オールド・トラフォードで行われたマンUとアーセナルの戦い。
世が世ならシーズン一のビッグマッチだったろうに。2018年12月現在、この2チームにかつてのリーグ2強の面影はない。
フィジカルのインテンシティだけは奇妙に高いわりに、両チームともどこか集中力を欠いたパフォーマンスだったような気がしてならない。
この試合で生まれた4得点のうち、3点はお互いのエラー(ミス)によるもので、もう1点はオフサイドを見逃す誤審でゴールですらなかった。
OTで1ポイント取れたことはアーセナルにとっては最悪の結果ではないが、2度に渡り追いつかれるなど、やはり3ポインツ取れなかったことが悔やまれる。
内容からすれば結果に満足しているのはアーセナルではなく、むしろホームのマンUのほうだろう。
NLDのあとだったから余計にそう思えたのかもしれないが、ぼくには終始とても大味な試合のように感じた。
アーセナルのファースト11
予想どおりのバック3だが、ゲンドゥージよりAMNを選ぶというぼくの予想は外れた。そりゃそうか。
それとラムジーをスタートから使ってきた(キャプテン)。
ユナイテッドのほうもバック3を採用したのは、モウリーニョのアーセナル対策だったかもしれない。
マッチスタッツ
だいたい見た目どおりのスタッツだが、SoTはマンUのほうがだいぶ多かったというのが少々意外。
Arsenal vs Manchester United Running xG pic.twitter.com/12XaTtBsjX
— Scott Willis (@oh_that_crab) December 5, 2018
xGは全体的にはアーセナルがやや優勢。スタッツのうえでも、アーセナルが勝ってもおかしくはない試合だった。
ボスの試合後のみことば
(これはチャンスを失ったということになるんでしょうか……)
エメリ:グドゥイーブニン。わたしは、わたしたちのワーク、どのようにプレイしたか、どう反応したかについてとても誇らしく思っている。なぜならわたしたちは勝てる位置にいた瞬間もあったが、とても早く追いつかれてしまった。
セカンドハーフには選手たちは勝ちを求めて戦った。そしてユナイテッドよりもわれわれのほうが3点目に近づいていたと思う。デ・ヘアに2-3回いいセイヴをされてしまった。
(ホールディンとラムジー……)
今日最悪なことはロブ・ホールディングのニュースだ。ドクターを待たなければならないが、大きなけがかもしれない。膝だ。ラムジーは小さなけがだ。
ふたつのけがのあと、選手たちはいいコミットメントと難しい局面でもパフォーマンスをつづけるメンタリティを見せてくれた。しかし90分を通してはわたしたちが望むような試合のコントロールはできなかった。セカンドハーフには自信を回復したが。
ベストとはいえないが、ワーストともいえないし、もし土曜(※ハダースフィールド)に勝てればポジティヴだ。
わたしは選手たちには今週をやり遂げる必要があると話している。だが、まずは休息だ。選手たちはとても疲れていた。日曜にフィジカルなToTとの試合があったのでノーマルなことだ。
(フラストレイションを感じてますか……)
いや。フラストレイションは感じてないよ。わたしは選手たちを誇りに思っている。だって彼らはサポーターのためにとてもいい試合をしたからね。フットボールを愛するみんなが、この試合はよかったと思うだろう。
(最初のユナイテッドのゴールはオフサイドだったのでは……)
そうだね。それはわかっているし、VARが導入されれば起こりえないことだ。レフェリーにも難しい判定だけどね。ときどきはそれが自分たちに有利に働くし、相手にそうなるときもある。でも、わたしはレフェリーの判定が結果を決めたわけではないと思う。われわれが試合をコントロールしたと思うし、もし片方のチームが勝ちにふさわしいというなら、それはこちらのほうがよりふさわしかったろう。
(ロホはセントオフされるべきだった……)
さあ。わからない。たいていはレフェリーにとっては難しいところだ。わたしがこちらにやって来て、レフェリーたちにもたくさんのパーソナリティがある。わたしはそれらも彼らの判定もリスペクトする。それが彼らの決断ならそれで構わない。
彼らはときにはミスをするときもある。しかし(今回は)彼はどちらのチームにもフェアだったと思うよ。
(パフォーマンスのスピリットについて……)
アウェイで、マンUのようなチームに対するチャレンジだった。おそらくそれが今日のベストポイントだと思う。われわれが今日戦ったのはとても競争力のあるチームで、こちらのスピリットもよかったと思う。90分のあいだに2回追いつかれても反撃しようとしたし、どの時間でも勝利を求めていた。それがわたしたちのスピリットだと思うよ。ふだんユナイテッドはここでたくさんのチャンスをつくるが、今回われわれはそうたくさんのチャンスをつくられたとは思わない。
自信、競争レヴェル、自分たちのやり方の面で、とてもポジティヴだったと思うことができるだろう。
(コシエルニについて……)
ローランはわれわれとともにプレイする日がとても近づいているよ。彼はU-23で2試合プレイして、最後にプレイしたのは火曜日だ。いつ彼がわれわれとプレイできるか? まだわからないが、土曜日に可能性はある。しかし、もしかしたらELのカラバグ(12/14)が彼にはいいかもしれない。
前向きだなあ!
