ハヴァーツの受難
Oh my カイ……
ハヴァーツはもうなんというか、ちょっとした悪循環にハマっているというか。彼は、ノースロンドン神宮かイズリントン稲荷でお祓いを受けるときかもしれない。
今回も彼のパフォーマンスは全体的に悪くなかっただろう。ただ、とにかく彼は悪いところが目立ちすぎなのである。なんてこった。
まずしょっぱなからやった。
AFCの2分のハイライト動画にもある12分のあのみごとな空振り。プロフットボーラーがふつうあんなのやる??というほどの衝撃的なエラー。びっくりしたわ。よりによって、彼の利き足である左足で。アーセナルのなかでも今もっともやらかすべきない漢がやらかした。
そして26分の失点。ラシュフォードのカウンターアタックのきっかけになったのが、まさにハヴァーツの不用意な横パスだった。いつだって彼を擁護しようとするアルテタですら、あれはいけませんと云ってるくらい。
どんな選手だって試合のなかで大なり小なりやらかすものだが、これまたよりによってここで彼のエラーが失点に直結するとは。マンUはアレが最初のチャンス(ショット)だったのだ。なんたる不運よ。
あの失態は直後のオーデガードのゴールで帳消しになった部分はあるが、もしあれが悪い試合結果につながるほどの致命傷になっていたら、彼はアルテタがかばいきれなくなるほどの戦犯になるかもしれなかった。
さらに58分のペナルティ事案。ハヴァーツがボックスに侵入したところを倒されて得たペナルティ判定が、残念ながらVARで覆った。
まあ、ここはアーセナルのファンの多くが「あれは絶対にペナルティだった」(かつてのダヴィド・ルイス事案を思い起こす)と考えているので、彼を責めるものはあまりいないとは思う。あのポジションにいてボールを受けてチャンスをつくったことも評価されるべき。ただ、あそこでペナルティを得てアーセナルがアドヴァンテッジを得ていたかもしれない未来を思えば、あまりポジティヴに思い出されることでもなさげ。
という感じで、ただでさえ、注目を浴びているなかで、なぜ?というくらいにハヴァーツがさらに悪目立ちしてしまった試合だった。本人は、あまりダメージを受けていないことを祈りたい。
IBで一度リセットされるだろうし、このあと彼も気持ちを入れ替えてほしいと思う。彼のパフォーマンスは、総じて悪くはないのだ。
Kai Havertz stats against Manchester United
25 – Pass Attempts 88.0%
1 – Progressive Passes
1 – Key Passes
2 – Shots
0.30 – xG
5 – Progressive Passes Received
7 – Touches in the box
2 – Tackles
2 – Fouls
5 – Ball Recoveries
1 – Blocked Shot pic.twitter.com/bxRMGa04Ac— Scott Willis (@scottjwillis) September 3, 2023
だが、こういうことがつづくと、彼のパフォーマンスが悪くなくても、そのうちチームとして彼を世間の悪意にさらさないために外すことだって検討しなきゃならなくなるかもしれない。心配である。
そういえば、ハヴァーツについて試合後のアルテタが興味深い発言をしていて、それが話題になっていたことを書くのを忘れていた。Sky Sportsのカメラに対するコメント。
アルテタ:わたしは彼に昨日こう伝えたんだ。わたしが妻に出会ったとき、最初彼女を攻め落とす(conquer)のはすごく難しかった。それでもハードにトライしてメッセージを送りまくってアタックしまくって、ようやく彼女はYesと云った。いっしょにいましょうと。美しい。
もし彼女が最初からYesと云っていたら、それはそこまで素晴らしくはなかった。ここでカギになったのは、忍耐。そして決意だ。
また独特な例え話をするひとだ。。ハヴァーツがピンと来てるといいな。
アーセナルのホーム失点問題とカウンターアタックへの脆弱さ
アーセナルは多くの時間であれだけ攻撃的に、支配的にプレイしていたのに。なんだか、今回もまた結局ギリギリの試合になってしまった。
ストラクチャ的に、アーセナルはボールを持ってかなり支配的にプレイしていることから、だいたい前に人数をかけている時間も多く、そこがカウンターの脆弱性につながっているという指摘はある。ホームだととくにそういう傾向になるかもしれない。
