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【マッチレビュー】20/21EPL エヴァトン vs アーセナル(19/Dec/2020)「長期プロジェクト」に高まるプレッシャー

土曜の試合。アウェイで2-1敗け。これでPLは直近10試合でわずか1勝。

がっかりした? ぼくはそうでもなかった。

アーセナルが勝つなんて全然信じていなかったからね。正直、思ったより内容はよかったくらい。気の毒なのは選手だ。

ここ2試合の相手、エヴァトンもセインツもそうだけど、好調とはいえ決してものすごくいいわけでもないのだよね。ふつうにパスのミスもあるし。この試合の前にやっていたシティとセインツの試合を少し観たけど、シティのフットボールは確実にレヴェルが違っていた。選手たちが何手も先を読んで動いているようなチームワークがある。逃げに見えたバックパスがそのままスルーボールのトリガーになっているとか。

だから、最近敗けている試合では、ほんとうにこのチームの自信レヴェルの落ち込みを感じる。ふだんなら敗けない相手にも敗けてしまう。選手たちはなんとかそれをキープしよう、インプルーヴしようとがんばっているが、状況はどんどん悪くなっていて、それでさらに自信をキープするのが難しくなる。ネガティヴサイクルにハマり、何をすればよくなるのかもう誰にもわからないという。これは、どんなクラブでも同じだろうが、典型的なそのマネジャーの末期に見られる症状ですな。

試合をざっくり振り返ろう。

Arsenal fall to eighth league defeat



アルテタの試合後コメント「試合に敗けたのは自分たちのせい。相手は関係ない」

試合直後のインタヴュー。『BBC Sports』via Arseblog

On the performance…

Very similar to the last few weeks in that we are proposing everything, we are trying, we are dominating the games but in the small moments, we are losing the games. We lost against Burnley without conceding a shot on target, which is incredible and we lost again today because of an own goal and a set-piece. When we do generate the chances, the situations; the last pass, the last shot, the last moment [isn’t there] or the post, as was the case this weekend and last time [against Southampton]..the luck is not on our side. It’s not an excuse, we have to keep fighting, keep believing what we’re doing. I see the boys how they are trying, it’s not about the effort, believe me, but we need to win football matches and it’s not happening.

On how hard it is to keep the belief…

The way the boys reacted in the dressing room, it tells me they have the belief. They know what they are doing on the pitch and the way they are losing football matches. Obviously, when you lose that many on the trot for different reasons, it hurts a lot.

On Everton’s form…

Yeah, but I don’t think it was about the opponent, I think it was about ourselves again tonight. The things that we have to do better we did and then we scored an own goal and conceded again on a set piece. When we had our moments, it’s down to us to put it right.

On Nketiah marking Yerry Mina for his goal…

We have the numbers that we have in terms of us and they are much taller than us. It’s a collective effort. When they put the ball into that area, when it’s a 50-50 ball it’s really difficult to defend against Yerry Mina when they are blocking your goalkeeper.

On being confident he can turn things around…

Yes

ついに日本語訳も放棄(笑い)。

Arsenal.comのインタヴュー。オフィシャルサイトより。

アルテタ:われわれは自己憐憫している場合じゃない。われわれが試合に敗けたのは自分たちのせいだ。相手は関係ない。

バーンリーではSoTなし(※訳注:バーンリーのSoTは2つ)の相手に敗けた。信じようが信じまいが。そして今日はまたチームがどれだけトライしたか、制限されたなかでどうプレイしようとしたか見られただろう。彼らはつねにトライしファイトした。わたしはそれについては、選手たちのせいにすることはまったくできない。

試合後のプレス会見。オフィシャルサイトより。

(パフォーマンスについて……)

アルテタ:われわれは相手をとてもコントロールした。カウンターアタックも。インサイドでボールを失ったいくつかのときは別だが。あれをコントロールするのは不可能だ。

そして、われわれはファイナルサードでより危険になり始めたように見えた。目の前のロウブロックへの攻撃は難しかく、たくさんの状況はつくったが、ビッグチャンスも最後でだめだった。

