試合の論点
WBA vs アーセナルのトーキングポインツ。
この一週間の劇的なフォームの改善とESR効果
これで3連勝ということで、チームのフォームは劇的に改善されていると云っていいだろう。
もしチェルシーでの勝利だけだったなら、彼らのバッドフォームもあるし、われわれのトップチームに対する強さもあるし、あるいはまぐれのように捉えらている可能性もあった。だが、そのあとも苦手なミッドテイボーチームス相手に、しかもアウェイでつづけて結果を出したことで、この自信はいま揺るぎないものになりつつある。
この3試合で8得点1失点。それまでのPL14試合で12得点(18失点)だったのだから、まさに倍増。
Over those same periods their open play xG has gone from 0.77 per 90 (11th in PL) to 1.84 (2nd in PL). Shot conversion rate has gone from 1.6% (bottom of league) to 17% (2nd in league). Some of that improvement confidence and effort but it seems this was a team that needed a 10.
— James Benge (@jamesbenge) January 3, 2021
アーセナルが長らく勝てなかった期間(11/8(※アストン・ヴィラH)~12/19(※エヴァトンA))とこの3連勝期間で、いくつかのスタッツを比較すると以下のようになる。
- オープンプレイからの平均クロス(p90) 20.5(リーグ1位) → 11(リーグ11位)
- オープンプレイxG(p90) 0.77(リーグ11位) → 1.84(リーグ2位)
- ショットコンヴァージョンレイト 1.6%(リーグ20位) → 17%(リーグ2位)
アーセナルは悪い時期はずっと攻撃を雑なクロスボールに頼っていて成果が出ず。一方でこの3連勝ではクロスの数がぐっと減って(それでもリーグ11位だが)xGがリーグ2位と劇的に向上している。CVレイトについては、チームの自信や勢いが反映されたものと観るべきか。
まあサンプルサイズは確かに小さいので、これをもってなにか確かなことを主張するのは憚られるが、調べればもっと興味深い数字もピックアップできるだろうと思う。おそらくはどれもポジティヴなものになるはずだ。だって、試合を観ていてもこれまでと全然違っていたのだもの。まるで別のチームだ。
こういった突然のチームパフォーマンスの改善はいかにして起こったかと考えるに、それはこの3試合でチームに施された変更を観るべきであるのは云うまでもなく。
そしてそれはNo.10=ESRの抜擢なのである。結局それが決定的だっと認めざるを得ないはず。
アルテタのチームには真正のNo.10プレイヤーはおらず、ESRの抜擢というよりは、ピュアNo.10のプレイを許すシステムを使い始めたと云うほうが正しいかもしれない。
もはやチャンスクリエイションに苦しんでいたときなんてあったのか思い出せないという。。
Emile Smith-Rowe has created 11 chances in 374 minutes this season – a chance created every 34 minutes pic.twitter.com/1nd9TGmqNN
— Premier League Panel (@PremLeaguePanel) January 2, 2021
彼がいることによって、チームの攻撃は積極性を増し、選手がリンクするようになり、いままでくすぶっていた攻撃の選手たちのパフォーマンスも著しく上がってきた。ラカゼット、サカはその筆頭であり、ほとんどウィンガーのようにプレイしているKTにも大きな恩恵になっているだろう。どんどん良くなっていき、そこから自信を得て、さらに良くなっていくという好循環が生まれている。それまでの逆である。
また、こうした攻撃の積極性が、守備にもいい効果をもたらしていることが素晴らしい。チェルシーでは終盤に失点したが、3試合連続のクリンシートだって十分ありえた。でもフットボールとは結局そういうものなんだろう。
それにしても、ESRの起用はずっと待ち望まれていたとはいえ、チェルシー戦のようなビッグマッチでいきなりやるとは驚いたものだ。そのサプライズ起用はいま十分すぎるほど報われている。いまのフランク・ランパードのメディアやソーシャルメディアでの批判のされ方などを見れば、アルテタはESRと選手たちに救われたと云えるくらいである。
