今回は若干タイトル詐欺で。
ふたりがそれぞれアーセナルのマッチデイプログラムでインタヴューを受けていて、それがオフィシャルサイトで公開されていたので、いっしょに紹介しようと。
折しも、このふたりは(おそらくラカゼットが退団するであろう)来シーズンからのアーセナルのファーストキャプテンとして、ファンによってよく候補に挙げられている。ちょうどいい機会なので、ふたりの別々のインタヴューをひとつのエントリにまとめた。キャプテン候補としてそれぞれのインタヴューを読むとまた味わい深いのではないかと思った次第。
最初に云っておくと、この記事でふたりのキャプテンらしさの比較みたいなことをやるつもりはない。個人的には、ふたりとも負けず劣らず、このチームのリーダーにふさわしいキャラクターの持ち主だと思う。
では順番に。まずは、いまから一週間ほど前に公開されたマーティン・オーデガードのインタヴューから。
※どちらも長い
マーティン・オーデガードのインタヴュー「ファンから応援される以上のことはない」
Long read: Odegaard on a life in football
このマッチデイプログラムのための独占インタヴューで彼は、彼の少年時代のノルウェイでの早い台頭について、10代でレアル・マドリッドでの選手になったこと、そしてアーセナルでの将来について語っている。
マーティンの父Hans Erik Odegaardも、1990sから2000sにかけて、ノーウェジャンリーグでプレイしたフットボーラーだった。そのためマーティンもスポーツのなかで育っていった。
MØ:ぼくはずっとフットボールの大ファンだった。思い出せるかぎりでも、ぼくはいつでもTVで試合を観ようとしていた。プレミアリーグは最大のリーグで、いちばん興味があった。だから毎週観ていた。
よく友だちと一緒になって観ていたな。大好きだった。それと、自分の町にあったクラブの試合もよく観に行った。だから、いつもフットボールを観て楽しんでいたんだ。
初めてスティディアムへ行って観た試合は、父さんの試合だったと思う。彼はノルウェイのトップディヴィジョンでプレイしていて、ぼくはまだちっちゃくて、たぶん5才とか6才だった。でも試合を観に行ったことはおぼえてる。
ぼくはDrammenで生まれ育った。でも父さんはぼくがまだ子どものころに新しいクラブへ移籍したから、Drammenのクラブでプレイしているところはあまり観ていない。父さんはSandefjordというクラブへ行って、ぼくはそこへ観に行くようになった。うちから1時間くらいの場所だった。
マーティンはほんとうに早熟だった。彼がStromsgodsetのファーストチームでプレイしたのは13才のとき(フレンドリー)。その翌年には、シニアチームのリザーヴに入っている。そこから、15才118日というノルウェイのトップリーグでは最年少記録の選手となった。デビューは2014年4月。5月にはリーグの最年少ゴールスコアラーに。さらにその二ヶ月後にはCL(予選)デビューも果たした。
彼はすでに当時ノルウェイNTのU-15、U-16、U-17に選出されていて、2014年8月には最年少NT(フル)選手に。15才253日でUAEとのフレンドリーで90分プレイした。
MØ:ぼくは子どものころから、ほとんどの時間をフットボールをプレイするか、フットボールを観戦するかで過ごしてきた。「フットボーラーになりたい」なんて考えるまでもなかった。
両親は、ぼくが歩けるようになってから、あるいは庭でボールを蹴り始めてからずっとぼくに云っていた。だから、フットボールに興味がなかった時間というのは記憶にないんだ。父はもちろんプレイしていたし、だからそれはつねにぼくの身近にあった。友だちもみんなプレイしていたし、みんなが興味を持っていて、プレイを始めたのは自然の成り行きだった。
自然の成り行きだったのは、彼がプレイを始めた直後からすごい才能を見せたこと。ノーウェジャンフットボールにもあきらかであり、とくにStromsgodsetにとっては、神童を手に入れたようなものだった。
彼は周囲の関心に慣れる必要はあったが、彼に云わせれば、それはふだんの自分を失うようなものではなかった。
