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Arsenal, Tactics

MF危機のアーセナル。NLDのセレクションを考える

マーさんは、どうもダメっぽいすな。

彼は、あの試合中に足首をひどく捻った事案の翌朝すぐにロンドンに帰ったということで、そのとき飛行機に乗り込むときの写真。この松葉杖状態から、あと数日でピッチを憂いなく走れるようになるとは思えず。わざとこんな写真をリークしたブラフだったら、むしろおもしろいのだけど。

ということはつまり週末の試合では、われわれはライスとオーデガードのふたりを代替せねばならなくなった。アウェイのNLDというシーズン最大級の試合を前に、なんという試練。

昨シーズンのPL試合数が、ライス38、オーデガード35(その前シーズンは37)。もちろん、ふたりともチームのまさに大黒柱であり、もはや彼らなしのチームは想像できないといっても過言ではない。実際、われらはそれをこれまでほとんど観ていないのだ。だが、それをやらねばならぬ。

そんななか、昨日のThe Telegraphが「ライスとオーデガードを代替する5つのオプション」という記事を公開していて、今回はそれに触発されつつ、可能性あるオプションについて考えてみたい。

Arsenal’s midfield crisis: Five options to replace Martin Odegaard and Declan Rice



NLD目前。MF危機に陥ったアーセナルがとれる代替セレクション

The Telegraphのお題に沿って。

1. パーティとジョルジーニョのダブルピヴォット

パーティは今シーズンが始まってからのPL3試合でプレイしており、残ったMFのなかではファーストチョイスと考えるべきで、ジョルジーニョをライスの代替として選ぶかどうかという。

ちなみにジョルジーニョは、今シーズンここまで、アルテタからまだ一度もプレイ時間を与えられていない。

じつは、パーティとジョルジーニョというチームの最年長コンビは、アーセナルでともにプレイしたことがほとんどなく、ともにスタートしたことはこれまでたったの2回しかないという。それもパーティがライトバック、ジョルジーニョが6という組み合わせであり、基本的にどちらかがプレイするとき(6)、いっぽうはベンチかスクワッド外であり、試合終盤のスクランブルなどを除いては、ふたりがMFとしてプレイした試合はほとんどないことになる。

記事は、アルテタがこのビッグゲイムでパーティと同時にジョルジーニョをMF起用する可能性は低いとし、問題点を指摘している。

まず、このふたりが同時にMFでプレイする場合、ダブルピヴォット(※日本語でいうダブルボランチ)になり、4-3-3システムに非常にフィットしたチームに、違うシステムの4-2-3-1をあてがうことになる。

それと、ふたりが並んでプレイした経験があまりに少ないこと。

とはいえ、RBのパーティがインヴァートしてMFでジョルジーニョと並んでプレイしたことはあるはずなので、まったく未経験というわけではないが。

そして、ここにもうひとつ問題点を付け加えるなら、ジョルジーニョ起用のアイディアは、redditなどでファンのあいだでも議論されているが、このふたりのMFではトランジションで脆弱になる恐れがある。

トトナムは、もちろんカウンターアタックの鋭いチームであり、われわれが泡を食って背走を強いられるような場面は少なからずあるはず。そうしたとき、ジョルジーニョはもちろん走力には課題のある選手だし、パーティもその点はすでに著しい衰えが指摘されて久しい。ブライトンの失点も、彼が結果的にゴールを決めることになる相手のランナーを追走するのを早々にあきらめたことには批判もあった。

2. ハヴァーツをMFに戻す

これは、もっとも可能性がありそうなオプションだろう。仮にオーデガードがいたとしても、ライスの代替はハヴァーツだった可能性が高いと思う。

アーセナルが彼をチェルシーから獲得したとき、元々アルテタは彼をMFとして計画していた。実際9にポジションを上げてブレイクするまでのシーズン前半は、おもにMF(L8)としてプレイ。が、彼はそのポジションでは適応に時間もかかったし、攻撃での満足できる結果は出せなかった。その前年はジャカのインパクトがあまりにも大きかったので、比較もされ、彼にはなおさら難しかった。

アルテタは、しばしば彼のヴァーサティリティについて称賛しており、今回のMF危機でハヴァーツをその代替に抜擢することは想像に難くない。

しかしこれについての最大の問題は、ハヴァーツを9で起用できなくなることだ。

去年後半からここまで、アーセナルではひきつづき9として活躍しており、今シーズンもPLのスタートから3試合ですでにG2 A1と安定した結果を出している。現在、アーセナルのチームのなかでもっとも好調で、もっとも相手チームの脅威になれるストライカーとも云える。

興味深いのは、今回のドイツNTのネイションズリーグ2試合で、彼はどちらもNo.10ポジションでプレイしていること。5-0で勝ったハンガリーでは、自分で取ったペナルティからゴールもひとつ決めている。

彼を9から8に移すことが最善かどうかは意見の分かれるところだろうが、以前プレイしていた場所に戻るだけでシステムも熟知しているため、無難なオプションではある。もちろん本人も問題ない。フルバックでもやるというひとですから。

3. ジンチェンコ、あるいはティンバーをMFとして

ジンチェンコはウクライナNTでは、ずっとCMとしてプレイしているということで、むしろアーセナルで一度もMFでプレイしたことがないというのは、やや不思議に感じることでもある。

