試合の論点
アーセナル vs ウェストハムのトーキングポインツ。
Heading into the break correctly ⚡️
Enjoy the highlights of our London derby victory 📺 pic.twitter.com/QqtqI2WMBj — Arsenal (@Arsenal) October 4, 2025
苦手なミッドテーブルチームに順当に勝利。エゼとオーデガードのダブル10で攻撃への野心みせるも?
ここしばらくのアルテタはとかく「ハンドブレーキ」や「守備的で慎重なアプローチ」と揶揄されがちだったが、この試合のチームセレクションからはかなり攻撃への積極性が感じられた。
とくに3MF。これまでのアルテタは、ライス、ズビメンディ、メリーノといった3人とも守備寄りのMFを選ぶことすら厭わなかったのだから、この試合のライス、オーデガード、エゼというAMを2人含めた3MFは、試合のアプローチそのもののシフトを感じさせるものだった。
だが、残念だったのはアルテタも試合後に述べていたように、オーデガードが早々にケガをしてしまったおかげで、この3人のケミストリが発揮される前に実験が終わってしまったこと。およそ30分。
攻撃に積極的とは云いつつも、アーセナルはわりとスロウスタートで、その30分だけを観るなら、正直そこまでうまくいっていたという印象はなかった。
その時間のWHUのミッドブロック守備を褒めるべきかもしれない。ニューカッスルの試合のような圧倒的にこちらがボールを持って相手を押し込んでいるときはともかく、ビルドアップフェイズでは、アーセナルのバックからのプレイは云うほど容易ではなかった。その時間帯は、エゼのタッチもさほど多くなかったのでは。
むしろ、チームの攻撃の勢いが出たのはキャプテンが退いた30分以降のことだった。キャプテンが退いてからというより、ズビメンディが入ってからと云うべきか。
だから、この試合ではズビメンディの重要性が再認識されただろうし、オーデガードとエゼの「ダブル10」に関しては、まだまだ進歩の余地があるように感じられた。
オーデガードは今後またしばらく離脱するかもしれないし、こういう試合でなければできない実験だったかもしれないので、このダブル10をつぎに観るのはいつになるかわからないが。正直、もっと観たかったと思う。ファンとしては、ああいうチームをずっと待ってたから。
結果としては、もちろんウェストハムのようなチームにホームで2-0で勝つことはできたことは満足ながら、試合前に期待していたような、これまでとまったく違った姿を見せるという意味では、ちょっと物足りなかった。あのチャンス量でたった2ゴールとは。
仮にサカの65分のペナルティがなければ、1-0で試合は進み、最少得点差ならどんな事故も起こり得た。あの内容でもし1-1みたいなスコアで試合を終えていたら、いまごろ死にたい気分になっていただろう。
アーセナルにもっとも必要だった、ゴール前での無慈悲さ。とくにミッドテーブルチームとの試合で。そこはまだ足りていないだろう。ヨクレスもなかなかゴールできていない。
フィニッシュに関して、ちょっと気になるのがエゼだ。
今シーズンの彼はPLでショッツ17でゼロゴールだそうで、これは現時点でのPLのワースト記録とか。彼はアーセナルに来る前も「ショッツボリュームの多いMF」という前評判であったが、たしかにアーセナルでもそういう感じはある。
それに彼は難しい体勢からでも枠に飛ばすし、シュートがかなり上手なほうだと思うが、なぜかGKにきれいに防がれがち。なんで? この試合でもそれがあった。それがライスのゴールにつながったので結果オーライではあるが。
アルテタは以前に云っていた。フットボールでもっとも難しいのはボールをネットに入れること。 そこがうまく行くようになれば、トップチームにも非トップチームにも勝て、このチームはリーグタイトルを取れるはず。今後も、ミッドテーブルとの連戦で試練はつづく。
今回もゴールレス。だがヨクレスの泥臭い貢献にチームからの高い評価
今回もヨクレスはゴール・アシストならずで、スタッツプロバイダーでは最低レイティングだったりする(SofaScoreで5.9)。
最後にゴールしたPLフォレストから、すでに3週間(5試合)が経過してしまったことで、心配になってきたファンも多いようだ。 ライバルファンだけでなく、一部のアーセナルファンからも否定的な声が上がっているのは事実で、あまり理想的とは云えない状況ではある。
彼に期待したのはあくまでフィニッシュであり、それで貢献できないなら、ジェズースとハヴァーツから進歩がないではないかと。彼らはオフザボールの貢献は疑われていなかったわけで。そういった意見も一理あるかもしれない。
しかし、アルテタやチームメイトたちからの評価はそれとはまったく違う。 アルテタは彼のチームへの貢献、とくにフロントで味方のためのスペイスつくりを非常に高評価しているし、今回試合後のサカも彼についてチームへの貢献に感謝のことばを述べていた。
アルテタ:わたしは試合後に彼のところに行ってハグし、ありがとうと伝えた。だって彼の仕事ぶりは信じられないものだったから。彼が相手のバック4を間延びさせて、スペイスを開けてくれた。今日彼がゴールしなかったなんて関係ないね。
サカ:彼がチームやチームメイツにもたらすものに、ぼくらもとても感謝している。彼はボールを持てるし、ランもできる。それが彼がチームにもたらすもの。彼のゴールはいずれ来る。
この試合後、ファンのあいだでよく云われていたのは、この試合では毎試合で恒例になっているサカのダブルマークやトリプルマークがつかなかったこと。
そのあいだウェストハムのDFたちがなにをやっていたかといえば、彼らは終始ヨクレスについていたという。彼はチームのために2CBをつねに引き付けていてくれる。これはフォルス9にはできないプロパー9の芸当。
このひとは、試合のなかのそういうシーンをまとめてくれていた。彼がチームメイトのためにスペイスをつくっている。アルテタが称賛していること。
Mikel Arteta on Gyökeres post West Ham game:
“The work that he does is unbelievable for the team. The way he stretches the back four and the spaces he opens.” Most of his attractions/pinning resulted in a chance in the box for his teammates. pic.twitter.com/1Dmvyt7qvZ — Kevin William (@kevinbahasbola) October 5, 2025
いまこの時点で彼にゴール貢献がないから、タッチがプアだからといって彼のことを批判しているひとは、ちょっと短絡的かもしれない。
ただ、ストライカーのメインの仕事はゴールで、それがなによりもチームへの貢献になることは事実であり。ストライカーの本懐はゴールでチームの勝利に貢献することだろう。
だから、 今後、できるだけ早く彼にゴールが生まれることを願ってやまない。彼だってヘイターを黙らせて、ファン全員に支持される選手でありたいだろうし。