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【マッチレビュー】20/21EPL エヴァトン vs アーセナル(19/Dec/2020)「長期プロジェクト」に高まるプレッシャー

※おしらせ:今回はトーキングポインツのコーナーはおやすみします。

アーセナルのアルテタとのプロジェクトは強まるプレッシャーに耐えられるか?

今回の結果で、アーセナルはPL直近10試合で1勝(W1 D2 L7)しかしておらず、降格圏まであと4ポインツと、PLからの脱落可能性を現実的な危機としてますます気にしなければならなくなってきただろう。

そして、つぎはミドウィークのシティ(カラバオカップ)を挟んで、週末のチェルシー(H)。ここでいい結果が得られるような気はまったくしない。むしろホームというのが余計なプレッシャーになりそうである。

でも、ぼくはじつは問題はその先にあるんじゃないかと思っている。シティのあとのフィクスチャはこうだ。

  • Brighton(A)
  • West Bromwich Albionvs(A)
  • Crystal Palace(H)
  • Newcastle United(H)
  • Southampton(H)

このあとにマンU(H)とつづく。なんというミッドテイボー具合。

このミッドテイボーチームスとのまったくいい訳のできない年末年始から1月の5連戦。以前のアーセナルなら全勝を期待してもいいくらいのフィクスチャだが、いまは逆にキツい。

仮にここでまともな結果を得られなければ、クラブやチームに対する批判はこれまでの比ではなくなるだろう。ブライトンやWBA、パレスのようなチームに勝てない試合を想像してみていただきたい。しかもこの流れのなかでだ。敗けて当然より、勝って当然と思われるほうがプレッシャーは大きい。

アルテタとの長期プロジェクトのなかにPL降格は想定されているか?

オーナー、ボード、エドゥやヴェンカテシャンらクラブ運営のリーダー、全員がアルテタとのプロジェクトを長期で捉えているということは、本人たちもそうした発言をしているし、メディアなどでも最近もよく指摘されている。

要課金記事で恐縮だが、ここで指摘されていることはおもしろい。実際、アーセナルのリーダーたちはこのチームは2022年まではトップを競う競争力がなくても問題ではない、いわばこのチームの準備期間だと見ているのだという。

Arsenal FC: The decline

それ自体は悪くはない。3年程度の猶予は新しく雇ったマネジャーにもフェアだろう。

だが、果たしてその長期プランのなかにPL降格は入っているだろうか。大きな疑問はそこだ。

アーセナルのようなクラブがチャンピオンシップで戦うことなれば、それはもうヨーロッパがないどころの騒ぎではない。まさにクラブの格に傷がつく事態だ。スポーツ面だけではない。それはこの規模のビジネスでは1000%あってはならない大失態であることは間違いはないし、そうなれば最後にもっとも痛い目を見るのはオーナーシップだ。間違った判断は、自分で自分の首を絞めるのと同じことになる。

彼らが現状の異常事態を予期せず、まさかPLから脱落するようなことは起きないだろうと、あるいはまったくの想定外だったとしてもまったくおかしくはない。彼らだけでなく、誰もここまでのようになるなんて予想しなかった。

最近トニー・アダムス(違うかも)が「レスターが1/5000のオッズでPLタイトルを取ったのだからアーセナルの降格もあり得る」と述べていたが、まったくそう思う。

いくらオーナーシップがアルテタとのプロジェクトを長期的な視野で見ているからといって、進歩どころか、ずっと退行していくチームがそのまま降格圏に入っていくのを静かに見ていられるかという。

世論からのプレッシャー

それとアルテタのポジションを脅かすものとして、メディアやファン世論からのプレッシャーもある。

エメリのときほどではないにせよ、ArtetaOutの気運はいまかなり高まってきているだろう。「なぜいまだに彼がマネジャーなのか意味がわからない」というような声は、ソーシャルメディアなどでいくらでも目にすることができる。

誰だってこんな惨めなアーセナルは観たくはない。どうにかうまくやってほしいとすべてのファンが願っている。だが、いつでも限界はある。

アーセンのときも、ウーナイのときも、結局クラブは世論のプレッシャーに耐えきれず、解任に踏み切ったように見える。チームの成績や内容がどんどんひどくなる一方でも、明らかにクラブの権力者たちは彼らにマネジャーを続けてもらいたがっていた。なんなら、もしファンやメディアが許せば、彼らはいまもまだアーセナルにいたかもしれない。

