ELセミファイナル、ヴァレンシアとのセカンドレグ。
2点のアドヴァンテイジがありながら苦戦も予想され、当然のように開始10分で失点したときは、ほとんど諦めの境地のような心境だったわけで。これでやっと苦しみから開放されると。死んだ魚の目をしていたわけで。
それがなあ。どうしてこう、諦めさせてくれないんだろう。まさに逆境を覆して、みごとELファイナルにコマを進めてしまった。
アウェイで4-2という結果に反して内容はあまり褒められたものではなかったが、それでも試合には勝ってしまい、この試合もまたアーセナルの今季の傾向を象徴するようなものになったとぼくには思える。
レビューエントリ前半はコメント集、追ってアップする後半で試合の語りどころを語っていこう。
エメリの試合後コメント
ELマエストロ。UELはウーナイ・エメリ・リーグ。試合後のプレスカンファレンスより。
(結果にはどれほど満足……)
エメリ:グッドイーブニン。自信を持っていたし自信があった。なぜならPLでトップ4に入るために必要だった試合に負けていたからだよ。難しい道のりだとはわかっていたが、PLでの可能性が潰えてからは、ELでファイナルにたどり着けるよう、集中してハードワークして準備をしてきた。選手たちを誇りに思えるし、今日ここに来てくれたサポーターのことも誇れる。しかしこれはまだ終わっていない。ファイナルでプレイするためのステップだ。今日はハッピーだが、この難しさはこれからもつづくことはわかっている。ファイナルは難しい。
(ふたりのストライカーズ……)
イエス。ほんとうに彼らはとてもいいストライカーだが、彼らのディフェンスワークがわたしは誇らしいんだ。今日はそれが必要だった。ビッグプレイヤーはいいストライカーになれるが、今日のような守備のコミットメントがあるとき、それは素晴らしいものになる。失点のあと、われわれの攻撃の時間がやってきた。なぜならわれわれのポジショニング、ほかの選手たちが得点チャンスを与えたからだ。これは選手たち全員のワークの結果だと思うし、それをパーフェクトにこなした。
(あなたと選手たちは昨夜のトテナムを観たんでしょうか……)
ノーだね。われわれは90分のあいだにはどんなことも起きうるという話しをしていた。たとえば、ファーストレグも先に1-0にされたが、われわれのリアクションは素晴らしいもので、今日も同じだった。ファーストゴールを取られたとき、自分たちのゲームプランをキープしてどうやってカムバックできるかについて話していたんだ。
試合開始から彼らはここのビッグアトモスフィアを得てかなりプッシュしてきたが、チームのレスポンスは素晴らしかった。われわれはまた違った例となることができたよ。トテナム、リヴァプールあるいは去年のアトレティコ・マドリッド戦。わたしたちには選手たちとコーチ全員の経験を総動員する必要があるということを話していたんだ。それに、新しい歴史をつくること、あたらしいときへの新しいステップにすること。
ファイナルでプレイすることは簡単じゃない。選手たちにもコーチたちにもいくつかのファイナルの経験があるがたくさんはない。今日、あともう1試合ヨーロッパのファイナルを戦えることになったことが大きい。そしてバクではまたサポーターたちに特別な時間を与えることができる。
(オバメヤンがどれほど誇らしいか、彼になんと声をかけるか……)
選手みんなが彼を称賛している。試合の前にはホテルでみんなにこんなことを話していたんだ。自分たちの時間、経験、一体感、チームと個人でどうやってベストパフォーマンスを出せるか。彼らはそれをやったし、試合後の称賛は選手全員が90分を通して彼ら個人個人がやれることをやったからだ。
オバメヤンだけでなくほかの選手についても話すことができるよ。オバメヤンはゴールを取り、ラカゼットもゴールした。しかし思うにチームがとてもよくワークしたんだ。そしてこのワークで彼らのことを誇りに思えるし、ホームでのサポーターのことを思い出した。先週、われわれは彼らとともに満員のステディアムでプレイした。今日も彼らは来てくれたし、わたしは選手ひとりひとりが誇らしいし、サポーターのひとりひとりが誇らしい。
(UCLに出場するベストな道……)
ふたつの可能性があるが、PLでは敗けてしまった。そしてELだ。わたしはELはとても大きい大会になったと思っているんだ。昨日このプレスカンファレンスで云ったように、わたしは2008年にヴァレンシアでELを戦った。そのときとは違う。だいぶ違っている。去年はアトレティコ・マドリッドで、一昨年はマンチェスター・ユナイテッドだった。その前はセヴィーリャがファイナルをリヴァプールと戦った。CLに参加するにはいいコンペティションなんだ。われわれの目標は明快だ。CLへ行くこと。そしてそれはひとつのタイトルであり、ひとつの時間なんだ。
(アウェイでナポリ、ヴァレンシアに勝っているのはどういうこと……)
ほんとうに、ほんとうにこの2試合はアメイズィングだった。ふたつの試合のメンタリティとヨーロッパでのふたつのビッグチームへの対応はパーフェクトだった。しかし、どのコンペティション、試合も違うものだ。今日、われわれはみんなにキャラクターを見せたし、準備できているというキャパシティを見せた。守備面では苦しんだ時間帯もあるが、アタッキングサードではいい時間もあった。今年ヴァレンシア相手に4得点したチームはないんだ。アトレティコ・マドリッドだけが彼らに3得点できた。彼らがいいチームだということだ。とても難しいチームで、われわれは今日そんな相手にもできることを見せた。
