17/18シーズン、UEL初戦となったホームでのFCケルン戦。試合内容も決してほめられたものではなかったが、終わってみれば3-1と勝利。面目を保った。
そして今回もしかしたら試合そのものよりも注目を浴びたのが、2万人ともいわれるケルンサポーターが大挙押し寄せたことで生じたトラブルだ。試合時間も1時間遅れ、怪我人や逮捕者も出るなど、結果的に両クラブともにUEFAからペナルティが与えられるらしい。アーセナルはとんだとばっちりである(とばっちりといえば、ぼくは試合を1日間違えて前日にも4時起きしているわ、当日も1時間待たされるわで散々だった)。
ケルンサポーターの大行進やエミレーツ・スタジアム前や試合後のスタジアム内での暴れっぷりなどの映像もちらりと見たが死人とかでなくて本当によかったと思う。FCケルンは今回ヨーロッパの舞台に立つのは25年ぶりらしく、サポーター諸君はうれしすぎではしゃいでしまったということらしい。
アーセナルのスターティングイレブン
サンチェスを90分使うとは驚いた。当然週末に温存すると思ったから。逆にそれほどチェルシー戦でまともに使えるという期待が薄かったということだろう。まだ100%には程遠い動きだった。日曜はベンチに違いない。
しかしサンチェスは終始表情も暗く、得点したときでさえ複雑な心境がアリアリで自分がいまだアーセナルの一員であることが信じられないといった様子だったが、なぜ彼はまだガナーなんだろう? 夏の時点で内外にはっきりと移籍希望を明らかにしておけばこんな事態にはなっていなかったのに。引退後に発表される自伝で明らかにするつもりなんだろうか。興味ないが。しかしあんなグダグダでも誰よりも結果を出すことには本当にイライラさせられる。
スターティング予想ではほかにムスタフィとジャカを使うという当ブログの予想は外れた。AMNの左WBは当てたね。割りと驚きがあったみたいだから大穴だったかも。
アーセナルVSケルンの論点
コラシナツがやばい
もう議論の余地はない。今季のアーセナルはコラシナツにかかっている。
Sead Kolašinac at home for Arsenal this season:
225 minutes
156 passes
100% shot accuracy
6 tackles won
2 assists
1 goalFan favourite. pic.twitter.com/pAJNuYVizP
— Squawka Football (@Squawka) 2017年9月15日
ところでゴールを決めた後に彼がお腹をめくって何を見せていたのか。中継ではほとんどわからなかったが、ケルンのサポーターたちにシャルケのウルトラスのシャツ?を見せていたという。なんという漢。郷土愛。
Kolasinac revealed a Schalke jersey to the Koln fans when he scored. What a hero. pic.twitter.com/Ubm7TNQzdB
— Renato (@th14Renato) 2017年9月14日
ホールディング、イウォビの自信喪失が心配
とくに前半で変えられてしまったロブ・ホールディング。3CBで自信を付けたのかと思いきや、ここへ来てズルズルと調子を落としている。中盤でパスの受け手がいないなどまわりのサポートにも問題があるが、センターライン付近の定位置から出しどころに窮して単独ドリブルで敵陣に突進、ボールを奪われポッカリと開けたスペースを使われてカウンター発動、というやられ方はもう何度も見た気がする。毎試合観ている気がするのは気のせいか。プレイに迷いがあるということは、つまり自分のプレイに自信を失っているんだろう。いいときの彼と比べると雲泥の差がある。
