試合の論点
アーセナル vs レスターのトーキングポインツ。↓ハイライツ。
Four goals. Three points. Two wins. ✊#ARSLEI | Match highlights 📺 pic.twitter.com/bGnnKE0dk1
— Arsenal (@Arsenal) August 13, 2022
自分たちがやりたいプレイ。自由を感じること
今週は、PLでもマンUがあんなことになったり、あとは個人的にミッドテイボーなクオリティの試合をいくつか観ていたので、パレスでのいい時間にひきつづいて、この試合でも、アーセナルが自分たちがほんとうにやりたかったプレイをやり始めたという印象がかなりある。
そして、今回はパレスのときよりもっと長く自分たちの時間を維持できた。パレスでのいい時間がせいぜい30-40分程度だとすると、今回はそれを60-70分は継続したんじゃないか。相手のレヴェルやホームということを差し引いても、いいきざしに思える。
すくなくとも攻撃クオリティでは圧倒した。
A dominant performance from Arsenal at their first home match at Emirates Stadium
📊 @Oracle
— Premier League (@premierleague) August 13, 2022
もちろん相手にとってはアウェイということもあるだろうが、こころなしか、レスターのチームはあまりエナジーを感じなかったというのもある。
プレス耐性もあるし、全体でオーガナイズされたところはさすがとは感じたものの、ゴールしたマディソンもあまり存在感がなかったし、注目のティーレマンスは63分に交代。ロジャースが最初の交代のひとりに彼を選んだ理由は、彼がアーセナル移籍が噂される渦中の人物だった影響はあるのかどうか。また、レスターが£80Mの値札をつけているというフォファーナも、マルティネリにはだいぶ手こずっていた。16分という浅い時間にカードを受けており、ベストパフォーマンスではなかっただろう。
そういう意味でレスターは、このタイミングで当たるにはなかなかいい相手だったかもしれない。われらは、この試合の結果でさらなる自信をつけることができた。
また、アーセナルのパフォーマンスについては、今回もジャカが述べているように自分たちのプレイに「自由」を感じているというのが、やはり興味深かった。チームフォームが上向いてきていることと、この自由のフィーリングはリンクしている気がする。
たぶん、これまでのアルテタのチームでも、悪いときは選手たちはあまり自由を感じていなかったのだろう。アルテタが定めた厳格なストラクチャがあり、それを習得したり、慣れたり、実行するのに一所懸命だった。選手が自分の考えでプレイする余裕などなかった。それが、いまや前へ行くのも後ろへ行くのも自由だと云う。フロント5が横に並んで、誰一人ボールを受けるアクションを取らないみたいな日々からは、かなり遠くへ来た。
これは、選手が実際にピッチのうえを自由に動いているかどうかというよりも、選手がチームプレイのなかでそれを感じているというのが、より重要なんだろう。無論無責任などではなく、そこに理解や信頼があるからこそ可能になっている。
選手はみな個性がそれぞれなのだから、枠のなかにいると感じてプレイするよりも、自由を感じながらプレイしているほうがよほど楽しいに違いなく、本来の実力も発揮できるはず。それでうまくいくなら云うことはない。厳格なストラクチャのなかで、マネジャーが自由を口にするようになり、選手もそれを感じ始めたのは、チームの成長にとってもとてもいい傾向だ。ファンとしても、選手が楽しそうにプレイしているのを観るのは最高。ビールがうまい。
ストラクチャがあり、自由がある。マネジャーが選手を信頼するようになり、選手も選手を信頼し、ちゃんとそれに応える。なんと美しいのか。
そして、そこにいまやジェズースやジンチェンコのような「ペップスクール」をマスターした優秀な学徒たちも加わって、アルテタのチームは、ついにチームとしての「かたち」を観せ始めているのかもしれない。われらファンが、ずっと待ち望んでいたもの。
しかし、もちろんここで満足していてはいけない。アルテタはよくスタンダードについて述べているが、この自分たちが満足できるパフォーマンスをあたらしいスタンダードにしなければならない。ほんとうのチャレンジは、ここからはじまるのだから。
いまのアーセナルは、トップチームに挑戦するために、ようやくスタートラインに立とうとしているのかもしれない。
観せたレジリエンス。ファンと生み出すケミストリ
パレス戦のあともアルテタが強調していたレジリエンス(反発)の必要性。仮に悪い試合でも、コントロールできなくても、勝つ方法を見つけること。
