hotいま読まれているエントリ

Arsenal, Controversy, News

ヴィラでアーセナルのゴールを認めなかったレフリーはリヴァプールファン。レフのサポートクラブと試合割当ルールの是非

今朝、twitterで観た驚きの事実。

先週末のPLアストン・ヴィラ vs アーセナルで、ホームチームにとって有利になる疑惑の判定をやったレフJarred Gillettが、じつはリヴァプールファンだったというのですな。

もちろん現在リヴァプールとアーセナルはトップを競う関係で、彼にはリヴァプールを利する判定をするインセンティヴがある。実際アーセナルはこの試合で敗けたことで、リーグテーブルにおいては1位と2位が入れ替わっている。

このような重要な局面で、そのような人物がレフリーを務め、そして、あのような判定をしたということ??

これはまた議論になりそうな。

※弊ブログにおいては、しばらく前から「Controversy」というカテゴリを設けておりまして、今回のようなエントリがそこに入りますので、以後よろしくどうぞ



リヴァプールサポーターのオーストラリア人レフ、Jarred Gillett

Jarred Gillettは、Aリーグにおいては5回A-League Referee of the Yearを受賞しているオーストラリア人のレフリー。

ウキペによると、イングランドに来たのは2019年(EFL)、2021/22シーズンからSelect Group 1に選出されて、PLの試合も担当するようになったようである。

今回の話題では、彼がリヴァプールファンということが明かされている2019年の『GOAL』の記事が発掘されていた。

Why Jarred Gillett’s Anfield adventure will be his last | Goal.com

この記事によれば、Gilletは子どものころからのリヴァプールサポーターで、2021年のリヴァプール vs ミランのレジェンドマッチで4thオフィシャルを担当した試合が、憧れのアンフィールドでレフを担当をする最初で最後の機会になるだろうと伝えられている。

Fox SportsのコメンテイターBrenton Speedが、本人から聞いたという談話。

しばらく前に彼から聞いたんだ。(アンフィールドに戻れない可能性について)それは秘密にしておいてほしいんだと。だって、もう指名してもらえるかどうかわからないからと。

あれが彼がアンフィールドでオフィシャルをやる最後の試合になる、なぜならば、彼はそこでレフリーをやるためには、自分が(子どもの頃/大人になっても)サポートしているクラブを書類に記入しなきゃいけないから。彼は、それはリヴァプールだと云っていた。

つまり彼は、彼らの試合からは外されるということだ。ホームでもアウェイでも。

アーセナル関連のスタッツマスター、Orbinho氏。

どうもこの記事は本当らしい。Jarred Gillettはリヴァプールのファンだから彼らの試合をオフィシエイトできないのに、同じリーグのライヴァルの試合はできるって、すごく奇妙だ。

彼がすべてのチームに対して中立で偏りがないと信じられるのか、あるいはそうでないのか?

あたしもこれはおかしいと思う。とくにああいう試合をやったあとでは、なおさらバイアスが疑われる。

そもそもPLにおけるレフの試合割当はどういうレギュレイションなのか?

サポートするクラブは担当できない? ライヴァルクラブはできる? どうなのか。

ちょっと調べようと思っていくつかググってみたのだけど、FAの資料とかめっちゃ量あるし、結局よくわからなかった。時間ぎれ。知っているひとがいたら、あとでこっそり教えてください。

探しているうちにこのような記事をみつけた。また『GOAL』なのは偶然。

Which football teams do Premier League referees support? | Goal.com

「PLのレフリーはどのチームをサポートしている?」という2022年の記事。なんだか読んだ記憶がある。

この記事のなかに、その疑問の一部を答えてくれそうなくだりがある。

PLレフリーはサポートするチームを担当することが許されているか?

驚くべきことではないが、とくにPLレヴェルにおいては、あるクラブからオフィシャルたちの担当を防ぐルールが存在している。

PL試合のレフを指名する組織であるPGMOLの元ヘッドKeith Hackettはこう述べている。

「どのシーズンでも開始時には、レフリーのバックグラウンド情報が監査される。彼らは、どのチームをサポートしているか、担当してきた試合履歴、住んでいる地域といったことをフォームに記入し、それが指名されるときに利用される。確認だ。たとえば、シェフィールドに住んでいるレフならば、シェフィールドのチームの試合には指名されない」

Northumberland出身のMichael Oliverは、子どものころからサポートしているクラブ(※ニューカッスル)への愛情を隠していない。その結果として、当然彼の試合は限定される。

OliverがDaily Mailに伝えた「わたしはニューカッスルの試合は決してレフリーをやらない。われわれは、特定のクラブに忠誠があるか、あるいは家族が特定のクラブで働いていないか宣誓をしなければならない。そのチームに関係するどんな試合でもそれはできない。わたしはサンダランドではできないのは、明白な理由がある

なぜならニューカッスルはつねに降格バトルをやっていて、3月か4月になれば、わたしはそのあたりのボトム3の試合ではレフリーはできない。もしニューカッスルが残留まであと1ポイント必要で、たとえばヴィラと争っていたとすると、わたしはヴィラの試合でもできない。やりたくもないだろう」

