レアル・マドリッドについて
さて、レアル・マドリッド。間違いなく人気も実力も世界最高のフットボールクラブのひとつ。UEFA CLに名前が変更される前のEuropean Champion Clubs’ Cupを含めると、CLで15回勝っている超名門。FIFAのオールタイムクラブランキングでも1位。まさにフットボールジャイアント。日本だって、アーセナルよりレアルのファンのほうが圧倒的に多いだろう。
マネジャーは、フットボールファンにはおなじみのCarlo Ancelotti。ミラン、チェルシー、PSG、バイエルン。メジャーリーグの強いチームばかりで仕事しているひとというイメージ。だから、エヴァトンの仕事はちょっと意外だった。昔噂になったこともあるが、アーセナルには似合わないね。マンUみたいなクラブが似合う。
チームのキープレイヤーは、イングランド目線では、CMのJude Bellingham(21)か。現在、英国人でもっとも価値ある選手(MV €180m)。
それともちろん攻撃で最注目は、Kylian MbappeとVinicius Juniorといったアタッカー。ふたり合わせたMVが€370m。ふつうにチートでは?
昨シーズンはラ・リーガとCLを取り、このダブルをやるのも5回めという。シーズンを通して2試合しか敗けなかったというので、どえらい。
そんな彼らの今シーズンは、そこまで好調ではないようだ。
アーセナルと同じ?2位のチーム
リーグでは、トップのバルセロナと4ポインツ差の2位。すでにリーグだけで5敗している。
週末は、アーセナルが15位のエヴァトンに2ポインツ落としていたとき、彼らもまた15位のヴァレンシアにポインツを落としていて、国内リーグでの2位というポジションといい、このふたつのクラブはいまちょっと似ているかもしれない。もちろん、すでにリーグタイトルが絶望的になったわれらと、それも狙える位置にいる彼らは違うけれど。

ところで今回、あらためて彼らの強み・弱みを確かめようとFBRefでラ・リーガのスタッツをチェックしていたんだが、これが驚くほどの2位っぷり。ほとんどどのスタットをソートしても、ことごとくバルサに次ぐ2位。なにかの間違いかと思ったほど。時間あるひとは、ちょっと観てみてもらいたい。
そんななかで、彼らがベストになっているスタッツがいくつかある。
そのひとつは、ボールキャリー。Carriesのカテゴリは、すべて彼らがトップだった。選手が自分でボールを運ぶチーム。だったらドリブル(Take-Ons)もベストでよさそうだが、そっちは2位。いずれにせよ、ボールを持っているとき自分で進めるスペイスがあれば、自分でそのまま進むことをためらわない。これを止めるのは手こずりそうだ。彼らはペナルティももっとももらっているチームでもあり、ボックス内では安易に足を出さないようとくに気をつけたい。マイルズ。頼むぞ。
それと、イエローカードの少なさもトップ。クリーン。もともとファウルが少ないのだ。ファウルももっとも少ないチーム。
興味深いのは彼らの空中戦で、勝率(55.6%)がトップ。ただし、空中戦に勝った数はワースト2位(255)。敗けた数は最少(204)。これが何を示しているかというと、おそらくは戦術的に空中戦の機会自体がリーグでもっとも少ないが、その少ない機会で勝っているという。クオリティが高いということになりそうだ。
今シーズンのレアル・マドリッドの戦術について
しばしば「レアルには戦術がない」みたいなことを云うひとがいる。そうなの? 某AIに訊いてみたので、そちらをざっくりと紹介しよう。
(今シーズンのレアルの戦術について教えて……)
24/25シーズンのレアル・マドリッドの戦術は、Carlo Ancelottiらしいポゼッションベイスのフットボールである。彼らのMFの強みを使いテンポをコントロールするというもの。Kylian Mbappéが来てからは、攻撃力が格段に上がり、より強いチームになった。
彼らのチームは流動的なシステムでもある。相手により、4-3-3と4-2-3-1を頻繁に行き来している。
守備ストラクチャもソリッドで、ハイプレス、クイックなトランジションがある。
(彼らの戦術的な弱点は?……)
