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イングランドU-21でEuroに挑むイーサン・ワネーリのインタビュー

Hey.

昨日はイングランドチームがセネガルに敗けて英国のインターネットが阿鼻叫喚だったなか、イングランドU-21チームに招集されているイーサン・ワネーリが単独でメディアのインタビューに応えていた。この日は彼だけじゃなく、U-21チームの選手たちがメディア対応をする日だったようだ。

イングランド代表としては、MLSがすでにシニアチームに招集されていることもあり、ワネーリはやや出遅れた感も否めないものの、彼とていまのU-21スクワッドのなかでは最年少の18才である。十分早熟。

そんな彼のインタビュー。



イーサン・ワネーリのインタビュー「ぼくはただプレイしたいだけ」

(U-17からU-21になった今年も去年と似たような目標設定になる?……)

ワネーリ:そうだね、ユースレベルではこれもまた大きなトーナメント(Euro U-21)だし、そういうすべてのトーナメントで楽しめると思う。自分のことを世界に示せる機会だから。

ほかの選手がやっていることはあまり気にしたくない。ぼくはただ自分のできることをやるだけ。それで行けるところまで行ければいいなと。

(キミの左足のトップコーナーへのフィニッシュはイングランドでもクラブでも何度も観ているけど、あれはいつからやり始めた?……)

子どものころからずっと公園で練習してた。いつも右でプレイするのが好きだったから、そこから左足でカットインしていくみたいな。だから、もう長いことやってきた。だからいきなりってわけじゃないし、自然にそうなっていった。

(この前のポルトガル戦ではふたりの10のひとりとしてプレイして、アーセナルではブカヨがケガしてRWでプレイした。スペイスの見つけかたはファーストチームでもうまくなっていると思う?……)

そうだね、ぼくのことはナチュラルMFのように見えると思うけど、マネジャーがプレイさせたいポジションで、ベストでプレイしなきゃならない。だから、ぼくにとってはどこでプレイするとしても気にしない。アーセナルのファーストチームでならどこでだってプレイしたいから。プレイしていい仕事ができればハッピー。

(ポルトガル戦のあとオマリにも訊いたんだけど、キミたちはとても仲良しだし父親同士もそうらしいね……)※現イプスウィッチ・タウンのオマリ・ハッチンソンは元ガナー

もう長いことオマリとはいい関係だよ。ヘイルエンドでいっしょだったし、彼はいつもぼくよりもいくつか上の年齢グループだったけど、よくかまってくれて、ときどきいっしょにトレインしたり出かけたりした。

そのあと彼がチェルシーへ行っても連絡は取り続けていた。彼はいい友人。

(200人しか試合を観ていないU-17から今年はU-21、それにアーセナルのファーストチームは大きなジャンプアップだった。それにどう対処している?……)

ファーストチームフットボールというものは、基本的にすべてに対する準備だと思う。だから毎日ファーストチームとトレインしたり、その試合でプレイすることは、ぼくにとっては今後のための準備になる。

(オマリにキミのことを尋ねたら、彼はキミに自分を信じるようアドバイスしたいと云っていた。それはできそう? あるいはまだそれを探している最中?……)

いや云いたいことはわかるけど、ぼくはただプレイしたいだけなんだ。なにがあっても、来るものは来る。だから、ぼくはそれがベストなありかただと思う。

ぼくは外野のことはあまり考えたくない。タイトルだろうが、賞だろうが、なにがあっても、ピッチの上では自分ができることをやるだけ。

(Leeがキミはクリエイティヴになる必要があるみたいに述べていた。よりフリーになれるフォルス9でプレイすることは自分にとっていいことと思う?……)※Lee Carsleyは現在のイングランドU-21ヘッドコーチ

そうだね、たしかに以前ぼくはフォルス9でプレイしていた。何度もやったね。ぼくはマネジャーが要求するどの役割でもプレイできると思う。

(ミケル・アルテタはキミにとって初めての正式なボスになる。彼からなにを学んでいる?……)

ミケルから学んでいることはたくさんあるよ。彼に会ってみればわかるけど、彼がいかにインテンスか。話もうまいし自分が云うことをとてもよく理解している。

だから戦術のことだけじゃなくて、精神的なこととかすべてがある。人としてもレベルもある。彼にはたくさん助けられている。彼がぼくのゲイムをよくしてくれているのは間違いない。

(キミはキャリアのなかでこんなにも早く活躍していることに自分でも驚いている?……)

いや。だってこれは毎シーズンの終わりであり毎シーズンの始まりであり、どんなふうに自分がシーズンを終えるか見えるような気がするから。そういう能力みたいなものを持っている気がする。自分のなりたいものを可視化したり、自分の気持ちをそこに向けたりする。

