こんにちは。
例のクリスチャーノ・ロナウドのインタヴューで、彼が「今年はアーセナルにタイトルを取ってほしい」みたいに述べたとか。笑える。ピアース・モーガンのインタヴューは毎日小出しで公開されてんのかね。
さて今回は、シーズンの1/3を消化し長いブレイクに入ったところで、ブログ主が最近のアーセナルについてうっすら考えていたことについて、つれづれに書いてみたい。ひさびさに元ネタはとくにない。
テーマはタイトルどおり。ロナウド氏の期待はともかくとして、アーセナルは今シーズン序盤の快進撃で、ちまたでは今年こそPLタイトルを狙えるんじゃないか?とまことしやかに囁かれているが、そんないっぽうで、アーセナルが進めているという「5年プロジェクト」からすると、現在のフェイズでタイトルにチャレンジしているというのは、さすがに早すぎなんじゃないかという。
そして、アーセナルの内部では、いまこのような望外の好調さに当然ポジティヴな受け取りがあるだろう反面、立てている計画とのバランスがけっこう悩ましい状況にもなっているんじゃないかと。
なぜそんなことを考えるようになったか。説明しよう。長いよ。
22/23シーズンの出来過ぎ?アーセナル
まず、アーセナルの現状は、現在PLテーブルでトップであり、なんならトップになってから一度もその場所を譲っていない。14試合でW12 D1 L1、37ポインツを稼いだ。
これは2.64pts/gameというポインツ取得のペースであり、これをこのままつづけると、シーズン38試合をちょうど100ptsでフィニッシュする計算になる。リーグで過去最高を記録した17/18シーズンのマンシティ(100pts)に匹敵するというたいへんなもの。もちろんこれは、アーセナルの歴史でも過去最高。
そしてこの時点で、このポインツ取得ペースを記録したPLの過去6チームは、すべてタイトルを取っているという。
Most points after the first 14 games of a Premier League season:
◎ 40 – Man City (17/18)
◎ 40 – Liverpool (19/20)
◎ 38 – Man City (18/19)
◎ 38 – Man City (11/12)
◎ 37 – Chelsea (05/06)
◎ 37 – Man Utd (93/94)
◉ 37 – Arsenal (22/23)The previous six all won the title. 🏆⏳ pic.twitter.com/4ROjZgPEdi
— Squawka (@Squawka) November 13, 2022
ただ現在の結果がありながら、冷静になれば、パフォーマンスでも世論の印象でも、今年アーセナルがほんとうにリーグタイトルを取るとはあまり観られていないだろう。時期も時期だし。
ここまでもアーセナルにはそれなりのオーヴァーパフォーミングがあるし、なによりこのあとの長いシーズンを乗り切れるだけの耐久力(スクワッドデプス)もない。若い選手たちの未熟さもマイナス。ここまでは、ほかのビッグチームにくらべてケガ人が少ないという幸運があったのも事実。
とはいえ、これは誰も想像していなかった驚きの現状ではある。
しつこいようだが、今回もまた思い出していただきたいのは、シーズンがスタートする前のわれわれが、世間でどのような評価をされていたかということ。
アーセナルの22-23シーズンをメディアはどう予想したか | ARSENAL CHANGE EVERYTHING
ジェズースらのポジティヴな補強もあったことで、一部には「アーセナルがサプライズを起こすかもしれない」のような期待もあるにはあったが、おおむねアーセナルの評価はトップ4に入れるかどうかという程度のもの。まさか14試合もプレイした時点で、このような結果になっているとは誰も思っていなかった。
そして、これはアーセナルのなかでさえも似たようなものだったんじゃないかと思うのだ。
アーセナルの「5年プロジェクト」における現在のフェイズ
今年7月のエドゥのインタヴューで、彼はアーセナルの「5年プロジェクト」について言及した。ぼくが知るかぎり、具体的にアーセナルが進めている「プロジェクト」の年数が明かされたのは、あれが初めてだったと思う。
拙ブログでも内容は紹介した。
エドゥのビッグインタヴュー。5年プロジェクト、移籍戦略、スクワッドポリシーについて語る。そしてどうなるぺぺ | ARSENAL CHANGE EVERYTHING
もちろん、このプロジェクトの中心にはエドゥとアルテタがいて、彼らはこれ以前からアーセナルでいっしょに働いているが、このエドゥが提案したという5年プロジェクトが始まったのは、21/22シーズンからだろうと思われる。
それは、ホワイト、オーデガード、ラムズデイル、トミヤスら、夏にはU-23に補強ターゲットをはっきり定めたことが観られた節目のシーズン。