至極ご満悦である。
オバメヤンとラカゼットのヒーローインタビュー
なんちゅうか。もうふたりめがけて放り込めばなんとかしてくれる的な。
試合直後のBT Sportsのインタビュー。
(ファイナルへ進出できたことは大きな意味がある……)
PEA:そりゃあもう。昨シーズンから学んだよね。今年は同じ過ちを犯さなかった。ファイナルを進むのだからハッピーだ。
(こんなにもビッグパフォーマンスを出せるキャラクター……)
ラカゼット:ぼくらはいい反応をしたね。今日は最低でも1ゴールをしなきゃならないのはわかってた。オーバのハットトリックには感謝だ。今日はアンビリーヴァボだったよ。サンキュー、ブロ。
(一緒にプレイすること……)
PEA:とても楽しんでるよ。この2トップについてはよく話しているんだ。このチームで彼とプレイできて光栄だよ。なにより、こんな試合に勝てたのだから、とてもとてもグッドだよ。
(とてもタフなシーズンです……)
ラカゼット:CLに行きたい、トロフィがほしい。PLでは先月悪いプレイだった、だからいまよくならなければならなかった。ぼくらはファイナルへ行く。そして勝利へのチャンスを利用しなければならない。CLへ行くんだ。
(ファイナルでどことプレイするかが問題……)
もうファイナルだ。どのチームが相手になろうとも関係ない。ファイナルではすべてを捧げる勝つんだ。
ペトル・チェフのコメント「ヨーロッパのファイナルの経験を伝えたい」
天高く拳を突き上げ勝利の雄叫び。また引退が伸びちまったな。
(バクへは行ったことは……)
チェフ:行ったことはないね。そこへ行けるのがほんとにうれしいよ。
(どうしたら夢がかなう……)
夢を信じつづけること。それしかない。ハードワークもひとつだけど、結果がどうなろうとも夢はかなうと信じなければならないんだ。それはほんとに起きるかもしれないと信じることは、ぼくの人生、キャリアのなかでずっとやってきたことだ。ぼくのキャリアを通じて、実際いくつかの夢をかなえてきた。一番最後の夢はプロのフットボーラーとして最後のファイナルを勝つこと。今日はこの難しいテストを乗り越えることができてとてもハッピーだし、勝ち抜けにふさわしかった。
(アーセナルにとっての意味……)
思うに、いまぼくらはアーセナル・フットボール・クラブの歴史をつくれるかどうかの瀬戸際にいるんだ。こんなにファンタスティックなフットボールクラブで、サポーターもみんなもヨーロッパのファイナルで勝利を喜ぶにふさわしいクラブとのつながりを感じてると思う。だから、願わくば最後のステップで彼らのために勝ちたい。彼らは熱意をもってずっとこのクラブを応援していて、それは彼らが長らく待っているものだ。その彼らの待ち時間を終わらせることができるんだ。
(ヨーロッパでのファイナルについてどういった準備をするか、チームメイトたちに教えるか……)
イエス。これは本物の経験がものをいうところだと思う。なぜならみんなにそれについて話せるし、それを通して導くことができる。ヨーロッパのファイナルにたどり着いたとき、全員にかなりのプレッシャーがかかる。だから、シニアプレイヤーとして試合への準備について教えられることが重要なんだ。
頼もしいのう。
ナチョ・モンレアルのコメント「選手全員がチームを助けた」
(特別な夜……)
モンレアル:そのとおり。前回の試合ではいいプレイができなかった。PLでは望みどおりにフィニッシュはできなかったんだ。でも今夜はスタートした選手もベンチから出たどの選手も、自分たちがやれることを見せたと思う。今日は素晴らしい試合だったよ。最初の10分は彼らがプッシュしてきたのでかなりキツかったが、そのあとはぼくらがコントロールしたしたくさん得点もした。みんなとても喜んでるよ。
(敵対的な雰囲気のなかでのプレイ……)
イエア。ぼくはここで何度もプレイしたことがあるけど、ここのファンのことは知ってたよ。スペインでも指折りのファンだよ。彼らがチームをたくさんプッシュして、最初はぼくらにはキツかった。でも10分か15分したら試合が落ち着いてきたんだ。そこからは自分たちのプレイを始めることができたし、思うにそれからはぼくらのほうがベターチームだった。
(オバメヤンのハットトリック……)
ぼくらには彼が必要だし、ラカが必要だね。彼のことはみんな誇らしく思っているよ。だってセミファイナルで3得点だよ。彼がチームをかなり助けたけど、それは彼だけじゃない。選手全員だ。彼はハットトリックをやった。だからみんな彼のおかげだと喜んでるよ。
(CL出場への最後のチャンスです……)
そうだね。ぼくら目標は来シーズンのCLでプレイすること。残念ながらPLでトップ4はできなかったけど、いまはいいチャンスがある。アーセナルが最後にヨーロッパのファイナルでプレイしたのは思い出せないんだけど、2006年のバルセロナかな? いまはトロフィをもってシーズンをフィニッシュできるいいチャンスがあるし、来シーズンのCLでプレイするんだ。
これまでのアーセナルのヨーロッパでのファイナル成績はこちら。
Arsenal reach their first European final since 2006
🔴⚪Club’s last 4 European finals:
1995 UEFA Super Cup ❌
1995 Cup Winners’ Cup ❌
2000 UEFA Cup ❌
2006 Champions League ❌
….
2019 Europa League ❔ pic.twitter.com/c3oM1PShOc— Sky Sports Statto (@SkySportsStatto) 9 May 2019
マルセリーノのコメント「ヴァレンシアとアーセナルでは予算に違いがある」
カムバックを信じていたヴァレンシアのボス。彼が云いたいことは云われなくても想像はつく。※スペイン語→英語→日本語で意訳成分がずっとましております。乞御了承。
マルセリーノ:アーセナルにはおめでとうと云うよ。これからの活躍を祈念しますよと。
相手にはパンチがあったね。そしてこちらはディフェンスのバランスがよくなかった。2試合で7失点もしていたのではファイナルでプレイしようなんてちゃんちゃらおかしい。
守備の面で効率的になれなかった。選手たちを責めることは簡単だが、わたしは彼らには感謝したい。ここにたどり着くまでに毎週3試合をプレイしてきた。素早い決断が必要なところでパスミスがあった。しかしこのやり方についてはわたしはとても誇らしく思う。とてもシンプルなアクションでやられてしまい、そして2点目が決め手になった。選手たちはそれでがっくりきちゃったんだ。
しかしこのあと3日とおかずわれわれにはもうひとつのファイナルがある。日曜のファイナルでは選手たちにまた助けてくれるようお願いするよ。難しい試合になるだろうからね。
アーセナルにはヴァレンシアよりもずっと高い経済基盤がある。しかしそれでもわれわれはそのハンディキャップと競わねばならなかったんだ。マドリッドとバルサを除けば英国のチームはわれわれの予算の倍だ。われわれが12Mの選手とサインしているとき、彼らは40Mの選手とサインする。そんなことをいくらいい訳にしたってしょうがないが。
われわれは効率的であるべきだった。結局敗けてしまったよ。こちらのエラーで問題が引き起こされてしまった。しかし相手の9つの得点チャンスに対して、こちらも7つあった。それを決めきれないという間違いを犯したし、それが敗退の決定打になった。
ゴンサロ・ゲディスだって全然安い選手じゃないけどな(€40M)。ヴァレンシアが買うと聞いたときはよく金あったなあと思ったものだ。
彼はPSG時代にエメリに冷遇されたということでこの試合に格別のモチベーションがあったようだが、結局今回の彼のプレイはかなり期待はずれだったろう。
しかしまあ、今回は明らかにオバメヤンやラカゼットのようなスター選手の突出したパフォーマンスが試合を決めるカギになったのだから、予算の違いをぼやきたくなるのは理解できる。
お疲れさまだ。
コメント集は以上。追ってマッチスタッツと論点エントリをアップ予定。
ちょっと質問なんですが、
ファイナルの相手ってチェルシーですよね。
この場合、チェルシーがelで勝ったらel優勝枠に入ってきてpl枠が空く(=5位で出場)にならんのでしょうかしら?
どもども。
BBC Sportsも繰り返し同じ内容の記事をアップしてるみたいで。
https://www.bbc.com/sport/football/47806720
これによれば、「PLのトップ4チームがELタイトルをとってもエクストラ出場枠は増えない」とありますな。
つまり、アーセナルが勝たないとダメってこと。
そうなんですか、
ぬか喜びしかけました( ̄▽ ̄;)
教示いただきありがとうございます!
我らにはアメイジングCFが、なんと「二人」もいるんだ
他は知らん
うちが40mで選手を買ってるときにPLのトップたちは80mで選手買ってるんだよなぁ…(><)