だが、昔のヴェンゲルさんの左右のFBがふたりとも爆上がりして、CBふたりだけでオウンハーフ全体を守るみたいなカミカゼスタイルならともかく、いまのアーセナルがカウンターアタックにさらされるときは、最低限の人数はいるようには観える。
今回もまたラシュフォードにやられてしまったが、少なくともサリバとホワイトのふたりが彼についていた。それでもやられてしまう。あそこはラシュフォードを褒めるべきかもしれない。だが、アーセナルのディフェンダーたちがもうちょっとうまくやれたという感じは残る。
7 – Arsenal have conceded from the very first shot they faced in a game in seven different Premier League matches in 2023, more than any other side. Concern. pic.twitter.com/GO80dmMsjk
— OptaJoe (@OptaJoe) September 3, 2023
今回の失点を含めて、2023になってから、アーセナルは相手の最初のショットで失点したことが7回もあるという。いくらなんでもやられすぎである。そのうちのどれくらいがカウンターアタックだったかはわからないが、けっこうな数が含まれるんじゃないかと思う。
なぜ毎回ホームで失点してしまうのか。なぜ毎回カウンターにやられてしまうのか。どちらもチームのなかで、これまでもはっきりとした課題になっていたはず。それなのに、いまは、わかってもやられてしまうという状態。原因がわかっていなさげ。
さすがにもう偶然では済まされないだろう。これだけ同じことが頻繁に再現されるのは、理由や原因が必ずある。
ひきつづき、アルテタはそこを解決するために取り組んでいく必要がある。
長い追加タイムの恩恵
最後に。
Reminder: Never leave games early 😅 pic.twitter.com/xlmPBikfN9
— Sky Sports Premier League (@SkySportsPL) September 3, 2023
これなあ。中継でもインサートされていた映像。試合の終了を待たずに帰っちゃったひとたち。彼らがどんな理由で試合中にスタジアムをあとにしなければならなかったのか、もちろんそれぞれだろうが、あんな劇的な瞬間を見逃すことになるとは。何人かアーセナルファンの姿も観えるが、悔やんでも悔やみきれないほどだろう。あと数分だった。
今年から始まっているあの長い追加時間は、ぼくも最初はあんまり賛成できなかったけど、始まってみれば、けっこういい面もあると思うようになってきた。
今回は8分の追加タイムで、ああいう試合展開だと90分の時点で疲れ切った身体でも、8分くらいの長い残り時間があるとなると、選手たちはもう一度気持ちを奮い立たせることができるというか、エナジーブースターになる。スタンドも盛り上がる。そういう効果があるなと。これは新しい発見のように思える。
選手の負担のうえに成り立っている新ルールだから、複雑ではあるけれど、試合がよりエンタテインメントになった。
この試合については以上。
おまけ
名調子of Drury 🔥 pic.twitter.com/PQahHw7HAn
— The AFC-Chenko 🇺🇦 (@NewArsenalShirt) September 4, 2023
Peter Druryのコメンタリ。即興のことば選びが今回もポエトリー。
控えのクオリティの差を明らかに感じる試合でしたね。
特にお相手がエヴァマグ(笑)を仕方なく出している中、こちらはトミヤス、ジェズスetc…とバリバリのスタメン級がゾロゾロと出てきて、即座に結果を出してしまうなど、層の厚みを感じました。
個人的にサカなどはずっと出ずっぱりで疲労を感じるので、聖域にせず調子の良さそうな選手を頭から起用してほしいなあ、とアルテタには思います(後交代が遅い)
クオリティも戦力も近年最高の厚みだと思うので、あとは怪我した時のオプションの構築、CLのターンオーバーなどはこれから注目したいです
あんな状況のユナイテッド相手に苦戦していいのかなとは思いました。もう格が違うでしょ。結局「後ろに重い」問題は左可変にしても変わらないまま。コンダクターが適切な位置に立てていない。みんな冨安を見習ってくれ。
すごい試合でしたね。
ただ今後のことを考えると、今のユナイテッドにあんなに苦戦して大丈夫なの?と不安にもなりました。