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【マッチレビュー】23/24 UCL セヴィーヤ vs アーセナル(24/Oct/2023)グループ勝ち抜けに向けて大きなアウェイ勝利

試合の論点

セヴィーヤ vs アーセナルのトーキングポインツ。

メインマン、ガブリエル・ジェズース。ビッグクラブで期待されるもの

試合後のアルテタのコメントにも、このことがよくあらわれていたなと。

彼はこの試合で、ビッグクラブのマネジャーが彼のような選手に期待することをかなりやってくれたという。もちろん、それは個人で違いを生むという部分。

まずは前半48分のマルティネリのゴールにつながった、あのターン。センターサークル近くでガブリエルのクリアボールをうまくおさめると大きなモーションのターンで相手選手がふたりひっかかってフリーに。そしてDF裏へのランをはじめていたマルティネリにこれまた絶妙なタイミングと位置に置くパス。ネリの独走からのゴールも冷静で素晴らしかったが、松木安太郎ならジェズースに0.5点はあげてしまうに違いないタイプのラストパスだった。

それと後半52分の個人技によるスーパーゴール。あのゴールの直前にも彼はまた前半に見せたようなターンをやっていて、ぼくは「GJ so sharp」とメモした直後だった。あんなショットを打たれたら、もうディフェンスもなにもないという。レヴェルの差を見せつけた。

それはまさしく、アーセナルのようなチームに必要な特別なパフォーマンスだっただろう。CLのような特別な舞台で、11人同士が、11人同士以上のパフォーマンスを繰り広げるなかで、さらにそこに追加するもの。それがトップオブトップのビッグクラブにはなければならない。アルテタがずっとジェズースに期待していたものだろう。

攻撃でこういう派手でわかりやすい活躍を誰かが見せるというのは、アーセナルではじつはけっこうひさしぶりなんじゃないか。90分のなかで単発の輝きを見せる選手は珍しくないが、この試合のジェズースはそれを何度かスタンドがどよめくほどのものを見せた。それほど今回のジェズースは際立っていた。ゴールとアシストをひとつづつで結果も出した。

アーセナルに来てからのジェズースを思い返せば、ケガもあったりで、ずっとこのようなパフォーマンスを発揮できたわけではない。ゴールに関してはスランプに陥ってさえいて、ファンのあいだでもっと9らしい9を熱望する理由にもなっている。シティから£45mで移籍してきた当初のような輝きは、なかなか見せられないでいた。だから、よけいに感慨深い。思えば、今回のゴールも彼がアーセナルに来た当初に似たようなゴールをしていたのを思い出す。

唯一残念だったのは、彼が試合中にハムストリングをケガをしてしまったことで、試合後のアルテタもかなり心配した様子。しかし、その後のリポートによればそこまで深刻なものではないようだ。そこは安心してもいいのかもしれない。

今回の試合は、セヴィーヤはヴェテラン揃い、しかもPL経験者が多いチームで、敵対的雰囲気マンマンだった場所における「経験」がカギになっているという見方もあった。

サカもマルティネリももちろん毎回スーパーな活躍をしているが、やはり年齢的にも、経験的にも、チームが頼れるメインマンはガビ・ジェズース。まさに期待された活躍だった。

PLでも期待したい。

マルティネリ、ライス、トミヤスが輝く。トミーはジンチェンコのポジションを奪ったのか?

ガビ・マルティネリ。試合序盤でGKと1 v 1のショットが防がれていても、つぎの機会では失敗しない。DFをふたり引き連れて独走、GKを落ち着いてかわした姿はスーパークールだった。

これで、ガビはアーセナルにおいて4つのコンペティションで最初にスタートした試合いずれもゴールを決めているそうな。持ってるなあ。未来のビッグスターの素質。

ライス。ライスは試合ごとに影響力を高めていっているようだ。もう彼がいないアーセナルはちょっと考えられない。

この試合で彼が見せたいくつかのハイライトは、守備以外ではやっぱりボールキャリーだろうと思う。この試合でも非凡なところを何度か見せた。

深い位置でボールを奪ってから、自分でボールを持って前進していく独特のスタイル。彼は身長もあるし、体格もあるしで、チームのなかでもスプリントが速いほうの選手には見えないが、ドリブルのタイミングとか、緩急で、相手はボールを奪うことができない。スルスルと相手選手のあいだを抜けていく。そこは、彼がアーセナルに来るときも彼のストロングポインツのひとつと云われていて(みんなリヴァプールのクリップを繰り返し観たでしょう)、それをちゃんと毎試合で発揮してくれている。アーセナルのミドフィールドといえば伝統的にパスゲイムという感じがするが、そこにああいう予想外な動きが入ることで、相手が混乱するという。すばらしい。

