トレイラ獲得がついに公式発表となった。
Lucas Torreira to join Arsenal
われわれにとっては積年の願いが詰まった「本物の」ディフェンシブ・ミッドフィルダー。これが素晴らしい補強となることを祈ろう。
トレイラについての過去エントリ
今日(昨日)はワールドカップのセミファイナル、ロナウドのユーヴェ移籍、マーレズのシティ移籍などが重なったこともあってか、一般的にはトレイラの獲得はさほど大きなニュースにもなっていないが、われら的にはもちろんトップニュースである。
当ブログではここまで何度か彼について書いてきたので、改めてプロファイルやプレイスタイルなどを書く必要もなさそうだ。まだ未読の方は過去エントリをご覧ください。
カソルラ+カンテ? NEXTヴェラッティ? アーセナルがルーカス・トレイラ獲得へ向けて本格始動
「トレイラはブスケツ以来の逸材」元コーチの証言
さて今回は、twitterでも予告したようにSKY SPORTSのおとといのAdam Bate氏の記事をざっくり紹介したい。
Lucas Torreira to Arsenal: ‘Best tactically since Sergio Busquets’
なお見出しはブログ主によるもの。
アーセナルが失っていたものをもたらす
ルーカス・トレイラのアーセナルへの移籍は、ウナイ・エメリにとってとても大きなものになる。かつてイタリアで選手を率いたコーチとともに、アダム・バテがなぜこのウルグアイ人MFがまさにアーセナルが久しく失っていたものであるかを考察する。
アーセン・ヴェンゲルはかつてアーセナルの問題について指摘されたとき、南米産のストライカーたちについて議論をしていた。ヨーロッパではもうストリート・フットボールは死に絶えていると。
ヴェンゲル「賢いところ、自分がどれだけ優れいているか見せる必要があり、そして戦う必要がある。より明確にいうなら、それは個人のスキルを伸ばすが戦う姿勢をなくしていく。われわれのフットボールはそういったことを失っている。」
ウルグアイ、しばしば”garra”として言及される世界、ではチームはなんというかこう度胸とかガッツみたいなものを意味するが、しかしおそらくそれは皮肉でもある。それは、アーセナルのミッドフィールドにあまりにも長いあいだ欠けていたキャラクターだ。22才のルーカス・トレイラは若いかもしれないが、彼は違いをつくることができるそういった性質を持っている。
「トレイラはブスケツ以来、最強のMF」
Marcello Donatelliは2015/16シーズンにペスカーラでアシスタント・マネージャーを務め、トレイラのクオリティを間近で見ていた人物だ。彼の最初のことばのひとつは”garra“(※ウルグアイフットボール不屈の闘争心を表す語)であったが、トレイラにはそれ以上のものがあると主張した。
Donatelli「彼のテクニック、彼の決意と戦術的インテリジェンスはいつも感心させられたものだ。彼はいつも戦術の守備面での理解に非常に長けていて、試合の流れを読むことについてもとても成熟していたよ。グレイトなインテリジェンスで中盤に生まれるギャップにうまく対応できる。彼はスペースを埋めるし、守備フェイズではライン間でパスカットする。セルジオ・ブスケツ以降では、彼は戦術的にヨーロッパ最強のMFだよ」
ルーカス・トレイラ物語。がんばり屋の少年ルーカス
トレイラ・ストーリーはハードワークとコミットメントのたまものだ。
彼はモンテヴィデオで、自分の野心を求めて16才でFray Bentosにある家を離れた。姉のEstefaniとともに毎日バスでトレーニングに向かった。
彼のクラブ、Wanderersが何人かの有望な選手をイタリアのクラブ、ペスカーラのトライアルに送ったのが2013年のことで、トレイラの名前は最初はまだリストに乗りもしなかった。
彼はチャンスのために戦わなければならなかった。彼の父Ricardoのことばを借りれば、彼は”しゃにむに無鉄砲”(the knife between his teeth)で、クリスマス以降までトライアル期間が伸ばされた唯一の選手だった。
この最初の数ヶ月はティーンエイジャーにとっては簡単なものじゃなかった。彼はウルグアイではシニア・フットボールさえまだだったし、給料もよくなかった。ただで髪を切ってもらうために、バーターで働かなければならないくらいだった。
