試合の論点
レスター vs アーセナルのトーキングポインツ。
大丈夫かレスター?
試合後のアルテタがしきりに「難しかった」と述べているのは、ちょっと違和感があった。
さすがにこの試合はイージーだったでしょう。
レスターはあのレヴェルのプレイをしていては、降格を争うのはやむを得ない。もし早い時間にもっと点差が開いていたら、ぼくも最後まで起きてられたか自信がない。PLがこんなに上から下まで競争力が拮抗してなかったときは、けっこうこういう試合もあったなと懐かしく思ったほど。
ロジャースも認めているように、レスターの選手たちはあまりにも受け身であり、攻めるどころか、積極的にボールを奪おうともしない。いまのアーセナルにあの戦いかたなら、ほとんどやりたい放題やられるのは覚悟しなければならない。
彼らの本気が見えたのは残り15分あたりで、この試合で初めて高い位置から人数をかけてプレッシングを行い、突然アーセナルがコントロールできなくなったと感じた時間はあった。ただ、それでも彼らの時間はせいぜい10分くらいだったろう。
PLの多くのチームがアーセナル相手にどうプレイするかを模索しているなか、どのチームもそれなりに共通しているのがアグレッシヴさであり、インテンシティであり。それに守備のオーガナイズとカウンターアタックの鋭さを加えて、互角に、ときに互角以上に戦おうとする。ニューカッスル、ブレントフォードなんかは本当にみごとだった。そんななかで、レスターのやりかたはとても異質に感じた。あまりにも対策がなさすぎる。
自分で書いた前回のレスターとの試合のレヴューエントリを見返したら、そのときもぼくは彼らが「エナジーがない」と感じていたようで、ロジャースはエナジーのないチームをつくっているんだろうか。PLでは致命的に思えるが。
試合後にちょっと話題になっていたこのシーン。これはウケる。
😂#LEIARS pic.twitter.com/AN9M3QNrmx
— The AFC-Chenko 🇺🇦 (@NewArsenalShirt) February 26, 2023
アーセナルの選手たちの戻りが早いのはいいとして(結局全員がオウンサードに)、レスターの攻撃への消極性がここに凝縮されているなと。
ほとんど相手にボールを持たれている苦しい試合のなかでのせっかくのカウンター状況(3 v 3)なのに、後ろの選手が前へ出ようともしない。カメラに映っているレスターの4人以外の6人のアウトフィールドプレイヤーは後ろに待機? ボールを奪われて逆襲されたときのために?
これは、メンタリティだなあと。
レスターの心配をしていてもしょうがないのでアーセナルの心配をすると、こういう相手とのこういう試合を自分たちのために使えたのは、今回とてもよかったなと。助かった。この試合は前回がああいう試合があったので、結果が非常に重要だった。欲を云えば、もっとゴールはほしかったが、アウェイでクリンシートで勝てただけでも十分喜べる。
ただ、今後こんなイージーな試合がPLで残っているようにも思えない。勝って兜のなんとやら。
ジョルジーニョとトロサールは1月の成功
トロサールはよかったなあ。
フォルス9をうまくやっていた。彼はブライトンでもNo.9の経験があったのかな。あのファインゴールが認められていれば最高だったのに。。
エンケティアも残り20分で出てきたということは、フィットネスに深刻な問題があったわけではなく、ちゃんとタクティカル理由での決断だったというのが、なかなかよかったと思う。試合前にも少し書いたように、このチームは今後に向けてオプションをもっと試すべきだと思っていたから。
試合後のファン反応を観るに、周囲の選手を活かすという意味で、トロサールのほうがエンケティアよりもジェズースに近いという感想を持つひとが多いみたいだ。マルティネリとの連携もトロサールのほうがいいとか。それはそうかもしれない。マルティネリ・トロサール・ジャカ・ジンチェンコの四角形。
エンケティアとトロサールではアタッカーとしてのタイプも違うので、相手に応じて、時間に応じて最適な組み合わせを使える。アルテタも云っていたように、トロサールのLWにマルティネリの9だってある。
今後ELも始まり、さらにタフな試合が増えていくなかで、アルテタはいいオプションを手に入れた。今回のトロサールの9は納得できるものだっただろう。ESRもここに加わっていけば、よりリッチなオプションになる。
それと、ジョルジーニョ。
今回もまた安定したゲイムメイキングでチームのポゼッションに大きな貢献があった。
Jorginho’s game by numbers vs Leicester:
◉ 95 touches (most)
