どうも。
アーセナル世界では、週末に大きな動きがありましたな。まずは、アヤックスのCBジュリアン・ティンバー(Jurrien Timber)。たぶん、アーセナル界隈ではほとんど初めて出た名前では。オーンステインが突如ブレイキング。藪から棒に「オーニーボム」がぶちこまれたと、インターネットでは大騒ぎだった。
それと、もうひとつの目立ったうわさは、トーマス・パーティの売却。こちらもオーンステインによれば、現在クラブと選手側で退団の道を模索しているという。なんと。
ライスやカイセドのようなCMを追っていたのだから、このあたりの補強が実現すれば、パーティ売却は予想できなかったことではない。だが、もしこの夏にジャカだけでなくパーティまで手放すとなれば、アーセナルにとっては大再編かつ非常に大きなリスクになりかねない。
それも含めて、前回の移籍エントリから、さらにアーセナル移籍情報の進捗をまとめてゆこう。
アーセナル2023夏の移籍ウィンドウ進捗状況(21 June)
ここ数日のアーセナル関連のうごき。
- アーセナルがデクラン・ライスに二度目のオファーが断られる。アドオンを含めた総額£90m(£75m+15m)というクラブ記録のオファー。そして三度目のオファーへ
- WHUのTier1ソース@ExWHEmployeeいわく、複数クラブからの興味のなかライスはアーセナル移籍にしか興味なし
- カイ・ハヴァーツへ£60mで二度目のオファーへ(£55m+5m)。選手とは個人条件ですでに合意済み
- サウサンプトンのロメオ・ラヴィアとアーセナルが個人条件で合意間近。クラブへの正式オファーはまだ
- 残り契約2年のトーマス・パーティに「この夏コンクリートな退団チャンス」by ロマーノ。クラブと選手で退団の道を協議中 by オーンステイン。ヨーロッパとサウジの複数クラブが興味
- アーセナルがアヤックスのJurrien Timber(ジュリアン・ティンバー)に£30mでオファー。アヤックスは£50mを要求し拒否。しかし、交渉はポジティヴに進んでいる
のような。
アーセナルがアヤックスのCBジュリアン・ティンバー獲得に自信
まずは、ジュリアン・ティンバーの話題から。デイヴィッド・オーンステインのスクープ。
🚨 EXCLUSIVE: Arsenal working on deal to sign Ajax defender Jurrien Timber. #AFC have made an opening offer worth ~£30m. #Ajax want ~£50m but optimism a compromise will be reached. Personal terms with Netherlands int’l thought to be in place @TheAthleticFC https://t.co/mdMeSXp3ff
— David Ornstein (@David_Ornstein) June 19, 2023
Arsenal want Jurrien Timber as concrete target, as @David_Ornstein reported — he’s top of the list that also includes Mo Simakan. 🚨⚪️🔴 #AFC
Ajax will not accept £30m for Timber as they want bigger fee. Talks will continue as player’s keen on the move. pic.twitter.com/QrtEhAh6SD
— Fabrizio Romano (@FabrizioRomano) June 19, 2023
£50mを要求するアヤックスに、£30mのオファーがひとまずお断りされながらも、アーセナルは彼の獲得に自信を持っているらしい。ということは、50mよりももっと低い金額で決着するのかも。
そして、いつものように選手もアーセナル移籍には乗り気。それが聞きたかった。
このエントリをアップする直前に観た最新情報としては、選手には、€150kpwの4-5年契約という破格の条件を提示しているというニュースがある。それがほんとなら、移籍に前向きになるのも当然か。彼は一年前にマンU移籍を断っていたというのが、さらに好感度高い。
彼のエイジェントアヤックスOBのコメント。