しかし彼はがんばり続けた。トレイラをイタリアに連れてくる手助けをしたスカウトであるRoberto Drudaが、彼が足を怪我しているのを見つけたとき、ドクターからは何ヶ月かの離脱になることで彼がショックを受けないようにうまく伝えてほしいと頼まれたくらいだった。まともに歩くことすらできないというのに、トレイラのフットボールがしたいという強い気持ちを慮って誰もが彼に真実を告げることに尻込みしたという。
ポジションのコンバートで開眼
イタリアでのターニングポイントはポジションチェンジだった。
トレイラはWanderersでの最初のころはフォワードとしてプレイしており、その後にアタッキング・ミッドフィルダーにコンバートされた。しかし、当時のペスカーラでユースコーチをしていたワールドカップ優勝ディフェンダーでもあったMassimo Oddoは、違う見方をしていた。彼はトレイラに、そのポジションにこだわるならポテンシャルを発揮できないだろうと伝えたのだった。
Donatelli「Oddoは彼を中盤のプレイメイカー役からディフェンスの前のポジションに動かすアイディアを持っていた。だからOddoがセリエBでファーストチームのヘッドコーチになったとき、彼は自分の直感を信じてただちにその役をトレイラに任せたんだ。それは結局彼のキャリアを変える決断だった」
トレイラによると、彼が新しい役割に適応するには時間を要した。最初、彼は負けたと感じた。しかし彼には、フィジカルとうまくマークができるという天性のインテリジェンスがあった。また縦パスの能力も持っていたことは彼を単なるディフェンダー以上のものにしていた。やがて彼は、いまではPSGのスター選手である元ペスカーラのプレイメイカー、マルコ・ヴェラッティに例えられるようになっていった。
サンプドリアへのステップアップ
ペスカーラでの不可欠な存在になっていたのちに、トレイラは親クラブであるサンプドリアに移籍が決まり、翌年にはファーストチームにストレートで入っていった。
彼はそれ以来、2年でセリエAの試合に欠場したことはたったの5試合しかない。彼の低い身長にも関わらず、彼は5フィート6インチ(※168cm)しかない、中盤に大きな影響力を与えていた。
トレイラは昨シーズンに100以上のタックルを記録した。セリエAではトップ3の数字である。彼はまたインターセプションで6位、パス本数でもトップ10に入っている。Drudaは彼からはもっと期待できるだろうという。一度は彼をアンドレア・ピルロの後継者としてユヴェントスに推薦したこともあったくらいだ。
「彼はフィールド中盤のコンピュータだ。彼に付け加えなければならないものは何もない」
アーセナルのトレイラ
これがアーセナルが獲得した選手だ。いまだ成長中でこれから何が出てくるかわからなくてワクワクさせらる、最近Fray Bentosにいる家族に肉屋を買ってあげた漢。3月にウルグアイNTにデビューしたばかりのヤングスター。しかしすごいのは、彼がいまではワールドカップの経験を得たということだ。
ウナイ・エメリはヴェンゲルの退陣をきっかけにアーセナルの再構築を図っている。彼はふたつの相反しそうなチャンレンジに取り組もうとしている。この新監督は何人かのヤングプレイヤーたちでスクワッドをリフレッシュさせる必要があるが、同時にチームをワークさせるために戦術的な老練をもたらす必要もある。奇遇にも、トレイラと彼の”garra”は、どちらのイシューについても助けとなるかもしれない。
以上。
訳は雑ながら大筋は間違ってないと思う。
彼のひととなりが知れましたな。
そして元フォワードであり元AMであると。彼の攻撃センスはその影響があるのでしょうな。
ちなみに冒頭にリンクしたアーセナル公式でも、くわしく彼のプロファイルに触れられている。そちらも合わせてどうぞ。
トレイラについてエメリのコメント
ボスもトレイラ獲得について喜びのコメントを寄せている。
エメリ:ルーカス・トレイラ、われわれは試合でとても輝く才能を持った若い選手と契約した。グレイトなクオリティを持ったミッドフィルダーで、過去2シーズン、サンプドリアでのパフォーマンスも楽しませてもらった。そしてワールドカップでもウルグアイのために非常によくやっているのをわれわれは見た。彼の若さに関わらずすでに経験もあり、そして成長し続けることを欲している漢だ。われわれはルーカスをアーセナルに歓迎する。プレシーズンからチームに加わってくれることを期待しているよ。
ウェルカム・トゥ・アーセナル、ルーカス!!!
そういえば、エメリのことをボスと呼んでいいのだろうか? ヘッドコーチってボスなのかな。。