だから、いまぼくはさほど驚いてはいない。いまはつぎのステップにたどり着くために、なりたいものになるために何をすればいいか考えている。

(ポジションをシェアしているサカから学んでいること……)

ブカヨは素晴らしいひとだよ。選手としてもすごい。正直学べることはたくさんある。ぼくらの関係は友だちみたいで、冗談を云ってることが多いから、深い話はほとんどしないけど、でもブカヨこそよく観察して学ぶべき選手だと思う。

そういう点で、ぼくは彼にはすごく助けられてる。

(さっきミケルに助けられていると云ったけど、これまでに具体的にどんなことがあった?……)

彼はボディラングエッジをよく使うひとで、それが彼が自分自身を表現するやりかたなんだ。ぼくにもよくそうする。

以前あったのは、ぼくの歩きかたとか、ちょっと猫背になったり座ったりする様子だけで、彼はすべてに気づいてしまう。それでぼくも気持ちが引き締まるし、とても助けられている。

(シーズンの終わりを可視化できるということは、新シーズンの終わりも可視化できる?……)

できるできる。

(教えてもらっても?……)

(笑い)いや、それは内緒にしておくよ。

(新シーズンの挑戦について。キミはまだだいぶ若いので乗り越える困難も多いでしょう?……)

間違いなく。たくさんプレイしていたときから、あまりプレイしなくなって。それもフットボールではふつうのことだと思うけど。だからあまり深くは考えない。結局はミケルの判断だし、それも理解している。彼だって全員を使いたくても、それができないから難しいと思うし。

でも、ぼくはそれはフットボールの一部で、そういう(困難な)ときが今後どうなるかを決めるのだと思う。ぼくは自分がうまくそれに対処していると思うし、いまは精神的にも肉体的にもいい状態だよ。

(キャリアの同じタイミングでともに台頭してきたマイルズの存在について……)

ぼくとマイルズの友情はとても重要だね。ぼくらはとても似ているから。それでいて正反対なこともある。

(彼と違うところは?……)

考え方はすごく似ていると思うんだ。同じように、同じことを考える。

でも、他人からの見え方としては、彼のほうがずっとオープンでぼくのほうがオープンじゃないように見えるかもしれない。

でも、ぼくらは似ているよ。ぼくらの友情は特別なものだと思う。

(キミはファーストチームのなかでどう自分のパーソナリティを出してる?……)

それはとくに問題はないね。みんなが通ってきた道だから。みんなかつてはキッズだったし、よくわかってる。だから、とてもやりやすくしてもらってる。だから大丈夫。

(キミはもっとアシストがほしいと云っていたけど、17-18才がシーズンG9 A2は立派。個人的にそれはどう感じている?……)

もちろん、それはよかったけど、つねにもっとほしくなるものだから。ぼくの目標は10ゴールだったから惜しかった。でもいいファーストシーズンだったと思う。だから、つぎだね。

(James McAteeがトレイニンググラウンドでのキミについて信じられないレベルと驚いていた。今回のトーナメントでもそのレベルは発揮できる?……)※マンシティ。U-21のチームメイト

もちろん。そのことはぼくの頭のなかにもある。

まずはチームを助けることで、ピッチで自分ができることはなんでもやる。そして、そのあとはさっきも云ったように、何があっても来るものは来る。ぼくは何を求められようが、チームを助けるためにここにいるのだから。

(キミのプレイを観ているとつねに前に向かおうとしている……)

ぼくは前に向かってプレイしたい。ポジティヴな選手になりたい。試合に影響を与え、試合をコントロールし、ゴールを決める。それがぼくのゲイムだと思う。それが自分のプレイ。

(来年はワールドカップイヤー。キミの目標は?……)

そうだね、でもそれはここにいる全員にとって同じだけどね(笑い)。

(これから自分のゲイムに加えたいものは? これから何に取り組む?……)

それはかなりたくさんある。守備面があるし、肉体的なキャパシティのこともある。このトーナメントで勝ってから、プリシーズンのあいだに取り組む。

(自分のFIFAレイティングについてどう思う?……)

なにそれ知らない。

(わたしが持ってる今年のカードでは93だった……)

そうなんだ。(あと7%)そうだね。。

(ちょっとオタクっぽい質問だけど、ナンバー22にはなにか意味がある?……)

ない。空いてたから?

(アーセナルのファンベイスはどでかい。そのプレッシャーにどう対処する?……)

問題ないね。それも漢になる過程ということだと思う。どんなことにも対処できないと。それがいいものでも悪いものでも。これまで問題になったこともない。

(このあとの2年後、5年後、10年後について……)

とてもワクワクしているよ。まだまだこれからだと思うから。

(ジローナではゴールも決めたCLについて……)

CLの夜は間違いなく特別なものだ。違うオーラみたいなものがある。相手はトップでぼくもとても楽しんだ。ぼくには新しい経験だったし、試合でプレイしてゴールすることはずっと夢見てきた。それができたのだから、とてもうれしかったよ。

(今シーズンで記憶に残っていることは?……)

マンシティでのゴール。

以上。なんか大人になった?