Urby Emanuelson:わたしならアーセナルを選ぶ。なぜかって? 彼らは若い選手の取り扱いがいいからだ。マルティネリ、サカ、オーデガードを観てごらんなさい。彼らはみな、過ちを犯すことを許されていて、それでいて同時に重要な存在でもある。
(ティンバーは)トップになる素質がある。だからアーセナルはいいステップなのだ。アーセナルは成長しているし、彼らはそれを築いている。
これは、いきなり来たなあ。この「いきなり来た」系ニュースがポジティヴなのは、それだけアーセナルのリクルートチームが秘密裏に動けているということ。こうした動きが公になって、どこぞのクラブが無駄に横槍を出してくることもない。
それと、ほかならぬオーンステインがブレイクしたということは、クラブからの意図的なリークが疑われるということ。つまり、もうすでに交渉はいいところまで進行していると、ファンもかなり期待していいのではないか。
アーセナル界隈では、彼にはRBとしてMF的な(右のジンチェンコとしての)プレイが期待されているようだが、記録を観るに基本的にはCBでのプレイがほとんどであり。ということは、まさにアルテタが求めていたRCBとRBでプレイできる、ベン・ホワイト的プロファイルを持つヴァーサタイルなDFということになりそうだ。
新シーズンのスタートに向けて、サリバとトミヤスのフィットネスが不透明ななか、RCB/RBの補強はプライオリティのひとつだった。そして、こんなみんなが興奮するようなターゲットに行くことになるとは。
彼の選手としてのプロファイルはなかなか興味深く、いろいろなメディアでも分析されているので、獲得が本格的になったらそのあたりもあらためて紹介しよう。
こういうのとか。偏りすげえな。CBテンプレートでこれでは、もはやCBではないのでは。
A thread 🧵 on Jurriën Timber.
He looks to be a very exciting player and I am very interested in what Arsenal have cooking this summer in what looks like a very active window. pic.twitter.com/A8Sgy4f4bO
— Scott Willis (@scottjwillis) June 20, 2023
ところで、毎度申し上げるように、ぼくはアーセナルにしか興味ない人間で(フットボールよりアーセナルのほうが興味ある笑)、ほかのクラブのことはとんと知らないのだけど、Timber?ってどこかで聞いたことあるなと思ったら。リサンドロ・マルティネスだ。結局マンUを選んだ彼がアーセナルとリンクされていたときに書いた去年のエントリで、アヤックスファンのコメントのなかに彼の名前があったのだった。とあるredditユーザのこんなコメント。
Oluwakenzo:ぼくは、アヤックスとアーセナルのファンだ。マルティネスがアヤックスのベストDFだというのは、ジョークじゃない。ボールがまじうまで、ロングボールがあり、意思決定がよく、パスはアーセナルのどの選手よりうまいよ(オーデガードを除けば)。
彼はパーティみたいな選手のとなりのピヴォット、CDMでも完璧に快適にプレイする。
グレイトなLBでもあるね。トミっぽいところもあるけど、ボールを持ったら彼のほうがいい。
でも成長してきたのはCBとしてだ。アヤックスのCBは身長は全然ないけど(※マルティネスは175cm)、PasveerがケガしてOnanaが悪くなり始めるまで、全コンペティションズで8失点以上したことがない。彼はTimberが高く上がったときにボールを持つ選手で、いちばんいいパス先にボールを出す。
Timberの評判を考えてみてほしい。マルティネスのほうがいい選手だ。
べつに彼を褒めそやそうとしているわけじゃない。ただ、Timberとマルティネスのデュオはストライカーには悪夢だったってこと。ふたりとも177cm以下だけど。3月まで9ゴールしか与えていなかったとか、あたまおかしい。このふたりは、CLでもBVBのハーランドを完璧に抑えた。
「Timberの評判を考えてみてほしい」。このときですら、Timberはかなりの高評価だったと。だが、リサンドロと違い彼はアヤックスに残っていた。そして今回のアーセナル移籍ストーリー。
ちなみに、今回このニュースにはアヤックスをよく知るファンたちもr/Gunnersで、かなり興奮したコメントを残していた。それだけいい選手なのだろう。
