試合の論点
アーセナル vs フルハムのトーキングポインツ。
Late drama at Emirates Stadium! 🤩
Enjoy all the best bits from #ARSFUL 🍿 pic.twitter.com/lsXt77qyTB
— Arsenal (@Arsenal) August 27, 2022
去年には観られなかったレジリエンスで4連勝。チームが成熟&深まる自信
フラムはオーガナイズされていて、とてもいいチームに観えた。が、アーセナルはもっともっといいチームだった。ホームサポーターもそれを強烈に後押ししたのだから、ホームチームが支配的にプレイするのも当然だった。
アーセナルは、いったいいくつチャンスをつくるんだというくらい、ハイクオリティな攻撃をしていただろう。とくに、オーデガードとサカのゴール前でのショートパスの連続は、観ていてほんとうに楽しかったし、ボックス付近でジェズースがボールを持てば、いつも何かが起きそうだった。マルティネリも相変わらず好調そうだ。プッシュしている時間にゴールが決まってくれれば、もっと楽な試合になったはず。
56分にガブリエルのミスから失点したあと、その8分後にはオーデガードのゴールで追いつき、90分まで残り5分というところでコーナーキックから逆転(またセットピースから。これで4試合で3ゴールめ)。マルコ・シルヴァはふたつの失点をアンラッキーだと評したが、たしかに両方ともラッキーな側面は否めないにしても、アーセナルはあれだけプッシュしていたのだから、十分それに値するゴールだった。われわれが、勝ちにふさわしくなかったなんてことはまったくない。
PL時代になって以降、アーセナルがスタートから4連勝したシーズンは、過去2回しかないそうである。
Arsenal have won their first four games of a Premier League season for the third time:
◉ 2003/04: 🏆
◉ 2004/05: 🥈
◉ 2022/23: ❓Where will they finish this campaign? 🤔 pic.twitter.com/LKe0ZDd7CG
— Squawka (@Squawka) August 27, 2022
03/04は、もちろん無敗で優勝したインヴィンシブルイヤー。そして04/05は、2位フィニッシュ。アーセナルが、とんでもなく強く・正しく・美しかった時代。では、今年は?……という。
このような結果を出したことで、現在のアーセナルに対する評価では、一部では、シーズン前の下馬評からすると、かなり違う評価を持ちつつあるひとたちもいるようだ。先日は『The Telegraph』でジェイミー・キャラガーがアーセナルについてポジティヴな内容の寄稿していた(※ペイウォールで読めず)。今年のアーセナルもさほど高い評価をされていなかったなかで、これはもう、ちょっとした序盤のサプライズと云ってもよいだろうと思う。アーセナルがここまでいいチームだとは、多くのひとは思っていなかった。トップチームが軒並みポインツを落としているのも、もちろん今シーズンのサプライズ。アーセナルだけでなく、リーグ全体で、予想を覆すような波乱のスタートになっているとも云える。
とはいえ、プリシーズンの様子も観ていたわれらアーセナルのファンからすれば、ここまでは期待どおりでもある。フレンドリーに全勝したプリシーズンのアーセナルからして、すでにこれまでとの違いは観られていたのだから。
それに、繰り返すが、アーセナルのこのスタート5試合はPLの20チームスのなかでも、もっともイージーだと評価されていたくらいで、いまの状況はある程度は予想できた。
だが、もちろんこのあとも同じように、こんなにうまくいくとは限らない。もっと強いチームとの試合がつづく期間もあるし、まだシーズンは始まったばかりで、一年間のあいだには、かならず不調も危機的状況も訪れるのだから。内容的にはいいプレイをしているほうのチームが敗けることだってある。今回だって、その危険はあった。
だからこそ、いまこの時期にできるだけポインツを稼いでおくことだろう。今年のアーセナルの目標はもちろんCL復帰であり、トップ4フィニッシュ争いでは、どうせまた数ポインツの差になったりする。取れるときに、取れるだけポインツを取っておく。取りこぼさない。それが非常に重要だ。
また、自信を醸成するという意味では、アーセナルにとって、比較的有利なフィクスチャがシーズンスタートの時期に集中していることは幸運だった。とくに、この若い発展途上のチームが進歩していくうえで、自信が重要な要素になることは明白で、それをできるだけ早い時期に身につけることは、目標達成に向けてとても大きな価値がある。
