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【マッチレビュー】23/24 EPL バーンリー vs アーセナル(17/Feb/2024)トップフォームで新記録

試合の論点

バーンリー vs アーセナルのトーキングポインツ。

オープンプレイからゴール続々で勢いを維持。ますます自信をつけるチーム

試合前は、今回もアーセナルがたくさんゴールを決めてくれたらいいのになんて軽く思っていたら、5つもぶっ込んでくれた。これはうれしい驚き。

しかも今回のゴールは、サカの決めた2点めのペン以外はすべてオープンプレイから(ハヴァーツのゴールはスロウからだけど、あれはオープンプレイといっていい?)。

ここへ来るまでの4試合のなかで、大量ゴールした試合でも、そこには少なくないセットプレイからのゴールが含まれていて、依然としてゴールをそれに頼りすぎなきらいはなくはなかったが、今回は文句なしにオープンプレイからのゴールで試合を決めた感がある。

そういう意味では、チャンスをゴールできない症候群を克服して以降、このチームはどんどん理想の姿に近づいているという気がする。オープンプレイでもセットプレイでも脅威になれるチーム。そして、勢いと自信が試合ごとにどんどん増し、それがつぎの結果につながってゆく好循環。

いまの勢いと自信がよくあらわれていると感じたのが、チームプレイがかなり積極的になっているところ。おれはそう感じたんだけど、どうだろう。

試合後のアルテタがこのチームはできるだけ前にプレイしようとしていると述べていて、それはいつでも似たようなことは云っているが、今回の試合でとくにそれを感じた。たとえばオーデガードのスルーボール。これまでなら躊躇してそうな狭いエリアへの縦パスをかなり積極的に試みていた。

それが成功したひとつが、38分のトロサールがボックスで倒されてペナルティを得たシーン。あれは、まずボックス際にいたハヴァーツの足元へのオーデガードの鋭いパスから始まった。密集地帯を切り裂くようなスルーボール。パスの強さからハヴァーツは若干大きなタッチになったが、隣に走り込んできたトロサールへなんとかパス。倒されてペナルティ。彼から、ストライカーポジションにいるハヴァーツにスルーボールが出たのはここだけでなく、試合中何度かやっていた。

ああいうパスは、いつだったかちょっと前にこのブログで「アジアカップの日本代表のほうが積極的」みたいなことを書いたが、今回のアーセナルは狭いエリアへのチャレンジングなパスにすごく積極的だった。ベン・ホワイトやキヴィオールなんかにも「あ・そこで前にパス出すんだ」と思う瞬間があった。

バックパスを含めて複数ある選択肢のなかで、リスキーなほうを選ぶ。アルテタが「ポジティヴな決断」と述べていたのは、このことだろうと思う。これはまさに勢いと自信のなせる技。いまの週一試合のフィジカルコンディションの余裕もあるかもしれない。

そうしたポジティヴアプローチが大量ゴールに結びついたと感じる。

No.9は必要か?

去年末アーセナルがミニスランプに陥っていたとき、アルテタは「チームでゴールをシェアしたい」と云い、ファンは「ゴールが取れる9が必要」と訴えた。

いまはどうだろう。

この試合でアーセナルは、5ゴールを4人(オーデガード、サカ、トロサール、ハヴァーツ)でシェアしたし、前回のWHUでは6ゴールを5人でシェアした。この5試合で決めた合計21ゴールは、9人の違うゴールスコアラーだったという。いまのアーセナルはメインストライカー不在と云われながら、それでもこれだけのゴールを量産している。今回の+5で、GDではリヴァプールを抜いてリーグトップに躍り出たほど(+36)。

この週のPLでは、シティのHaalandがゴールチャンスを何度もミスしたことが大きな話題になっていて、トップストライカーでもゴールできないときはできないという見本になっているだろう。猿も木から落ちるし、弘法も筆の誤り。

最近のアーセナル界隈では、Mbappeの件であらためて新ストライカーに注目が集まっていたところながら、こうしてゴールをひとりの才能に頼らないほうがチームとして健全なのは明白であり、その点でもわれらは、いまは理想に近い状態だと云える。

このアーセナルの新ストライカー議論のなかで自分も以前から思っているのは、結局チームとしてダメなら大金をかけてストライカーを取っても、やっぱり彼もゴールできなかったりするのだろう。Mbappeみたいなチートな選手ならべつだろうが……

この多人数でゴールをシェアする特殊な傾向がいつまでつづくかわからないが、これをつづけているかぎりは、アーセナルにおける「ちゃんとしたNo.9」待望論は下火になりそうに思える。

夏に新ストライカーを大金をかけて取るにせよ、問題を個人に解決してもらうよう期待するよりは、それはチームとして解決しようとするべきで、ひとまずそれができていそうに観えるいまのチームは、とてもポジティヴである。

守備の安定もつづく

今回もクリンシートをキープ。

この5試合でこちらが21点ぶっこんでるあいだに、たった2失点しかしてないのもクレイジー……

この5試合のアーセナルのxGA合計が1.7。なおPLの単試合の平均xGが1.6……

PL直近3試合でアーセナルはSoTをふたつしか許していない(※今回ゼロ)……

守備でもえらいスタッツがぞろぞろ。なによりも、ゴールすることと同じようにゴールさせないことへの強いこだわりがある。

アルテタは98分?のチームの守備の姿勢に感銘を受けたとのこと、ぼくはすでに3-0になっていた60分すぎにもアーセナルの選手たちが一所懸命にプレスをするところに感銘を受けていた(わざわざメモしてた)。疲労もあっただろうし、勝ったも同然の展開なら、ちょっとくらいサボりたくなるような慢心がうまれてもおかしくなかったが、そうはならず。

こういうのも、メンタリーにすごく充実しているからだと思える。勢い・自信と強い関係がある。悪いプレイとか敗けている試合とか、ふてくされながらプレイしているような試合では、絶対こんなふうにはならない。

PPDA(Pass per defensive actions)は、プレスの強度を示すスタットで小さな数字ほど優秀。今シーズンここまでのPPDAで、アーセナルはあのカウンタープレスの代名詞みたいなKloppのチームと並んで現在トップという。それだけプレスがインテンス。

アルテタのチームは、もともと守備のディシプリンはかなり高いものがありつつ、こういう余裕ありそうな試合でもプレイ原則を忘れない。全員で攻め、全員で守る。

いまアーセナルは、攻守で完成度の高まりを感じさせる。

※コメントくださるかたにお願い
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お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

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