彼は22才ながら、アヤックスのレギュラーで、オランダNTでもすでに15試合もプレイしていて年齢に似合わない成熟ぶりだという。
これは、かなりうれしいニュース。決まってほしい。
そういえば、最近アヤックスのスポーティングダイレクターがファン・デル・サールから、スヴェン・ミズリンタットに変わっていて、アーセナルが彼との交渉になったときにどのような影響があるかは興味深い。正直、彼はアーセナルをあまりいいかたちでは去っていないから。
合わせてよみたい。2年前のスヴェンのインタヴュー。アルテタと話してみたいなんて云ってる。
スヴェン・ミズリンタット、アーセナル退団の舞台裏、アーセナル時代に獲得した選手たちについて語る | ARSENAL CHANGE EVERYTHING
そういえば、ティンバーのニュースについては小ネタがある。オーンステインがブレイキングする30分前にこのニュースをtwした謎の人物がいて、話題になると数千のフォロワーを集めたようだが、結局その後に彼はアカウントごと削除して逃げてしまった。アーセナルの内部にいる内通者ではないかと疑われている。アルテタがもっとも嫌うもの。逆鱗を恐れたのかも。ソーシャルメディアで注目されたいがためにそんな冒険をしてはいけませんねえ。
フルバックについては、前回当ブログでKTについて少し書いたが、あのあとすぐ「(新シーズンからバック3でプレイしたい)アルテタがKT残留を希望している」というニュースがあって、彼の周辺の移籍ニュースがたいへんに乏しいことを合わせて考えると、けっこうほんとうなのかもしれない。少なくとも積極的に売却しようとはしていなさげ。
ジンチェンコ、KT、キウイ、ホワイト、トミヤス、ティンバー。バック3かどうかはともかく、これだけ人数がいれば、フルバックのデプスは大丈夫なのでは。
センターバックのほうは、ティンバーが来るならRCBにサリバ、ホワイト、ティンバーがいて、ホールディングはますますプレイタイムが制限されそうだ。彼は、アメリカへ行くってほんとかな?
トーマス・パーティ退団ならアーセナルのMFが大改造
この夏は、オーンステインがハードワークしている。
🚨 Arsenal + Thomas Partey camp both working on potential exit solutions if suitable opportunity arises for a sale. Interest from clubs in Saudi Arabia & #AFC considering options. Would require replacement, in addition to Declan Rice pursuit @TheAthleticFC https://t.co/8ip0k7Bd8s
— David Ornstein (@David_Ornstein) June 20, 2023
オーンステイン:アーセナルとトマス・パーティのキャンプが、もし売却チャンスがあったときの退団の可能性についてともに模索している。サウジアラビアの複数クラブからの興味があり、アーセナルもオプションを検討している。ただしデクラン・ライスの獲得に加えて、彼の代替が必要。
またサウジ。この夏は、サウジクラブが選手を買うニュースばかりだ。さっきもZiyechのサウジ行きがHere we goされていた。
この話はそれだけで長くなるのでここでは書かないが、フットボール世界でもリベラルな皆さんがサウジアラビアの国策としてのスポーツウォッシングについて、いま厳しく追求をしているところ。PLだかFAだかもチェルシーやウォルヴズの調査に乗り出すとかなんとか。サウジ政府が関与する投資ファンドのニューカッスル買収では英国であれだけ拒否反応があって、さらにこれである。
いずれにせよフットボールにおいて、サウジはNEWチャイナになろうとしているようだ。ピークを過ぎたリタイヤ同然の高齢選手だけでなく、ルーベン・ネヴェスのような「現役」まで移籍していくのも、一時期のチャイナっぽさがある。そして末路まで似たようなものになりそうな予感。金では買えないものがあるんだよなあ。
どうせならニコラ・ぺぺを買ってくれればいいのに!(お金の誘惑に負ける)
それはともかく。パーティがほんとうにいなくなるとなると、ジャカとふたり欠けるのはやっぱりリスクがかなり大きい。しかも同時に。
去年のアーセナルは、誰がどうみてもかなりうまくやったが、なかでもMFの安定が寄与した部分は大きかっただろう。オーデガード・ジャカ・パーティというベスト3MFのうち、ふたりがいなくなることの影響は当然小さくないはず。