アルテタは、来週復帰が期待されるパーティについて「まるで新しい契約」と認めていたが、ESRこそ新しい契約のようなものだ。彼がいきなりここまでのインパクトを出してくれるとまでは期待していなかったというのがアルテタの本音ではないだろうか。
アルテタは冬の補強プランにこの連勝は影響を与えない(それまでのプランどおりに動く)と主張していたが、この一週間の状況がプランに影響を与えないはずがない。ESRはトップレヴェルでプレイできるとカウントされていなかったからこれまでPLでの起用が躊躇されていたのだし、そうだったからクリエイティヴMFの補強が必要だった。しかし、いまはもう彼が十分戦力になるとわかってしまった。戦力になるどころかキープレイヤーですらある。
噂されているユリアン・ブランツやエミ・ブエンディアならまだしも、ESRの台頭でイスコやエリクセンのようなその場しのぎの補強をする必要はほとんどなくなったように思える。そうした旬を過ぎた選手を取って、ESRはベンチに? そんなバカな。そんなことをすればますます「長期プロジェクト」に疑念がわいてしまう。クラブはこれまでやってきた判断の失敗を思い返すべきだ。
ということで、書いてたらなんだか話がそれてきてしまったが、ESRがこのチームパフォーマンスの劇的改善に一役買った。それどころか、彼こそが改善のまさに中心にいた。そういうことである。
アルテタはひとつ回答を見つけたのだ。しかも自分のチームのなかで。ゼロコストである。
Nice game my boys! 🔥 Great spirit – 3 wins in a row ❤️👏🏼 Team looks good with a No10 like Emile Smith Rowe – the difference maker 💪🏼 #YaGunnersYa #COYG #WBAARS @Arsenal
— Mesut Özil (@MesutOzil1088) January 2, 2021
エジルのお墨付きももらった。
KTとサカがすごすぎる。両ワイドの活性化
試合プレヴューで触れたマイケル・コックスの分析コメントでWBAはバックにスピードがないというのが指摘されていたが、KTは左サイドをまさにちんちんにしていた。彼はひとりで突破しようと試みるタイプだが、あれだけ効果的だとさぞかしおもしろかっただろう。ドリブルは3/3で成功率100%。成功3は両チームでトップ。
彼の得点のシーンはぼくはちょうどストリーミングが途切れて見られなかったという、なんのために朝5時から観てるのかわからなかったよ。。
でもあれは彼のいいところが凝縮されていたゴールだった。ランとフィニッシュとパッション。まさに。
The run. The finish. The passion.
❤️ @KieranTierney1#WBAARS pic.twitter.com/NzCgnVdyb7
— Arsenal (@Arsenal) January 3, 2021
やっぱり彼は寒いほうがアガるんだろうか?
それと、サカは右サイドでずっと脅威になっており、この3試合ではESRのNo.10が最大のインパクトだと思ってはいるが、サカの右サイドもまたチームのフォーム改善に大きなインパクトになっていると思う。
アルテタが来てから、アーセナルの右サイドはやや鬼門のようになっていて、ぺぺやウィリアンといった右のワイドプレイヤーが苦しんでいるのも、全体ストラクチャのなかでの右サイド問題として見るべきだとも考えていた。以前にアルテタのフロント5について書いたときからあまり状況は変わっていないというか。
ミケル・アルテタの「フロント5」4つの論点 | ARSENAL CHANGE EVERYTHING
ところがどうだろう。サカは右サイドでプレイしても全然問題ないどころか、左偏重だったアーセナルの攻撃が、今度は右ワイドが脅威になりつつある。
この3試合と以前からのデータを調べたわけではないのでわからないが、いまアーセナルは両ワイドの攻撃は以前に比べてバランスも改善しているのではないだろうか。左はKT(マルティネリ)がいるし、右にはサカがいる。けして以前のように、どちらかに偏っているという印象はなくなってきたように感じる。
少なくとも今回はかなりバランスがよかった。
Arsenal making good use of the wide areas in this game, but only made eight crosses from open play. Much more effective driving into the box from wide positions. pic.twitter.com/B7S9xsldy7
— Orbinho (@Orbinho) January 2, 2021
中央でプレイするESRの効果もあるだろうが、とにかくサイドを問わずアーセナルが攻撃できるようになったことは、攻撃改善のひとつの大きな理由であると思われる。
