こんにちは。
日本でも東スポ扱いの『The Sun』。そのスコットランド版が、キーラン・ティアニーのあのケガ以降で初というインタヴューを掲載していた。信じられるほうのThe Sun(笑い)。
I scored for Scotland one week, the next my season was in tatters, says Tierney
このインタヴューを紹介しよう。あと、KTの移籍のうわさについてもすこし。
キーラン・ティアニー「いつも全力でやらなければ罪悪感」
KT:2月にホームでウォルヴズと対戦したとき、ファーストハーフでヒザに違和感があったんだ。そのことをフィジオたちに伝えて、検査もした。でも問題はなく、そこまで痛みもなかった。
そしてアーセナルでのプレイをつづけて、そのあとスコットランドでも2試合問題なくプレイした。まったく問題なしで戻ったよ。その後に、ジムで脚のエクササイズをやっていたら、左ヒザにクリックがあった。ぼくは本能的に、これはマズいと感じた。もしかしたらスキャンをすべきやつかもと。
ものすごく痛いというわけではなかったんだ。ぼくはアーセナルでプレイしていて試合にも勝っていたし、スコットランドではゴールとアシストをひとつづつ。だから、ウォルヴズの試合のあともとくに心配事はなかった。
しかし、スキャンの結果が戻ってくると、突然手術が必要だという。なんて不幸だ。
でもあのクリックのあとは、たしかにふつうじゃないのはわかっていた。
(復帰までの)見込みは12週間。アーセナルとスコットランドでどれだけの試合に出られないかわかったときは、悔しかった。でも、それについて自分にできることは何もない。
すぐに、ぼくは早く戻るにはどうすればいいか、専門家とフィジオから情報を得たかった。復帰のためのタイムフレイムがどれだけだろうと、ぼくはいつも早めの復帰を目指す。できるだけハードに自分をプッシュする。それしかやりかたを知らないしね。
自分ひとりでジムで一日ワークするのはタフだ。でも自分をプッシュしつづけなければならない。自己憐憫にひたっているヒマなんかない。誰かの同情を期待したりもしないよ。結局、自分はフットボーラーでいることがラッキーだと思っている。それを当たり前のことだと思ったことなど一度もない。
フィジオたちにしてみれば、ぼくは「悪夢」だよ。いつだって彼らに、もっと早く戻れるよう急かすから。
それにぼくは見物客ではいられないんだ。チームを助けるために何もできないことが、頭にくる。ぼくのターゲットは、6月末に戻ってアーセナルでプリシーズンを始める。いまはその予定で進んでいるよ。リハブはうまくいっている。
アーセナルのスポーツサイエンス、フィットネス、メディカルスタッフをこれ以上ないくらい称賛するよ。彼らはまったくもって最高。あれ以上良好なサポートは望めない。精神的にも、肉体的にも、クラブは選手にあらゆるバックアップを提供してくれる。
そして、ぼくはリハブにメダルなど期待しない。ハードに取り組んでいるから。それはただ単にフットボーラーに必要なことだ。
(つねに全力でやること)ぼくは、若いころからずっとそういうのが好きだったんだ。チームメイトたちやチームに対して、ズルをしたくないという考えがいつもあった。
全力を尽くすことは、ぼくのスタイルであり、そのやりかたを楽しんでいる。もしかしたら、自分のためになっていないこともあるのかもしれないけど。
いつだったか、Steve Clarke(スコットランドNTのマネジャー)がぼくにこんなことを云ってきた。「キーラン、キミはときどきはゆっくりやってもいいんだよ。心配しなくても、みんなキミがどんなタイプの選手かわかっているし、何をやってくれるかもわかっているんだから」。
でもぼくは「いや自分には無理なんで」って云ったんだ。もちろん、もしすこしでも不安があったときは、注意深くなるべきだということはわかってるけどね。
ユース時代や修行中だったときも、ぼくの頭のなかにはそれがあった。ぼくは技術的にはベストじゃなかったし。だから、もっとハードにワークしなきゃって思ってた。
そういうこだわりがあるんだ。それにいまさら自分が変わっていくようには思えない。もしぼくがなにか手を抜くようなことがあったら、自分でも罪悪感があると思う。
以上
KTのようなアスリートのケガについての話や、仕事への姿勢みたいな話は、きっとスポーツに真剣に取り組んでいるひとこそ、響くものがあるんでしょうな。このエントリが運動部の学生さんや、スポーツメンの皆さまに届けば幸い。
キーラン・ティアニーのこれから。売却も除外せず?
