こんにちは。
アーセナルは20-21シーズンを終え、21-22シーズン(プリシーズン)が始まるまでのブレイクに入った。もちろん今年は6月からEUROがあるため、参加する選手たちは、すぐその準備へ。大変である。
それと7月の東京オリンピック。セレソンにはアーセナルからふたりのガビが含まれているので、やるならやるでもちろん楽しみ。まあ、ぼくはいまもオリンピックの実施は疑っているが…… でももし彼らが国立競技場でプレイすることがあるのなら、千駄ヶ谷まで行ってみようか。同じ空気を吸うために。そしてホープ軒でギトギトしたやつをキメたら、将棋会館から明治公園へ走って「あああーーーーっっっ」と叫んで桐山くんごっこをやる。あ、明治公園もうない? 閉鎖? 聖地巡礼できないじゃんふざけんなオリンピック絶対許さな
おっと移籍の話だった。失敬失敬。
夏の移籍ウィンドウ。アーセナルにとってこの夏がどんなものになるか予想するに、今回はかなり大きく動く夏になりそうだ。
なぜなら、残り契約が少なくなりここで判断を迫られる選手が多くいるのはもちろん、ローンから戻ってくる選手もたくさんいるから。そしてアルテタ自身が「変化が必要」と表明しているように、マネジャーが現状のスクワッドに満足していないという理由もある。
彼の「4-3-3をやりたいが5-6つのポジションで選手が足りない」発言からすれば、レギュラー11人のうち半分に満足していない。
したがって、いま置かれている財政的な状況はどうあれ、アルテタの本心はクラブが許すかぎり選手を入れ替えたい。
この夏の移籍ウィンドウの展望を、冬につづいて今回も「スクワッド整理」・「スクワッド補強」と2回に分けて書いてみよう。
まずは既存選手の整理から。
ヨーロッパを逃し「小さなスクワッド」を余儀なくされる
まず、アーセナルのこの夏の移籍ウィンドウを占ううえでの大前提は、これまでよりも縮小したスクワッドにしなければならないということだ。
理由はもちろん来シーズンのヨーロピアンコンペティションを逃したから。1年でプレイする試合の数が大きく減るのだから(※20-21シーズンはELでGSからSFまで計14試合)、当然チームも余分を減らす必要がある。
できるだけ無駄な選手を減らすことは、ヨーロッパのプライズマニーを失ったことによる財政的な要請もあるし、そもそも大きすぎるスクワッドはアルテタ自身が望まないことでもある。
20-21シーズンでわかったことは、アルテタはチームに一体感をもたせるために、プレイするしないに関わらず、とにかく選手たちを試合に関与させようとしたこと。
ELの試合でとくに顕著だったのは、アルテタはスタート11人+サブ5人を大きく超えても登録枠にめいっぱい選手を入れていたことだ。毎回相手チームが枠を余らせていたこととは対照的だった。それは彼が試合でプレイしない選手にも、チームのメンバーであることを示すためだった。それはプレス会見でも述べていたことだ。
つまり彼は、チーム全体のモラルを保つために、できるだけ自分の選手をスクワッドから外したくなかった。
ということは、来シーズンもこれまでと同じ数の選手を抱えれば、試合数が限られるため、おのずとマッチデイスクワッドに含まれない選手が多く出てくることに。
だから、来シーズンに向けては小さなスクワッドにしていく。これは間違いないだろう。
そしてこれは多くのシニア選手の去就にも関わることで、いまレギュラーとしてカウントされてない選手、そのときの状況によって扱いが変わる、いわば当落線上にいる選手にはとりわけ影響が大きいはずである。
既存のスクワッドがどうなるか、今回は選手を残り契約ごとにグループにして見てゆこう。
残り契約2年以内の選手たち
基本的に残り契約2年以下の選手たちは、この夏にシリアスな検討対象になる。以下、TMより。
※以下、リストのなかで名前を赤字にしたものは、退団が決まっている、もしくは退団が危ぶまれる選手
契約切れ(2021夏まで)
- ダヴィド・ルイス
- マット・ライアン(ブライトンからローン→)
- マーティ・オーデガード(レアル・マドリッドからローン→)
- ダニ・セバーヨス(レアル・マドリッドからローン→)
このなかではダヴィド・ルイスとセバーヨスの退団が決まっている。
<ルイスとセバーヨスは退団>
ダヴィド・ルイスは、ファイナルデイに本人のドレッシングルームでのスピーチや、試合後のセレブレイションの様子も伝えられていた(ガブリエルが歯を折ったり笑)。
セバーヨスも昨日には本人からアーセナルのファンへ心温まるメッセージが発表されていた。
ルイスはもう1年キープするオプションもあったと思うが、この状況なら退団は妥当なところだろうと思う。ふたりの今後の活躍を祈念したい。