もちろん、数のうえでは大きな問題はなさそうには見える。パーティがいなくても、アンカーにはレギュラーでプレイするだろうライス、それとジョルジーニョ、エルネニーのバックアップもいて、ここに19才のロメオ・ラヴィアも加われば、年齢と経験のバランスも悪くない。
だが、ここ数年のジャカとパーティは、このとくに若い未経験なチームのなかでも、柱になっていただろうシニアでありリーダーであり経験者だった。その2/3が突然ごっそりいなくなるという。このチームはただでさえ若いのに、さらに若くなってしまう。
とくに今年はCLがあるので、過剰なくらいのスクワッドがちょうどよかったとすれば、ここでパーティを手放すのが得策かどうかは微妙なところだ。
ただ、クラブとしてはいまが売りどきというのはたしかにある。パーティの残り契約は2年でここが契約延長するかどうか決断のタイミングであり、彼でなくとも30才との契約には慎重にならざるを得ない。それと、年齢も考慮すればいずれ売却するにせよ、いまが売却のベストタイミングというのは間違いない。おそらくは、いま以上の値がつくこともないだろう。
考えてみれば、アーセナルはいつも選手の売りどきを逃していたクラブだ。まだちょっと早いと思われるような、後ろ髪を引かれるタイミングでクラブが動くのなら、それは歓迎できるのかもしれない。財政的には。
パーティの売却には、アーセナルに補強資金捻出の必要性という側面もありそうだ。話題になっている選手たちを全員取るなら、
- ライス 100m
- ハヴァーツ 60m
- ティンバー 40m?
- ラヴィア 30m?
ふつうに£200m超え。
以前、このブログで夏の選手売却の皮算用をやったときには200mを超える資金が稼げたが、実際はそんなうまくいくはずもなく。となると、実際に引き合いもあり、ある程度の金額が得られるパーティは重要な売却対象になりうる。
昨日は、エディ・エンケティアが売却対象に入ったというのも話題になっていた。
アルテタがハヴァーツをどのポジションで起用するつもりなのかにもよるが、チェルシーと同じように彼を9でプレイさせるつもりがあるなら(本人はかつて9でのプレイを気に入っていると述べていた模様)、それだけエディのプレイタイムは制限されることに。
アーセナルが積極的に彼を手放したいと思っているとは思わないが、それなりのオファーがあれば、ということか。
ジェズース、ハヴァーツ、エンケティアの比較。GJの完成されたチャートよ。。ゴールだけなんとかしてくれ。
Kai Havertz’s key strengths are aerial ability and receiving the ball in dangerous zones. If #Arsenal signs Havertz, they will have the second-best and the worst striker in the Premier League in terms of dribbling/ball control pic.twitter.com/RgF0ZHw1ca
— markstats (@markrstats) June 20, 2023
エンケティアが退団するなら、バロガンを残すべきという議論もredditで盛り上がっていた。が、彼がほしいのはプレイタイムでありレギュラーになれない時点でアーセナル残留の可能性はなさそう。残り契約2年でクラブと契約延長をする気もなく、なにより彼はいま高値で売れる。彼のアーセナルでの将来はあまり期待しないほうがいい。
またアーセナルの動きがあったらブログに書こう。
おわり
ティンバー、トップ下やった方がいいんじゃない?、というレベルで足元の技術が高い選手。楽しみです。
サウジ換金、政治的にもだけど、スポーツ面でも気持ちのいいものではない。すでに資本主義の恩恵を啜っている身なのだから、いまさらだけど、労働者たちのクラブの矜持としてアーセナルにはあまりやってほしくないなと思います。パーティはキャリアの絶頂だろうし、売るのなら少し安くても向上心を失わない場所でプレーさせてあげてほしい。そもそも売るのにも反対だけど。
ロールスロイス。
彼はラマダンさえなければ今がまさにピークでしょう。ラマダンさえなければ。
トーマスは女性問題以降、アウェイだとブーイングされてますので本人の希望もあったりするんじゃないかなあと、放出記事でた時に思いました