クロスや最後のアクション、あるいはショットなど、コンヴァージョンレイトはとても低い。そしてそこはわれわれが劇的に改善せねばならぬところだ。さらに少しばかりの幸運も必要。ポストに当ててしまうとか、ビッグチャンスで決められないとか。結局はここ数週間と似た感じになっている。こちらは相手より強い。試合を支配する。そしてたいていは、テーブルでのポジションなどでプレッシャーにさらされ、ボロボロにされてしまう。そうではないんだ。

わたしはチームのなかにあるスピリットを見ているし、彼らがどれだけトライし、どれだけ正しく行おうとしているかも見ていて、非常に失望している。彼らには結果が必要であり、なにかを得なければおかしいという試合をプレイしたと思う。

(テンポが遅すぎな件……)

ファーストハーフの最初のフェイズは遅かったと思う。そうなった理由は選手たちが少し制限されていたり、あるいはミステイクをしたくなかったからか、あるいは単にそういったやり方のほうが楽だったからか。

しかしセカンドハーフにはよくなった。スピードをもっと早くしなければということはハーフタイムには話していたんだ。動きとスペイスを攻撃する意図について。そしてわれわれはより効率的にそれをやったが、もっと得点するには十分ではなかった。

(14試合で14ポインツ……)

現時点でのわれわれのPLでの状況はシーズンのハイライトになっている。われわれはヨーロッパやカップではとてもよくやってきたが、PLでは結果を出すのに苦しんでいる。

繰り返すが、われわれは毎試合を分析している。われわわが試合に敗けている理由、ほかの勝っているチームとの比較。マージンは小さい。だがわれわれはそうしたマージンを一刻も早くなくすことが必要だ。取り返しのつかなくなる前に。

(オバメヤンのケガ……)

彼にはできるだけ早く戻ってきてほしい。彼は(※ふくらはぎに)わずかな張りがあり数日は見ないと。1週間になるか2週間になるかわからない。ケガ次第だ。

(ポストマッチのプレス会見が毎回代わり映えしないように感じる?……)

イエス。だが、相手がなにかを生み出しているわけではない。われわれはSoTがゼロのバーンリーに敗けた(※訳注:バーンリーのSoTは2つ)。これが、PLでチームがたくさんの試合でどのようにして勝っているかということだし、いまわれわれはああいうブロックをやるチームを相手に15も20もチャンスを作れているわけではないということ。これは非現実的だ。

そういったアクションを正確にファイナライズできていないのなら、そこには悪いコンビネイションがある。ときには10人でプレイし、また別の週にはオウンゴールがあり。今日もそうだった。そうしたことは同時に起きるようなことではないし、もしそれが起きるのなら、難しくなってしまう。

(この状況がもっと長く続けば、あなたのポジションも維持できなくなる……)

それは理解している。わたしのエナジーと集中はただこのチームを状況から抜け出させることにある。チームのスピリットを維持し、ファイトする。ボーイズたちが毎試合ピッチのうえで見せているように。それは見られるだろう。否定できないはずだ。

もちろん、繰り返すが、結果だ。そこに疑問がある。十分ではないし、このクラブのスタンダーズからは受け入れられない。これはチャレンジであり、ファイトだ。

(いま感じているプレッシャーはどれくらい……)

もちろんとても複雑な状況がある。だが、わたしは自分の見ているものからとても勇気づけられてもいる。選手たちは自分たちのやろうとしていることを続けているし。われわれが考えているのは、当然進歩についてだ。しかし思うのは、われわれはとてもとてもアンラッキーだったということ。たくさんのたくさんのポインツを拾えていない。