MØ:ユースレヴェルでプレイを始めたときは、まだたくさんのひとが試合を観ていたわけじゃなかった。ステディアムみたいなところでプレイしてたわけじゃないし。ピッチのまわりに親が何人かとほかのひとがいたくらい。
でも、ぼくが15のときにファーストチームで最初の試合をしたときには、その年齢にしてはたくさんの観客の前でプレイした。それはぼくがよく覚えている試合。それ以外ではNTのユースでの試合をいくつかプレイしていたけど、あんなにたくさんの観客がいる試合はなかった。ファーストチームフットボールでプレイするまでは。
(16才でレアル・マドリッドへ移籍)ショックを受けたとまでは云わないけど、完全に大きな変化だった。
Stromsgodsetのステディアムはせいぜい7,000。それが突然マドリッドのベルナベウで80,000人がいる。でもいずれにせよ多すぎるとは思わなかった。ただ楽しんだ。
ぼくはひとの前でプレイするのが好きだ。ピッチではつねづねファンが重要だと思っていた。チームを助けてくれるし、エナジーを与えてくれる。だからぼくはいつも楽しめる。だから、ぼくが知っているものから、そこまで変化があったとも思わなかった。
マドリッド加入選手が伝統的に行う、メディアとファンの前でのボールスキル披露?
MØ:ハハ。ぼくはそれはやる必要がなかったんだ! 加入当初、ぼくはファーストチームでトレイニングはしていたけど、100%ファーストチームの選手というわけでもなかった。ときどきセカンドチームでプレイしていた。プレゼンテイションはあったのだけど、プレスの前で写真を何枚か撮ったりしただけ。だから、ファンの前へ行ってボールジャグリングをやらずに済んだ!
レアル・マドリッドでのファースト・シーズンは、ジダンのカスティーリャで過ごしたが、ついに14-15シーズンの最終日にファーストチームでプレイすることに。ヘタフェ戦の残り30分でアンチェロッティから声がかかる。それがラ・リーガでプレイした選手の最年少記録となる16才157日。
MØ:イエス。ぼくはロナウドと交代だった。それはシーズンのラストゲイムで、ぼくは長い時間デビューを待っていた。すごくプレイしたかった。試合の前には、たぶんぼくが出ることになるとは聞いていた。
でも試合のなかでけが人がふたり出てしまって、チャンスが得られないんじゃないかとそわそわした。でも、ウォームアップするように云われて、出た。ファンのレセプションはよかったな。たぶん、彼らもやっとぼくがプレイするので興味深かったんじゃないかと思う。
ロナウドと交代でピッチへ出て、そこはちょっと非現実的だった。ぼくは16才で、交代したのは世界でベストの選手。クレイジーだった。でも若かったから、そこまで考えすぎなかったし、そんなに違いがないと思ったのかもしれない。いまだからこそ、あのときを振り返ると、あれがいかに特別だったかわかる。デビューでロナウドと交代というのがまた。ああいう状況でも、楽しむしかなかった。
(世界最高のステディアムのひとつ)慣れるのにすこしだけ時間がかかった。チームメイツが何を云っているのか聞こえないし、コミュニケイションが難しい。最初はそれがかなり大きかった。でも、いまでもネガティヴにも、大人数の観客の前でプレイする難しさも考えたことはない。クールだって思うだけ。それが好きだし、ファンの存在を感じるのはいつも好きだ。
空っぽのステディアムでプレイするのはひどい。アドレナリンもないしプレッシャーの感覚もなし。ぼくはそれはいつでもポジティヴなプレッシャーだと観ている。そのプレッシャーが好きだから、必要なんだ。
以降、4シーズンのうち3シーズンでローンで別のクラブへ。最初はネザーランドのHeerenveenとVitesse。それからラ・リーガへ戻りReal Sociedad。2020年の1月にはアーセナルへ。
MØ:ぼくはいくつかの国でいくつかのクラブでプレイした。いろんなファンのためにプレイできたのはラッキーだった。アーセナルではとくに楽しんだよ。スペインでも楽しんだ。Real Sociedadのファンもブリリアントだし。もちろんマドリッドはとても特別な場所。