今回の試合では、逆転勝利というおまけまでついた。いったんは危険な状況に陥りながら、最後は解決されるというカタルシスな展開。さすが、アーセナル。
昨シーズンのアーセナルでは、リードされた状況を覆すことにかなり苦労し、逆境を覆すレジリエンスの獲得はチームの重要なテーマのひとつだった。
それをみごとに実現したこの試合で、このチームはまた一歩前進できたように感じる。自分たちが逆境を乗り越えることができると信じられること。
3ポインツを重ねたことと同じくらい、意義深い試合だった。
スクワッドデプスに懸念
試合前になって、パーティとジンチェンコの不在が発覚。ちょっと驚いた。
もちろんこのふたりはアーセナルのミドフィールドにおけるキープレイヤーズであり、そのふたりを欠いて試合にのぞむことは、今年のチームでは初めての試練になっただろう。
だから、そんな状況でも結果を出したことは、とてもポジティヴ。しかしながら、今後の長いシーズンに向けては、やや心配なところも観えた。
パーティのリプレイスメントは、エルネニー。
彼は、去年も重要な時期にパーティのバックアップを務めて、チームにかなり貢献したのは記憶にあたらしい。その活躍によって、クラブとの契約延長も勝ち取ったようなものだろう。今シーズンはまだ出番はなく、初めてのプレイとなったが、さすが経験あるシニア選手だけあって安定したパフォーマンスだったと思う。
パーティのゲイムメイキング(パス)と比較するのは、さすがにかわいそうだが、それでもエルネニーはエルネニーらしく、ピッチの中心でつねにセイフティなプレイを心がけていたいつものエルネニーだった。あのタイトなエリアでボールを失わず、パス回しのリズムをつくり、潤滑油になるような落ち着いたプレイ。
それが、たとえば、いまのサンビ・ロコンガに担えたかどうかは疑問がある。本人は、パーティ不在にも関わらず今回も出番がなくがっかりしているだろうが、やはりサンビは、アルテタからNo.6ではなく、8と思われているのかもしれない。
パーティからエルネニーは、総合的にはやや戦力ダウンを感じさせるが、アルテタのチームプレイのなかでは致命的とは観えなかった。むしろ、リスキーなパスを出すパーティよりもいい場合すらある。
問題は、ジンチェンコとKTのほうだろう。今回は残酷なまでに、LBポジションでKTはジンチェンコの不在を感じさせてしまったと思う。
この試合、ここまでの3試合にくらべて、右寄りのオーデガードが輝いていたのは、今回ジンチェンコが左にいなかった影響がわりとあったのではないか。左にキーマンを欠いたことで、相対的に右の重要度が上がったみたいな。オーデガードはゴールだけでなく、89分でタッチーズ92と文字通りの主役だった。
もちろん、KTはKTのよさがあるし、ケガで長期離脱から復帰してマッチフィットネスも乏しいと擁護できる部分もあるが、アルテタのシステムのなかでは、ジンチェンコが水を得た魚のようにプレイしているのに対し、KTのLBは、以前のぎこちないアーセナルに戻ってしまったような感覚があった。残り30分で彼が最初に下げられたのも、残念ながら納得できる決断だった。
おそらくアルテタも、LBがジンチェンコからKTになることで、ジャカをいつもより低いエリアで使うなど、戦術的な調整はそれなりにしたのだろうとは思う。エルネニーとジャカが、ダブルピヴォットでプレイする時間もけっこうあった。
だが、今回のKTのパフォーマンスを観ているかぎりでは、今後がすこし心配になってしまった。フェアに云えば、KTがどうこうというよりは、ジンチェンコがハマりすぎているということかもしれない。こういういい方はかなり気が引けるが、ジンチェンコをしばらく観ていたあとのKTは、同じポジションの選手としては見劣りした。
今後、アーセナルが健康なスクワッドを維持できるとは限らないということは、結局またしてもスクワッドデプスや、サブのクオリティが、運命の分かれ道になるということは、かなりありえる。これまでもずっとそうだったのだから、今年だけ違うとは信じられない。
そして、現状は危険だ。たったふたり欠けただけでも、影響がかなり大きい。
アルテタが今回も3人しかサブを使わなかったのは、やはりレギュラーとサブのクオリティ差が、かなりあると考えているからではないだろうか。ベンチの信頼度の低さを感じる。
サブのステップアップが必要だし、補強も必要。
個人的には、最近、ウィンガーとCMの補強は最悪なくてもなんとかなるかもなんて、なんとなく思っていたが、この試合を観たらシーズンを左右するほど重要に思えてきた。
KTは、フルバックとしてタイプが違うのだから、ジンチェンコと同じプレイを志す必要はないかもしれないが、今後マッチフィットネスを取り戻していくなかで、彼とは違うよさを見つけていかないと(たとえばワイドエリアを深く侵入してカットバックとか)このチームで生き残るのがむずかしくなるかもしれない。
アーセナルの大げさセレブレイションに賛否?
