アーセナル vs マンUのマッチレヴュー後編。昨日アップしたコメント集のつづきから。
試合について
ファースト11
SofaScoreより。
4-3-3
マルティネリ、エンケティア、サカ
ハヴァーツ、ライス、オーデガード
ジンチェンコ、ガブリエル、サリバ、ホワイト
ラムズデイル
サブは、トミヤス(76 ジンチェンコ)、ジェズース(76 エンケティア)、ヴィエラ(76 ハヴァーツ)、ジョルジーニョ(90 オーデガード)、ネルソン(90 マルティネリ)
注目されていたアルテタの戦術的選択は、結局パーティの不在によるガブリエル含むバック4回帰と、概ね世間で試合前に予想されていたとおりになった。ぼくの予想だと9だけ外したが、まあそこがエディでも驚きはない。
ジンチェンコもガブリエルも、PL4試合めにしてこれが初めてのスタート。
全体的にフォーメイションとしては、やはり最初の3試合よりも見慣れたもので安心感はあったと思う。とくにジンチェンコ。ブランクがあったので、さすがに100%シャープには観えなかったが、それでも彼がCMでプレイするときのエリアの支配力と展開力は一段階あがる感覚はある。
こうなると、やっぱりアルテタは戦術的なことを考えすぎないほうがよかったんじゃないかと、思わされたところもあるっちゃある。生き残りをかけた多様性の獲得があるいっぽうで、この世界では“never change a winning team”とも云いいますし。うまくいっているチームを変えないほうがいいこともある。
ともあれ、今回のやりかたはよかったと思う。
サブについては、今回もまた彼らが仕事をして、アルテタがとても喜びそうなパフォーマンスだった。
100分のダメ押しの3点めは、ヴィエラによるパーフェクトタイミングのラストパスからジェズースのゴール。あのゴールは、DFに追いつかれて一瞬ダメかも……と思わされてからの彼らしいゴール。いかにも経験豊富な選手のフィニッシュだった。
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— شوقي (@ishawkii14) September 4, 2023
Arsenal 3 – Manchester United 1 pic.twitter.com/ubIhxCm3Yt
— Poorly Drawn Arsenal (@cantdrawarsenal) September 3, 2023
この後ろで死んでるひとが好き。エモジにしてほしい。
試合後は、トミヤスもいかにも玄人受けという感じで称賛されているし、スクランブル状況でのネルソンの攻撃貢献も大きかった。
ヴィエラがサブから効果を発揮するジョーカーとしてついにブレイク?を始め、ネルソンも短い時間ながらチームの勢いに乗ろうとしているところは見せた。そして、ベンチに残されたESR……。プレイタイムは、いまだ0ミニッツ。IB後週3試合になったとき、彼の命運が変わることを願ってやまない。
マッチスタッツ
『BBC Sport』より。
ぼくは試合前に「今シーズンのマンUはプレスマシーンになった」という評判を読んでいたので、正直今回の彼らのパフォーマンスには拍子抜けだった。ハイプレスも全然云うほどインテンスには観えなかったし、なにより、試合を通して非常にアウェイらしい攻撃に消極的なアプローチに感じたものだ。結局、彼らはSoTもたったの2しかない。
『Opta Analyst』によれば、アーセナルは試合の大半をマンUのサイドでプレイしており、相手ボックスでのタッチは42 vs 19でほぼ2倍。ファイナルサードでのパスは168 vs 47で3倍以上の差があった。
ファイナルサードで終わったパスの成功率では、マンUは12.2%という低さであり、彼らのPL試合ではOptaが記録を取り始めた06/07シーズン以来でワースト2位らしい。
攻撃での勢いを示すField Tilt(The share of touches in the final third. 10min moving avarage)でも、多くの時間でホームチームが圧倒的。
それでもスタット上、マンUのポゼッションが比較的高くなっているのは(前半は55%)、彼らの独特なバックからのプレイのおかげだろうと思う。とくにOnana。あんなにボールを持って余裕を見せるGKがほかにいるだろうか。時間稼ぎのためというわけでもなく、単純に足の技術を過信しているというか。ユニークすぎる。
おかしいのが、その結果、結局ロングボールを蹴ってもまったく前につながらないこと(GKのロングボール成功は4/13)。試合の序盤はとくにGKからのビルドアップで彼らのバックラインがあれだけ時間をかけてからロングボールを選択しても、パス先に誰もいないみたいなことが頻発していた。
ああいうとき、TV中継では逆のエンド(アーセナルのディフェンスライン)がどうなっているかわからないわけだが、TVカメラだけだとあれだけトンチンカンなパスに観えたということは、彼らのロングボールプレイがあまりに拙いか、アーセナルのハイライン戦術がうまくいっていた。あるいはその両方。実際あそこで何が起きていたのか、ピッチ全体を観たかった。
Onanaは、あれでうまくいくならチームのストロングポイントになりえるだろうが、あんなプレイをつづけていればシーズンで何度かは痛い目をみそうである。ぜひ継続してもらいたい。
Understat.comによるxGは、1.91 vs 0.97。
アーセナルのゴール以外でもっともクオリティの高いチャンスだったのは、もちろん80分のサカのショット。あれ単体で0.47xG。GKのド正面へ。アルテタが云うように、あそこで試合を決めているべきだった。
今回のサカだけでなく、ここ数試合のマルティネリなど、最近のアーセナルはゴールチャンスが訪れたときにGK正面にシュートを蹴ってしまうという、ちょっとした悪い傾向がある。
アーセナルでは、たしか以前にも似たような問題がフォーカスされたことがあった。あのときは、シュートに至るまでのタッチが問題になっていたような気がする(ワンタッチでシュートしない)。こうしたフィニッシュにおける無駄は、結局自分たちの首を締めてしまう。ここも大いに改善の余地あり。
控えのクオリティの差を明らかに感じる試合でしたね。
特にお相手がエヴァマグ(笑)を仕方なく出している中、こちらはトミヤス、ジェズスetc…とバリバリのスタメン級がゾロゾロと出てきて、即座に結果を出してしまうなど、層の厚みを感じました。
個人的にサカなどはずっと出ずっぱりで疲労を感じるので、聖域にせず調子の良さそうな選手を頭から起用してほしいなあ、とアルテタには思います(後交代が遅い)
クオリティも戦力も近年最高の厚みだと思うので、あとは怪我した時のオプションの構築、CLのターンオーバーなどはこれから注目したいです
あんな状況のユナイテッド相手に苦戦していいのかなとは思いました。もう格が違うでしょ。結局「後ろに重い」問題は左可変にしても変わらないまま。コンダクターが適切な位置に立てていない。みんな冨安を見習ってくれ。
すごい試合でしたね。
ただ今後のことを考えると、今のユナイテッドにあんなに苦戦して大丈夫なの?と不安にもなりました。