イングリッシュプレミアリーグも8月なかばには開幕ということで、シーズンが近づくと各メディアで新シーズンのタイトル争いについて展望記事が出始める。
ぼくの観測範囲でいち早く展望記事を出したのは、毎度おなじみのSquawka。移籍市場が閉まるまではいまだどのクラブも改善の可能性を残しており、タイミング的にはいささかフライング気味ではあるが。。
22年ぶりにマネージャーが交代となって大きな変革のときを迎えているアーセナルが、今シーズンのリーグタイトル候補だとまじめに考えているひとはファンでもさすがにいないだろう。が、まあわれわれの予想にたがわずがっかりするような結果を突きつけている。
昨シーズンには、このブログでもシーズン開幕前に各メディアやパンディットの展望記事を横断して紹介したが、今回はSquawkaの記事は比較的一般の客観的評価に近いと感じられたので、とりあえずこれだけ先に紹介してみよう。(開幕前には本格的なエントリをアップする予定)
昨シーズン(17/18)版の予想まとめ。いま見ると答え合わせができて結構おもしろいよ。
【まとめ】フットボールメディア、解説者たちのEPL17-18順位予想(※随時追記)
ここでもアーセナルはトップ6最弱の前評判どおりで結果も順当。リヴァプールやToTあたりは比較的予想以上の結果を残したといえそうだ。サラーがあそこまでブレイクするとはシーズンが始まる前は誰も考えていなかった。
Squawkaのプレミアリーグ・タイトル展望18/19
トップ6チームの各評価は以下となる。
アーセナル
タイトルオッズ:20/1
今夏最大の獲得は:ルーカス・トレイラ
Squawkaレイティング:5/10
寸評:1996年以来の監督交代があり今シーズンどれほど期待できるかは未知数。エメリのプレッシングスタイルはまさにヴェンゲル時代の後期に失われていたものだが、アーセナルのアプローチがどれだけ変わろうとも、18/19シーズンは変革期の真っ只中。
エメリはラ・リーガでもセヴィーリャのボスとしてトップ4フィニッシュしたことはない。3シーズンで2回の5位フィニッシュと7位が1度だが、ELの3連覇がこの成績を覆い隠している。
エミレーツではトップ4フィニッシュが期待されるが、タイトルチャレンジャーであると周囲に認めさせるにはまだ程遠いだろう。
チェルシー
タイトルオッズ:12/1
今夏最大の獲得は:ジョルジーニョ
Squawkaレイティング:7/10
寸評:チェルシーのこの4シーズンの最終順位はおかしなパターンになっている。1位、10位、1位、5位。このパターンが続くなら、この5年で3度めのチャンピオンになることになる。そんなシンプルにはいかないだろうが。
アーセナルのように、チェルシーもまたこのシーズンを展望することが難しい。多くのスター選手、クロトワ、アザールやウィリアンの去就がいまだ不透明でもある。サリは現状のスクワッドに自信を植え付けなければならず、サリも希望しているようにさらに新選手を獲得する必要がある。
とりあえずタイトルの本命とはいえないものの、彼らを外して考えることもできない。
リヴァプール
タイトルオッズ:4/1
今夏最大の獲得は:ナビィ・ケイタ
Squawkaレイティング:8/10
寸評:リヴァプールは移籍市場で弱いポジションを的確に補強していった。アリソンに、ケイタとファビーニョが中盤を補強し、それにフロントの3人をカヴァーするシャキリ。結果としてリヴァプールは昨季は4位でフィニッシュしたが、今季は間違いなくマンシティの脅威となるはずだ。
もちろん、彼らは89/90シーズンからリーグタイトルに縁がなく、クロップのもとでトップ3に食い込むこともできていない。しかし、クロップはいまではほしかった選手を獲得したし、それにワールドクラスのゴールスコアラーであるサラーは今季も30得点以上は期待されている。
マンチェスター・シティ
タイトルオッズ:4/6
今夏最大の獲得は:リヤド・マーレズ
Squawkaレイティング:9/10
寸評:シティにとっても昨シーズンの記録破りの100ポイントを再現することはかなり難しいだろう。しかしあの記録は18/19シーズンでもプレミアリーグの本命と目されるに十分だ。2007から2009のあいだにマンUがリーグ3連覇したが、グアルディオラのチームはもっともその類の成功に近いチームだといえる。
