こんにちは。
来週月曜の試合だというのに、木曜にもう試合前プレス会見をやるという。アルテタにしては珍しいタイミング。
Every word from Mikel’s pre-Crystal Palace presser
アーセナルとしては、ダヴィド・ラヤの加入、ジュリアン・ティンバーのACLのケガを発表したばかりで、アルテタのコメントが注目されていたところ。
アルテタの試合前コメント「(ティンバーは)今シーズンはチームにいない」
昨日行われた試合前プレスコンファレンス。AFCオフィシャルサイトより。
(ジュリアン・ティンバーのケガ……)
アルテタ:大打撃。とくに彼はクラブに加入したばかりで、あんなケガをしてしまうなんて、大きすぎる失望だ。もちろん、チームにとっても打撃で、なぜならわれわれは明確な意図をもって彼をリクルートして、彼がチームにもたらしたものははっきりとしていたから。
彼は、今シーズンはチームに参加しないだろう。われわれは、適応せねばならない。残念ながらこうしたことが起き、われわれも前進しないと。
(ケガに対するジュリアンの反応は?……)
正直、彼はまったく問題ない。彼には特別なキャラクターがあり、彼もわかっている。彼も、ケガの度合いと回復までにかかる時間を理解し始めているところだと思う。どれほどの離脱になるのか。だが、彼は問題ない。
われわれ全員が積極的に彼を助けたいと思っているし、みんなが彼と親しい。しかしこれは長い旅になる。
(それが移籍市場でのあなたの姿勢に変化を及ぼす?……)
わたしはむしろ、既存のチームにあるリソースのことを考えている。自分たちがやりたいことをやりつづけていくために。
両サイドでの可能性という意味では、彼がとてもいろいろなものをもたらしてくれていたというのは事実。だが、繰り返すように、こうしたことは起きる。だから、それに備えておかないと。
(キーラン・ティアニーにとってはチャンスになる?……)
全員にとってチャンスになる。われわれは全員が必要になるし、全員が重要になる。いまスクワッドにいる人数に関しては、とくにそのあたりのポジションがより限定されることになった。だから、全員が準備をしていなければならない。
(ティアニーはいまもあなたのプランに入っているので?……)
彼も(コミュニティ・シールドで)プレイはしているじゃないか? 5日前のファイナルでプレイした選手がプランに入っているのは当然だ。
(キーランはフォレストでチームに入れなかったことにがっかりしている?……)
そうだと願うよ。イエスだ。
(ダヴィド・ラヤがスクワッドにもたらすもの?……)
われわれのゲイムモデルによりよいクオリティをもたらす。非常に単純なこと。われわれは、各ポジションにふたりはそこでプレイできる選手がほしい。そして、ジュリアンに起きたことを観れば、ゴールキーパーにだって起きうる。(Thibaut)Courtoisにも起きたことだ。
備えが必要なのは、「これはなんだ? このサイズのGKがふたりいる?」という疑問があるからだ。そしてもしアーロンが深刻なケガをしたら、なんと云う? そこですべてが変わってしまう。
だから備えが必要なのだ。先回りすることが必要で、ふたりの、われわれのモデルにフィットした素晴らしいGKがいる。だから、わたしはとても満足している。
(「No.1」という考えはある?……)
どのポジションでも? ノー。9、7、11、6、GK、ノーだ。No.1はいない。
(オレクサンドル・ジンチェンコのフィットネス?……)
アレックスはとてもよくやっている。彼はチームとトレイニングしているし、もうすぐ彼を起用できることを願っている。
(その他チームニュースについて……)
あの試合後はなし。ガブリエル・ジェズースがまだ使えないが、あとは全員大丈夫。
(カイ・ハヴァーツのアーセナルキャリアのスタートについて……)