バーミンガム出身のAndre Marrinerが、アストン・ヴィラとの絆について「わたしもできるだけ試合には行く。ふたりの子どもはシーズンチケットホルダーだ」。彼は、ヴィラもバーミンガムの試合も関与できない。もっとも以前には、2回ウェストブロムの試合を担当したことはあるが。

Jon Mossは、地元クラブであるサンダランドの試合は担当しない。だが、09/10シーズンにはチャンピオンシップで2回ニューカッスルの試合を担当したことがあった。

Craig Pawsonは、彼が選んだチームでは指名されない。シェフィールドのライヴァル同士である、ユナイテッドとウェンズデイ、あるいはDoncasterとRotherham。

彼の同郷であるSouth YorkshireのDarren Englandは、かつてBarnsleyで働いていたこともある、TykesとDoncasterが関わる試合ではレフリーはできない。

うーん、つまりレフの地元だったり気に入りのクラブだったりを担当できないという、いちおうのルールはあるけど、ライヴァルクラブに関しては、そこまで厳密に運用されていないみたいなこと?

この記事には、各レフリーのサポートしているクラブの一覧がある。Mike Deanのトランメアは有名ですかね。この記事は、先にあげたGOALの記事のあとなのだけど、Jarred Gillettのサポートクラブは「不明」になっている。

RefereeClub supported
Martin AtkinsonLeeds United
Stuart AttwellLuton Town
Peter BankesUnknown
John BrookesUnknown
David CooteUnknown
Mike DeanTranmere Rovers
Darren EnglandBarnsley
Kevin FriendBristol City and Leicester City
Jarred GillettUnknown
Tony HarringtonHartlepool
Simon HooperSwindon Town
Rob JonesUnknown
Andy MadleyHuddersfield Town
Andre MarrinerAston Villa
Jon MossSunderland
Michael OliverNewcastle United
Craig PawsonSheffield United
Michael SalisburyUnknown
Graham ScotSwindon Town
Anthony TaylorAltrincham
Paul TierneyWigan Athletic

興味深いのは、ここにあるクラブはほとんどが非ビッグクラブであるということ。これがおそらくPGMOL等の公式の情報ではなく、レフ本人が明かしている情報だとすると、ビッグクラブのサポーターというのは、なにかと面倒がありそうなので、公開は避けられる傾向があるのかもしれない。Jarred Gillettのリヴァプールなんて、その典型的な例。だったりして。

ルールを厳格に適用すべき?

フットボールのレフリーという仕事を目指すような人物が、子どものころからでもサポートするチームがまったくないなんてことはほとんど無理だろうから、ある程度はしょうがないとは思う。

だが、レフが指名されない試合が、彼がサポートするクラブそのものだけでなく、明白なライヴァル関係にあるクラブも対象になるというのなら、理想的には、今回のような時期的なライヴァル関係にあるリヴァプールとアーセナルまで、気を使って指名をすべきだったんじゃないだろうか。

そもそも、試合のなかから少しでも公平性が揺らぐような要素を排除したいから、こうしたレフの指名ルールが存在しているのだろうから、より突き詰めてそうすべき。

もっとも、現状の運用ルールに加えて、さらにそのときのテーブル状況まで考慮しなければならないとなれば、限られた人数のなかでかなり難しいシフト調整が強いられることになるが。

ただ、試合のフェアネスを考えたときには、それも必要だろうと思う。シフト調整は、技術的に解決してもらいたい。

だって、当事者としては、やっぱりやりきれないから。

これは、べつにアーセナルのファンじゃなくたってそうだろう。自分のサポートするチームが、いままさに同じ場所を競うライヴァル関係にあるチームをサポートしているレフに不公平に扱われたなんてことがわかったら、やっぱり納得はできないはず。

今回のことが今後大きな話題になるのかどうか。注目。

 

おわる



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

2 Comments on “ヴィラでアーセナルのゴールを認めなかったレフリーはリヴァプールファン。レフのサポートクラブと試合割当ルールの是非

  1. まぁこれくらいの規模のエンターテイメントならこういう公平性には気を遣って遣い過ぎることはないと思います。
    疑問なのはNewcastleではclear&
    obviousではないとしてGoalが認められたのにVillaではとてもclear&obviousには見えないのにGoalが認められなかったこと。
    VARレフにはclear&obviousに取り消すべきエラーを見つけたってこと?
    あるいはMainレフが最初にGoalの笛を吹かなかったから?(だとしたらMainレフは何をもって先にNoGoalと判断したのだろう??)

    すみません。まだフラストレーション残っていてついコメントしてしまいましたが、こんなときにもいつもレビュー更新頂いているのとても感謝してます!

  2. サッカーを愛するものとして好きなクラブはしょうがないと思います。ただ仕事として正しくやって欲しいです。アーセナルが勝ってればこんな話題すら上がらなさそうでしたけどね笑 プレミアリーグはイングランドのプロリーグではあるが、もはや世界的な人気のコンテンツであるため、今後も世界を魅了していくため審判のレベル、ジャッジの整合性、公平性は上げていって欲しいです。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *