この夏フランスからクラブレコードとなる£72Mという巨額の移籍金でアーセナルFCにやってきたニコラス・ぺぺ。
おもに右サイドのアタッカーとしてすでに6試合に出場しながら、いまだゴールはなく(2アシスト)。ファンからのアツい期待にはいまだ応えられないでいる。前評判が非常に高かったこともあり、彼自身にもクラブにとってもやや不本意なイングランドでのスタートとなっているというのが現在の状況だ。
ところでいまから約2週間ほど前、フレンチフットボール情報を英語で発信している「GFFN」が、「ニコラ・ぺぺのポジショナル分析」という記事をアップしていた。ぼくのツイッターでは軽く触れていたが、なかなかおもしろい記事なのでこのブログでもちゃんと紹介したいと思っていた。
彼は本来どのようなプレイスタイルの選手で、アーセナルのなかでどのようにプレイすべきなのか。またあるいはチームは彼をどのように使うべきなのか。
この記事の旬からはすっかり時間がたってしまったが、ファンが彼のプレイを観るときには役立つ情報でもあると思う。
今回はこの短い記事をさくっと紹介しよう。貴殿のアーセナルライフのお役に立てば幸い。オーサーの@Russell_pegg氏にrespect。
※なお小見出しは訳者によるもの。
特集|ポジショナル分析 元リールそしてアーセナルのレコード契約となったニコラ・ぺぺ。統計ディープダイヴ by GFFN
ニコラ・ぺぺは去年のリーグ1で際立つ選手だった。リールOSCは、2017-18シーズンで降格争いを演じたあとに嵐を巻き起こして、予想外のランナーズアップ(2位)でフィニッシュとなっている。
その後彼は8月にクラブレコードフィとなる€79Mでアーセナルに加入した。
では、2018-19シーズンのリーグ1キャンペインでの彼の全ショッツマップから始めよう。
ぺぺのシュート傾向
ここにはふたつの明快な傾向がある。ぺぺはピッチの左サイドからシュートを放つことは多くないということ。それと彼の長距離シュートはひどいということ。
このすべてのシュートアテンプトをゴールと非ゴールに分けると、このことはより目立ったものになる。
彼のゴールのほとんどは、ペナルティボックスの中央エリア、いわゆる“デインジャーゾーン”の内側からのものだ。ぺぺがもっとも危険になれるのはペナルティスポット付近ということになりそうだ。
対照的に、ぺぺはリーグでは47本のシュートをボックスの外から打っているということ。しかしそれがゴールになったのはわずかにひとつ。18ヤードライン(※ボックスの際)の左側一帯は、無駄なシュートを量産するエリアだということだ。
これをヒートマップで確認すれば、より鮮明になる。
ウナイ・エメリは、ボックスのアウトサイドからのシュートはもちろん、とくに一番濃いダークレッドの部分でのシュートを止めさせるようにすることになるだろう。
昨シーズンのリールを観るに、なかなか得点が決まらない試合ではチームのフォワードラインは平静を失ってしまい、コンビネイションプレイを辛抱づよく続けるほうが結果が出るのに、距離のあるシュートを打ち始めるようになることがあった。
その点については、リールのなかでぺぺだけがそういった傾向があるアタッカーというわけではなかったが、しかし上記のチャートの印象ではぺぺは最悪のように見える。
一方で、ぺぺのシュート場所(shot placement)に目をやると、シュートがなかなか決まらない理由となっている、彼のとても明快な好みがわかる。
ぺぺが高い場所にシュートするときは、(1) しばしば脇にそれる (2) ターゲットを捉えることが稀。彼のペナルティ以外のゴールで、ゴールフレイムの上半分に決まったものはひとつもない。
ぺぺのポジショニング傾向
ぺぺがピッチ上のどこでボールを見ているかに関して。彼がペナルティエリアの少し外、右のハーフスペイスでの動きをとても好んでいることは明らかだ。
ぺぺのタッチマップを昨シーズンのアーセナルのフォワードたちのそれと比べてみると、いくつかのことがら明らかになる。
まず、ぺぺの加入後になぜヘンリク・ミキタリアンがローマへのローン移籍を許されたかはたやすく理解できる。彼らは似たエリアでプレイしていた。
そして、ぺぺは自然にオバメヤンとラカゼットを補完できるように見える。ふたりともまずはピッチの左側で動く。とくにぺぺとオバメヤンはよく合う。
さいごに、これが昨シーズンのぺぺのパスレイダーで、彼が均等に全方向にパスを出せること、リンクアッププレイを好むことを示している。
以上。
短いあっさりした記事だった。個人的には、彼のドリブルやチャンスメイク(アシスト)なんかについても掘り下げてほしかったという気はする。どちらかというとそっちが期待したいことでもあるし。