このインタヴューでもよくわかるように、彼の性格だと、昨シーズン後半は、チームが満足なパフォーマンスができず、彼は自分のケガのせいでトップ4を逃したと責任も感じているかもしれない。
実際トミヤスと同様、そういった部分はあっただろう。シーズン後半の彼らがいないチームは守備が不安定で、前半のような結果を出せなかった。
KTは、アーセナルに来て以来、PL全試合の56%でしかプレイできていないという驚きのスタットも。約半分は不在ということ。セルティックでも4シーズンでリーグ試合は64%しかプレイできていなかったという。
Kieran Tierney has played just 56% of possible Arsenal Premier League games since he joined.
He played just 64% of possible league games in his last four seasons at Celtic. https://t.co/albPPU4Qff
— Orbinho (@Orbinho) May 24, 2022
彼はセルティック時代は、フィットネスはとても安定していたという記事を読んだことがあるが、あれは幻だったのか。
※TMで確認すると、セルティックでの4シーズンは、カップ戦を含めていちおう毎年40試合程度はプレイしている。シーズン40試合ならそこまで悪くはない。リーグの割合がやや少ないというだけかもしれない
それはともかく。
KTには、すこし前だとレアル・マドリッドや、最近だとニューカッスルに関心を持たれているといううわさがあった。実際にうわさされているような€50Mの規模のオファーがあったら、アーセナルがどうするかは興味深い。いまのアーセナルの選手で50Mで売れる選手は多くない。
元気いっぱいでプレイしているKTなら、クラブの未来であり、絶対に手放したくない選手のひとりであり、キャプテン候補でありで、売却の可能性など考えたくもなかったのだが、このようなケガがつづくようだと、アーセナルでこの先成功できるかは不安もある。
それと、ファンのあいだでの人気に反して、彼のパフォーマンスは云うほど良くはないという観方もある。
このブログでも試合レヴュー等でお世話になっている、スコット・ウィリスは「KTに50Mのオファーがあれば、わたしなら即座に売却する」と。いい選手だが、スタッツ的にはエリートとは云えず、アーセナルに来てからのPLでのプレイも去年が67%、おととしはたったの29%だけと、彼のフィットネスにも疑問を呈している。
I would sell Tierney for 50m in a heartbeat.
He’s a good player but not elite and the trouble staying on the field is a killer for planning.
