試合の論点
アーセナル vs ニューカッスル・ユナイテッドのトーキングポインツ。
30分の停滞と60分の大繁盛
4-0大勝でもうガッポガッポ。ただし前半の30分は忍耐が必要だった。
ニューカッスルは試合が始まってからすぐ、シットディープ&カウンターの意向を明確にしており、ボールを持たれたらオウンサードにほとんどの選手がこもるような、極端に守備的なシステム(5-4-1)で対応。アーセナルはこれにとても苦しんだ。
パスのスピードやアイディアが足りず、ゴール前の人数をかけた固いブロック守備をなかなか崩せない。ホームながら2週間ぶりの試合でいきなりベストパフォーマンスを出すことはできなかった。この時間、相手ハーフで試合を進めながら危険な場所にはボールを運ぶことができないので、おのずと「Uシェイプ」になっていったのは各所で指摘されていた。前半30分までのタッチはエジルが11、ペペが12。彼らに満足にボールを触らせることすらできていなかった。
選手たちが試合後にエナジーについて語っていたということは、つまり序盤はそれも足りていなかったのだろう。
そういった攻めあぐねから何度かボールを奪われてのカウンターで、サン・マキシマンやミゲル・アルミロンが脅威になっていたのは否めない。とくにサン・マキシマンはベレリンに勝ちまくりで(ベレリン相手に3/3ドリブル成功)、ベレリンが全盛期のフィットネスに戻っていないことを嘆く声も。
ポゼッションとカウンターアタックというわかりやすい構図で試合は進み、序盤はどちらかといえばアウェイチームのやりたいような試合の流れになっていたと云える。最初のシュートもアウェイチーム。アーセナルは図らずもそれに付き合ってしまい、とくに25分前後の時間帯はちょっとした打ち合いの様相を呈し、オープンでケイオスで雑で、とても理想的とは云えない状況だった。
その状況が変わり始めたのが30分あたり。あきらかにアウェイチームのカウンターが減り、ほぼ相手ハーフに押し込むように。
Orbinhoによれば、アーセナルは前半にシュート9本を打っているが(※アルテタ時代になってから最多)それはすべて25分以降のものだということ。
だが結局は前半得点ならず。前半のアーセナルの停滞は0.45xGが示している。けして最悪ではなかったがストレスをためるパフォーマンスとなった。
とある戦術アナリストがHTにこんなTweetをしていた。「アルテタが来てから“ストラクチャ”ということばが流行っているが、最初の30分はいつもと同じ問題。動きが予測可能でヴァラエティに乏しく(攻撃はいつも左ウイングからでライン間のコンビネイションなし)それが相手に読まれている。アーセナルがプレイしたのはエジルが動き回ったときだけ」。
「予測可能」というのはエメリ時代からつづく課題で、ぼくにはわりと本質的な指摘に思えたものだ。どんなにいい動きであっても、相手にそれが読まれていれば対策はされやすい。今回のNUFCのような、周到に準備をしてくる相手ならなおさらだろう。
そして後半は、前半からひきつづきアーセナルがボールを持って押し込むという流れが続いたが、その後の流れを決定的に変えたのはもちろん54分のオバメヤンのゴール。ペペの浮き球のクロスがドンピシャでオバメヤンの頭へ。鋭いクロスでは決してなかったが、いくら人数が揃っていてもあれは防げないというくらいピンポイントだった。
その後すっかり肩の荷が下りたみたいなチームは、どんどん動きがよくなっていく。
3分後にはサカのリルチリ・ナツメグからのペペのゴール。
何度か危険なカウンターを許しながらも、終始優勢に試合を進め90分にエジル、95分にラカゼットがゴールし出来すぎとも云える4-0大勝で試合を終えたのだった。
終わりよければすべてよしと云いたいところだが、この試合の唯一の懸念はやはり90分の一貫性。
プレヴューエントリでも書いたように、現状のミケル・アーセナルの最大の問題のひとつは90分のパフォーマンスの安定であることは間違いなく、それをどう克服するかは注目されていたなかで、今回もそこには課題を残す結果となったのは少し残念だった。
まあそれを完全にできるチームなどこの世にはほとんど存在しないので、できるだけその時間を短くするか、あるいは悪い時間を無難にやりすごす術を身につけることが、現実的な課題になるのだろう。