今回はコロナ渦ということもあり、シーズンチケットホルダーのような熱心なファンがステディアムに来なくなるという目に見える意思表示こそできないものの(経営的にもPR的にもクラブにはそれが一番の打撃だろう)、たとえばソーシャルメディアのフォロワー数などといったことでも、クラブに世論の反応は見えているはず。彼らに危機感はもうかなりあるのではないだろうか。こんな試合を続けているのだから、毎試合でフォロワーがごっそり減っていてもまったく驚かない。好きはかんたんに嫌いになるものだ。

この産業は、結局はエンタテインメントなのだから、お客さんのノーは絶対に無視はできない。

ところで、前述したミッドテーブル5連戦のときは、ちょうど1月の移籍ウィンドウと重なる(最初のBHAが12/29)。もし1月にクラブがこれまでにないレヴェルで散財するようなことがあれば、ファンの批判をある程度かわすことができるかもしれない。

したがって、論理的に考えれば、1月のウィンドウは予算的にはかなり期待できると思う。だっていつものように「冬のウィンドウは補助的だから……」なんて云ってる場合じゃない。間違いない。このあと半年はもうチームには何もできないのだし。

チームからのプレッシャー

また、チームの内部からのプレッシャーも当然ある。

チームがこれだけ調子が悪いと、選手たちのストレスは貯まる一方で、自信も信念もますます削られている。そのことは毎試合のパフォーマンスに如実に観られる。

そして、うまく行っているときにはけして見えなかったこと(たとえば起用法とか)も不満として浮上し、いまはまだほとんど伝えられてはいないものの、いずれ選手からアルテタに対する不信や不満の声も聞こえてくるのではなかろうか。

最近いくつかのメディアでアーセナルのドレッシングルームで起きていることについての指摘を見た。

  • エジルやソクラティスのようなチームに影響力のあるシニアプレイヤーズをチームから外していることに一部の選手が不満
  • ダヴィド・ルイスとアルテタの不仲?(前述のThe Athleticの記事ではルイスはケガを理由にしてオールド・トラフォード行きのチームに加えられなかったことに不満だったらしい)
  • IB中にクラブに無断でドゥバイに旅行したウィリアンがお咎めなし、そして
  • ぺぺとジャカのレッドカード後の反応の差。アルテタのダブルスタンダード。Non-negotiableはどこへ行った?

そのほかにも、ウィリアム・サリバはつい最近もクラブへの帰属意識の低さがわかる発言をしていて、ぼくはとてもがっかりしたものだ。でも、どうして彼がそんなふうに思ったことを責められるだろう? ファン界隈ではクラブのマンマネジメントについても批判されている。

それとすごく気になったのは、gunnerblog氏が指摘していたことだが、セインツの敗戦のあと、アルテタは選手たちに声をかけなかったという件。それが彼にとって異例のことなのかどうかはわからないが、もしそれが本人の敗戦のショックからそうした行動をとってしまったのだとしたら、とても残念なことである。そして、最近のドレッシングルームの話と合わせて象徴的にも思えた。

また先日のDAZN Spainでの「4-3-3をやりたいが5つ6つのポジションが足りていない」発言も、選手たちにはいい印象を与えていないはずだ。アルテタのこの発言でファーストチームの半分が、自分は信頼されてないと感じたかもしれない。彼もこの発言は失敗だったといまは思っているんじゃないだろうか。ここで選手たちとの信頼関係を無駄に揺るがすようなコメントをする必要はまったくなかった。

もしアルテタがチームを掌握できなくなれば、そのときはもう紛うことなき末期だろう。そういうチームがワークすることはないのだから。

いまこんな状況でも、クラブはもちろん、まだ多くのファンもアルテタの解任を望んでいない(だろうと思う)。しかし、それ以外にチームが復調するきっかけを掴むことができそうになくなってしまうときがくることは、これからかなりの確率でありそうな気がする。チームが悪くなったとき、選手をすべて入れ替えるなんてことはできないのだから、なにかを大きく変えるためにはマネジャーが辞めるしか道はないのだ。

今回アルテタもプレス会見で「取り返しのつかなくなる前に」という発言をしていたが、もうそういった状況に片足を突っ込んでいると自覚しなければならない。このままでは、ファンからの批判がどうこうよりも先に、チームが壊れてしまうんじゃないかと心配だ。

