試合の論点
ブライトン vs アーセナルのトーキングポインツ。
前半の停滞
この試合の前半はほんとうにひどかった。ぼくはてっきりチェルシーでの勢いのままに、フロントの4人からハイプレッシングをかまして、相手を圧倒するものだと期待していたのに、とんでもなかった。
Arsenal had two touches in the Brighton box in the first half
— James Benge (@jamesbenge) December 29, 2020
Arsenal with just one shot in the first half – that free kick from Xhaka.
That’s the fewest in a first half for Arsenal in a game this season.
— Orbinho (@Orbinho) December 29, 2020
前半シュート1本(しかもフリーキック)は今シーズンでワースト。。
オバメヤンが終始自信なさげで、マルティネリも思いのほか静か。彼らは疲れていたんだろうか?
それと、頭を抱えたくなったのはビルドアップだ。序盤はまだ期待を感じさせる雰囲気もなくはなかったが、時間がたつにつれ、どんどんチームの自信レヴェルが落ちていくように見えた。バックからのプレイは諦め、レノがロングボールを蹴るプランはよしとしても、まるっきりU字のボール回しになってしまっていたのはほんとうに失望した。やっとそこから脱したのではなかったか??
パス回しがピッチ中央を経由しない「Uシェイプ」になる責任は、エルネニーとジャカのCMコンビの責任も重いと思うが、彼らだけが問題だというのはフェアではないだろう。目に見えないネガティヴフィーリングがチームに蔓延していたようだった。
BHAの選手たちのプレイが洗練されていたからという理由もあるかもしれない。彼らはチェルシーよりももっとオーガナイズされているように見えた。彼らのハイプレスもかなりイヤなものだった。
しかしそれにしても、チェルシーに勝ってたいそう自信をつけたように見えた彼らが、なぜあんながっかりフットボールに戻ってしまったのか。選手もほぼ同じメンツなのだから、首を捻らざるを得ない。
プレスの皆さんがアルテタに訊いてくれないものだから、想像するしかないのだが、ひとつはやはりプレッシャーかもしれないとは思った。ここで勝たねばならないという精神的なプレッシャーが、チェルシーのときよりもむしろ大きかったというのはありそうではある。勝たねばならないというより、敗けは許されないというほうが正しいか。ミスを極端に恐れるのは、敗けたくないからであり、失点をしたくないからであり。
小さな積み重ねで、歯車がどんどん噛み合わなくなっていくという感じ。相乗効果が生まれるどころか、単純な足し算ですらなくなっていくという。好循環の逆。
マルティネリのエナジー、オバメヤンの自信、エルネニーの消極性、ロブホのパスミス、ESRのポジショニング、バックの選手のプレイの遅さ…… 思い出せるだけでも、ネガティヴ要素はたくさん挙げられる。
それぞれのマイナスがわずかだったとしても、そういったことが積み重なってストレスが溜まっていき、結果として大きなマイナスになってアウトプットされてしまうという。
オバメヤンのCFとフォルス9のいるセットアップ
プレヴューでも書いたように、今回の試合の見どころのひとつは、オバメヤンにラカゼット役ができるかどうかだとぼくは考えていた。チェルシーでのラカゼットはかなりチームの役に立っていて、彼のロールはこのチームには必須だと思ったからだ。あのように攻撃がうまく回ったのは、ピッチの中央を使うセットアップのなかで、ミドフィールドに落ちてビルドアップにアクセントを加える彼の存在がとても大きかった。
そして今回オバメヤンはどうだったかといえば、ラカゼットのようなプレイはあまり観られなかったと思う。
それよりも、彼のプレイを観ていた限りでは、マルティネリとポジションを変えて左のワイドにいたりと、フォルス9役として縦にダイナミックに動くのではなく、いつものオバメヤン役として、左から中央にカットインサイドというプレイをしていたように見えた。
どうもアルテタは最初から彼にラカゼットにやらせているような役をやらせるつもりはなかったと観るべきかもしれない。
でも、どうしてそうしたんだろう? はっきり理由はわからないが、前半うまくいかなかった原因のひとつのような気がしている。
ぼくはオバメヤンにもラカゼット役はできると思っているが(どれだけ上手にこなすかは置いといて)、アルテタは信頼していないし、試そうとも思っていないのかもしれない。
たしかに、オバメヤンのようなストライカーをフォルス9にするメリットは、ラカゼットをそうするよりも少なく、非常にナンセンスだとぼくも考えていたが、だとすると、この現状のうまくいっているセットアップのなかでオバメヤンを使いたいのなら、CFの役割を変えるのではなく、これまでどおり左ワイドで起用するほうが納得感はある。もっとも、そうするとマルティネリとオバメヤンのどちらを選ぶかという贅沢な悩みが発生するわけだが。。
アルテタは、CFにはストライカーとしての役割に加え、ビルドアップをサポートしたり、ウィンガーがカットインサイドできるスペイスをつくったりということをずっと要求してきた。
しかし、オバメヤンをCFにする決断をしてからは、じつはそのあたりが若干中途半端になっているように思えなくもない。CFにはCFの役割(フォルス9ではなく)を求めるようになったが、一方でウィンガーがカットインサイドするような、ミドフィールドではCFのサポートが必要とされるようなストラクチャは変わっていないというのか。
