マルセロ・フローレス「2022ワールドカップでプレイしたい」
NXGN2022で48位に選出。『GOAL』より。
NTデビューと夢
フローレス:(メキシコU-20での活躍が認められ、2021年12月のシニアNTフレンドリー・チリ戦に招集)メキシコデビューした夜は絶対に忘れられない。
選手みんなによくしてもらった。年上の選手たちもいて、とても仲良くしてくれたし、よくトレイニングもした。サブから試合に出たときは、ぼくにも家族にもとても特別な瞬間だった。マネジャーには機会を与えてくれたことを感謝したい。
ぼくは19才になるまでにはPLでデビューしたいんだ。それがぼくの目標。そして、メキシコでちゃんとデビューして、できればカタールのワールドカップにも選ばれたい。
ぼくのアイドルは、メッシ、ロナウドにネイマール。みんな同じことをやった。彼らのような選手にあこがれて、彼らのようになりたい。どんな選手だって、究極の夢はCLを勝ち取ったり、バロンドールを受賞することだから。
フットボール家族
(父はメキシカンリーグでプレイ、母とチェルシーとトッナムでプレイするふたりの姉妹もフットボーラー)ぼくがプレイを始めたのはすごく小さかったとき。父さんはまわりにたくさんフットボール仲間がいて、みんなフットボールが大好きだった。
ぼくはフットボールを始めてから、そのあとフットボールへの愛情を失ったことは一度もない。ぼくはすごく元気な子どもで、フットボールをプレイしていればただ幸せだった。
バルセロナがぼくの好きなクラブだった。母さんには、ぼくがシャツを全然脱がなかったと云われる。父さんにはカンプ・ノウにも何度か連れて行ってもらった。そのときはロナウジーニョがいちばん好きだった。
ぼくのアイドルはメッシで、ふたりの姉は、アレクシス・サンチェスとイニエスタ。家に帰ってからは、彼らのプレイをよく観ていた。CLがある日は大好きだった。いい思い出だ。
イプスウィッチ・タウンからスカウト、家族でイングランドへ
(カナダからイングランドへ)最初の年はとてもむずかしかった。いいプレイはしていたんだけど、カナディアンの子どもとしては英国流に慣れるのに苦労した。英国人の子どもたちとのやりとりも。
でも自分のフットボールに集中して、つぎの年はそこでコーチのひとりになった父とたくさん過ごすようになった。土日は一日中ずっとそこにいた。放課後も。自分でも、チームともかなりトレイニングをして、それが報われた。すごくうまくやれるようになっていき、たくさんの道が開けた。
(2018年フローレス15才、リヴァプールやマンシティも契約したがっていたがアーセナルを選んだ)毎日、トレイニングに行くときにたくさんの写真の前を通り過ぎる。それは、究極の夢だ。だから毎日自分が成長できるベストを尽くす。それが報われるとわかっているから。
それはインスピレイション。ブレイクスルーしてきた選手を観ることは、ここに進路があるということであり、やるべきことをやっていれば、自分もそこにたどり着ける。
アーセナルのファーストチームを初体験
(ファーストチームのトレイニングに参加)最初にそこに行ったときはまだ16か17だった。そのときFIFAにハマってたんだけど、突然ぼくがFIFAで遊んでる選手たちといっしょにトレイニングすることになって、ちょっとシュールだった。もちろんそれには慣れるけど、最初はマジでクールだった。直接プレイしてみて、彼らがどれだけ上手か思い知ったんだ。
そこへ行くときはいつも、マネジャーや選手たちに自分のベストを観せたい。それがぼくがずっとやっていること。
サカとESRへのリスペクト
ブカヨもエミールも、いまぼくが経験していることを経験してきた。彼らは自分たちが助けになることもわかってる。だからアドヴァイスもくれるし、すごく助けてもらってる。
ブカヨはファーストチームに直行した。これはすごいこと。でもエミールは2回ローンに行って、それは彼にはちょっとキツい道だった。でも、彼のここまでの道のりを観れば、アーセナルでNo.10シャツをもらっている。それはぼくの夢でもある。大きなことだ。
それが示すのは、がんばれば報われるということ。
以上
マルセロ・フローレスの評判
『The Guarudian』がGOALと似たような企画で、“Next Generation 2020”で次世代のヤングタレンツのなかで彼を取り上げている(※The Guardianのほうが本家かも)。2021年8月の記事。ちなみにこのリストで彼のひとつ上には、レアルのTakuhiro “Pipi” Nakaiがいる。ベン・メイブリー。
フローレスはカナダ生まれで、ケイマン諸島で見いだされた(彼の父はそこでプロのストライカーとしてプレイ、また女子NTのコーチもつとめた)。そしてイングランドで育成されている。最初はイプスウィッチ、現在はアーセナルで。
彼は(カナダやイングランドも選べるが)父親の国であるメキシコを代表することを選んだ。
彼はヴァーサタイルなアタッキングMFであり、フィリップ・コウチーニョやエデン・アザールと比較される。この8月には、プロ契約の前にも関わらず、すでにアーセナルのファーストチームでトレインしている。
彼の姉であるSilvanaもメキシコスクワッドの一員であり、2018年のU-17女子ワールドカップではファイナルまで到達した。妹の15才Tatianaは、この夏にアーセナルからチェルシーに移籍した。
(2021年8月更新)この才能あるMFにとって、なんという年だったのか。彼のスーパーブなフォームで、ガナーズのU-18からU-23へ昇格、9月のPLバーンリー戦の前にはファーストチームのトレイニングにも招集されている。ユースからのこの進歩はよい前兆。