アルテタとの長期プロジェクトはこのまま予定通りに維持できるのか。これからクラブの覚悟が試される。勝てないかぎり、試練はつづく。



さてつぎの試合は火曜(日本では水曜早朝)のシティ。カラバオカップだから、すごくいい試合をやるかもね。このストレスを発散させてくれるようなパフォーマンスを期待したいし、実際してくれるんじゃねーかな。きっとESRも観れるだろうし。

ではまたプレヴューで。COYG

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お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

7 Comments on “【マッチレビュー】20/21EPL エヴァトン vs アーセナル(19/Dec/2020)「長期プロジェクト」に高まるプレッシャー

  1. 前半を見て、正直もう見たくないと思ったが、眠れなかったので後半も見てしまった。
    こうやってファンが離れていくのかと思ってしまいました。

    アルテタに同情する部分はありますが、配られたカードで勝負するのが監督ですからね。
    ましてやもう1年経過してますし。プレシーズンがほとんどなかったとはいえ、さすがに変化がなさすぎる。

    ここまでの14戦でアルテタが現状のスカッドで大きく変更する気がないことは分かったので、冬の移籍市場で大した動きがなければ、アルテタ解任もやむなしですかね。。

    マンUの迷走を笑ってたときもあったけど、今となってはこちらの方がひどい状況という。どうしてこうなった??

  2. ヤバいっすね、このままズルズルいけば降格も普通にありそう。
    てかチャンピオンシップのクラブにも今の状態だといい試合になるのでは…?
    ほんと、戦術に選手を無理やり当てはめるのは無理があるんだなあと実感しております。
    配られたカードの使い方、という面ではアンチェロッティとの違いが浮き彫りになりましたね。
    こうした能力をアルテタが身につけるまでにどこまでクラブが落ちてしまうのか、早いうちににターニングポイントが訪れることを祈ります。

  3. イオビがんばってましたね。
    それに比べてうちのやつらときたら。
    もうしばらく試合中にワクワクしてないなぁと思います。へたしたら数年以上。
    ベンゲルのころは、どれだけチャンスを作っても決められずに負けるとか時々あったけど、まぁ次は勝つしって感じで見てましたね。
    ここ数年は、あれ入っちゃった、勝っちゃったってゆうのが多くて、なんかふわふわしてましたね。
    そして現在…。
    ワクワクしてたのはアレクとエジルの頃かも。
    つらい。

  4. 見ててつまらない。
    これに尽きます。
    正直、ユナイテッドに勝った時も、ガッツポーズしながら、つまらないパフォーマンスで勝ったなあ…と本心では思っていました。
    それでも、未来があるからこれは足掛かりだと思ってた。
    もう10年来ですから、離れられませんけど、離れるファンは大勢いるでしょうね。

    見てて次の日腰痛なりました。
    汚い言葉ですが、あえて言わせてください。
    今のアーセナルはクソです。

    Coyg

  5. 内部リークみたいな話がメディアに出てる以上、時間の問題でしょうかね。アルテタはモグラをデストロイすると言ってましたけど…
    現場は本当に酷いもんですけど個人的にはオーナーがクロエンケでは何も変わらないと思います。マンユーと一緒です

  6. ウォルコットもイウォビも頑張っていたなあ(遠い目)
    PKでしか点は取れないし。一番みていてむかつくのは、U字の先端で、仕掛けようともせず平気でバックパスすること。走力や創造性、ワンタッチを一度も使わずに。それで勝てるわけないじゃない。ダイアゴナルのロングパスいれて、クロス弾かれ(以下続く)・・・うん、戦術はあっている、あと少しだ、ってアルテタ本当にそんなこと思っているのだろうか。ああ、アンチェロッティきてたら変わっていたんだろうか。揺れる自分が情けない。火曜もフルボッコ覚悟ですな。見ますけど。COYG

  7. ファンが見て気づく弱点に、アルテタ(一万歩譲ってアーセナルスタッフ)が気づかないわけがない。

    ということは、これはもうアルテタが強情すぎて周りの意見を聞かず、暴走してるだけなのでは。若い頃はそんなもんだから仕方ないけど、権限与えすぎたのが組織として間違いでしたかね。

    本当にクラブの未来を見据えてのことなら、プレッシャーを彼一人に背負わすような今の体制は避けるべきだった。

    割とマネジメントの基本のような感じがするんですけどね。

    シティやリバプールにシュート2本か3本でたまたま買って大喜び(それくらい勝ててなかったから仕方ないですが)してる場合じゃなかった。

    これは明らかにボードの失敗です。

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