対戦相手だと、アンフィールドにとてもいい雰囲気があったと思う。彼らはチームにたくさんのエナジーをもたらす。エミレーツ以外では、イングランドでももっとも感心した場所のひとつだ。イングランドにはたくさんのいいステディアムがある。どこの雰囲気が一番か云うのは難しいな。
マーティンにとってPLは気に入りになりつつある。アーセナルでデビューした1年後の12月にはPL Player of the Monthアウォードもノミネイトされた。このリーグで評価を高めている。それはファンのおかげだと彼は云う。
MØ:イングランドの雰囲気はぼくがプレイしてきたどことも違う。ここのファンからのパッションは大好きだ。彼らがどれだけフットボールを大切にしているか、自分たちのチームを大切にしているか。クラブとのつながりも。英国フットボールにはぼくが大好きなたくさんの伝統もあるし、プレイするにはグレイトな場所だ。
(アウェイでの歓迎?)ビッグアトモスフィアがあるステディアムでは、それが難しくさせることがあるというのはほんとうだ。ホームでプレイするときはファンのサポートがある。相手には難しくしてくれる。だから、アウェイでのプレイはより難しいのは間違いない。ファンが彼らのチームをプッシュするし、口笛を吹いたり、そういったことをやってくる。
試合でその影響を受けることはある。しかし、同時にそこはぼくがフットボールでかなり好きなところ。ファンが大きな部分を占めるスポーツであり、プレイしているときにエナジーを感じられることはとてもクールなこと。自分たちのファンから応援される以上のことはないね。
食事で外出したりすると、たくさんのファンに会うよ。みんなが興味しんしんだということはすぐわかるし、チームについてとてもとても大切にしていることもわかる。外でよりも、ソーシャルメディアでもっとそうかもだけど。アーセナルはソーシャルメディアでの存在感がすごいから!
ぼくもたくさんのメッセージをもらう。とくに契約に近づいていたとき。ファンにはすごく加入を後押しされた。彼らは四六時中メッセージを送ってきた。家族とかにも! それはぼくには珍しかった。ときどきやりすぎなことはあるけど、たいていは彼らの情熱からくるものだと思うし、それだけ彼らが大切にしているということ。
ぼくはロンドンでの生活がとても気に入っている。やれることがたくさんあるけど、自宅にも近いし、家族に会いに行くこともかんたん。家族がぼくに会いに来るのもかんたん。フットボーラーなら、所属クラブがどこだろうが日常生活にはたいした違いもない。みんなに同じルーティーンとスケジュールがあるから。
だから、ピッチ外のことが違いになるし、ロンドンにいるのはとてもナイス。行くところも、やることも溢れている。ぼくのホームはここだと感じている。
以上
彼がレアル・マドリッドに移籍したのが16才のときということは、いまから7年前。。そしてまだ23才。なんというキャリア。プレイが成熟しているのもうなずける。
パパもフットボーラーだったとか、インタヴュー自体は興味深いものではあったが、このやりとりの内容だと、あんまりキャプテンぽいところは出ていないかな。
そういう意味では、もっと、チームが困難だった時期のことを訊いてほしかったという気がしないでもない。こういう凪いでいる時期だからこそ。アーセナルに来てから、本人のフォームが落ちていたときもあったし、チーム状態が悪いときもあった。それをどう乗り越えてきたのか。乗り越えようとしてきたのか。
オーデガードは、現在ノルウェイNTのキャプテンということもあるし(22才でキャプテンに抜擢)、やはり若くしてチームをまとめる能力があると認められるのは、フットボールが上手というだけでなく、それだけ特別な才能があるんだろう。そういうところが垣間見れる内容だったらもっとよかった。
今朝観かけた驚きのデータ。
𝐂𝐫𝐞𝐚𝐭𝐢𝐯𝐞 𝐙𝐨𝐧𝐞𝐬: 𝐏𝐫𝐞𝐦𝐢𝐞𝐫 𝐋𝐞𝐚𝐠𝐮𝐞 🏴
Where do Premier League teams create their chances from on the pitch in 2021-22?