彼はとてもよくフィットしている。彼はマンシティでもとてもいいプレイをしていたと思う。ゴールはしなかったが、とても大きなビッグチャンスがふたつもあった。だが、それ以外のすべてで彼は素晴らしかった。
先日は試合を通して、彼はふたつのポジションでプレイしていた。ひとつはナンバー8で、ひとつはナンバー10。
わたしは彼がチームにもたらしているものに非常に満足している。彼のインテンシティ、動き、脅威、試合とスペイスの理解。周囲の選手たちへのフィット具合も。わたしは彼にとてもとてもハッピーだ。
(ジュリアンのケガがあって守備は十分に満足できる?……)
あのケガは計画になかったので、これからどんなオプションがあるか、選手たちからベストをどうやって引き出すか、評価していかねばならない。
わたしも、ここにないすべてをコントロールすることはできない。われわれは、つねにオープンであり、なにか起きたときのためにつねにオープンでいなければならない。それはケガだけでなく、市場でも。それがいまわれわれがやっていることだ。
(フォレストの勝利でポジティヴだったことは?……)
試合の支配。自分たちがプレイしたいテリトリーでプレイした時間の量。つくったチャンスの量と、いくつかやられたところ。
われわれがファーストハーフにつくられたチャンスは、彼らがフックしたセカンドボールの直後にダイレクトにだった。そのあと、彼らはセットプレイのあとにカウンターをやり、そのどちらもゴールキックからで、ひとつはコーナーから。だが、その後にはなにもなかった。
あの日にあれほど試合を支配し、ああいう状況があれば、ファイナルパスはあれでもまだいいフィニッシュをするには十分ではなかった。そこは進歩の余地がある。
(もっとクリニカルになること……)
そうならないと。あの手の試合をプレイするときは、3点、4点、5点フィニッシュする必要がある。われわれはそれをやらなかったので、だからPLでは相手になにかをもたらしてしまう。そうなれば残念ながら、つねに最後は神経質になってしまう。
(ブカヨ・サカの成長……)
それは、毎年つづいていると思う。彼に新しい目標を与えても、彼自身新しい目標と要求を設定しても、彼はそれを達成してしまうみたいだ。
彼は極めてハングリーで、学びに積極的で、進歩し、3日ごとで試合を決める選手になっている。それこそが彼が目指す目標なのだ。
彼はとても集中力のある少年で、彼のやることのすべてがそう、トレイン、準備、生活。わたしはとても満足で、だから彼はこれからもそれをつづけていくことが必要。
(GKの状況について……)
違うGKたちがそこにいれば、それは疑問にもなるだろう。ふたりの素晴らしいGKがいるのはグレイト。なにも悪いことはない。われわれには、ジョルジーニョ、トーマスとデクランがいて、それも問題じゃないのだから、それも問題にすべきじゃない。
われわれは毎日よくなっていきたいし、そうなるためには環境もより良好なものに変化しなければならない。われわれはつねに一定のレヴェルでありたい、なぜならそれがわれわれの本性だから。環境を変えるとき、環境は毎日100%になる、わたしを信じてほしい。レヴェルは上がるのだ。
わたしは、それが自分の目を閉じていてもわかる。いまいる選手たちと2年前のチーム。われわれがもっとよくなりたいのなら、その環境をつくらなければならない。
(チームのストライカーたちが年間20ゴールズを記録できると信じている?……)
われわれにはそんな選手はいないが、そのような選手がいなくても極めて競争力あるチームにならねばならない。それはつまり、ゴールをもっとシェアしていくこと。誰も、今シーズンに20、25、30ゴールできる選手と書いてある紙切れにサインすることはできないのだ。
われわれにはわからない。もし誰かそれを知っていたら、手を上げてほしい!