そういう意味でアレックス・イウォビのプレイもどこかちぐはぐな印象を受けた。今回久しぶりにCMでスタートとなったが、ポジショニングが悪いのかボールを持つ機会が少なく、パスミスも多かった。狭いスペースのなかで動き回ってパスを散らしときにドリブルでボールを持ちこんでという彼の適性を考えれば、CMでの起用は決して間違っていないと思っていたが、この試合ではうまくいかなかった。ポジションの問題なのか、彼自身の問題なのか。おそらく両方だろう。イウォビも今季初出場ということでプレイタイムもめっきり少なくなり、試合勘、自信、いずれも低調だ。今後が心配である。本来はちゃんと補強をして彼みたいな有望株はローンで毎週プレイできるクラブに出すべきだったのだ。
ジルーとウォルコットが低調
試合勘といえば、ジルーとウォルコットもこの試合大した見せ場もなく終わり試合勘の欠如を感じさせた。
とくにウォルコットはヤバい。悪い意味でヤバい。つねにDFラインの裏を狙う動きはファイナルサードでスペースを作るためにアーセナルにとっては非常に重要だが、まず何度もオフサイドを取られてしまうのは出し手とのタイミングが合っていない証拠だ。また裏に抜け出せてもCBとGKの間でボールを受けてからシュートまで持っていくことができない。
もちろんウォルコットにとっては引いた相手で使えるスペースが少ないという不利はあったが、ここで活躍しないことにはいつまでたってもベンチウォーマーは免れない。シーズン始まったばかりでフィットネスも整っていないこの時期に憂うのは時期尚早かもしれないが、やはり心配である。
その他
ジャック・ウィルシャーが久しぶりに登場。無難なプレイを見せた。五分五分でボールを競り合うシーンは一瞬ヒヤッとしたが、怪我をすることもなく終えた。終盤に相手ゴール前で見せたネルソンへのフリックはおれたちが観たかった非常にジャックらしいプレイだったと思う。今後彼はふつうにファーストチームに入ってくるのだろうか。
AMN(アインズレイ・メイトランド・ナイルズ)はよかった。無難に左WBをこなしたし、後半4バックでCMにポジションを移してからもなかなかの動きだったと思う。ジルーたちとの短いパス交換でドリブル突破、GKと一対一になったシーンは惜しくもGKに弾かれてしまったがアレが決まっていたら彼がこの試合のヒーローだったかもしれない。
期待のリース・ネルソンは出場時間が約10分と短かった。もっと長い時間観たいものだ。週末のチェルシー戦でもベンチに入るだろうか?
3バックか4バックか議論が再燃
ケルン戦でまた試合中に3バックを4バックにフォーメーションを変えてうまくいったことで、いくつかのメディアではアーセナルが3バックシステムと4バックシステム、どちらを採用すべきか議論されている。
なかでもアツかったのはSKY SPORTSのこの記事。「アーセナルの3バックはいつも失敗する運命?」
MNF Extra: Was Arsenal’s back three always doomed to fail?
おなじみのジェイミー・キャラガーが、データを交えてアーセナルの3バックシステムが決して成功しているわけではないと指摘している。
昨季の終盤3バックに変更してから8戦で7勝と結果を残したのも、それはあくまで精神的な理由からとバッサリ。データはむしろ3バックに変更したあとのディフェンスの悪化を示しており、実際にレスターに3失点、リヴァプールに4失点と、EPL開幕から失点を重ねている。そしてなにより、ヴェンゲルは本当に3CBでやっていくつもりならなぜCBを補強しなかったのかと、疑問を呈している。
※写真は当該記事より。「Expected Goals(予想得点/予想失点)」というSKY独自の指標を利用したデータ。3バック以降では予想失点が大幅に上回っている。
ボスはケルン戦後の会見でフォーメーションについてこんなふうに語っている。
ヴェンゲル:相手によってとか場合によってとか、両方のシステムを使いたい。長い間4バックで戦ってきたから、3バックから4バックに変えることはわたしにとって簡単なことなんだ。
しかし、当然ながらSKYに指摘されるまでもなくアーセナルのスカウティング部門だって、3バックが大して成功していないというのは把握しているだろう。でもだったらなぜいまだに3バックにこだわり続けるのかは、大いに疑問である。
3バックのコピー元といわれるチェルシーとの一戦はどちらでいくのか。興味深い。