◉ 68 passes complete (most)
◉ 10x possession won (most)
◉ 3 tackles made (most)
◎ 7 duels won
◎ 1 interception
◎ 1 foul wonControlled the midfield. 👨✈️ pic.twitter.com/I7HSrbXxvg
— Squawka (@Squawka) February 25, 2023
そう、彼がチームにもたらしているのは、ズバリ安定だなと。彼がいるせいでテンポが遅くなるのような指摘もあるが、今回のような試合だと落ち着きをもたらすのは、アルテタがまったく望んでいるプレイだろうし、ほかの選手へのコーチングも。なんなら一定のリズムのなかで、突然スピードアップだってできる。16分のサカへのスルーボールはしびれたなあ。あんな距離であんな正確なボール。なんというひらめきと技術よ。
この数試合で、彼がパーティの代役にとどまらない存在感を発揮しているのはうれしい驚きだろう。
ちょっとおもしろかったのは、パーティがオーデガードに代わって入ったことで、最後の20分はジャカ・パーティ・ジョルジーニョの3人が同時にピッチにいたという。これはザ・パスマスターズ。この3人が同時にプレイする機会はあまりないはず。前後のヤングたちに挟まれてシニアが中央でプレイしているというのは、なかなか興味深いバランスと思う。
そういえばジョルジーニョは、あの痛がりはマジだったのかな。アレだけはちょっと気になった。リードしているのだから時間稼ぎのフェイクも否定しないが、個人的にはあまり好きではない。フェイクを認めると、ほかのチームの時間稼ぎも責められなくなるし。まあ、ほんとに痛かったんだろうからしょうがない!
トロサールもジョルジーニョも、アーセナルにとっては冬の移籍ウィンドウにおけるプランBながら、ここまではまったく成功している。PL経験豊富な即戦力のふたり。移籍金の節約もできたし、費用対効果は抜群。いうことなし。それが実感できる試合だった。
プランBがここまでうまくいくとは、アーセナルとしても予想外だったかもしれない。なにがどう転ぶかわからないものだ。それがいま(今年)ここで起きたというのが、アーセナルの強運という気がする。
VARの一貫性フォーエヴァー
これもいちおう触れておこう。
まず25分のトロサールのファインゴールが取り消された件。
そのゴールにつながったコーナーキックで、ベンジャミンが相手GKの腕をつかんでいた(それでGKはパンチングしかできなかった)という判断のようだ。
まあそれはいいとしようか。
でも、だとしたら、ヴィラでラムズデイルが相手選手につかまえられていた(手もはっきりラムの身体をつかまえている)のが不問だったのと整合性とれないでしょうと。
Definitely stupid and not needed from White but the inconsistency in decisions is a joke. Cheating. pic.twitter.com/HuD8nO2a33
— AFCAMDEN (@AFCAMDEN) February 25, 2023
こっちはclear and obviousで、あっちはnot clear and obvious。なぜ?
そしてその5分後。サカがペナルティで倒されるも、そちらもおとがめなし。
15番のひと、サカをはっきりつかまえてるよね?
まあ、今回の件については、ブレントフォードのときのような明白な誤審というほどのものではないのかもしれない。百歩譲って。が、問題はつねに評価の一貫性なのだよね。VARで確認はしました、それをファウルと認めるのか認めないのかに一貫性がない。基準もわからない。“clear and obvious”なんて基準ですらない。
いつまでこれをやりつづけるのか。
試合については以上。
A rainbow appears over the travelling Arsenal fans as the full-time whistle blows.
The Gunners beat Leicester 0-1 to go five points clear at the top of the Premier League. 🌈 pic.twitter.com/Ko7SCJ92A7
— gunnerblog (@gunnerblog) February 25, 2023
トロサールは降りてくるタイミングがうまいのでもう少し周りが使ってあげてほしいですね。もっと活躍できたと思う。それにしてもレスターは何も言うことがないチームになってしまって悲しい。