以前には3、4ゴールだったマーティン・オーデガードは15ゴールした。われわれが行っているのは、そうした選手に限界はないと理解してもらうよう、できるだけいいかたちで奨励することであり、彼らは、彼らがなれる最高のものになることだってできるのだから、わたしはチームにシーズン20ゴール取れる選手がいると確信しているよ。
(女子ワールドカップのファイナルではどちらのチームを応援する?……)
わたしはワールドカップ全体を応援しているよ。もちろん、その2チームはわたしも縁があるが。あれはただすごかった。イングランドにとってすごかったし、彼女たちがやった2連続のトーナメンツ。際立っている。
スペインも、わたしたちは非常にうれしかった。なぜなら去年にはとてもたくさんの問題があって、たくさんのことが起きたから。あれは素晴らしいスピリットとキャラクターの見せ方だった。スペイン人ならこう云うね「OK、逆境を乗り越えてワールドカップファイナルまで来た」と。
わたしは楽しむ準備はできてる。試合を楽しみたい。それだけさ。
(新しい選手を連れてくることにお墨付きはもらっている?……)
それは自分で決められることではない。クラブとしてその決断にはたくさんの人間が関わる。そのためにはたくさんの要素があり、わたしが集中しているのは、いまあるスクワッドからベストを引き出すことだけ。
現在はコンペティションの最中であり、どちらの方面でも移籍市場でオープンだ。なぜなら、われわれにはまだやらねばならないことがあるから。(獲得と放出と)両面がある。
(これ以上ディフェンダーが去ることはない?……)
そのようなプランは存在しない。
(最近のティンバーやデ・ブルイネ、ミングスらのケガは、過密スケジュールによるもの?……)
Buendia、Courtois、Militaoにも起きた。そこには何かがある。過去の試合やツアーについても云えるだろうが、試合、それにツアー、それに12月のワールドカップ、それにこれ、これ、国際試合。たくさんある。選手にはたくさんすぎる。恐ろしいほどの要求もある。そうした選手のこのあとの36ヶ月カレンダーを観れば、観ないほうがいいほどだ。彼らがやらねばならないことは、すごいものだから。
われわれは彼らを世話しなければならない。しかしクラブとしては、いつ彼らの世話をする? ほかのコンペティションを優先するために、われわれが彼らを世話をするものとなる。
だから、われわれは落ち着いている必要がある。だがもう遅い。少なくともこの36ヶ月では。誰がここで声をあげるべきなのか、わたしにはわからない。だが懸念はある。大きな懸念が。
以上
ティンバーのケガ続報:シーズン絶望的……
予想どおりというべきか、会見ではティンバーのケガとラヤの加入についての質問が多くをしめた。
ティンバーのケガについては、最初のニュースがリリースされたあと、クラブから公式に続報があった。
やはり、右ヒザのALC(anterior cruciate ligament)をやってしまった。はっきりしたケガの度合いや復帰までの時間には言及されていないが、アルテタのコメントにもあるように今シーズンは絶望的というのが、クラブ内での共通理解なのだろう。
もちろん、ケガの回復の早さは個人差だってそうとうあるだろうから、そうだと決まったわけではないものの、あまり大きな期待はできそうもない。
それにしても残念すぎる。リハブの期間にオフシーズンがかぶっていれば多少はマシだったかもしれないが、シーズン初戦でやってしまったということは、シーズンと完全に丸かぶりなわけで。チームはもちろん、クラブとしても、ほんとうに手痛い事故となった。彼の移籍金は£34mで、1シーズンをまるまる棒に振るなら、いったいどれほどの財政的な損になるのか。
ちなみに、彼がケガをやった日や翌日もふつうに歩けていたというリポートがあって、ファンのあいだではわりと軽症なのではないかという楽観的憶測もあったが、実際はACLをやった直後に歩行可能というのは、それほど異例のことでもないらしい。アーセナルでは、過去にピレスやチェンバースもそうだったとか。
それについてグーナードクターのDr. Rajは、ティンバーがとても筋肉質だったからではないかと見解を述べていた。
あとは気になるのは、もちろん彼の代替。
両サイドでプレイできるフルバックでインヴァートしても問題ないという。彼の能力をカヴァーできる選手は、いまのところ市場にはあんまりいなさそうだ。今回のことで、あらためてティンバーの有能さが際立ってしまっているのは皮肉なことだ。
どうなるか観てみよう。
ラヤ獲得への疑問?