KDB、シルヴァ、サネは昨シーズンのフォームを続けられるだろうし、シティが今シーズンもタイトルを取らない理由はない。マレズを加わりさらなる補強でチャンピオン本命だ。
マンチェスター・ユナイテッド
タイトルオッズ:7/1
今夏最大の獲得は:フレッジ
Squawkaレイティング:7/10
寸評:昨シーズンも序盤はタイトルチャレンジャーだと思われた。しかし、彼らは急速にしぼんでしまい、うるさい隣人にあらゆる記録を破られてしまった。しかし、モウリーニョのチームはそれでも2位につけ、終盤でシティを破り驚かせた。それは彼らがトップ6相手にメンタルで負けていないことを示していた。
いまだユナイテッドのスクワッドはシティにとって脅威となるものではなく、20回めのタイトルを目指すなら移籍市場が閉まる前にさらなる補強が必要だ。モウリーニョのやり方はオールド・トラフォードでも賛否両論があり、とりわけチームの一体感の欠如は心配のたねとなる。
ToT
タイトルオッズ:16/1
今夏最大の獲得は:(なし)
Squawkaレイティング:6/10
寸評:ポッチェティーノのチームはこのEPLの3シーズンで連続3位ともっとも安定した成績を残している。それが彼らがすでに持っているクオリティを表している。
しかし、今夏のここまでの投資のなさは、リヴァプールの積極的な投資を考えると、ToTの3位フィニッシュは怪しくなってくる。
タイトル争いの展望で5位だったとしても、彼らがトップ4フィニッシュしてももう誰も驚かないだろう。しかし、ワイハーレーンをベースにした新スタジアムへの移行もあり、もう一度のトランジションイヤーである今季にタイトルを取れというのは無理な注文である。
以上。
<Squawkaのトップ6順位予想>
この記事では、順位予想は書いていないがオッズとレイティングからすると、
- シティ
- リヴァプール
- マンU
- チェルシー
- ToT
- アーセナル
という結果順位予想となる。つまらん予想である。お前の予想はつまらん!(大滝秀治)
このなかで特筆すべきは2位予想のリヴァプールだろう。彼らは今夏もっとも野心的な補強をしており、クロップは逆にこのスクワッドなら2-3シーズン内にタイトルを取らなければ失敗だとプレッシャーがかかっているくらいだ。滅びろ。
18/19アーセナルのタイトルチャレンジ
まあ難しいよね。冷静に考えて。誰かに指摘されるまでもない。
もちろんエメリのファースト・シーズンということもハンデになるだろうし、現状で優勝を狙えるほど総合力のあるスクワッドとは思えない。
いくらいつになく積極的な補強をしているとはいえ、よく考えればわれらが手に入れたと喜んでいる選手はソクラティスやリヒトシュタイナーというのが現実である。いくらポジティブな妄想を楽しもうとも、残念ながらそこは認めざるを得ない。
トップ6に勝てる予想はしにくいが、ネガティブ要素ならいくらでも思いつきそうな気がする。
セーブ率がかなり低いというGKレノで大丈夫か?
ソクラティスとムスタフィのCBコンビはトップクラスといえるか?
ベレリンは伸び悩んでないか?
ジャカは結局プレミアに適応できたのか?
ウインガーは?
控え選手のクオリティは?
エメリは本当にグアルディオラやクロップ、ポッチェティーノ、サリやモウに比べられるトップクラスなのか?? CLクラスというよりELクラスじゃないのか? エトセトラエトセトラ……
欲をいえばキリがないのは十分承知。しかしアーセナルほどの規模のクラブ(※最新のフォーブスランキングで世界第6位のフットボールクラブ)が、いろんな意味でライバルクラブほど野心を見せていないことにはいつまでたっても納得できない自分がいる。
アーセナルがリーグ優勝する未来……
アーセナルが近い将来タイトルにチャレンジすることができる可能性がわずかでもあるとしたら。
エメリ体制でポジティブな結果が得られて、
現有スクワッドのなかから大ブレイクする選手が現れて(POTYレベルで)、
さらに誰もが納得するようなビッグネイムを補強して。
プレミアリーグという競争の苛烈なリーグでは、それくらいでやっとアーセナルがタイトルチャレンジャーと呼ばれるべきチームになるのではないだろうか。
最後のリーグタイトルからもう15年。道は険しいなあ。COYG