どちらかのサイドに攻撃が偏重すること自体が悪ではないのだろうが、アーセナルのように攻撃の予測可能性について指摘されてしまうようなチームでは、どちら側から攻撃されるか相手にわからないほうがいいに決まっている。
いずれそうした分析もメディア等でされるかもしれないので、そういうものを見つけたらまたこちらで紹介しよう。
正にハッピーニューイヤー。すばらしい。
これまでおれたちのキャプテンのゴールで勝たせてもらってきたので、これくらい問題ないっす。この試合はかなりゴールに近づいてたし、ジカンノ問題ですね。ただ、キャプテンは顔に出まくるので、やっぱ早くゴール決めて笑顔に戻ってほしい。
サカ様が右ウィング掴んでしまったっすね。ペペもウィリアンもどうなるんでしょう。ペペなんて試合で使われないとふてくされるタイプっぽいし。マルティネリだっていますしね。このあたりはほんとに悩みどころですね。ホントなんでウィリアンとったんだか。
毎週1ツイートでうん千万もらってる人もいるし。はっきり言って、マルティネリ、ローサカあたりはもうボーイズではないですからね。
1月は好調スタートにマーケットもあり、コロナの脅威もありと、たいへんな時期ですけど、このまま中断なしで走り続けてほしいっすね。
開幕からずっとウィリアンを右に置いてパスの起点にする感じだったけど、結局機能したのはサカの強引な突破力であり、ESRの10番だった。
まあこの2人のキャリアを考えたら、最初からそっちを重視するほうがおかしいか。
今のサカは懐が深いというか、少々ずれたボールでも簡単に足元に収めてくれる感じがする。
ESRはアルテタの基準できちんと戦った上で、ちゃんと10番らしい10番だ。(すげえ!)
で、今後ウィリアンにどっちの役割を求める?という話になると思うんだけども、僕はESRのほうじゃないかと思う。
僕は今の好調の一因は「トップ下がきちんと戦ってくれるからDMFが前に出やすい」ことだと思うんだけど、そこにこだわって控えを選ぶならウィロックよりはウィリアンだと思う。
ESRやマルティネリの基準で見てしまうと戦えるベンチメンバーはけっこう少なく、ここはベンチメンバーが頑張って限界を乗り越えないといけない。
今ならぺぺに、ウィロックに何が足りないのか、一目瞭然。
だからこそ、今頑張れ。COYG
今年もよろしくお願いします。
いや、2つ目の全アーセナルファン待望ってやつでしたね。
某エジル氏が何時ぞや言っていた「セクシーフットボール」を見ました。
ユース上がりの選手にしっかりアーセナルのDNAが埋め込まれていて嬉しい限りです。
ケガだけ気をつけて、調子いい内にもっと経験値を積んでもらいたいです。
COYG
素晴らしい新年になりましたね。やはりNo.10効果なのかと。ESRが推進力もワンタッチも的確だから、攻撃が止まらないのと、どこにも顔を出して攻撃に厚みを加えるんですよね。4-3-3にすると前線の3人の個人技頼みになって、守備にブロック作られてU字にクロスをぽんぽん・・・ということが多かったので、今はあれだけプレスもかけられるNo.10一人が入ることでチームの距離感やスピードが劇的に改善したということかと思います。でも、カンテみたいなのにマンマークされたり、ESRが故障(怪我多い印象ですもんね)したら・・・を今から考えねばなりませんね。ウィロックばバーヨスよりは、ウィリアンという感じなのですが・・・。ESRはこれで自分でも年間7~8点ぐらい計算できる選手になったらロシツキー、10点超えたらデブライネですね。夢が膨らむ2021年です。COYG
あの環境の中、試合をした両チームの選手、レフェリー、スタッフ全員にお疲れ様という気持ちになりました。
やっているサッカー自体は勝てなかった時期と変わっていないですが、
スペースの使い方がよく分かっているスミスロウがいることと左利きのマリがいることがとても影響していると思います。
移籍期間ですが、調子のいい彼らの出番が減るようなことにはならないことを願ってます。
「規律の中での自由」は、個人的にも「アルテタボール」の鍵だと思うので、
是非、執筆いただきたいものです。
しかし、贔屓のクラブが気持ちの良い勝利をするだけで、なんという多幸感。
世がこんな状況と言うのに。
まさにArsenal Change Everything。
ウェリアンはせっかくいるのなら、残りの3年?はESRとのローテでNo.10ロールを、
ペペはホントはもっと見たいけど、サカの疲労MAX時くらいしかアルテタは使わなさそうっすね・・・。
ESRによって10番タイプの必要性は証明された感がある。それならエジルはメンバーに入れるべきだと思う。一月補強はフィットするか不安な部分があるし、ESR1人だと負担が心配。