ご存知のように、アーセナルでは去年あたりから、サポーターとの絆がますます深まって、どんな勝利も盛大に祝うようになっている。その喜びようが大げさすぎるんじゃないかと相手選手が苦言を呈したりと、世間的にたびたび議論になっていたが、今回もそれがかなり話題になっていた。
“They’re over celebrating this… It’s a 2-1 win against newly promoted Fulham!”@richardajkeys & Andy Gray’s reaction as the Gunners make it 4⃣ wins out of 4⃣#beINPL #ARSFUL 🔴⚪️ pic.twitter.com/nIcZX6Ij1b
— beIN SPORTS (@beINSPORTS_EN) August 27, 2022
昇格チームのフラムにホームで勝っただけで、この喜びようはさすがにやりすぎだろうと、beIN Sportsのパンディット。
これには、また「セレブレイションポリス」かよと、アーセナル界隈は反発していた。
たしかに、今回は劇的逆転勝利ではあったものの、試合終了後にはスタンドにオリジナルの「テキーラ」が流され(これがチャントのバースと微妙に合わない笑)、クラブがお祭り騒ぎを演出。まあ、若干やりすぎ感はあったかも? サリーバのチャントがひとり歩きしてるのもなんか笑えるし。。ガブリエルのはないのかな。
でも、アーセナルのファンとしては、これからもどんどんやっていってもらいたいものだ。誰に気兼ねが必要か。文句は云わせておけばよい。
そのうち、相手のチームのファンが「テキーラ」にのせて、こっちを揶揄するチャントをやったりして。そういうのも英国文化という感じで、楽しい!
アルテタPL100試合
節目で勝った!
アーセナルの歴代マネジャーたちのなかで、最初の100試合での勝ちの数はヴェンゲルさんにつぐ2位。なんと。
ポッチェティーノ(トッナム)、クロップ(プール)、ソールシャール(マンU)とのポインツ比較。このメンツでなぜかペップ(マンシティ)不在。
アルテタは、最初の50試合は、ほかのマネジャーたちにくらべて成績が悪かったが、51~100試合の50試合ではほかのマネジャーたちに肉薄するように。
いまのチームパフォーマンスを考えるに、つぎの101~150試合がとても楽しみになる。
その他試合について
- ジェズースはゴールほしかった。ショッツは4。これまで同様、抜群の存在感ながら、GもAなしはちと寂しい
- この試合のオーデガードはほんとによかったなあ。BBC Sports、Sky Sports、AFC公式(ファン投票)でもMOTM。文句なし。パス一本でスタンドがどよめくなんて、なかなかないだろうけど、今回はそれが一度じゃなかった。マイキャプテン
- サリーバも今回もまたロールス・ロイス。守備での落ち着きだけでなく、ロングパスを何度も決めていた。成功が9/10だからすごい精度。これまでより、味方からパスが増えているように観えたのもよかった。パフォーマンスで信頼を勝ち取ってる。最後のガブリエルのゴールでは喜びを爆発。チームに溶け込めているようでなにより
- セットピースでのゴールがつづいている。マルティネリが蹴るようになった影響もあるのか。ガビのゴールにつながったコーナーはドンピシャだった
- そのガビは、CBとして、昨シーズンからのセットピースからゴール6で、ひきつづきリーグトップを維持。大脅威
- サカはオープンプレイからのゴールが直近14試合なし。今回もいいチャンスをレノに止められてしまった。あの局面は右足に自信があれば、切り返さずに済んだか。彼もそろそろハードワークのご褒美がほしい
- 30分のプレイで流れをつくったと絶賛のエンケティア。あのオーデガードのうしろからのパスをダイレクトにシュートする決断ができれば、つぎのレヴェルに行けるに違いなし
- レノは、マルティネリのコーナーキックを2度(3度?)キャッチ。先日までアーセナルにいたレノだから、コーナーのやりかたを予想できたとか?