今回、試合後に失点の原因になり落ち込んでいたコラシナツに対してかけたことばが「優しすぎエメリまじ人格者」と話題になっていた。
BT Sportsに語った。
エメリ:(結果について)いいや。フラストレイションはないよ。
たとえば、セアド・コラシナツは試合後に頭をうなだれていた。わたしは彼にこう伝えたんだ「セアド、キミはとてもいい試合をやった。攻撃でわれわれにたくさんの得点チャンスをもたらしてくれたじゃないか」ってね。
そして、一方で(彼のミスのような)そういったことは起こりうる。つづけていかなければならないし、つねにポジティヴで失敗から学ぶんだ。
今回はとくにモウリーニョだから、エメリとのコントラストがすごいよね。
彼はまた試合後に選手たちに対してクレームをつけていたみたいだけど(選手個人の良さをこれ以上引き出すのは無理だとか……)、エメリはミスした選手を責めるどころか長所をほめて伸ばそうとする。理想的な教育者だね。
試合の論点
すぐ追いつかれる
この試合アーセナルは2得点しているが、それぞれ4分後と1分後に追いつかれている。
なにあれ?
試合プレヴューで、「劣勢からカムバック」がヴェリストロングな両チームと紹介したが、まさにカムバック合戦みたいになってた。
まあユナイテッドが追いついたというよりは、アーセナルが追いつかせてしまったという感じである。あれは集中力の欠如だよなあ。
エメリの改善ポイントになったに違いない。
ハイインテンシティとラフプレイ
ユナイテッドのハイプレスはちょっとすごかった。
けどアーセナルのバックラインも落ち着いて対処できていたほうじゃないだろうか。
このガツガツ来る展開に一番乗り切れてなかったのは、ゲンドゥージだろう。
彼は何度か身体をぶつけられてボールを奪われるシーンが見られた。彼の様子を見ていると毎度ファールを当然取ってもらえると思い込んでいたようだが、そうはいかないのがPLである。
そういったところは経験不足だったと思う。おそらくジャカだったら、ああいった奪われ方はしなかった(うっかりはやるけど)。
ゲンドゥージといえば、最初の失点につながる危険な場所でのフリーキックを与えたのも彼で、あの場面はいかにも余計なファールだった。そのあたりにも彼の試合へのノレてなさが現れていた。
それと、ガツガツ来ることについては、ぼくはそれも英国フットボールの一部だと思うからいいのだけど、ラフプレイはいけないと思う。あんなに何人もの選手が接触で痛がって倒れるなんてアーセナルの試合では久しぶりに見た気がする。ストークじゃないんだからさ。
アーセナルも少し付き合ってしまったところがあるが、ああいうのは見ていておもしろくないので、低レヴェルなやり合いをファイトとかバトルみたいなことばで美化しないでほしいね。
ホールディングはラッシュフォードにキツいタックルを食らって、シリアスなけがになっている可能性があるという(ファールですらなかった)。ファーストチームで定位位置を確保しつつあったホールディングにとってはまさに最悪だ。
そして一番腹がたったのはみんなそうだろうけど、もちろんこれである。