やっぱりこんなふうにNo.1 GKが同じチームにふたりいるという状況はかなり珍しいため、いくつかそれについて質問もされている。
「ひとつのポジションにジョルジーニョ、パーティ、ライスだっている」というアルテタの回答は、ゴールキーパーの特殊性については答えていない。
この動きについて、ピーター・シュマイケルが疑問を呈しているのが興味深かった。
🤔 Will David Raya’s signing create problems for Arsenal?
Peter Schmeichel thinks so 👇 #BBCFootball pic.twitter.com/4iZoBdRWC0
— BBC 5 Live Sport (@5liveSport) August 9, 2023
シュマイケル:まったくわからない。どうやったらマネジャーが、No.1シャツを競争させるのが素晴らしいことだなんて結論に至るのか、わたしには理解ができない。
ゴールキーパーのポジションというのはとても受動的なんだ。自分でクリエイトできるものはなにもない。ことが起きるのを待つだけだ。
いまキミが求めているのは、ひとりのGKに、もうひとりのGKよりも優れていることを証明しろというもの。それは自分でことを起こせということだ。そんなことは(GKは)やりたくないはずだ。
ピッチ上では、そこは唯一安定がほしい場所だ。いまやっていることは、ふたりに大いに不安を与える。
同時に、ふたりがNo.1にチャレンジしているということは、ドレッシングルームに悪い空気が生まれる可能性だってある。ふたりの漢が直接争っていて、どちらがスタートし、どちらかはしない。
彼らが理解しておかねばならないのは、もしうまくいかなかったとき、誰もがミステイクをやるのだからいつでも起きうるが、マネジャーは「大丈夫、キミがまだNo.1だ」と云わねばならない。そういう自信が必要なのだ。
もしそれがないなら、その選手はチームのために100%でパフォームできない。
うーん。
ぼくは、アルテタが考えている理想的な環境を理解できないということはないが、やはりGKという特殊なポジションにおいては、持続可能ではないとは思う。
あれだけレギュラーを固定していたアルテタが「No.1はどのポジションにもない」なんて、あまり説得力がないし(今シーズンだって事実上のNo.1は各ポジションで生まれるはず)、GKだってきっとそうなるだろう。毎試合でチームのベストを引き出したいのなら、そうならないとおかしいのだから。
ラヤやラムズデイルのクラスのGKがNo.2ポジションに一年以上甘んじていられるか。それは無理でしょう。ほかのクラブだってほっておかない。
まあ、これからどうなるかわからないけど、いまのところは「ふたりのNo.1」にはあまり楽観的になれないという気がする。
ルートン・タウンとのフレンドリーマッチ
昨日、たぶんこの会見のあと、ルートン・タウンとのフレンドリーが行われたらしい。無観客。
Arsenal beat Luton Town in a behind-closed-doors friendly today, with two goals from Trossard and one from Saka. Zinchenko, Nelson and Raya all played.
— Sam Dean (@SamJDean) August 17, 2023
試合は、アーセナルが3-0で勝利。トロサールのG2とサカのG1。ジンチェンコ、ネルソン、ラヤがプレイ。ティンバーが離脱した状況で、ジンチェンコが復帰しているのはナイス。
トロサールはますますスタートさせるかどうか悩むところだ。サカとマルティネリは変えにくいが、エディもこのまえゴールしたばかりだし。ここでローテイションしていくチームが観たいんだけどな。
ところで、シーズン中にこうしたPLのライヴァルとフレンドリーを行うのは、珍しいのではないかと思ったら、最近もエヴァトンとマンU?がやっていたり、ちょくちょくあるらしい。
マッチプレヴューのエントリは、後日で。試合は日本時間で火曜朝だから、やっぱり今回の会見は随分早い。