ここでクラブは、サカ、ESR、マルティネリ、オーデガードらの若い選手たちを中心にしたチームをつくっていくことで、チームがともに成長していき、一定期間のあいだに成功するイメージを描いた。ダヴィド・ルイスやウィリアンのような選手がここで退団したことも、象徴的だった。
その5年はこのようになる。
- 21/22シーズン
- 22/23シーズン(※いまここ)
- 23/24シーズン
- 25/25シーズン
- 26/27シーズン
いまは、2シーズンめにあたる。こうしてあらためて観ると、5年はけっこう長い。
きっと、プロジェクトを5年に区切って提案されたエドゥのプレゼン資料には、もちろん各シーズン、各フェイズにおける目標設定もあったはずで、それはプレゼンされる側が納得できるような、ある程度現実味のあるものになったに違いない。
そしてこちらも当然ながら、プロジェクト開始当初の(アルテタにとって)不完全なチームをじょじょに再構築していくにあたっては、各フェイズにおけるチームビルディングのプランもあったはず。いきなり100%にすることは不可能なので、毎年積み重ねていくことになる。
エドゥがつくったパーポを想像するに、クラブに提案したのはこんな感じではないか。自分たちのそのときにいるだろう状態に合わせた、それなりに現実味のありそうな、それでいて野心的な目標設定。
- 21/22シーズン 選手補強A(60%)選手整理を優先 PL6位以内フィニッシュ(※ヨーロッパなし)
- 22/23シーズン 選手補強B(70%)PL4位以内フィニッシュ ELはいけるところまで(セミファイナル)
- 23/24シーズン 選手補強C(80%)PL4位以内フィニッシュ CLはいけるところまで(グループ突破)
- 25/25シーズン 選手補強D(90%)PLタイトル争い CLはいけるところまで(セミファイナル)
- 26/27シーズン 選手補強E(100%)PLタイトル争い CLタイトル争い
選手補強の%は進捗。5年をかけて再構築していく。まあ実際は、5年で目標達成するには、もっと早い段階で理想のスクワッド(100%)になっていないとダメかもだが。
プロジェクトのスタートから、およそ4-5シーズンでPLとCLでかなり競争力あるチームになっているというようなイメージ。
このプロジェクトの最終的な目標はもちろん、国内とヨーロッパのトップを争っているポジションだ。ヨーロッパのエリートクラブの一員。イングランドなら、ここ数年のシティ(と去年までのリヴァプール)のような立場。
このクラブの最終目標は、誰が立ててもそうならねばならないはずで、結局「自分たちはどんなプロセスを経て、どんなやりかたでそこへ至るべきか」が、プランのキモになるのだろう。エドゥとアルテタらは、若いチームでこれにチャレンジすると決めた。
そして、アーセナルが最終的にたどり着きたい場所というのは、かつて自分たちがいた場所でもある。
選手もマネジャーもみんなが口を揃えて「アーセナルがかつていた、いるべき場所に戻したい」と語っているのは、それほどそのことがクラブのなかで明確な目標として共有されているということをうかがわせる。
この妄想のこまかい部分はさておき、こんな感じで計画は立てられたとは想像できる。そして、それをもってエドゥは、各シーズンの予算確保をジョッシュやボードにお願いした。
で、このような計画を実行していくプロセスを考えるに、やはり2年めという早期にタイトルを狙える位置にいるというわれらの現状は、そうとうに計画から外れていると思うのだ。いい意味で。おそらくクラブ自身からしても、想像も期待もしていなかった。だって、最初から「2年めにタイトル争うから金出してくれ」なんて云ったらアホかと思われてしまう。それほど非現実的な現状。
ぼくが最近よく考えていたことは、この予想外の躍進に、まだチームビルディングが追いついていないということ。土台ができていないというか、土台しかできていないというか。
『風の谷のナウシカ』の巨神兵のアレみたいな。「早すぎたんだ」っていう。腐ってはいないが、大仕事をするにはたいへんにもろい。
このチームはシーズンが始まってからも、ずっとスクワッドデプスのなさが懸念になっているが、それでもおそらくプロジェクトのなかでは、それなりに計画どおりの進捗なんだろうと思う。そのときどきのフェイズで計画を立ててあるのだから、このあとにどうするのか(どうしたいのか)もわかっている。とくにあせることでもない。設定した目標を達成するには、十分なスクワッドだった。
かなりの改造が必要だったスクワッドを1-2年のような短期で、すっかり変えることなんてそもそもできないのだから。それはアルテタが試合の会見などで、何度も述べていることでもある。
たぶん、今年はそれなりのスクワッドで4位以内でフィニッシュして、来年CLでプレイできれば、それで満足だった。
絶対これから落とし穴がある
どうせポイント取りこぼすし
がっかりしすぎないような心の準備をしよう
すごくわかります笑
でもどっちに転んでも騒いだ方が楽しいですし
移籍市場もこれからの試合も期待しまくって
今年優勝に全振りしようと思います!!
無理か〜涙