以上。

テンポが遅いって自覚はあるのか……。

いまの低パフォーマンスの大きな要因のひとつだと思うんだが、アルテタはあまりシリアスには捉えていないようだ。

コンヴァージョンと持続可能性

アルテタがコンヴァージョンレイトについて少し触れているのは興味深い。

それについて100%同意しないわけじゃない。たしかにそれで勝ってただろう試合もあるし。

ただ、このブログの読者さまは、ぼくの主張を知っていてくれていると思うけど、より本質的な問題は最後のアクション(コンヴァージョン)ではなくその前である。チャンスをクリエイトすることである。チャンスをクリエイトできるストラクチャをつくることである。

現時点でのPLのxGランキングでも、アーセナルはきっかり「15位」なのだから、いまの実際の順位はけして不当ではない。(※xGが15.49で実際の得点が12だから、あと3点くらいは多く取れてないとおかしいということで、CV的には多少期待はずれではあるが)

コンヴァージョンレイトのスタットについては、アーセナルにおいてはむしろ危険信号として働いていたことを思い返すべきだろう。

エメリ時代に何度も指摘されていたように、それまでのアーセナルのCVは高すぎた。高すぎるCVの持続可能性は期待すべきではないが、いま結局そのような状況にある。ストライカーが少し調子を落としただけで、結果が劇的に変わってしまう脆弱さ。結果オーライでここまで来てしまったツケというか、なるべくしてなったというべきか。

アルテタやエドゥが解せないという調子で述べていたように、やっていることは(フォームを落とす前と)大して変わっていないかもしれない。

でも、であればそれも問題だったんじゃないか。結果が出ているように見えたときでも、そういういつかかんたんに崩れ去ってしまうかもしれない構造的な弱さをはらんでいた。彼らはいまの結果は不可解だと、不当だと、アンラッキーだと思っているようだが、果たしてほんとうにそうだろうか。「高CVは七難隠す」とは昔のひとはうまいこと云ったものである。

あえて極論を云えば、本来は並のストライカーでもそれなりの数字を残せるくらいのチャンスをたくさんつくれる、結果を得るための「持続可能な」ストラクチャを築かねばならないということだろう。多少選手が変わっても継続できるような確固なサムシングを。オリビエ・ジルーがメインストライカーだった時代に彼のCVについて嘆くのと、いまそれについて指摘するのはだいぶ意味が違うと思う。

ベルント・レノのコメント「団結してポジティヴにならねば」

試合後のGKのコメント。オフィシャルサイトより。

レノ:もちろん大きな失望だ。めっさ痛いよ。自己憐憫しているときではないね。団結しないと。ポジティヴでいなければならないし、ていうかそれっきゃない。だって火曜にはまたビッグゲイムがあるんだから。この状況から脱するために試合に勝たねばならない。ポジティヴなムードにしなきゃ。

2点めがカギだったと思う。ハーフタイム直前に失点すればそれは難しくなってしまう。とくにぼくらの状況では。セカンドハーフはいいボディランゲッジ、いいアティチュードがあったと思う。このチームが生き生きとしていたのは見られただろう。ぼくらはこの状況を変えたいんだ。

いま自信はトップレヴェルではない。でも唯一云えることは、ぼくらは団結して状況を抜け出さねばならないということ。

たくさんのことが悪くなっているが、ぼくらはどんなボールにもファイトする。チームメイツのために。

レノはこのチームのなかでもっとも気の毒な選手のひとりだな。

ちなみに彼が言及しているハーフタイム直前の失点について。

直近5試合のうち3試合で、ハーフタイムまでの5分間で失点しているという。特定のある時間帯に失点しやすいというのは、やっぱり心理的な何かがありそうだ。

レノといえば、数日前に『Sky Sports』のインタヴューが少し話題になっていた。アルテタ、レッドカードのジャカ、チームから外されているエジルなどについて語っている。

Bernd Leno: Mikel Arteta not to blame for Arsenal’s poor form in Premier League

レノのコメントは、いつも直球すぎて正直あまりおもしろくはないので(笑い)このブログではスルーしたが、ベルントファンのあなたはぜひ。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

