試合の論点
ブレントフォード vs アーセナルのトーキングポインツ。
Winning late is always great ????
Relive our dramatic last-gasp victory against Brentford all over again ???? pic.twitter.com/L94WTmt8wP
— Arsenal (@Arsenal) November 25, 2023
アーセナルはリーグテーブルで単独トップへ
この試合の前、マンシティがホームでリヴァプールとドロウをやったおかげで、この試合に勝ったアーセナルはリーグテーブルで単独トップに。
彼らが2ポインツづつ失ってくれれば、そのうしろにいるアーセナルには最高だったわけだが、それがなんと現実になってしまった。
しかし、そうした状況もアーセナルが利用できなきゃ意味なし。だから今回は、ブレントフォードに勝ててほんとうによかった。
ところで、彼らはロンドンダービーでここまで14試合敗けなしをやっていたらしい。今シーズンはホームでも敗けはひとつのみ。道理で強いわけだ。ちなみに、ブレントフォードが最後に敗けたロンドンダービーは、昨シーズンのアーセナル(H)だったという。
この試合、アーセナルは相手の整ったブロック守備を崩すのに終始苦労させられた。
パフォーマンス自体は今年のアーセナルを象徴するような内容で、多くの時間でロウブロック相手にクリエイティヴィティ不足と、けして褒められたものではなく。観ていて、だいぶフラストレイションがたまった。
そうした時間が長かったので、41分のトロサールのゴールがVARでオフサイド判定、取り消しになってから試合が終わりそうになる時間まで、せっかくトップに行けるチャンスがあるのに、3ポインツはもうほとんどあきらめかけていたほど。

しかし、そうした攻撃の華やかさがない地味な試合でも、最後には結果をつかみとるのも今年のアーセナル。
こういう試合でもちゃんと勝てるチームが強い。
リーグでトップになったいま、正直、今後が楽しみになるというよりは、不安になるような試合ではあったけれど、コツコツとやっていくしかない。
悪い内容でも試合に勝つというやつを、今回もやれたことは非常によかった。レジリエンス。
カイ・ハヴァーツがついにゴール。しかも超重要な
いやあ。ありがとう。KHがついにゴール。期待されていたヘッダーで。
いや、これは彼のアーセナルで2点めではあるのだけど、前回は譲られたペンだったから。今回のゴールの喜びは格別。そして、それがチームをトップに導く超重要ゴールになるとは。持ってる。
興味深いのはハヴァーツが、あれを「トレイニングでよくやってたかたち」と述べていること。このチームが、ほんとうによく訓練されていることがまた証明された。予測可能性では、パターンが観えてしまってそのことが裏目に出ることもあるけれど、基本的には<自分たちが求めるフットボールを完全に遂行できれば敗けない>という強い信念があるのだろう。だから、繰り返し繰り返し、何度でも同じことをやる。
このゴールが素晴らしかったのは、この試合にとって重要というだけでなく、ファンやチームを取り巻くアーセナル世界全体をひとつにまとめたからだ。ただでさえ議論な存在だった彼が、全方向から認められるというか。大げさにいえば。
試合後にtwのタイムライン(※この公開twリストArsenal Influencersはフォロウできます)を遡っていて、なんとなくキャプチャしてしまった。彼のゴールの瞬間は、きっと世界中がこんな感じだったに違いない。Kaiiiii!!!!!!!
それと、アルテタにとっても。もしかしたら、彼のゴールをもっとも待っていて、もっとも喜んだのはミケルかもしれない。
試合後のアルテタの喜びようったらなかった。土壇場で試合に勝ったことはもちろんだろうが、やっぱりハヴァーツがやっとゴールを決めてくれて、ホッとした部分もありそうである。
もともと彼はチェルシーで大成功していたわけでもなく、アーセナルでもゴール/アシストのようなわかりやすい結果がなかなか出ず、懐疑的な目線のなかで大金をかけて彼を獲得したプレッシャーはアルテタも日々感じていただろう。ずっと擁護してきた。だから、それも報われたように思っているのではないか。自分の信念が間違っていないと認められるのは、誰だってうれしいことだろう。
ところで、試合後のアルテタが今回ハヴァーツを“adorable”と表現していたのはちょっとおもしろかった(It is because he is adorable and a joy to work with.)。おれのなかでadorableは基本的に「かわいい」に対して使うワードだったので、思わず辞書で調べてしまった。アルテタコメントを伝えるBBC Sportの記事タイトルでもそこはカッコ付きになっていたので、やっぱり特徴的な表現だったのだろうと思われる。
なんというか、ミケル的には「かわいいわが子」みたいな感覚なのかもしれない。ヘッドロックしたい気持ちもわかるよ。
そして、もちろんこれは本人にとっても大きな意味がある。
ちょうど今週、アーセナルのオフィシャルサイトで彼の特集記事がアップされていて、そのなかでアーセナルの家族的雰囲気や、ファンへの感謝を述べていた。いい記事なので、未読のかたはぜひ。
Kai Havertz: Finding a family at Arsenal
そんな彼が、クラブやチームから受けてきた信頼に、ゴールというかたちで、ようやく報いることができた喜びは想像に難くない。
またファンについても、感謝するといっても、そのなかには彼のことをこころよく思っていないファンがいることも知っているだろうし、そうしたファンが少しでも減れば、やはり彼にはポジティヴなことだろう。
今回のゴールでしっかり自信をつけて、彼がよりよいパフォーマンスができるようになっていけば。これは好循環。
今回のゴールがケチャップのふたであることを願ってやまない。Waka waka.