<オーデガードの去就。アーセナルは来シーズンも継続希望>
セバーヨスと同じく、レアル・マドリッドからローンのオーデガードは、1年ローンが終了しているが、現時点で来シーズンどうなるかまだはっきりしていない。
アーセナルは彼をクリエイティヴMFのファーストオプションとしてこのままキープを希望していると各所で伝えられている。すぐさまPLに適応し、あの若さであれだけのクオリティを見せられれば、そりゃそうだろうとしか云えない。
レアルではマネジャーのジダンの去就が決まっておらず、オーデガードの来シーズンのクラブでの扱いもまた不透明という状況で、アーセナルは本人と同じようにそれを待っているところ。レアルはリーグタイトルもCLタイトルも逃して、あちらはあちらで大変に不本意なシーズンだったため、チームの全員が放出候補なんて噂も見かけた。文化が違う。
オーデガード本人はレアルでのプレイを望んでいるとしながらも、各種コメンツからするとアーセナルのことも気に入っているようで、このままロンドンに残ることになっても不満はないようだ。29才くらいになってから100Mでレアルに戻ればいいと思う。
クリエイティヴMFは、アーセナルの夏のプライオリティのひとつと云われており、すでにセカンドオプションもサードオプションも持っているだろう。そしてかかるコストもほかのポジションより大きいため、彼の去就がどうなるかはアーセナルにとってもとても影響が大きい。つづけるにせよ、つづけないにせよ、できるだけ早く解決してもらいたいものだ。
<ライアンは残留?>
それとライアンもローンが終了しているが、こちらはローンの延長かあるいはパーマネント獲得か、アーセナルに残る可能性が高そうである。彼も昨日にはこんなtweetsをしていた。
2/2
thank you for making me feel welcome and making the transition into the family a very easy one, I look forward to continuing the relationships well into the future. Excited for what the future will bring. #thankyou pic.twitter.com/FQ1pFQgNWz
— Maty Ryan (@MatyRyan) May 24, 2021
I look forward to continuing the relationships well into the future. 少なくとも本人はアーセナルに残ることに前向きのようだ。
現時点で、ライアンはセカンドGKとしては十分と思われる。理想を云えばきりがないのだし。
残り契約1年(2022夏まで)
- アレクサンダー・ラカゼット
- モハメド・エルネニー
- デヤン・イリエフ(シュルーズベリー・タウンにローンから←)
- カラム・チェインバース
- エディ・エンケティア
- マテオ・ゲンドゥージ(ヘルタBSCにローンから←)
- セアド・コラシナツ(シャルケ04にローンから←)
かつてラウル・サンレヒがアーロン・ラムジーの教訓をもって、「もう選手契約を2年以下にはしない」とAFCの選手マネジメント方針を宣言したが、どうも骨抜きになっている。
あれからたいして時間もたっていないが、このようにクラブには残り契約1年になる選手が7人もいる。それだけ、アーセナルの内部で選手と交渉する余裕がなくなっているということかもしれない。難しい決断を先送りして選手価値を減らし、みずから首を締めてしまっている。ぐえー。まあCovidもありで、なにかとドタバタしていたのは事実だけれど。
この7人は、この夏がまっとうな金額で売る最後のタイミング。契約更新するか売却するかの二者択一になっている。
残念ながら、アルテタがこの夏に絶対にキープしなければならないと思っている選手はこのなかにはおそらくいない。この全員を積極的に放出したいわけではなくとも、適切なオファーがあれば断らない選手たちだろう。というか残り契約1年ということは、キープする意向がないかぎりは、オファーが適切でなくとも受け入れなければならない。だから、残り契約1年にしちゃいけない。学ばないと。
<エルネニーとチェンバースはキープ>
それでも残る(契約延長する)可能性が高そうなのは、エルネニーとチェンバース。
エルネニーはアーセナルのレヴェルの選手じゃないという一定の評価はあるが、それでも今シーズン何度もチームを助けている。スクワッドプレイヤーならという枕詞は外せないが、これだけクラブにロイヤルな選手をここで手放すとも思えない。コストもそこまでしないはず。契約延長しそう。