Arsenal have been the most prolific through the middle, while surprise, surprise Liverpool are the most threatening on the right… ⬇️
— The Analyst (@OptaAnalyst) March 1, 2022
@OptaAnalystによると、今シーズンここまでのPLで、アーセナルより中央エリア(左・中央・右の3分割)からのチャンスクリエイション割合が高いチームはいないのだとか。46.3%。すべてのチャンスの半分に達しそうな勢い。しかも、昨シーズンはそれがリーグワースト2位(32.7%)だったというので、今シーズンはわりと劇的にプレイのスタイルが変わっている。
アーセナルのMr. No.8、マーティン・オーデガードの貢献が非常に大きいように思える。やっぱり彼がおれの観たいアーセナルにしてくれた。。
後半はKTのインタヴューを。
お疲れ様です。
見事にタイトル詐欺にひっかかりました。笑 禁断のテーマを持ってきたなぁと。いちおう自分の中で答えは出しているんですが、両者とも大好きなので公言するのは憚れる感じで。。なんならもう二人で話し合って決めて欲しいですね。笑
この件も結果がどうなろうと明るい未来にしかならないと思っているので、ワクワクしながら妄想を楽しんでおきます。COYG!
新しいCF は必ずほしいですが、ラカゼットはベンチにいてほしいですね。彼はこれまでのベテランたちとはハートが違う。
オーデガードもティアニーもいいですが、ベンジャミンもよさそう。ラムズデールも。
今は少数精鋭って感じですが、国産のワールドクラスの選手もたくさんいるし、みんな優等生な感じでもう未来しかないですね。
ここにマルセイユから帰ってくるであろうサリバはなじめるのでしょうか。そこがちょっと気になってます。
僕が好きなのはラムズデイルかなあ。前節の前半はジャッジがウルブズ寄りで、嫌な雰囲気になりかねない所でも全然動じてなかったと思う。HTから出てくる通路でアトキンソンとゲラゲラ笑いながら話してて、あの筋肉系の陽気さはすごい。
chanさんが絶賛退団キャンペーン中のラカ(w)も、一番イライラする時間帯に相手の負傷者に肩を貸してたり(早く出てくれって事だが)、アピールはするけど険悪にはならない。ちょっとでもイラついた素振りを見せれば相手を勇気づけてしまうんで、現実問題として必要な態度だったと思う。
超絶に上手いウーデゴーアがああいう部分まで背負うとしたら、そりゃもう完全人格というか、神様的なリーダーじゃないかと思う。ちょっと怖いくらいの凄みのある。でもその時代が来るとしても少しだけ先で、まず今シーズンを成功させないと。まだこのままスンナリとは行かないんじゃなかろうか。
彼が俺が観たいアーセナルにしてくれた、、、(泣
ウーデゴーはレアルでハブられてたのはなんだったんですかね。とっても好青年です。ティアニーとどちらかというのは甲乙つけがたいですがどちらであっても素晴らしいキャプテンになってくれると期待しています。
甲乙つけがたいようですが、オーデガードには攻撃のクリエイティブに専念してほしいので、ティアニーの方がいい気がします。(オーバメヤンもキャプテンにならないようが、得点取ることに集中できたのではないかということと同じです。)
ここにラムズデールも加わって甲乙丙つけ難いですが、個人的にはKT推しです。
上で言ってる人もいますがØにはクリエイティブに集中してもらって。。。
キャプテンやったらすぐ移籍のジンクス壊して欲しいですねー。
完全で獲得したばかりのウーデゴールより、3年目でエメリの苦しい時期も経験しているティアニーの方が良いかもしれないですね
リーダーグループはウーデゴール、ジャカ、ラムズデール、ホワイトらで構成されるのかな
ガブリエルは熱くなり過ぎるのでそこを治してからですね
ジャカが残るならラカやホールディング、レノが退団してもある程度安心出来ます