ただ、代表の将来はまだかなり不透明。9月のメキシコU-20スペイン戦には招集されているが、まだEl Triに将来を誓ったわけではない。イングランドとカナダが彼を巡って取っ組み合っているところ。大きな決断が待つ。
取っ組み合いですよ。
この記事のあとに、彼はメキシコのシニアスクワッドに呼ばれてデビューしているため、もうメキシコNTでやっていくと腹を決めたんだろう。
マルセロ・フローレスのプレイスタイル
基本的には、No.10。映像を観ると、メキシコU-20でもアーセナルU-18でも10番シャツを着ていた。
そして、両サイドのウィングとしてもプレイできるということで、攻撃的なMFとして、左右中央のどこでもプレイできるヴァーサティリティが彼の持ち味のひとつ。
いちおう公式には右足ということながら、左足も遜色なく使える両足使いだそう。The Guardianの記事ではコウチーニョやアザールの名前が出ているが、若いときのサミール・ナスリと比較する向きもあるようである。ゴールできるナスリ。
パティーノがクリエイター系・ゲイムメイカー系であるのに対し、フローレスはポジションはひとつ前で直接のゴール脅威になれるタイプ。※現在のアーセナルアカデミーのスクワッドでは、彼はMFではなくFWとして登録されている。
今シーズンは、U-18PLで11試合でG6 A2。PL2(U-23)では8試合でG3 A1。結果を出している。
「なぜ、マルセロ・フローレスはエデン・アザールと比較されているか」というハイライト動画。
この映像で彼のプレイスタイルがけっこうわかる。すばしっこいドリブラーで、単独でボールを運べる。ボールを持っているときのフットワーク、切り返しが軽快。少なくともひとりかふたりはがさないとパス出さない系。こういうタイプはPLにステップアップしたときには、屈強なDFに苦労しそうではある。
🔥🔥🔥🔥⚽️ FLOR3S pic.twitter.com/FrZnEcF0B6
— Ruben Flores ⚽️ (@Ruboflores) March 19, 2022
↑このtweetをしているのは彼の父ちゃんルーベンのようだ。姉ちゃんと妹↓ なんという一家。
@18silvanaflores @10marceloflores @9tatianaflores pic.twitter.com/s6wIEtXwre
— Ruben Flores ⚽️ (@Ruboflores) February 18, 2022
マルセロ・フローレスのプロファイル
2003年8月1日うまれ。カナダ・オンタリオ出身。身長不明。国籍メキシコ/カナダ。MF/AM。右足。
2020年7月にプロ契約。契約は2023年7月まで。アーセナルは2年契約延長オプションあり。
代表歴は、メキシコU-16、U-20。メキシコシニアNT。
TMでは身長が不明ながら、ハイライト動画を観るに、かなり小柄に見える。170cm前後かも。
メキシカンなガナーというと、われらが思い出すのはカルロス・ヴェラか。調べたら彼はまだ33才だった。なつかしい。
彼は、アーセナルを離れてからスペイン(ソシエダ)でなかなか活躍していた印象がある。典型的なPLの水が合わなかったタイプみたいな。
先にリンクしたフローレスとナスリの比較に言及したブログでは、フローレスは妹がいるチェルシーに移籍してしまうんじゃないかという懸念もあるようだ。
それだけはやめてほしい。
楽しみすぎる数年後のアーセナル
さて、パティーノとフローレスは18才ということは(ふたりとも今年の8月に19才)、本格的にファーストチームに関与していくのは、うまくいって2-3年後といったところか。もちろん、来シーズンに大ブレイクみたいなことになれば最高であるが、そこまで期待はしないでおこう。期待はどうしてもしてしまうのだが。
2-3年後というと、2023-24から2024-25シーズンあたり。そのときアーセナルはどんなチームになっているかを考えると、非常にワクワクせざるを得ない。
2年後も、いまレギュラーでプレイしている選手の多くが、フットボーラーとしてまだようやくプライム年齢に突入したか、あるいはその前であり、年齢が気になるほうの選手であるパーティだって2年後はまだ31才。そして、パティーノやフローレスは、現在のサカ・マルティネリ・ESRのようなニュースターに。
そのときのアーセナルは、すでにCLの常連に戻っていて、PLでもトップ4ではなくタイトルを競っていたり。
フットボール世界の栄枯盛衰で盛者必衰で諸行無常でAll things must passなサイクルを考えると、シティとリヴァプールの覇権がこの先もずっとつづくとは限らない。いや、なんならそろそろ終わる。
そして、つぎの時代の強者はアーセナルであってほしい。そして、そのときはいまと同じような若くフレッシュなチームであってほしい。
夢がふくらむなあ。
おわり
パティーノのボールタッチは少しセスクに似てる感じがしますナ。やばいくらい正確、すべてのボールタッチが心地よくて、しかも一つ一つにちゃんと意味があるんだ!って感動したのを今でも鮮明に覚えてる。
先日のエントリーじゃないけど、セスクのは音楽的だったと思う。ただデタラメに場当たり的に音を出してる(テクニックを使ってる)わけじゃなくて、ほんの20cmボールを動かすのさえ、フィールド上の味方全員をはっきり感じながらやってたと思う。ごく優しい、心地よい会話って感じだった。
ちょうど先日そのセスクが嘆いてたようにサッカーはすっかりフィジカルな競技になってしまったけど、パティーノがキャリアのこの段階で自分の行く道がはっきり見えたのは良かったと思う。あと2回りタフになった上であの才能を活かせたら、何か今とは違うサッカーが見えてくるかも。そういや昔THEATRE BROOKに「欲しいものは~教師じゃない、道だ」なんて曲がありましたネw。