『Sky Sports』に、おもしろい記事がアップされていた。
PL初戦クリスタル・パレスでのアウェイ勝利。今年アルテタのチームは去年とどこが変わり、どこが同じなのか。この試合から分析するというもの。
もちろん、たった1試合で今シーズンのなんたるかがわかるはずもないが、事実のいくつかはアーセナルのファンにはかなり興味深いものだと思う。
ざっと紹介しよう。
※以下、見出しや記事のまとめはぼくによる。記事をそのまま引用している部分はわかるようにした
PL初戦に勝利したアーセナル
去年はブレントフォードにアウェイで2-0敗け。さらにそれを含めて3連敗で、アーセナルが8月をリーグ最下位で終えたのは、1992年以来のできごとだったという。
それが今年は、リーグ初戦で勝利した。
PL初戦のファースト11
昨シーズンのスタートと違うチーム
昨シーズン初戦のブレントフォードでスタートした選手はわずか3人だけだった。ホワイト、ジャカ、マルティネリ。
そしてこのなかでも、ジェズース、ジンチェンコ、サリバがデビューした。
ひきつづきもっとも若いチーム
クリスタル・パレス戦のアーセナルの平均年齢はリーグでもっとも若かった。
アーセナルは、去年のシーズンスタートでも、やはりリーグでもっとも若いチームで、今年もその傾向がつづいている。
※若返っているチームと老いているチームを観ていくとなかなか興味深い。リヴァプールはそろそろ若返りが必要か。
手前味噌ながら、2018年に書いたこのエントリ。これを読み返すと、4年前当時のアーセナルは、スクワッドのエイジプロファイルにおいては、ヨーロッパのビッグクラブのなかでも、どちらかといえば高齢選手への偏りが心配されるほうのチームだった。
選手の年齢分布に見るチームビルディングの健全さ | ARSENAL CHANGE EVERYTHING
それから現在。この極端なスクワッドの若返りも、エドゥとアルテタの「プロジェクト」が目指す方向性が如実に出ている。
ジェズースのインパクト
ジェズースのような個人でインパクトのあるアタッカーは、アーセナルにとってはアレクシス・サンチェス以来に思える。
ジェズースはパレスでゴールできなかったし、ショッツもわずか1。しかし、昨シーズンの彼はシティでPLアシスト8。KDBと並びトップタイの数字だった。そして、彼のオールラウンドなところはセルハースト・パークでも観せていた。
ジェズースは、アーセナルの最初のチャンスでもキーパートを務めた。彼は、Jeff Schluppをかわし、Cheick Doucoureをナツメグで抜き、Joachim Andersenをかわし、マルティネリのショットにつながるチャンスをつくった。相手を出し抜く強さ、スキル、意志。それはアーセナルの中心だった。
ジェズース、ラカゼット、オバメヤンの比較
GJは、たった1試合というサンプルサイズにすぎないが。。
ラカゼットとオバメヤン(ともに21-22のデータ)とのP90での比較では、タッチ、ジュエル成功、ドリブル成功、相手ボックスでのタッチ、すべてジェズースが勝っている。しかも、だいぶ差をつけて。
観た目のパフォーマンスでもっとも大きな違いは、やはりドリブルだろうか。ラカやオーバがドリブルでもターンでも、ボールを持ちながら単独で相手をかわす印象はあまりないが、ジェズースはウィンガーとしても優秀なだけあって、むしろそれが得意なプレイという。
なお、この記事によると、アウェイ試合でパレスでのジェズース(10)より多くジュエルに勝ったアーセナルの選手は、2017年12月のアレクシス・サンチェスが最後とのこと。
それと、昨シーズンのすべての試合でドリブルを6以上記録しているのは、5月のNLDでのマルティネリだけ。
つまり、パレスでのジェズースはゴールやアシストの結果こそ出ていないものの、パフォーマンスはトップだった。
戦術的柔軟性をもらたすジンチェンコ効果
