イングランドでもコロナ危機がひとまずピークを過ぎたように見える?昨今、各種報道によれば、PLの「Project Restart」も会議を重ね、ますますリーグ再開の機運は高まりを見せている。
どのようなかたちであれ、このままいけば、目下のターゲットであるという6/12か6/19あたりにはリスタートできるとかなんとか。まじか。てか金曜?
さて、ジャーマニーではすでに国内リーグが再開され、無観客での試合が始まっていることはご存知のとおり。
再開当初は無観客試合の雰囲気に「練習試合のようだ」(セスク・ファブレガス)のような否定的な意見もありながらも、ぼくらもこのスタイルに徐々に慣れていくのだろうと思う。昨日のBVBとバイエルンの試合などはなかなかアツかったらしいっすね。
そんななか、非常に興味深い事実が。
Since Bundesliga restart , only 3 home wins in 22 games !! Suggests home teams lose a lot without fans pumping up an atmosphere. Will that be repeated when PL restarts ?
— Ian Darke (@IanDarke) May 26, 2020
ブンデスリーガがリスタートしてから、なんと22試合中、ホームチームの勝ちはたった「3つ」しかないということ。なんてこった。OMG。
一般的にフットボールの試合ではホームチームが有利とされるのが定説だが(ほかのスポーツは知らない)、だとすればこれはいろいろな意味でとても興味深い事態だ。
PLの19-20残りシーズンを占ううえで、こういった事態がイングランドでも再現される可能性はあるのかどうか。そしてわれらアーセナルはどういった影響を受けるのか。
考えてみたい。
そもそも“ホームアドヴァンテッジ”はあるのか?
一般的にはホームが有利と云われるが、いつもホームチームが勝つわけではないし、なんならアウェイのほうで多く勝つチームだっている。
しかしホームアドヴァンテッジは、都市伝説ではない。らしい。
2週間前ばかりの『Sky Sports』の記事。白状すると、今回のエントリはこれが元ネタである。
Which Premier League clubs benefit from games behind closed doors?
この記事によると、今シーズンのPLの勝率はこんな感じである。
- ホーム 44.8%
- アウェイ 30.2%
- ドロウ 25%
思ったほど大差はついていないが、それでもやはりホーム有利はあきらか。
ちなみにSky Sportsの別の記事ではこの「ホームアドヴァンテッジという伝説」を検証した記事もありそちらも大変におもしろい。
英国フットボールの有史(1888~)で集計したデータによれば、どうもこの100年あまりでホームアドヴァンテッジはゆるやかに減少していく傾向にあるようである。それでもこの期間で、両者の勝率が逆転したシーズンはなく、もっとも勝率が拮抗したシーズン(2015)でもホームとアウェイでは勝率に10ポインツ程度の差がついているので、「ホームチームが有利な傾向」というのは英国フットボールにおいてはまず間違いない事実だと云えるであろう。
アーセナルはホームで強くアウェイで弱い?
さて、なかにはとくにホームで強いチーム、アウェイで強いチームが存在するのも事実で、アーセナルでは近年とくにアウェイで「非常に」弱くなっている件については、このブログでも何度か書いてきた。ずばり、ヴェンゲルさん末期からのアーセナルの凋落はアウェイフォームが原因である。と云っても過言ではないくらいである。
アーセナルがアウェイで勝てない5つの理由 | ARSENAL CHANGE EVERYTHING
どうもわれらが極端にアウェイで勝てなくなってきたのは、16/17シーズンからのようで、それまではそこまでひどくなかったし、ここ10年でもホーム/アウェイでの勝率があまり変わらないシーズンもあったくらいである。いまからは想像もできないが。
では直近の成績はどうか。
下図は、今シーズンのPLクラブのホーム/アウェイでのPPG(試合ごとの取得ポインツ)をまとめたもの。
ホームでもひどいが、とくにアウェイでは10試合で4ポインツ(0.4ppg)しか勝てていないノリッチのようなチームがあり。逆にセインツはアウェイではポインツを稼いでいるが(アーセナル、マンU、ToTより多い)ホームでは0.93ppgとリーグ最低の悲惨な数字となっている。そんなチームもあり。PLクラブもいろいろである。
基本的にホームでの成績がいいのが全体的な傾向だが、20チーム中、ホームよりもアウェイで多くポインツを稼いでいるチームが3つもある(ウォルヴズ、チェルシー、セインツ)。
アーセナルのPPGは、ホームで1.73、アウェイで1.08。
割合だけ見ればうえから9番目のアーセナルは、PLの20クラブのなかでごく平均的な割合でホーム・アウェイ勝利しているチームということになる。
しかし、割合は並でもやはりとにかくアウェイでのポインツが絶対的に少ないのがアーセナルの大きな問題だろう(ホームは6位、アウェイは11位)。アウェイでのPPGは、クリスタル・パレス(1.21)やバーンリー(1.14)といったミッドテイボーチームよりも少ない。
ちなみにアーセナルの数字を今シーズンのアルテタだけ(PL10試合)に限定すると、ホームで2.17ppg(W4 D1 L1)、アウェイ(W0 D4 L0)で1.0ppgとなる。ホームの2.17はリヴァプール、シティに次ぐのだからそこは大したものである。
今シーズン、アルテタとエメリ&FL(PL18試合)との比較では、ホームが+0.73、アウェイが-0.11となっている。サンプルが少ないのでフェアな比較とは云いづらいが。
ともあれ、アウェイフォームの改善はアーセナルにとって、いまも課題であり続けているということだ。
現時点でのアウェイppgのリーグ4位は、1.64(レスター)。リヴァプールとシティがもはや追いつけないほど突出しているいま、トップ4フィニッシュするためには現状のホームフォームを維持しつつ、アウェイで「劇的な」改善が必要なのである。
なんか毎回同じことを書いてすまない(笑い)。