もっとも彼はこの試合はけっこうディスポゼッション(悪いパス)をやっていたそうで(15)、まあ相手のクオリティもあったので多少悪くてもしょうがない部分もあるが、そこは改善の余地があるっちゃある。

そしてトミヤスですよ。

今回ジンチェンコにかわって入った彼も非常に、というか極めてよかった。攻守に目立つパフォーマンスで、試合序盤のネリのビッグチャンスにつなげた最初のジェズースへのロングパスもトミヤスから。

彼は前回の試合、後半から入ったチェルシーでもそうだったように、これまでよりも役割がより積極的なものにシフトしているようだ。ポゼッション時のポジションがけっこう高い。左ハーフスペイスでパスを要求しているさまは、ほとんど左8のポジション。この試合では序盤のオープンプレイからシュートさえ放った。

守備ではあいかわらず信頼できるところを見せているのにくわえ、攻撃貢献のほうでも多くのトライがある。見えないところでRamosに足を踏みつけられた?のは、彼が相手にとってフラストレイションを与えるイヤな選手だったからに違いなし。というか、あれはRamosかほかの誰かかしらんけど、なんでもないところで選手がひっくり返ってるんだから、ちゃんとレヴューすべきだったのでは?

そして、最近すごく感じていたのはトミヤスに対する急激な評価の高まり。ティンバーの不在やジンチェンコの不調の影響もあるだろうが、とくにファンのあいだでは、最近はカルト的な人気の高まりを感じている。

ジェズースのような大活躍があった試合で、ファン投票のMOTMに選ばれるというのがそれを物語っているだろう。ぼくは、フットボール/アーセナル関連の情報は英語メディアしか観ていないが、控えめに云って大絶賛という感じである。すごく愛されてる。

そのうちエミレーツで、『Hero』のトミヤスチャントがうたわれる日も遠くない。

そんなふうに現在トミヤスがストップ高ないっぽうで、ジンチェンコの株が下がっているようにも思えるが、ジンチェンコはもちろん悪い選手じゃない。こうして同じポジションでスタイルの違うクオリティ高い選手がふたりいるというのは、チームには素晴らしいことだと思う。ハヴァーツがチームに加わってフロントラインに別次元をもたらしたように、これもまた多様性の獲得だなあと。

アーセナルはディープブロックをやる相手に毎回苦労していて、そのためのシーズン当初の3-1-6のようなフォーメイション実験というようなことが云われているが(バック5に対するフロント6)、そういう相手なら、よりクリエイティヴなジンチェンコのほうが向いているかもしれないし、今回のような競争力ある相手なら、トミヤスのほうが向いているかもしれない。

どちらがポジションを奪ったということではなく、ふたりのトッププレイヤーが同じポジションにいて試合相手によって、選択できるオプションがある。それがアルテタの理想であり、チームとしてちゃんと進化をしていると感じる。

オーデガードとラヤはちと残念

キャプテンなあ。今回もよくないパフォーマンスだったぞ。73分のプレイでタッチがたったの30。ライスのタッチが63だから半分である。

彼のような選手がボールに触れない状況というのは、チームにとってたいへん好ましくない。彼は、チェルシーにひきつづいての低パフォーマンス。どっか具合悪いんじゃないか。47分、せっかくやってきた絶好のチャンスもショットは宇宙へ旅立ってしまった。

ただ、今回はぼくも試合中のMØを気にして観ていたが、ビルドアップ時には、ライン間にいる彼にはかなりタイトなマンマークがついていて、あの状態でパスを入れるのはたしかに難しかった。

でも、そんなことは彼には日常茶飯事のはずで、やっぱりフォームの落ち込みを感じる。今回はスペインでの試合で、元レアルの選手として、Ramosを相手にやる気は格別なものがあったと思うのだが。

彼も出ずっぱりのひとりなので、週末のPLシェフU(H)で、一度休ませてもいいような気がする。ESRキボンヌ

それとラヤ。致命的ではなかったものの、今回も不安定なプレイがいくつか。最後のパンチのミスは、さすがにヒヤリとした。

彼は、ちょっと自信レヴェルが落ちているのかもしれない。それは、GKにNo.1としての安心を与えないことの悪い面が出ちゃっているのか。

なんのプレッシャーもなければラムズデイルに変えてもいい局面に思えるが、それをやれば、またいらぬ議論を起こしかねない。アルテタには難しい判断。CLで変えておくほうが、よほどインパクトは薄かったと後悔するようなことがなければいいが。

 

この試合については以上

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