今回は前半のオープン過ぎる展開はあきらかに望んだものではなかった。とくにカウンターの守備では相手のペイスに翻弄された。でもそれはチームセレクション的に仕方がなかったという指摘もある。
ペペのゴールの際にゴール裏のカメラが捉えたセバーヨスの喜びようが最高だった。
やっぱり彼は、絶対にいいやつ。
試合後にこちらのブログを読ませてもらうとゆうのがあたしのルーティンです。いつもありがとうございますm(__)m
語り尽くせないほどの待望の勝利でしたね、しかも4-0。セバジョスほんとよかったし、エジルも存在感ヤバかった。若手たちも素晴らしく、いよいよ反撃開始ですよね。プレミアもカップ戦も全部大事な試合なんで、今回出てないガビやネルソン、新加入のマリたちもバンバン活躍してほしいですね。
順調に戦術もモチベーションも回復しているわれわれに必要だったのは結果で、それが最高な得点の形で、かつクリーンシートでできたことがおおいに自信につながると思います。本当に良かった。ELには、マルティネス、左からコラシナツ、マリ、ソクラティス、ベレリン、中にトレイラとゲンドゥージ、ガブにウィロック、AMNにラカとかですかね。あー、もう毎試合楽しみで仕方がない。COYG
デカ盛りエントリ、大変ご馳走さまでした (^人^ )
ご指摘の通り、予想だにしないスターティンでしたが裏を返せばそれだけチョイスの幅が広がっているということで、チームセレクションが楽しみになりますね!
おそらく、ドゥバイであの手この手を仕込んできているはず…
アルテタ恐るべし!
次のエバートンはさておき、残りのPL12試合はまあまあキツい相手が残ってる訳ですが、昨シーズンの尻窄みでは無く、尻上がりに完成度を高めて行けるなら来シーズンは大いに期待できそうです!
もう今シーズンは5位フィニッシュでいいです。
行こうCL!!!
COYG
お勉強しながら観てたのですが、時々目が覚めるようなパスが出るとエジルなのが嬉しかったです。ゲンちゃんはケンカして大きくなれ!
しかし、スタメンは全く監督の権限なんですねえ。
アルテタさんは前の方より哲学がありそうだ。
更新ご苦労様です。
最高の結果ですね。チームを操るべき選手が操り得点を決めるべき選手が決めればこうなることは必然なのでしょう。
攻撃面に関しては改めて一つの回答が示されましたね。エジルを起用する際は彼をゴールに近い位置でプレーさせる事がやはり最大の鍵だということ。それさえできれば攻撃陣は今後も期待できそうだということ。しかしながら逆を言うならそれをさせてくれない相手に対してはエジル中心の攻撃では機能しないだろうということ。です。
そう考えれば少なくても今季の攻撃面でのアルテタの仕事はいかに改善した守備のバランスを崩さずにエジルをゴールに近い位置で気持ちよくプレーさせるかの答えを見つけることだと私は思えます。ホームで引いた相手にはセバージョスの起用という新しい答えを見せてくれました。ではアウェーでは?強豪との試合では?90分の一貫性は?どう解決するのか楽しみで仕方ありません。課題に対して失望ではなく希望を感じる・・・久しくなかった感覚です。
ムスタフィの起用は私も驚きました。彼は移籍市場が開く度に放出を試みたけど出来なかったとまで言われた選手です。アルテタ招聘前は正しく戦力外だった選手です。その彼が・・・気付けばあのチェルシー戦以降全試合で先発ですよ!!
ただ・・・この起用が本物の信頼なのか消去法なのかはパブロ・マリがフィットした後にはっきりします。仮に前者ならジャカと並んで週刊ジャンプの世界です。前監督の下でどうにもならなかった選手を2名も復活したわけですから。
いつも楽しいブログをありがとう!
読み応えがあるので、長文に対する不快感は一切なし。
英語が不得手な人たちにとっては、海の向こうのサイトとかデータはホント貴重。
サンマキシマン連呼と、ムスティに対する分析がほぼ同じで笑いました。
あんまりエメリ時代は振り返るもんじゃあないんでしょうけど、セインツ戦でゴール決めたあと靴ひも気にしてたときとどえらい違いだなあと(笑) ラカ、ありがとう。
あんまり期待しすぎてもとは思うんだけど、期待せざるを得ないなあ….!でもまだ夢を見させてほしい。COYG
更新お疲れ様です。質問です。
文中に
オバメヤンが試合後に語っていたように、後半の調整でサカにスペイスを開けるために後ろ(ミドル)に下がった
とありますがin the middleとは内に絞るではなく後ろ(ミドル)に下がるというニュアンスなのでしょうか?
