ファンへのメッセイジ
(最後に、ファンについて尋ねます。彼らは情熱的でクラブを愛しています。彼らは佳き日のクラブへのカムバックを熱望しています。アーセナルに戻ってきてほしがっている。去年彼らが歌ったように。彼らへのメッセイジを)
サンレヒ:まず、われわれもまたいまのフラストレイションを共有しているということ。いまのわれわれは当初の期待を下回っている。しかし、これは始まりに過ぎず、まだ修正する余地はある。わたしは、徹頭徹尾、希望のメッセイジをシェアしたい。そして、挽回可能であること、目標を達成するという確信を伝えたい。われわれはそのどちらもできると確信している。
ファンは失望しているというが、それでも彼らのエナジーはグレイトだ。とてつもないものだ。われわれのファンがこのクラブに対してできるものは独特で、われわれは彼らに頼っている。彼らはこんな厳しいときにおいてすら、前進している。
エミレーツでの変わらぬサポートがあり、アウェイですらとてもとても大きな声援がある。選手もわれわれも、彼らには全員がとても感謝している。
われわれには彼らが必要だ。かつてないほどにそう。うまくいっているときは応援も簡単だ。難しいのは期待通りにものごとが進んでいないとき。いま彼らから受けている反応は飛び抜けているね。
エドゥ:わたしも同じように、いまいるこのシチュエイションについては現実的でいる。もちろんいまいる場所は快適ではない。しかし期待はできるんだ。なぜなら、前に云ったように、われわれが本来いるべき場所にまた戻ることができるほとんどすべてのものを持っているから。それが重要なんだ。
その感覚、におい、われわれの内側にある情熱、外部のファンからの情熱。またつながるんだ。われわれには彼らが必要で、彼もまたそう。だからいつもようにチームとしてワークしよう。わたしが期待できるのは、クラブの美しい未来が見えているからさ。
サンレヒ:補完するために少し加えたい。もちろん彼の云ったことは完全にアグリーだが。
われわれのもっとも重要な原理のひとつ、それにこのクラブの価値は、一体感(togetherness)なんだ。こういうときだからこそ一体感がより重要になる。団結がチームをより強くするし、ファンがもたらすエナジーが燃料になる。このチームは、みんなが一緒に欲しているもの、それを成し遂げなければ。
以上。
最後まで読んだかたはお疲れさま。それにしても文字ばっかのブログだなあ。
雑感
さて。
まあウナイ・エメリが来たときも、新任ヘッドコーチに対して同じようなばら色のことばが述べられていたので、彼らのことばでここがとくにすごいというのはない。
だが、ひとつはっきりしているのは、アルテタの説話(再生プラン)が彼らにとてもよく響いていて、それがおそらく「エメリの反省」を踏まえているだろうということ。アルテタはシンプルでクリアなプランがあるとか、指導で妥協しないみたいなことを云っているが、そのひとつひとつがこの18ヶ月の反省に基づいているように感じる。
前任者ができなかったこと、前任者に足りなかったことが自分にはできるし、そのための明解なプランも持っている。そう主張したんだろう。そしてそのプランが具体的であればあるほど説得力を持っている。パーポのプレゼン(笑い)では伝わらない何か。オーラみたいなもの。初めてこのレヴェルの仕事を任されるのにすでにオーラがあるというのもどうかしているが、アルテタのインタヴューなどを見ていると、あの自信あふれる調子はただごとではない。
それと、クラブへの愛やリスペクト。やはりどうしてもそこがポイントになる。
エドゥもフレディもメルティもアルテタも、このクラブでプレイした全員が「クラブの尊さ」を口にしている。クラブへの愛情やリスペクトというのは、今後チームが困難を乗り越えていくうえでひとつ重要なキーワードになっていく予感がする。それがアイデンティにつながっていくのだ。
これ、クラブOBから伝えられるというのは、エメリはもちろんそうだけど、ヴェンゲルさんが主張するのともまた違う重みがあると思う。
とくにアルテタはまだ37才と若く、下手すればまだプレイしていてもおかしくはないくらいの年齢で、選手にとっては自分たちとより近い。そんな人間から、クラブをレペゼンしている「特権」や「重い意味」について教えられる。諭される。「上から」ではないのだ。
アルテタだけじゃない。フレディやメルティからも。そのさらにうえのエドゥからも。クラブのいと尊き価値を知るOBたち。
そのプレイ姿勢やピッチ/ピッチ外での振る舞いはアーセナルFCの価値やクラスにふさわしいかそうでないか。モラルやワークエシックという、いつでも立ち返るべきすごく明快な基準。全員がその<誇り>を共有すれば、きっと強い一体感が生まれることだろう。
一方で選手はもう逃げ場がない。これまでと違い、指示も完璧でやることは明快。あとは彼らがやるかやらないかだけ。プレイするかどうか選手が選ぶんじゃなくて、クラブが選ぶ。クラブの価値が選ぶ。それがビッグクラブとして本来あるべき姿でしょう。退団を検討してるなんてのは問答無用でクビ。RVPとかサンチェスとか時間をさかのぼって速攻で売却してやりたいわ。
そういう意味で、クラブの価値を熟知しているOBが確固とした信念を持ってチームを率いるというのはすごく強い。
日本にはすごくいいことばがあるね。「センパイ=sempai」。なんというかこう独特で甘美な響き。ただの上級者や上司でもなく、ましてや目上すぎというわけでもなく。遠いようで近いような、そんな頼れる存在。
ここからはセンパイがこのチームを変えていくんである。期待は無限大さ∞
(ちなみにセンパイを支えるコーチングスタッフはヴェテランが固めるようで、そこもまた盤石の布陣という。今日発表かな?)
Part1は以上。オーニーが舞台裏を明かすPart2へつづく。