある相手はアーセナルに対し、もうボールを持たれるのは覚悟して、チャンスをつくらせないことに集中。とにかく敗けないフットボールをしようとするようになるかもしれない。今回ウォルヴズのボスも試合後に「0-0で満足だった」ようなことを述べていた。
ここで問題は、アーセナルの「ブロック崩し」は、以前よりだいぶ進歩があるとはいえ、シティのそれにまだ見劣りすること。今回のとくに前半は、どういうわけか相手のブロックの前でパススピードが遅いところを、繰り返し狙われボールを奪われるシーンが目についた。あれは相手のうまさもあるが、むしろ自滅っぽかった。ブレントフォードとの敗け試合であってもシティは、さすがにもっとシャープだ。
パスの精度、スピード、集中力、意外性などなど、いろんなところで、アーセナルはまだチームプレイに発展途上なところが観られ、ゴールが決まるまではたいそう苦しんでしまった。幸いなことに、クオリティある選手は揃っているので、あとはアルテタが云う勇気のようなメンタリティの部分を向上させていくことが重要なのかもしれない。
今後アーセナルの試合では、こういう傾向がもっと強まっていくんじゃないかと予想する。いまのシティのように。というか、以前のアーセナルのようにと云うべきか。
今回も観られたように、PLの競争力は上から下までほんとうに信じられないほどだが、さすがにいまのアーセナルのチームプレイのクオリティは、かなりいいところまで来ているように観えるし、もうミッドテーブルチームとどんぐりの背比べではなくなってきただろう。ドジでものろまでもない。
アーセナルは、これから多くのチーム相手に超支配的にプレイするチームとして、リーグリーダーとして、つぎのフェイズに入りつつあるように感じる。もちろん、シティのようになるにはまだ時間はかかるだろうが。
そして、ということは、「そういうプレイスタイルのチーム」としてさらなるステップアップが必要ということ。今回の試合では、そのあたりに今後の課題を感じた。あのプレイをもっともっと洗練させていかないと。
チームの成長にあわせて、だんだんと目標も変わってきている。
ミケルのスクワッドデプス認識
今回も気になったのは、サブだよなあと。なんというか、サブでアルテタの現状のスクワッドデプス認識がわかってしまった気さえした。
前半のジャカとヴィエラを除くと、この試合ではついに5人サブをほぼ使わずに90分プレイしてしまった。ヴィエラだって、ジャカが健康だったら90分の前に入っていたように思えない。
今回の試合で象徴的に観えたこともある。90分にピッチに入るネルソンがタッチラインに立ったのが85分で、実際の交代まで5分も待たされたこと。
たしかに、あのあいだプレイが途切れなかったところもあるが、85分にネルソンがカメラに抜かれたタイミング直後にちょうどコーナーキックがあって、そこで強引に(しかも逃げ切りのための時間をつかって)入れることも十分できたように観えた。
さらにそのあとも、しばらくプレイが途切れずつづいたあと、コーナーキックでさらにサブを待たせるという、不思議なことをアルテタはしていた。コーナーのときに交代を一度待つというのは、しばしばあるものの、もうしばらくタッチラインで交代選手を待機させた状態でのあれはさすがにちょっと不自然で、どうにかサブを入れずに済ませたいみたいなアルテタの考えが透けていたように思えたのだった。
要するに、スターティングの選手をサブの選手と変えるとクオリティが下がると考えている。アルテタには、いまのサブでどこかが改善できるという期待や信頼がない。そんなふうに思える。今回は極端だったので、むしろ彼らがリスクくらいまで考えていたとか。それは、わからない。でも、そうじゃなきゃ、あんなサブはやらないのではないか。
アルテタはそもそもサブをあまり有効に使おうとしているようには観えないコーチだが、今回はいつにもまして後ろ向きに観えた。
いまスターティングにベストな11人を入れると、戦術的サブ(フィットネス理由ではない)のオプションがほとんどないのだ。チームでもっとも優秀な11人が90分プレイできるなら、アルテタは誰も変えたくない。
終盤は、パーティもジンチェンコもやや疲労が観えていたし(簡単にボールを失ったりしていた)、KTもエルネニーもいたのだから、もっと早く変えてもよかったと思えるが、アルテタはそうしなかった。
このチームのデプスについては、シーズンが始まってからもずっと指摘されつづけていて、この1月はかなり積極的に補強をしないと、現状維持+アルファ程度では、シーズン後半に失速というのは、かなりありえそうで怖い。
1月の補強候補は、もうメディアでも何人か名前も取りざたされている。だが、そのなかでどれが本気で、最終的にどこまで補強をする気なのかはまだわからない。しかも、これまでの発言からすれば、チームに加えるのはアルテタが納得できる選手だけだからハードルも高い。
この冬の移籍ウィンドウは、かつてないほど人選も難しいし、チームにとり重要なものになるに違いない。
ジェズースのゴールなし記録がさらにつづく
バーを叩く惜しいショットがひとつ。どちて決まらないの。
ベンジャミンからの超ウルトラ精度のロングボールから、DF裏へ抜けるチャンスもあったのに、それもダメ。
でも試合全体的には今回も活躍。アーセナルの1点めは彼のクリエイションが起点だったし(ヴィエラへのスルーボール)、タックルでのボール奪取も複数回記録しているはず。なんちゅうハードワーカー。
このひとは毎回ゴール以外の貢献度がほんとうに凄まじいので、もうストライカーではなく、彼のためになにか別の新しい役割を編み出したらどうか。それでへんなプレッシャーも感じず、肩の力を抜くが抜けて、もっとゴールできるかもしれない。
ワールドカップで、ケチャップのフタを開けて帰ってきてほしい。
その他試合について
- 6分のウォルヴズのチャンスで珍しくアーセナルのバックがオフサイドトラップをやろうとしているシーンがカメラに抜かれた。興味深い
- ヴィエラは相変わらず淡白なプレイ。キャプテンのねちっこさから学んでほしい。だが、今回はひとつ重要な仕事をした。アシスト1
- オーデガードの1点めは、サカにあげてもよかったかも
- サリバが珍しいミス。相手FWのクオリティに救われた
- ドリブルをやらないアダマってなんだよ、ピッチ上のボディビルダーかよと前半思い。後半ドリブルする彼はやっぱり脅威だった。彼がドリブルをするとなにか起きそうになる。そして起きない。それもアダマ
- ラムズデイルがアダマと激突。心配そうなアダマ
- アダマのオイル。ボクサー?
この試合については以上