また、チェンバースも、おそらく来シーズン以降RBのレギュラーとしての未来は考えにくいが(RBがトップターゲッツのひとつと云われていることからも明らか)、バックアップのRBとしてハイレヴェルでプレイできることは十分示したし、CBとCMでもプレイできるのだから、よほどいいオファーでもないかぎりは、契約延長をオファーされそうに思える。ホームグロウンも貴重であることは云うまでもない。
チェンバースが契約延長となれば、彼はそれまでシーズンの大半はほとんど放出候補と見られていたのだから、ケガから復帰以降の活躍でみずからクラブでの未来を勝ち取ったことになる。ロブホと同じ。すばらしきストーリー。
<エンケティア>
エンケティアは、去年ウォルヴズからのオファーが伝えられていたし、ちょうど昨日はブライトンからの興味も伝えられていた。ビスーマの取り引きに加えられるんじゃないかとか(※BHAの噂はガセだという説もアリ)。
彼については、以前にティム・スティルマンのコラムでも、ウォルヴズのオファーを断ってからアルテタは彼を試合でまったく起用せず、価値を下げただけとそのハンドリングを酷評されていたが、オバメヤンとラカゼットがケガをしたときに頼れるストライカーは彼だったことを考慮するのがフェアだとは思う。ただ、そのせいで彼の価値がこの半年でかなり下がってしまったのだとしたら、非常にぜいたくな選択だったことになってしまうのはたしかだが。
エンケティアはラカゼットがスランプに陥っていたときに、彼にかわってスタートしたりとシーズンのなかでいくらかチャンスはあったはずだが、それを活かせず。オーンステインは一時「彼はアルテタの大の気に入り」と云っていたが、結局はシーズン後半の冷遇ぶりを観れば、信頼を勝ち取ることはできなかったと観るべきだろう。
エンケティアもラカゼットも現時点でもまだクラブから新契約のオファーがないということ。売却が濃厚だろう。
彼もまだ21才になったばかりでこれからの選手。アーセナルでは満足なプレイタイムを得られなかったが、イングランドのユースでもあれだけ実績を残しているのだから、それなりのヴァリュはあるはず。クラブから、この夏の補強資金捻出のための貴重なアセッツのひとりと観られていてもおかしくない。
<ゲンドゥージとコラシナツ>
ゲンドゥージとコラシナツは、アーセナルに戻るオプションはなさそうだ。
個人的には、ゲンドゥージのアーセナルでの将来にはたいそう期待していたが、あの若さでディシプリン・アティチュードに問題アリとなれば、さすがにつづけることは難しかったか。できるだけ高い金額で売れることを期待したい(現在のMVは£18M)。
いま彼にはオリンピック・マルセイユからの高い関心が伝えられているが、フランチリーグのクラブはTV放映権がどうたらこうたらでとくに金欠ということで、ほかのチームにも手を挙げてもらいたいものである。
コラシナツは、シャルケが降格してしまいそこには残る道はないようだ。アーセナルでも戦力としてカウントされていない。MVは£7.2M。できるだけ高く(以下略
イリエフは……まあいいか。
<ラカゼットの放出は不可避?について>
最後にラカゼットについて。この7人のなかで、アルテタがもっとも悩ましいと思っているのがラカゼットでないかと思う。
彼はスランプ期間はあったものの、結局チーム最多の得点を上げたし、またアルテタの戦術への適応はみごとだった。自分の得点チャンスが減ってしまうフォルス9は、必ずしもストライカーである彼自身のやりたいことではなかったろうが、それでもチームプレイヤーとしてその役割を受け入れて、十分やりとげた。とくに、シーズン終盤に見せた彼の周囲の選手を活かすリンクアッププレイは神がかっていた。アルテタも自分が望んだプレイを忠実に実行してくれたと、高く評価しているはずだ。
なので、彼をここで放出しなければならない状況はアルテタはすごくうれしくはないだろう。
もちろん彼をキープする選択もできると思う。だが、残念ながら現時点での判断としてはあまり建設的ではない。
彼をいま放出しなければならない理由はいくつかある。まとめればこんなところか。
- オバメヤンの存在
- 補強資金を稼ぐアセット
- 高年齢に大型契約を与えるリスク
20-21シーズンでアルテタがようやく(しぶしぶ)認めたのは、オバメヤンとラカゼットが共存できないことだ。そんなことはファンならとっくの前から気づいていたことだが、アルテタもほかのマネジャー同様それを認めたくなかった。だからオバメヤンのウィング起用にこだわった。なんなら、ふたりを同時に使うためにラカゼットをNo.10にもした。オバメヤンとラカゼットを単独でCFに起用するようになって以降、どれも苦肉の策だったことがわかる。