Fellaini must not be allowed to get away with this. #RetrospectiveAction pic.twitter.com/1RlFer8k2H
— AFCPressWatch (@AFCPressWatch2) December 6, 2018
これもカードなしだもんね。これふつうにレッドでいいよね? 試合後に追加で罰とか受けないんだろうか。
ツイッターなんかでフェライーニがゲンドゥージの髪に嫉妬したとかつまらない冗談を見たけど、おれはひとつも笑えない。なにより危険だし、こういうプレイを平気でやる選手はフットボール世界から永久追放でいいと思う。
けがでアーセナルのプランは台無し。けが人対策を求められるチームマネジメント
この試合、アーセナルの思い通りに試合運びができなかったのは、そういうわけでけが人が出た影響がとても大きい。
前半だけでふたりも交代となってしまっては、得意のセカンドハーフの調整の冴えを見せるのも難しかった。
3人交代してしまったあとに、ラカゼットが痛んだときはどうなることかとヒヤヒヤした。
エメリが来てから忘れかけていたけれど、けが人でチーム状況が苦しくなるのはアーセナルの例年のお約束でもある。
これまでそれが深刻な問題にならなかったのは、けが人自体が少なかった(?)のとやはり以前よりも選手層が厚くなったということだろう。
しかし今後連戦がつづき、今回のようなけが人がまた出てくることは当然予想できる。エメリのコメントではこの試合でみんなクタクタになっているというし。疲労があればそれだけけがもしやすくなる。
この局面をうまく乗り切ることはアーセナルにとって大きな課題になるだろう。
ロウテイションももちろん大事だが、1月の移籍市場。冬の補強がシーズン後半の鍵をにぎるかもしれない。
たたかいの記録
アーセナルはこれで20試合無敗。現在ヨーロッパ5メジャーリーグのなかで最長。
モウリーニョのチームはPLのアーセナル戦16試合で負けたのは一度のみ(W7 D8 L1)。
エメリはモウリーニョのチームに勝ったことがない(W0 D2 L4)。
アーセナルが今季前半で先行したことがないのは継続中。
プロジェクト84進捗状況
一応マンUもトップ6にカウントしてたので、今回のドローでひとつ貯金ができたことに。
だから、トップ4フィニッシュに向けたポイント取得率は31/30だから100%を超えたというですな。やったね。
試合については以上。
最近のアーセナルニュース
ウェルベックと契約更新をしない?
Danny Welbeck to leave Arsenal on free transfer
先日ちょっとざわついていた、ダニー・ウェルベックの契約が更新されないという件。
これいろんなところでいっせいに報じられていたので、わりと信憑性が高いニュースなのかもしれない。
各種報道によれば、アーセナルは現在けがで長期離脱中のウェルベックと契約を更新しないことを決めたという。それはエメリの意向であるともいわれている。ウェルベックの契約は今シーズン限りなので、つまり来年の夏にはフリー移籍になると。
彼はシーズンいっぱいは離脱だといわれているので、まさかのこのまま終了?