ジンチェンコはNTではMFとしてプレイすることが多く、シティでもビルドアッププレイでは中央寄りにいることが多かった。アーセナルでのデビューでは、とくにピッチの高いエリアで幅をつくり、またインサイドに入っていくこともあった。
彼がインサイドに入るときは、マルティネリとジャカとトライアングルを形成。パレスの右サイドをオーヴァロードして、序盤のアーセナルの支配を支えた。試合開始からの20分間、ジンチェンコがマルティネリのゴールをアシストするまでは、アーセナルは67%のポゼッションを謳歌していた。
従来型のFBであるKTと違い、ジンチェンコはより中央でのプレイがある。
ジンチェンコは、今後KTがフィットネスを取り戻してくれば、この先左8でもプレイする機会もあるかもしれない。
いまアルテタがジャカをスタートから外すとは思えないが、たとえば試合のなかでもっと攻撃的にならねばならないとき、パレスのようなスターティング11でも、試合の状況に応じてサブでKT IN、ジャカOUTで、ジンチェンコはLBから左8へ移動みたいなやりかたは想像できる。ワイドエリアを直線的に駆け上がるKTに、ピッチ中央寄りで360度視野が活かせるジンチェンコ。チームのギアが一段上がる感じはする。
性格の違うふたりのLBがいるという恩恵がかなりある。
しぶとく勝たねばトップ4は難しい
泣き所のアウェイを克服できるか
アーセナルは昨シーズンは、リーグ全体で13試合で敗け。そのうちの9敗は、アウェイ試合によるもの。
アーセナルがアウェイで9以上敗けたシーズンは、これまで2シーズンしかない。
パレスでも、かなりプッシュされて、もしラムズデイルのセイヴがなければ3ポインツを持ち帰れたかどうかはあやしい。
今年こそはアウェイで結果を出す必要がある。
悪い試合でも勝つ
昨シーズンのアーセナルは、自分たちが相手よりxGが下回った12試合で、9試合敗けている。平均0.58ポインツ(0.58ppg)。これは、あきらかにほかのトップ6チームスより悪い記録。ベストチーム、あるいは安定したチームは、プレッシャーにさらされてもポインツを奪う。
アウェイで結果を出すというのは、云い換えれば、劣勢でも結果を出すということ。トップ6比較では、ほぼテーブルどおりという感じ。悪い試合でもポインツを奪うチームが、やっぱり強いチーム。
それにしてもアーセナルは悪すぎる。去年の「逆転できない症候群」も、結局こういうことなのだろう。強いチームには順当に敗けるし、どんな相手でも試合のなかで一度劣勢に立たされると、そこから挽回ができない。
シティの2.0ppgは異常な数字だが(どうせ3試合でW2 L1みたいな感じだろう。彼らが劣勢の試合なぞほとんどないのだろうから)、リヴァプールやチェルシーのような劣勢の試合でも3ポインツのうち半分は持ち帰るくらいにはなりたいものだ。
アルテタは、パレス戦後もチームのレジリエンスを称賛していたように、やはり逆境を跳ね返す精神的なしぶとさのようなものは、今年のテーマになりそうだ。
アーセナルは金曜のパレスで72のジュエルで勝利。これは、PLのアウェイ試合では2016年11月のマンU(1-1)以来最多。またタックル29も、PLのアウェイ試合では7年ぶりの数字。
まだたった1試合しか観ていないのに、それで判断するのはあまりにも早計ながら、そのたった1試合でもこのあたりに改善の「きざし」が観られたのはたいへんにうれしい。
序盤に連勝して、「今年はこれまでとは違うんだ」ということを自分たちの信念にしないと。
週末のレスター(H)がかなり楽しみだ。
おわる
対戦前に、ティーレマンス、電撃移籍決定、こないかなあ。閑話休題になりますが、早速フロとヌーノが対戦して、ともにゴール決めましたね。マルセイユはアレクシスも入って、コラシナツ、ゲンドゥージとアーセナルOB会みたいになってきた。それも感慨深いです。