He played just 54% of the available Premier League minutes this year. 67% last year. 29% in 19/20
— Scott Willis (@oh_that_crab) May 24, 2022
ぼくも彼を気に入っているファンのひとりとして、これには反発したい気持ちはある。そういうひともいるだろう。KTのような選手を売ってしまうなど、とんでもないと。
が、すこし冷静になると、こうやってアーセナルは選手の売り時をのがしていくんだなという気がしないでもない。もちろん、KTにかぎらず。
ここ数年でも、アーセナルはとにかく選手の売り時に鈍感と思える。もはやフリーで選手を失うことが珍しくなくなったし、もし売れても、適正な移籍金を得ていないと感じることが多い。
ほかのヨーロッパのクラブを見渡すと、選手に高い値札がついているときに売り、その売却で得た資金と目利きによって、また新しい選手を連れてきてチームの競争力を維持するようなサイクルを上手に回しているように見えるクラブはいくつもある。典型的なのは、ドルトムントとか。そういったクラブは、選手売却タイミングの見極めが非常に適切であり、また金の卵を見つけるスカウティングも優秀で、つぎつぎに価値ある選手に育っていく。みたいな。
KTがこのままアーセナルにいて、毎年シーズンの半分しかプレイしないような未来を想像すると、彼を売却するタイミングを見極める必要もあるんじゃないかと思う。多くのファンに愛されているのは間違いないが、すくなくとも、サカのように完全に売却対象外とするまでの貢献は、彼はまだチームにはしていないのだから。ここまでの彼のケガの頻度では、持続可能性はさだかではない。
彼の今後については、いまは注目されずとも、来シーズン中、あるいはそれ以降は、いやでも直面する問題になりそうな気がする。いまはほかのエリアでも問題が多いから、見過ごされているというだけで、チームの完成度が高まれば、それだけ穴も目立つ。
アーセナルのプロジェクト、プラン、プロセスにとっても、ケガがちな選手はそれだけでリスクになりうる。重要なメンバーならなおさらである。
彼が来シーズンにケガなくプレイしてくれれば、ひとまず大きな問題はないんだが。
あんまり楽しくない話だった。ごめん。
おわる
身にしみますね。
見た目からだけなら38試合フル出場してる感じなんですけどね、半袖で。
彼といい、トーマスといい、ベスメンの代えがきかない選手がシーズンの半分を欠場とゆうのはダメですね。ジャカを見習ってほしい。
2人ともアーセナルに来てからずっとそんな感じですし。シーズンで一番大事な時期にいないのは、しかもファンがそれに慣れてきてるのは、よくない。
左のSB はククレジャがいい。トーマスのかわりは、まぁそれなりのヤツで。
経営の視点から見れば間違いなく、ティアニーの高額売却は正しい判断かもしれません。
ただ、強いだけがアーセナルにおいては正義ではないんではないとも同時に思うんですよ。
やっぱりアーセナルが好きなのは、多少怪我がちでもクラブへの愛が強く忠誠心を示してくれたり夢を見させてくれる選手に対してはファン全体でサポートの雰囲気を作るそんな所なんです。僕がファンの中の少数派かも分かりませんが、アブディアビに始まりそれは変わらないでほしいなと思います。
その分移籍市場で足元を見られることは増えるでしょうし、クラブが一歩上のステージに上がるという視点では邪魔な価値観ですが、アーセナルが他のクラブとは違うというある意味では重要な部分だと思います。何よりトッテナムとかチェルシーとの一番の違いはそこだと思うんで。
大体においてビッグクラブは売るのが上手くないと思いますが、チェルシーとレアルは上手ですよね。
チェルシーもエイブラハム、ズマ、トモリと、「チェルシーで続けても将来花咲くかも?しかもPLで戦えることが保証されたね」ってタイミングで上手に、3000万ほどで売る。そして選手もローマやミラン、ウエストハムでレギュラーになる。以前のルカクもジルーも、完全に出番を失って干されてグダグダになる前に売っちゃう。
同じくレアルも、ハキミ、レギロン、ウーデゴール、テオ・エルナンデスとある程度トップレベルの若手有望株をレンタルで回しつつ、ある程度で見切りをつけて売っちゃう。ズルズルしない。
そしてそれぞれの選手はPSGで、スパーズで、ガナで、ミランで押しも押されぬタレントとしてレギュラーを張る。
ガナに彼らがいたら、ジェンキンソンやチェンバーズのようにズルズル保有しちゃった気がする。。
難しい。良い時に売りつつ、選手も勝った側も3方良し。結構そう思うとスゴイ。
(だって、チェルシーもレアルだって、今のチームが悪くないから上記の様なディールが”許されている”けど、悪くなったらなんであいつを売るんだ、馬鹿野郎!って絶対になるよねw)