Arseblogでは、先日サンレヒが彼についてあらゆることをサポートするといっていたばかりなのにと指摘していたが、AFCの方針が変わったんだろうか。
一説には、来夏に戻るネルソンやほかのヤングガナーたちのために席を空けるためともいわれているが。。
ラムジーとウェルベックが両方いなくなるって、また結構チーム変わるなあ。
そのうえいましきりに噂されているエジルの退団なんかもあった日には、予想外に早くエメリ色が強く反映されたスクワッドになりそうだ。
以上
つぎの試合は日本時間で土曜深夜24:00キックオフのPLハダースフィールド(H)。
久しぶりに明らかな格が下の相手。でも簡単に勝たせてはもらえないんだろうなあ。COYG。
初めてコメントします。
いつもご自身の分析や様々なソースからの情報をまとめていただき、
興味深く読ませていただいています。
エジルやサンチェスのせいか、契約最終年まで選手側がサインをしない場合、
最終年までもつれ込む → 高額年俸での引き止めまたは好きな(フリー)移籍
ということで、選手側が有利とずっと思っていました。
ところが最終年に怪我や病気なりで思うように働けなくなるまで想定するなら、
最終年突入後までサインしないという選択は、選手側にとってもリスクがあるのだなぁと、今更ながら感じています。
ラムジーやウェルベックをもって、これからは君らの都合で最終年まで引っ張るってこういうことだぞ、
とクラブが(他の選手に)示す、ということもあるのでしょうか。
エジル方式の真似は許さない、という意味も含めて。
こんばんは。
クラブが姿勢を示すってのはあると思いますよ。ラムジーの件なんかはまさにそれだと思いますね。エジルが例外だってことはわからせないと。
とにかくどんな状況でも、今後交渉の主導権を選手側に渡すつもりはないというアピールは必要でしょう。
あとアーセナルは選手の給与体系を整理したいみたいですね。平均的な選手にも大金を出してるって批判もあるので。
チーム内の立場(年齢とか)でいうと、ラムジーやウェルベックは比較的高給が必要な選手たちなので、彼らを放出したい理由はクラブに少なからずあるでしょうね。
こんばんは。朝からモヤモヤする試合展開でしたね
マンuの先制のフリーキックはゲンドゥージが突っ込んだとはいえダイブだったし
こちらにはすぐにイエロー出すのにロホやフェライニ、ラシュフォードの悪質なタックルはノーカードで
流されてたのは納得できません
ムヒやオーバのシュートも良かったですがやっぱりデヘアは素晴らしいキーパーでした。
覚醒しかけていたホールディングの離脱はあまりにも痛いですしコシェが万全でないことから
次節からまた4バックに戻しますかね
控えにCBをおかない3バックは安定してましたが怪我人出るとキツイですね
長文失礼しました
こんばんは。
そっすねー。せっかく3CBがいい感じだったけどホールディンがいないんじゃ今後はどうなるかなあ。
まあ週末はどっちにしろバック4だったのかなと思いますけどね。攻める時間が長くなりそうだし。
更新ご苦労様です。
アーセナル側から見れば勝てた試合だったけどなぁ・・・ですね。週末の試合で勝てれば何の問題もないでしょう。
ホールディングの怪我は痛恨ですけど近々復帰するはずのモンレアルとキャプテンを頭数に入れれば3CBでも致命傷には至らないでしょう。年明け以降に復帰するはずのマヴロパノスと両WBで起用が可能なナイルズも頭数に入れれば守備陣に関しては質はともかく量に絶望感はありません。ジェンキンソンもいますからね!質に関して鍵を握るのは我らが主将の回復具合だと思います。奥の手としてチャンバースのレンタルバックも視野に入れるべきだと私は思います。
2列目もイヲビ・ミキタリアン・エジル・ラムゼイを中心にスミス=ロウがいます。他にも若手がいます。システム如何でオーバメヤンを2列目で起用出来ますから慌てて冬に補強する必要はないでしょう。特別な選手が獲得出来る状況があれば話は別ですけど必然的に超高額な移籍金が必要ですし来夏にネルソンが復帰しますからね。2列目は来夏の補強の目玉だと私は考えてますから冬は動かないのではないでしょうか?
そう考えれば・・・私は冬に補強するなら巷で騒がれているウィングでもCBでもなくセントラルMFだと思っています。
エルネニーがプレミアの試合で起用されていない現実を考えれば彼の放出を視野に入れて新戦力を確保すべきでしょう。
それさえ出来ればCL出場権の奪還という今シーズン最大のミッションを最後までロンドン勢と争えると私は思います。
ああ、たしかに絶妙なタイミングでモンレアルとコシエルニが戻るんですよね。考えようによっては神がかってる。
ホールディング、前十字靭帯断裂・・・
とても残念な、そして最悪の結果になってしまいましたね。
予想もしなかった急激な覚醒を喜んでいたら、ラッシュフォードのファールにすらならなかったレイトタックル・・・
これがお前らのやり方かぁ~!
今季は泣く泣く諦めるとして、将来に関わるようなケガでないことを祈ってます。
こうなったら、まずはラムジーの交渉を机に戻して欲しいです。