 

ぼくは昨日の夜にこのインタビュー映像をつらつら観ていて、これまで話す姿がとてもシャイに見えた彼が、なんだか態度が落ち着いているというか、大人たちに向かって堂々と話すようになったなあと思わず目を細めてしまったのだが、redditなどのファン反応を観ると、同じように感じたひとも多かったようだ。話し方には、ほのかな自信も見える。

それについて、この動画でずっと画面右側に映っている男性リポーターの影響もあるんじゃないかという指摘もあった。彼のイーサンへの接しかたに親しみや愛情を感じると。温かい眼差しがある。

ちなみに、ぼくは云われるまでわからなかったのだが、彼はArt de Roché氏だそうで、The Athleticでオーンステインやジェイムズ(gunnerblog)らといっしょにレギュラーでアーセナル系の記事を書いているライターだった。イーサンにこうしてインタビューする機会もあまりないのか、ちょっとウキウキしている感じがある。ファンか。

 

さて、ワネーリ。

今シーズンは、サカがケガしたことでRWのポジションでアルテタの信頼を得たものと思っていたら、サカの復帰もあり、その後はシーズン終盤にかけてプレイ時間がめっきり減ってしまったことはちょっと残念だった。

一時期ファンのあいだでそれが話題になっていたとき、プレス会見で記者に問われたアルテタは、彼のプレイ時間が減っているのは「チームとして考えがあって決断した」ようなことを述べていたのが印象的だった。それはなんだったんだろう。やはり本人も改善の必要があると述べているフィジカル方面のことなのか。プレイ時間を管理して負荷をかけすぎないようにしていたとか。それにしても、彼に与えた時間は期待されていたよりずっと少なかったように思うが。

しかし、いっぽうでほぼ同年齢のMLSは、LBとしてほとんどレギュラーのような扱いになっていた。この違い。このふたりは年齢は同じでも、身体の成長ぐあいで個人差があるということなのか、そのあたりはよくわからない。

このインタビューでも言及があるように、たしかに性格にはちょっと違いは感じるけども。MLSのほうが注目を浴びることを恐れない感じはする。そういう意味では、ワネーリに慎重になる理由はあるか。

新シーズンは、9とWG、オーンステインのことばを信じるなら、さらにサカのバックアップWGと、フロントだけでも2-3人の新規加入選手が見込まれるため、今シーズンのように緊急事態でも起きないかぎりはワネーリがRWでプレイする機会は多くないように思える。ひきつづきサカが絶対のレギュラーは間違いないうえに、それなりに優秀なシニアのバックアップWGがいたら、そのふたりでほとんどの全シーズンはカヴァできてしまいそうだ。なんならネリやトロサールもいる。

かといって、オーデガードのポジションで彼にどれだけのチャンスがあるかも、正直わからない。彼の将来はMFにあるというが、オーデガードがケガをしたときですらワネーリのMFでの起用は数えられるほどしかなかった。

U-21では、MF(8/10)でプレイしているっぽい。彼の本来のポジション。5月のイタリア戦。

場合よっては、ローンで毎週プレイできるクラブに行ったほうが彼の成長のためにはいいんじゃないかと思わないでもない。そういう議論もチームのなかであるだろうか。

彼のような選手が、毎週末を長い時間ベンチで過ごすのはあまりにもったいない。本来ならアーセナルU-21でプレイしていたって何もおかしくない年齢だが、あのクオリティならチャンピオンシップなどシニアレベルで経験を積んだほうがよさそう。

いずれにせよ、新シーズンはもっとプレイする彼が観たいものである。

 

最後に、ブカちゃんのワネーリに対するコメントで終わろう。彼もつい先日イングランドNTの会見で話をしている。

サカ:ぼくは、イーサンがトップタレントだということになんの疑いもない。彼がこの夏に(Euro U-21で)輝くのを楽しみにしているんだ。

彼の成功を祈るよ。必要なら、ここにぼくがいるって彼もわかってる。

♪You just call out my name and you know wherever I am… “You’ve got a friend” の歌詞みたいだ。イングランドの国民的弟だと思ってたブカヨも、もう立派な兄貴だなあ。

そういえば、ワネーリは写真撮影などでもあまり笑顔を見せないし、ファンのあいだではずっとシャイボーイという評価があったんだが、じつはサカも17才でアーセナルのファーストチームに入っていったときには「ひどくシャイだった」と、すこし前にパパ・ソクラテスがインタビューで当時を述懐していた。

みんないっしょである。

 

おわり



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