それはおもに守備ストラクチャにある。攻撃は卓越しているが、守備の安定には苦しんでいる。ラ・リーガの30試合で31失点は去年より悪化している。
カギとなる問題点には以下が含まれる。
- RBが不安定:昨シーズンは世界一のRBのひとりがいたが、今シーズンはしばしばRWやCMがそこでプレイ。急造RBに頼っている
- LBの問題:去年はFerland Mendyが活躍していたが、今シーズン彼のフォームは落ちている。彼がプレイしないとき、チームには頼れる代替がいない
- CBの調整:ケガによっては彼らはCMをCBで使う実験を強いられており、それが守備に影響している
- MFのトランジション:昨シーズン引退したToni Kroosの不在で、試合のコントロールやテンポを取ることに苦しんでいる
ヴァレンシアに2-1で敗けた試合でも観られたように、これらがラ・リーガのタイトル争いにおいて決定的になっている。
なるほどー。LBにCamavingaのスタートが予想されているのはそういうことか。
ついでにどうやったらアーセナルが彼らに勝てるかも訊いてみた。
(戦術的にアーセナルはCLでどうやってレアルに勝てる?……)
アーセナルは、レアル・マドリッドの弱点をつき、自分たちの強みを活かせば試合に勝てる。最近の戦術的分析より。
1. Exploiting Madrid’s Defensive Instability
- 右フランクをターゲットにすべし:レアルはRBの不安定に苦しんでいる最中。アーセナルはそこをサカとオーデガードでオーヴァロードすべきである
- ハイプレスでエラーを誘え:レアルのMFトランジションはToni Kroosの引退以降脆弱に。アーセナルのアグレッシヴなプレスは彼らのビルドアップを阻める
2. Controlling the Midfield Battle
- ライス対レアルのMF:ライスはMFを支配する必要がある。Jude BellinghamとEduardo Camavingaのパスレインを寸断せよ
- クイックトランジション:アーセナルはレアルのMFプレスをバイパスする縦パスをすべし
3. Defensive Discipline Against Madrid’s Attack
- Mbappéの無効化:アーセナルのDFはコンパクトを維持しKylian Mbappéにスペイスを与えない
- Vinícius Jr.を離すな:ホワイトかトミヤスはVinícius Jr.’の影響を防げ
4. Tactical Flexibility
- 試合中のフォーメイション変更:4-3-3から5-4-1で深く守れ
- セットピースの活用:レアルはセットピース守備が脆弱。コーナーとフリーキックを活用せよ
つまり、彼らの攻撃を阻止して、こちらがゴールすればいいわけだな。よしわかった!
というか、これよくみるとおかしいところがある。レアルの右サイド(RB)を標的にするなら、アーセナルの左サイドのアタッカーになるはずなのに、なんでサカとオーデガードなんだ。トミヤスももうしばらくいないし。いちおうソースも明示されてるから元ネタあるんだろうけど、まとめが雑。ラーメンすする女子のイラストくらい雑(古い)。
フォーム
ラ・リーガの直近6試合では、W4 D0 L2。
先日ヴァレンシアに敗けたのはホーム。アウェイの直近6試合はW3 D1 L2。これはよろしくない。今シーズン、アウェイの15試合で彼らが勝ったのはたった7試合。じつに8試合でポインツを落としていることも興味深い(W7 D5 L3)。
ラ・リーガの対戦成績を観ても、上位から下位から同じようにポインツを落としていて、彼らの苦手チームの傾向はよくわからない。アーセナルのように上位チームに強いわけでもないようだ。バルサにも敗けている(ホームで4-0と大敗)。
CLでは、ここまでリーグフェイズのリール(A)、ミラン(H)、リヴァプール(A)に敗けた以外は、すべての試合に勝利。
ラスト16ではアトレチコとのマドリッドダービーで、アグリゲイトスコアで並びペナルティ戦で勝ち抜けた。
チームニュース
Ferland Mendy、Dani Carvajal、Éder Militão、Dani Ceballos、Aurélien Tchouaméni(※サスペンション)がアウト。