実際のところアルテタの戦術では、オバメヤンよりもラカゼットのほうがよく適応できているようにも見えたが、オバメヤンは契約を延長したばかりで、彼がこの夏に移籍する可能性は著しく低い。そのため、ふたりのうちどちらかを選ぶならオバメヤンを選ばざるを得ない。オバメヤンがフォームを落としていることを思えば、皮肉なことだ。
来シーズンは小さなスクワッドを余儀なくされるという状況もあり、試合では、最高給を支払うオバメヤンとラカゼットというスター選手たちのどちらか一方を、必ずベンチに置かねばならないというバランスの悪さ・ぜいたくさをこれ以上維持することはできないだろう。もしアルテタがラカゼットを大いに気に入っていたとしても、この状況を放置してまで彼のキープにこだわることは難しい。
ラカゼットは優秀ゆえに彼をほしがるクラブがあることも大きい。Covid禍で予算が限られたなかで補強をしたいときに、当然既存選手の整理によって得る資金がカギになる。ユヴェントスやアトレチコのようなビッグクラブから関心があると云われるラカゼットは、なかでも大きな移籍金が稼げる資産のうちのひとつで、適切な金額で売却するタイミングはこれが最後になる。
それと、ラカゼットとここで契約延長をするならば、当然大型契約になるが(オバメヤンの新契約を間近で見ている彼が控えめなオファーを受け入れるだろうか?)、アーセナルはそれをするなら、近年に起きているシニア選手との大型契約のリスクを思い出すことになる。エジルもオバメヤンも高年齢で契約更新してから劇的にフォームを落としたこと。また直近でもウィリアンのような事例がある。「もしワークしなかったら?」という懸案が現実になったとき、若い選手のときよりも受けるダメッジは格段に大きい。
1年を通してみれば、いいフォームでシーズンを終えたように見えるラカゼットながら、それまでもアーセナルでのキャリアのなかで大小のスランプを繰り返していたことを忘れるべきではないだろう。いざ契約を延長してさあこれからだというときに、またスランプに陥らない保障はどこにもない。これまでアーセナルのシニア選手たちとの契約延長事例を観れば、そうとう慎重になる必要がある。
よって、ラカゼットはこの夏に退団することになる。それが当ブログの見立てである。ヨーロッパを得ていたら、また状況は違っていたのかもしれないが、まあいまの状況では彼の売却はほぼ不可避だろう。
適切なオファーが来ず、フリー移籍を見越してあと1年残すみたいな、愚かしいことだけはほんとうにやめてもらいたい。
もうアニメ化しちゃえよ pic.twitter.com/v2mkTulnrW
— The AFC-Chan🌶🌶🌶 (@NewArsenalShirt) December 5, 2018
アニメ化ずっと待ってたのに。
本当にセドリックはなぜなんでしょうね。ペペとの連携もよく、練習も熱心に見えますし、代表にも選ばれて。何よりTOT戦後にジョゼの前でアルテタとこそこそ話ししてたので嫌われてはないんでしょうが…
攻撃のオプションとして来季はさらなる活躍を期待したい。
ついにオバラカ論争に終止符をうつときがくるのですね。オバの今シーズンのパフォーマンスを見ると、戦術的にもこの先かつての彼がもどってくるとは思えないので、どちらか一人ならラカゼットなんですけどね。
選手よりもまずアルテタとエドゥを”放出”しないと復権は夢のまた夢でしょうね。
ネルソン、マブロパノス、は売ってほしくないなあ。サカやロブホ/ガブリエウのバックアップ。ストライカーはオーバ→ガビ―→バログン、という序列?補強はPLの適応を避けるためにもPLからもっと実績のある若手を刈り取りたいですよね。それにしても、スペイン・フランス・イングランド・ドイツの正代表選手に、アーセナルが2人だけ(サカ、レノ)というこの体たらく。この2人もファーストオプションでもなさそうだし。フランス代表選手がゼロになる時代がくるとは(→レアルのファンも、スペイン代表に・・・と同じことを言っているに違いない)。どのクラブも過渡期なんでしょうが、我らも改革のときですな。
すっかりタイミング逃しましたが。
なるほどスクワッド縮小が必要なんですね。でも若い選手はローンに出すとかでキープする選択肢はないのかな?トップチームで可能性のあるユース出身の選手とかは貴重な気もするし。といって来年ヨーロッパに戻れないと意味ないしそのための補強資金として必要となるとあれか。難しいですね。