今回は、OG含めて2失点しているが、どちらもその2分後、1分後にゴールを奪っていて、それはまさにチームのレジリエンスだったろう。もしかすると、ポジティヴなところがたくさん観られたこの試合でも、アルテタがもっとも喜んでいる部分かもしれない。
もし、アレがなければレスターがゴールで勢いをつけて、攻勢になる可能性だってあったのだから、それを瞬時に黙らせたことは大きかった。逆に、レスターはアレで意気消沈せざるを得なかった。カウンターパンチ。
そして、もちろん、この試合で指摘せずにいられないのは、スタンドのファン。今回はほんとうにすごかった。redditの反応などでは、スタンドにいてもあのレヴェルの音量は初体験というひともいたみたいだ。
アルテタも指摘してしていたように、試合が始まってすぐにすごいチャントが始まって、TVで観ていてもこれはいつもとは違うと感じた。あの強力な声援が酷暑のなかで、チームを後押しした効果もそうとうあっただろう。
そして、この試合のもっともエモウショナルな瞬間は、やはりサリバのOG。のあと。
あのOGは、痛いミステイクとはいえ、誰もがサリバを責める気にはなれなかったと思う。背後にはヴァーディのプレッシャーもあったがまだ若干の余裕もあり、リスクを承知でGKめがけてヘディングするか、あるいは大きく外にクリアするか迷う瞬間ではあった。アンラッキー。AoNで、ディフェンダーたちに「なんであそこでタックルにいかないんだ!Fxxk!」と怒鳴っていたラムズデイルもサリバを慰めていたほど。
そして、あの失点の直後。リスタートからバックでボールをまわすアーセナルでサリバにボールが渡ると、なんとスタンドから万雷の拍手。。みんながサリバに「気にすんなよ!」と気持ちを伝えた。もちろん、ぼくもまったく同じ気持ちだったので、あそこはすごく感動的なシーンだったなあ。ぼくらのようなTVで観ているファンも含めて、全体がひとつの気持ちでまとまっていた。本人もそうとう心強かっただろう。
その直後のレスターGKのミスから奪ったジャカのゴールに、スタンドがどれだけ沸いたかは云うまでもなし。サリバのOGも含めて、まるで自分たちがシナリオを描いているかのような、ちょっとした全能感があった。
いま、アーセナルはやることなすことうまくいっていて、ファンの期待に応えてつながりもどんどん強くなって、その反応にチームがまた反応して……と、理想的な好循環のサイクルに乗っているように感じる。なにをやってもダメな感じがした、一時の悪循環だった時期は、過ぎ去ったか、あるいは、マンUがまとめて引き取ってくれたか(大笑い)。
これからの課題は、この好循環をどれだけ長引かせることができるか。シーズンが始まって、まだ2試合めだからね。
ジェズースはやっぱりワールドクラス
Gabriel Jesus had 15 touches in the opposition box against Leicester, the most by an Arsenal player in the last seven seasons at least. @muhammadbutt thinks the Brazilian can lead the Gunners to greatness. 🇧🇷https://t.co/Hi75iVJ6Qa
— Squawka (@Squawka) August 13, 2022
プリシーズンでもすげえと思ったが、本番でもすごかった。ジェズースはちゃんとワールドクラスのFWだった。G2 A2。ハットトリック、あるいは4ゴールズ、できなかったことは残念だった。なんというハイスタンダード。
ちなみに、アーセナルでPLホームデビュー戦で4ゴールにからんだのは、2016のアレクシス・サンチェス以来だそうである。アレクシスは、南米出身かつ元クラブでの境遇など似ている点がいくつもあるため、ジェズースが来て以来、彼を語るときになにかと引き合いに出されるが、同じくらいチームにインパクトをもたらしているのだからしょうがない。
あの1点めのゴールはヤバかった。あんなゴールを入れてくれるFWがいるといないじゃ、全然違う。もはや、ずるい。
ジェズースは、毎回彼がすごいと思うのは、やっぱりチャンスでゴールの近くにいることだろう。今回だと彼の2点め、コーナーキックでファーサイドにボールが飛んでいくと、しっかりそこにいるという。あんなシーンはプリシーズンでもあったような。
そういえば、AoNでは不調のラカゼットが「チャンスのときになぜ重要なポジションにいないのか」というのをコーチと話し合うシーンがあった。そこは、去年からの大きな違いになっている。
Gabriel Jesus has now scored as many league goals from open play this season as Alexandre Lacazette scored in 21/22.