7 Comments on “【マッチレビュー】20/21EPL エヴァトン vs アーセナル(19/Dec/2020)「長期プロジェクト」に高まるプレッシャー

  1. 前半を見て、正直もう見たくないと思ったが、眠れなかったので後半も見てしまった。
    こうやってファンが離れていくのかと思ってしまいました。

    アルテタに同情する部分はありますが、配られたカードで勝負するのが監督ですからね。
    ましてやもう1年経過してますし。プレシーズンがほとんどなかったとはいえ、さすがに変化がなさすぎる。

    ここまでの14戦でアルテタが現状のスカッドで大きく変更する気がないことは分かったので、冬の移籍市場で大した動きがなければ、アルテタ解任もやむなしですかね。。

    マンUの迷走を笑ってたときもあったけど、今となってはこちらの方がひどい状況という。どうしてこうなった??

  2. ヤバいっすね、このままズルズルいけば降格も普通にありそう。
    てかチャンピオンシップのクラブにも今の状態だといい試合になるのでは…?
    ほんと、戦術に選手を無理やり当てはめるのは無理があるんだなあと実感しております。
    配られたカードの使い方、という面ではアンチェロッティとの違いが浮き彫りになりましたね。
    こうした能力をアルテタが身につけるまでにどこまでクラブが落ちてしまうのか、早いうちににターニングポイントが訪れることを祈ります。

  3. イオビがんばってましたね。
    それに比べてうちのやつらときたら。
    もうしばらく試合中にワクワクしてないなぁと思います。へたしたら数年以上。
    ベンゲルのころは、どれだけチャンスを作っても決められずに負けるとか時々あったけど、まぁ次は勝つしって感じで見てましたね。
    ここ数年は、あれ入っちゃった、勝っちゃったってゆうのが多くて、なんかふわふわしてましたね。
    そして現在…。
    ワクワクしてたのはアレクとエジルの頃かも。
    つらい。

  4. 見ててつまらない。
    これに尽きます。
    正直、ユナイテッドに勝った時も、ガッツポーズしながら、つまらないパフォーマンスで勝ったなあ…と本心では思っていました。
    それでも、未来があるからこれは足掛かりだと思ってた。
    もう10年来ですから、離れられませんけど、離れるファンは大勢いるでしょうね。

    見てて次の日腰痛なりました。
    汚い言葉ですが、あえて言わせてください。
    今のアーセナルはクソです。

    Coyg

  5. 内部リークみたいな話がメディアに出てる以上、時間の問題でしょうかね。アルテタはモグラをデストロイすると言ってましたけど…
    現場は本当に酷いもんですけど個人的にはオーナーがクロエンケでは何も変わらないと思います。マンユーと一緒です

  6. ウォルコットもイウォビも頑張っていたなあ(遠い目)
    PKでしか点は取れないし。一番みていてむかつくのは、U字の先端で、仕掛けようともせず平気でバックパスすること。走力や創造性、ワンタッチを一度も使わずに。それで勝てるわけないじゃない。ダイアゴナルのロングパスいれて、クロス弾かれ(以下続く)・・・うん、戦術はあっている、あと少しだ、ってアルテタ本当にそんなこと思っているのだろうか。ああ、アンチェロッティきてたら変わっていたんだろうか。揺れる自分が情けない。火曜もフルボッコ覚悟ですな。見ますけど。COYG

  7. ファンが見て気づく弱点に、アルテタ(一万歩譲ってアーセナルスタッフ)が気づかないわけがない。

    ということは、これはもうアルテタが強情すぎて周りの意見を聞かず、暴走してるだけなのでは。若い頃はそんなもんだから仕方ないけど、権限与えすぎたのが組織として間違いでしたかね。

    本当にクラブの未来を見据えてのことなら、プレッシャーを彼一人に背負わすような今の体制は避けるべきだった。

    割とマネジメントの基本のような感じがするんですけどね。

    シティやリバプールにシュート2本か3本でたまたま買って大喜び(それくらい勝ててなかったから仕方ないですが)してる場合じゃなかった。

    これは明らかにボードの失敗です。

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