そのあたりのストラクチャの曖昧さ、あるいはマッチしてなさが、オバメヤンのフォームにも影響をしているんじゃないかと思えてきた。
今回はいっそシンプルに、ラカゼットがやっていることをそのまま彼にやらせたほうがよかったんじゃないかと思えるのだが。
役割はどうあれ、彼に「自分はうまくやれる」という自信を早く取り戻させないと、問題は大きくなる一方だ。今回の低いクロスに合わせたシュートは絶好のチャンスに見えたが、GKにぶつけてしまった。ああいう不運を呼んでしまうのも、フォームなんだよなあ。
しかし、この短期間でラカゼットとオバメヤンの評価ががらりと変わってしまったのは興味深い。ラカゼットは夏には残り契約1年で、新契約を提示するか売却するか決断のときになるが、彼がこのまま活躍をつづけていくとかなり悩ましいことになりそうだ(ぼくはオバメヤンと新契約を結んだ時点で当然クラブはラカゼットの売却に傾いていると思っていた。ふたりのサラリーを維持するのは難しいだろうし、このふたりは実質的にチーム内で共存できていないから)。
個人のクオリティに救われる
チェルシーであれだけチームワークの尊さについて書いておきながら、今回は完全に個人のクオリティで勝負が決まった。でもそれもフットボールっすよね。
Saka 🤝 Laca
✅ #BHAARS pic.twitter.com/EL2iLFUwck
— Arsenal (@Arsenal) December 29, 2020
サカと競り合っているのは相手の33番で、長身でセットピースではずっと脅威になっていた選手。スピードで勝負できないのは明白で、サカはうまく相手チームの弱点を突いたなと。サカがほとんど自分ひとりだけでチャンスをつくってしまった。
松木安太郎ならこう云うね。「こりゃあ、サカに0.5点はあげないとね!」
ラカゼットのシュートも簡単じゃなかった。アレをちゃんと決めるというのは、彼がインフォームな証拠だ。その点はオバメヤンとは好対照である。
いいシュートだったね。おっと写真を間違えたかな。
今回アーセナルのパフォーマンスには、大きな不満と不安があるが、こういうだめな試合でも結果を出すのが強いチーム。
つぎこそは内容をともなった試合で勝っていただきたい。
試合については以上。
僕はオーバがポストプレーができる、とはちょっと言えないと思う。
少なくとも、チェルシー戦のラカと同じ役割をオーバに期待するのは無茶だと思う。
しかしラカのコンディションの問題なら仕方ないし、この日程を同じメンバーで戦えるはずもない。
CFオーバの時にはCFオーバなりの攻撃を作る必要があったんだろう。
特に前半のはひどかったけど。
しかしオーバのCF起用自体、ESRと合ってないような気もする。
後半の最初15分くらいはオーバCF仕様の攻撃のアイディアが見られたが、正直ラカが中央に来てからのオーバのほうがずっと機能してたと思う。
ESRを使うんであれば、エンケティアを使ってでも中央にポストプレーヤーを置いたほうがいいかも。
結局ジャカエルネニーのタレントの質の問題は大きいと思いますが…
ベンゲル末期カソルラ抜けて以来5年くらいビルドアップはあまり上手くいってないかなと
しかもどんどん酷くなってますし、どう考えても補強ポイントなのに放置してますよね
2020年もブログ更新お疲れ様でした・・・。わたしは勝っているチームを変えない、というのはチームの底力があがらない、というか、アルテタがスカッドを信頼していない証ではないか?と思います。全員が時速100kmのダッシュを90分間求められるなら、ローテは必須。このまま、またちょこちょこ変えて相性を試す、というのは一貫性がないのではないかと。オーバを活かすのは、ジャカかダビドルイス、ティアニーで裏抜けだと思います。ラカ・ESR・ガビ―とサカ、もしくは、気心しれた、ポジションチェンジがうまい、エンケティア、ネルソン、ウィロック、サカ、ここにガビ―とAMN、これらを気力体力十分なローテーションができないものか・・・あれ、ペペの存在感が希薄・・・。止まってボールを受けて、ためてからドリブルするのはPLでは通用しないんじゃないかなあ。ELでは通用しますが。ともあれ、来年も宜しくお願いします!さてNo.10は戻ってくるのだろうか。パーテイももっとみたいですよね。COYG
マルティネッリはチェルシー戦のようなエナジーは感じなく、それくらいのエナジーがない場合は現状は他に特に突出したものがないような印象も受けますね。昨シーズンの印象含め。そのコンディションの見極めは重要かもしれないとも。
コンディションでいくとやはりこの試合もオーバが厳しいように見えました。戦術や役割以前に今シーズンは動けてない。以前なら置き去りにするくらいのスピードがあったはずというか、そのような場面がほぼない。守備時の集中力やプレスの頻度や態度を見てもすべてが低い。自信とか以前の問題でコンディションが悪いように感じます。
チェルシー戦と比べて相手の守備ブロックが整っていたり、エナジー不足な選手や前半はオーバが下りてくることがなかったり、ジャカの攻撃時のアグレッシブさというか高い位置を取る意識があまり見られなかったりと苦労する要因はありましたが、それでも若い選手のチェルシー戦からの意識の継続性はあったし後半に入って指示されたことが改善として効果が見られたことは良かったですね。
褒めてるんだかけなしてるんだか分からない文章ですみません。
良かった部分もあるけど心配な部分もあるというか。でも良かった部分の方がより見れたと思うし勝利はいいですね。