さて、この記事が指摘しているところでもっとも注目すべきはやはりぺぺのシュート傾向であろう。
アーセナルにはヘッドによる得点がない
ゴール前にクロスを出す場合、DFのいない場所、大抵はCFがゴール前に詰めるのでPAライン付近しかスペースがない
ラムジーはこのエリアに飛び込むのが上手かった(そしてシュートは下手だった)
クロッサーを獲得しても、自身がDFラインを押し下げられなければ、中央に陣取るラカゼットやオーバにボールを届けることが難しい
相手にとって1番の脅威はオーバやラカゼットなので、中央の守備は厚い
その点で、カラスコやフレイザーがアーセナルで生きるかどうかはわからない(ぺぺより守備の貢献は期待できるが)
ぺぺの場合はドリブルでDFを剥がすことができる
ヘルプに来たDFの穴を有効活用したいところ
大柄でスピードが速く、デュエルに強いプレミアDFに苦労するWGは多いが、ジェルビーニョらに比べればタッチの細いドリブルができるし、リーグアンでは自身で獲得したPKが多く、またチャンスメイクも優れていた
ぺぺ自身の得点は振るわなくても、今後、アシストやキーパスが増えるだろうと予想する
まだ辛抱したい
去年のペペの22ゴールのうち、21ゴールは左足、1点がヘッドという話を聞いたことがある(ちょっと間違ってるかもだけど、かなり近しいはず)。つまり右足で得点を獲る確率は非常に低いということだろう。
ゴールした位置を見る限り、右サイドというよりかなり中央に近い位置まで侵入してるようなので、オーバやラカとのポジショニング調整がエメリの課題でしょうね。ここまでを見る限り、カウンター以外でペペが中央まで侵入する機会はほとんど見てないので。
中央のプレーといってもいろいろありますからね。
ラカゼットとオーバメヤンはともにウイング出身ということもあり、中央に固執するタイプではなく、サイドに流れるプレーもできるプレーヤーです。
そして、中央で決めるプレーに関しても違いがあるように思います。ラカゼットは体幹の強さを活かしつつゴールを決めるタイプ、オーバメヤンは裏抜けのタイミングで勝負するタイプで、二人はゴールの決め方が全く異なります。
エメリがオーバメヤンをサイドに配置しているのは、中央でCBと競り合わせるよりも、サイドからCBとSBの間に走りこませるほうが相手としては厄介だと判断しているからだと思います。
私の3トップの役割に対する見立ては、
ラカゼット…CBを引き付ける。バイタルを攻略する。サイドに流れてオーバーロードを起こす。
オーバメヤン…偽ウイングとしてプレーをしつつ、彼をマークするのは右SBと思わせる。機を見て中央に侵入してゴールを決める。
ペペ…右のハーフスペースの攻略。左でオーバーロードが起きていれば、右に展開されて独力で突破・ゴールを目指す。右にボールがあれば、彼が相手を引き付けて右SBに渡すorCBを引き付けてラカゼットやオーバメヤンに好機を演出する。
中央でプレーすることに特徴のある3人ですが、二人はハーフスペースの攻略がメインなので意外と噛み合わせがいいと思います。
まだ結果はついてきていないですが、チームが熟成されていけば、自ずと結果はついてくると思います。
悲しいのは3人同時起用は深刻な守備問題になることだね
オーバもぺぺも4-4のブロック守備が上手いわけでなく、サイドを攻略される
ぺぺ、思ってた以上に運動量少ないですし守備苦手ですね。モダンなウインガーだと思ってました。なんで3人同時に起用するなら一昔前のレアルみたいに後ろ43で頑張れロングカウンターしか無さそう。かといって1人で全てやっつけるラモスとカゼミロが居ないんで点をバンバン取られるチープなロングカウンターでしかないでしょうけど。現状は前プレもダメ、リトリートもダメ、頼みの攻撃もビルドアップが崩壊しててポゼッションどころじゃない。ロングボール蹴ってもオーバはジルーとは違う。相手のミスを待って拾ったらカウンターという厳しすぎる状態。サイドバックとホールディングが戻ったらビルドアップが良くなると願うしかないです。
薄々気づいてはいたけど、やっぱロングシュート下手なのかこの人。w
まあキック自体はスピードも精度もあるし、伸びしろに期待するしかないか。
一方で、狭いスペースでターンして相手マーカーをはがす能力はハンパないと思う。
4-2-3-1の右ウイングで、背負って受けてターンしてチャンスを作る、みたいな役割が合ってるような気がする。
なにせ今中盤が作れてないので、少々強引にでもチャンスを作ってくれるのは有り難い。
まあまだ1ヶ月なので、まだ周囲と全然合ってないと思うし、それは当然のことで。
もうしばらくは辛抱して見ておきたい。