— Sam Dean (@SamJDean) August 13, 2022
ラカに恨みはないが、名前が出てきたので。ジェズースはオープンプレイからのゴールでは、昨シーズンのラカゼットのゴール数と並んだ。おうふ。
これ、以前のエントリにも貼ったパレス戦でのジェズースの数字とラカ・オーバの年間平均を比較したグラフィックで、まあジェズースはたった1試合のサンプルですし、なんて云ってたら。
今回のジェズースの数字は以下のとおり。
- タッチ 55
- ジュエル成功 8(地上4/12・空中4/6)
- ドリブル成功 3(3/4)
- 相手ボックス内でのタッチ 15
今回もラカ・オーバの平均に圧勝という。バケモンか。
ちなみに、相手ボックス内でのタッチ15は、この試合のレスターの選手全体よりも多く、そして、アーセナルのこの7年間でもトップ。。
そのほか、
- ショッツ 7
- SoT 3
- SCA(Shotos creating actions) 6
- キーパス 3
- プログレッシヴパス受け 10
- プレッシャー 21
- アタッキングサードプレッシャー 15
以上では、キーパスを除いてすべての数字が両チーム合わせてトップ。
アルテタのプレス会見で、ジェズースのフォームは維持できるか?という質問が出ていた。たしかに、いまのチームでジェズースの影響はかなり大きいので、彼ができるだけ長く好調を維持することは、アーセナルのシーズンにとり決定的な要素になりうる。
更新を心待ちにしておりました。
私もラムズデール同様クリーンシートが大好物でして。3-1より4-2より2-0勝利が好きな口です。
しかし今回に関してはOG後のサポーターの反応、マディソン後すぐのマルティネッリ、まさにレジリエンス。
その姿勢が見れた点は非常にポジティブでした。
ここに富安ティアニースミスロウにヴィエイラがどう入っていくのか。
楽しみが尽きません。
2節終了して全勝が2チームとは、今年は波乱がありそうな予感がします。
まずはアウェイマンUまでを全勝し自信を付けてOTに乗り込みましょう!
勝ちましたね。しかもすばらしい勝利。
2点とったあとの攻撃を見てると、あの頃のアーセナルを思い出しましたね。
アルテタがきたときの最初の試合のスタメンとレスター戦を比べると、ジャカしかいないところを見ても、ジャカへの信頼や当時のメンバーではアルテタがやりたかったフットボールができなかっただろうことが感じとれます。
いいチームですね。前まではチームブカヨって感じでしたが、今は全員が主力とゆう。
次も勝ちましょう。COYG
楽しかった。
エジルやラムジーがいた頃のようなワクワクする攻撃が堪らなかった。
少ししか見れなかったけど、ESRが激しいコンタクトの守備をしていたのが印象的。
去年は守備に関してはコンタクトを恐れて緩かったように感じたので、今年はやってくれると願望も込めて。
サリバの失点シーンの後のスタジアム、
ホントに素晴らしかった!
(アレがジャカだったらと思うと、ゾッとします。(^_^;) )
あのようなファンのサポートがずっと続けば、今季は一体となったパフォーマンスが見られると思います。
次戦も楽しみにしてます!
初年度からのジャカファンとしては、血涙流す勢いで嬉しいです
なんでもジャカのせいにするブログw 正直なのが最高に良きですね!
ジャカが入ったシーズンからCLに出れなくなったという、常に批判の嵐(もちろん妥当な批判もたくさん)の中で、それでもチームの中心としてさらなる進化を遂げている様は、まさにポケモンですね。B2Bが最終進化系でしょうか。
ジャカと行くCLの景色が見たい!!!
内容めっちゃ良かったです
今後に期待できる内容
ただ右サイドの攻撃の練度が少し低いのが気になりますかね