- ミトロヴィッチは、けっこうすごかった。でかい&うまい。ロングボールをうまくおさめるし、ボックスで脅威になれる。チャンピオンシップでシーズン43点取って、なぜまだフラムにいるのか謎
- ひどいレフ。相手のファウルを罰せず、直後にホワイトにカードを出したときはびっくり。Jarred Gillett。名前おぼえておこう
- ジンチェンコは足痛いんじゃなかったのか笑
この試合については以上
今シーズンはまだプロジェクト84進行中ですね
ジンチェンコとはプレースタイルが違うけれど、ティアニーは十分な活躍で、彼のクロス対応がなければ失点していた場面が何度かあったと思います。内側でプレーするのも別に問題があったわけではなかった。交代は仮にジンチェンコでも同じ気がします。ティアニーが物足りないからではない。むしろエルネニーのポジショニングがあまり良くなかったと思います、低い。
エディの頼もしさには驚きました。スミス郎をどうするかがちょっと難しくなりそう。
レノの意地を見れたゲームでした。
最後は課題のハイボールの対応で失点しましたが、シュートストップの素晴らしさは相変わらず。
昨年まで私たちを救ってくれたパフォーマンスでした。
彼の今後の活躍を(アーセナル戦以外)祈っています。
アーセナルですが、
悪い意味でエルネニーは通常運転だったと思います。
特にリードされてるゲームでは、スピードが落ち流れが悪くなります。
パーティが暫く離脱するなら心配ですね。違う手を打って欲しいです。
エンティケアは、上手いのは充分に分かったので、点を決めて欲しい・・・
ともあれ4連勝!
今週も期待してます。COYG!
ホワイトのはカードで妥当かと思いますが、全体的にフラムのプレーにファウルが取られなかった印象ですね。
エルネニーは下がりすぎ。貰って前向いて縦に付けるとか出来ないのに下がってくるから、CBのスペースが無くなって4-4ブロックを崩すのに苦労していた感があります。
あそこまで下がるならいっそCBの間に落ちてSBを押し上げてほしかった。
後ホワイトですね。得意なプレーじゃないのはわかっていますが、サカのサポートにもっと行ってほしかった。誰かがポケットに入り込まないと、守備ブロックは中々崩れません。
ティアニーはSBだと大外のレーンしか使えないのが前線の面子と相性が悪い感じですね。
ジェズスがサイドに流れるとマルティネッリが左のハーフレーン~真ん中のレーンに移動しますが、そうなるとティアニーがオーバーラップするスペースが無くなるんですよね。プレーの選択肢が狭くなる。
やっぱりティアニーなら、右はトミヤスのほうがいいと思います。どっちのサイドでリスクを取るか。去年のサカ・キャプテンとトミヤスの右の連携は良かったし、ティアニーの守備力や駆け上がって綺麗なクロスも生きる。スミスロウ、ヴィエイラはU21でいい連携を見せているので、もっとプレータイム与えてほしいですね。ウィンガーはマルキーニョスで十分だと思いますが、やっぱりもう一枚・・・デクランライスとかこないかなあ。あと3日、生暖かく見守っていきましょう。ヴィラはあんまり調子よさそうじゃないのが救い。COYG