英語が苦手なので教えて頂けると嬉しいです。
エジルにしろペペにしろ、「後ろが押し上げてくれればやれる!」と確信できたのは大きいと思う。変な停滞感が吹き飛んだような気がする。
ただあえて言うなら、ここまでドン引きするチームはPLには少ない。より前からくる相手に対しては、このやり方は穴も大きいと思う。ペジェリンとセバージョスが上がるとムスタフィが右に開かざるを得ず、逆サイドはサカ1人になってしまう。ゴール前のサカのあの軽い対応(ルイスがギリギリで弾いたアレ)を見てると、戦術的に幅のあるチームなら当然「ペジェリンが上がった裏→ファーサイドへのクロス」を狙うと思う。
右SBやDMFが上がるオプションができたのは嬉しいが、上がるなら状況を考えて抜け目なくフィニッシュで終わらないと痛い目を見るかも。
ラカの先発外れは、前節あそこまで引っ張ったのがある意味一定のチャンスは与えたというプロセスの一環にも思えました。
セバージョスの選択も嬉しかったです。色んな意味で今後の幅の広さに期待します。
セバージョスはピッチ上の監督になれる選手だと思います。(前も言ったっけ)
守備もスピードは厳しいけど、強度自体は以前より上がった印象だが、数字は良くないのか…
ムスタフィはパス精度もそうですが、CBにプレスをかけてこない相手に対して自分からドリブルで持ち上がって相手を引きつけるプレイをするのがソクラテスと比べてポジティブな面だと思います。
ペペのポジショニング改善については個人的にはベジュリンが上がったから中央に行ったという印象ではなく、中央を使う意識が出たように思う。アルテタが指摘していた部分の改善。
そもそもベジュリンが上がることってベジュリンの復帰戦とかでもあったけど、
ペペはそれでもサイドの端の位置を変えずに中央には行かなかった。
こういうのもあってペペのポジショニングについては色々指摘されてきたと思う。(自分も)
逆に言うとベジュリンが上がらなくてもこれからは中央を使うことも増えるんじゃないかという期待も持たせられた。
エジルについても明らかにPA内に入る、高い位置を取る意識が見られた。
それとボールの受け方・寄せられたときのキープ力も改善したのではという期待を持たせる。
もちろん他の人も指摘しているように、ハイプレスをかけてくる相手、エジルにマークをつける相手だとどうなるかは今後の注目ポイントになると思います。
これがプレスをかけられて全体的に下がった位置からビルドアップになった場合に、
エジルが下りてきたりすると、そこから高い位置に移動するまでの間に攻撃が終わることもあるし、
エジルの走行距離が伸びて今回の試合のようなポジショニングに入れないことが出ることも考えられる。
(これはエジル以外の選手も起こりうる)
理想はエジル(トップ下の選手)の下りてくる頻度は少い方がいいのかなと。
ただこの辺りも、オーバ、ペペ、エンケティア、ラカ辺りがトップ下近くの位置に入る(使う)頻度増加によってエジルのフォローにもなっていたし違った状況を見られるかもという期待も抱かせます。
色々書いてますが主さんの言う事に毎度大抵同意、なるほどです。
大勝利にぼくも喜びが爆発です。
しかも、フロント4のゴールでもう絶頂。
やはりアルテタ素晴らしいですね。
ぼくが気になることがエジルの走量です。
どうしてもどなたかに共有したくなったのでこの場で失礼します。
アルテタ体制になってから、エジルの走力は
格段にレベルアップして各メディアでも騒がれてますが、これはウーナイの良い影響があるからだと思いました。
ウーナイはエジルのフィットネスについて口うるさく言ってましたが、これにエジルに火をつけ、今のエジルのレベルアップに結果として表れたんだと感じました。
ウーナイはやはりただ恨めないなと。
以上です。
今回のエントリもとても楽しかったです。
これからもお世話になります。
おやすみなさい。