ダウトだったThibaut Courtoisはプレイできるようだ。
アーセナルでもプレイしたダニ・セバーヨスが、ケガで不在。失礼ながら、彼がアーセナルのあとレアルで成功するとは正直思わなかった。もちろん悪くない選手だったが、エリート選手には観えなかったから。彼が試合でプレイできないのは残念。ばーよす。
これまでの対戦
われわれのあいだでのコンペティティヴな試合は、いまから20年前、05/06シーズンのUCLのクウォーターファイナルの2試合だけのようだ。
アーセナルのWEBサイトによると、このほか1960年代に一度試合をしているという。それと1999年のリー・ディクソンのトリビュート試合。あとは、2008と2019の夏にそれぞれフレンドリーをやっている。2019年のUSツアーのやつはまだなんとなく覚えているような。チェンバースとかジェンコがプレイしていた。
つまり、今回の対戦は実質3回め。アーセナルがバルサやバイエルンとあれだけプレイしていることを考えると、不思議なほど対戦が少ない。ヨーロッパでは、なぜかこういう偏りがけっこうある。
あの05/06シーズンの試合、アーセナルファンにとっては世界最強チームを倒した伝説的な試合については、アーセナル公式サイトが特別なページを公開している。
Madrid Memories: Our 2006 triumph over Real
ファーストレグがベルナベウで1-0勝利。セカンドレグがハイバリーで0-0ドロウ。われらは、逃げ切ってSF進出を決めた。ちなみに、このシーズンが最後のハイバリーで、06/07シーズンから現在のエミレーツにホームスタジアムを移転している。
この試合は、弊ブログでも以前に記事にしたことがある。このドロウが決まってから、検索して来てくれるひともけっこういるようだ。
05/06シーズンのUCLレアル・マドリッド戦を見返す | ARSENAL CHANGE EVERYTHING
これが、もう8年前の記事? 信じがたし。
もしこの試合を観たことがないというファンのひとがいたら、今日の試合までに観ておくことをおすすめします。おもしろいから。インターネットを探せば、フルマッチもきっと見つかるでしょう。
Carlo Ancelottiの試合前コメント「アルテタがアーセナルをトップチームにした」
CA:このコンペティションでは経験と知識がとても重要だ。大きなプレッシャーがかかるこういう試合を恐れなくなる。顔と顔を突き合わせたとても重要な試合だ。
われわれの多くの選手が、こういう試合を多くプレイしていることは、若い選手にも自信になる。
ここでわれわれがやるべき仕事は、最後までファイトすること。今回もわれわれが勝てると確かめる。勇気とパーソナリティが必要だ。その重要な側面は実行。準備はできている。
(アルテタについて)彼は完成されたチームを築いている。ヨーロッパでも完成されたチームは多くない。ある部分をうまくやるチームはあっても、アーセナルのようにすべてをうまくやるチームはそれほどない。アーセナルはヨーロッパでももっとも重要なクラブのひとつだ。
彼が(マネジャーとして)やってきたのは、わたしがエヴァトンにいたときで、それ以来彼はアーセナルをヨーロッパのトップにしている。素晴らしい仕事をしているよ。PLでもトップに近づいているし、CLでもQFにいる。このチームは、かつてよりも強くなっているし、将来はもっと強くなるだろう。
(オーデガードについて)彼はとても若かった。16才ですでにあのような才能があった。彼は新たな経験を求めてクラブを去ったが、いまやヨーロッパでもベストなMFのひとりになった。
彼がファーストチームでプレイできなかったのは、彼の前に[Cristiano] Ronaldo、[Karim] Benzema、James Rodriguezらがいたから。だから、彼はプレイするために移籍を決断した。
正直、わたしは彼がとてもうまくやっていると思う。彼がいるのはヨーロッパでもっとも重要なクラブに戻ったチームだ。
見慣れないサムネだな…そりゃそうか(笑)
ここ何年かでは最重要かつ最注目な試合。ある意味ではFAカップファイナルより大事かもしれないくらいには。
はちゃめちゃ楽しみにしてます。頼んだぜ白い巨人たちを倒そうぜ!!赤きladsたち!!!