彼は、フルバックとしては守備力に問題があるため、彼の欠点を補って強みを活かすなら、むしろポジションを上げたMF起用は彼に合っていると誰もが考えそうなものだが、アルテタはなぜかそれをやらない。

個人的には、このチームのなかでオーデガードの持つ能力にもっとも近い能力を持つのは、ジンチェンコだと思っている。あのピッチ上でボールをつねに寄越せと寄ってくるウザさ存在感。ボールを持ったら、つねに危険なパスを探る攻撃への積極性。類まれなパスセンス。ラインブレイキング。ライン間でボールを受けることもできる。

もしかしたら、アルテタは彼の守備力のなさを嫌っているのかもしれない。あるいはボールを持ったときのやや軽率なところ。ピッチ中央であっさりボールを奪われたりしすぎるのは、オーデガードにはない欠点だろう。

記事では、彼のフィジカリティの不足を指摘している。たしかにそこは、いまのアーセナルのガチムチMF計画からしても彼は理想的なタイプではない。

ライスに加えてオーデガードまで不在という危機で、アルテタの考えが変わるかどうか。ジンチェンコがアーセナルでMFデビューするなら、本人のやる気はかなり高くなりそうだ。

もうひとり、ジンチェンコ同様Inverted FBでプレイできるのがティンバーで、彼もまたアーセナルのチームのなかでとりわけヴァーサティリティが称賛されているひとり。彼は今シーズンすでにLBとして3試合のうち2試合でスタート。アルテタからの信頼度は高い。

ただ、LBとして信頼されているティンバーをそこからMFに移動させるかどうか。LBがジンチェンコ? それなら逆のほうが安定しそうではある。

空手キックを受けても軽症だと云われるカラフィオーリが試合に間に合うなら、ティンバーMFでカラフィオーリLBというのは、観たいセレクションではある。アーセナルの左サイドの新時代感ある。

4. スターリング、サカ、トロサールのNo.10

このパートは、The Telegraphの記事から。スターリング、サカ、トロサールをそれぞれうしろにふたりのホールディングMFを従えたN0.10で起用するというアイディア。

まず、スターリング。彼は本来ワイドアタッカーだが、セントラルアタッカーとしての経験もあるということ。そして、百戦錬磨の彼がNLDの雰囲気にビビることはない。

そしてサカ。彼もかつてやっていたように、中央寄りでプレイできる。No.10としては、技術的にも身体的にも十分な力強さがある。ただ、問題はそうするとRWとして、チーム最大の攻撃脅威がなくなること。

もちろん、トロサールもAMとしてプレイできる。試合中、9のハヴァーツとポジションを入れ替えることも。

興味深いのは、2月にリヴァプールを倒した試合で、アルテタは、トロサールとハヴァーツのふたりのAMと、パーティとジョルジーニョのふたりのDMで「ボックスミドフィールド」を使っており、その再現を狙うこともあるかもしれないという。

アーセナルのボックスミドフィールドについては、一時期は戦術解説の記事などでしばしば言及があった。ぼくはこれについてはあんまり理解していない。それを今回やるかどうか。

The box midfield: football tactics explained

5. ワニエリ抜擢

この大舞台で17才のいきなりのスタートは、間違いなくもっとも大胆なオプション。今シーズン、彼はPLのスクワッドにこそ含まれているものの、いまだ出番はなく。

以前にも報じられたように、チームのなかでワニエリはオーデガードに師事していると云われ、彼のポジションの理解やフットボーラーとしての振る舞いをせっせと学んでいるということで、オーデガード不在となれば、彼は直接の代替にもっともふさわしい場所にいる選手ではある。

ただ、さすがに未熟である。トップレヴェルの経験がない。マネジャーならアルテタでなくても、こういう試合ではルーキーに期待するよりも、むしろスターリングのようなヴェテランに頼りたくなるものだろう。

この夏は、ESRやヴィエラのような選手が放出されたことで、チームのバックアップとしてワニエリのプレイ機会を邪魔するものはなくなった。それはアルテタの彼への信頼の証のように見えたものだが、ほんとうに彼をこうした英国はおろか世界中の注目が集まるビッグゲイムで起用するかどうかは、ちょっとわからない。

ワニエリだけでなく、アルテタも度胸を試される。今回は、そんな機会。

スタートかどうかはともかく、もし彼がこの試合で活躍しようものなら、伝説になりかねない。それほどの舞台だろう。

わたしの予想スターティング11

さいごに現時点でのわたしの予想を。試合プレビューエントリでは、また違う予想をするかも。ジェズースがフィットしてない前提。

キミが輝くときだワニー☆

 

おわり



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

One Commnet on “MF危機のアーセナル。NLDのセレクションを考える

  1. 常々アルテタが批判されていたスタメンの固定の弊害が、ついに現実になりました。
    この事態はかなりの確率で起こり得る事でした。(人数は多いですが)
    マルティンも、ライスも、サリバも、BIGガビも、サカも、ホワイトも、不死身では無いのです。
    ペップやクロップとの大きな差ですね。
    個人的には、ワニエリで勝負すべきだと思います。
    その時が来たと思います。
    アーセナルの未来を背負う少年を信じましょ!

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