やあ、いつものおれたちのアーセナルで安心しましたなあ。
試合後のArseblogの指摘が的を射ていた。
- 元ストライカーで失点
- 短時間でつづけて失点
- 複数のケガ人
- 追いかける展開からカウンターでとどめ
もう一個付け足すなら、少ないチャンスを確実に決められる。かな。
今回、CBふたりがケガで交代となってしまったため、この結果をアンラッキーだと見る向きもある。たしかに1-3という点差は実力差ではなかったとぼくも思う。いまのマンUがそこまでいいチームとは思えないし。
でもあまりアーセナルを擁護できないのは、この敗戦のなかにいまのアーセナルの改善できないままになっている諸問題が凝縮されていたからでもある。
Arsenal 1-3 Manchester United in FA Cup fourth round
エメリの試合後のコメント
(どこが悪かったんでしょう……)
エメリ:グッドイーブニング。わたしはうれしい。なぜならこちらの取り組みはよかったと思うから。しかし結果は悪い。今日はとにかくこの結果とけが人だ。けがによって試合の足を引っ張られた。1-2だったときには、そこから盛り返して勝つ可能性だってあった。しかしケガ、とくにコシエルニのやつ、あれによってわれわれのリズムが落ちていった。そしてセンターバックに本職でない選手を使うはめになってしまった。それらの影響はとても大きかったし、また攻撃面でもボックスには入っていけたが得点を決めきることができなかった。
われわれはこの結果にふさわしくなかった。しかしわたしたちが戦ったのは今シーズンでベストのときを過ごしているマンチェスター・ユナイテッドだ。彼らにはたくさんの違いをつくれる選手たちがいる。ラッシュフォードやマルシャルも入ってきた。
(ケガはどれくらいヤバいんでしょう……)
ソクラティス(かかと)はそこまで大きなケガではないと思う。ローラン・コシエルニについては病院へ行って検査になるかもしれない。頬かあごを骨折しているかもしれないんだ。そうじゃないことを願うよ。
(チームバランスに治療が必要か……)
そうだね。でも今日は例えばわれわれは彼らのカウンターアタックを阻止しようとした。彼らにはトランジションをうまくやるとてもビッグプレイヤーたちがいて、それが問題をもたらした。
われわれはよくやったよ、2点目はトランジションでやられたが、1点目はわれわれのポジショニングのせいだった。セカンドハーフにわれわれはいつくかの必要だたリスクをかけることになった。そして3点目だ。
わたしたちは進歩しつづけなければならない。ウェストハムとチェルシーの試合について、われわれは守備でもよくプレイしたと思う。今日は彼らのトランジションを防ぐのはより難しかった。
わたしたちは攻撃でも取り組みを続けなければならない。なぜなら勝ちたいからだ。われわれの目的はいいバランスを取ること。今日はいいバランスが見られたときもたくさんあった。しかし彼らには違いをつくれるビッグクオリティとビッグプレイヤーたちがいた。
(これを回復できそうか……)
取り組みだ。わたしが知っているのは取り組みしかない。今日はふたりもケガで失ったのだからバランスを取れる可能性に影響した。
(エジルがなぜスタートしなかった……)
彼はプレイしたよ。ほかの選手たちだってプレイできる。
これを読んでいると、エメリはいつになく選手のクオリティについて言及している気がした。まるで結果は選手クオリティの違いが大きいのだと云わんばかりではないか。
もちろんエメリは公の場で名指しで選手を追求するようなことはしないマネージャーだが、これらのコメントから現在のチームの個人個人への不満やいらだちがにじみ出ているような気がしてならない。
ターゲットとなかなか交渉がまとまらない冬のウインドウでのストレスも大きいことだろう。
ファースト11
ラカゼットとオバメヤンの同時起用でチェルシー戦で奏功した2トップを再度使うかと思いきや、ゲンドゥージではなくイウォビを入れて、4-2-3-1とまたもやフォーメイションを変えてきた。
エメリは毎回のようにフォーメイションを変えている。
イウォビとコラシナツでヤングの後ろを徹底的に突いていこうというマンU対策だったかもしれないが、結果的にはコラシナツの後ろをルカクに使われまくったことで、この采配は裏目に出た。
マッチスタッツ
Arsenal vs Manchester United xG from last night.
Manchester United did a really good job shutting down the Arsenal attack in the second half, just the one really good chance the Ramsey one at 46′.
After that Arsenal created just 0.26 xG pic.twitter.com/aYwueopGM5
— Scott Willis (@oh_that_crab) 26 January 2019
Arsenal vs Manchester United FA Cup Running Offense Value Added pic.twitter.com/NZNRfqgbKu
— Scott Willis (@oh_that_crab) 26 January 2019
試合の論点
負け試合をあとから振り返ることほどみじめな作業はないが。。
守備のカヴァー
今回コラシナツの上がった後ろのスペイスは完全にマンUの狙い所で、エヴァートン時代を彷彿とさせるルカクの右ウインガーロールはアーセナルの守り方に面白いほどハマった。
この試合は、マンUのポゼッション(37%)からもわかるように、彼らはボールをアーセナルに持たせて前がかりにさせ、ボールを奪ったら空いたスペイスを悪用してすばやくカウンターという作戦が一貫していた。
アーセナルがいかにダメダメでフルバックが上がったあとにスペイスを開けたにせよ、並のチームならあそこまでカウンターを成功させられないと思うが、マンUの中心にはドリブルがうまくロングレンジの正確なパスが出せるポグバがいたことは大きな違いになった。
この試合、右サイドのスペイスをうまく使われたことも効果的に攻められる原因となったが、ちょっとおもしろいデータがあって、それはマンUのドリブル成功したポジションのデータ。
このブログによれば(オーサーは以前にArseblogでスタッツ記事を書いていた7amkickoff氏)、マンU(青)がドリブルを成功させた位置データから、アーセナルはおもに中央からぶち抜かれていると指摘している。
彼らはこの試合で7/19というドリブル成功で、それ自体はあまり褒められたスタッツではないが、ドリブルを成功させた場所はほとんど中央、しかもドリブル成功7本のうち5本が敵陣(アーセナルのオウンハーフ)でのものとなっており、いかにこの試合のアーセナルのディフェンスが緩かったかということを示している。
コシエルニが負傷退場してからはジャカがセンターバックに入り、同点弾を目指していながら守備はもう破れかぶれな雰囲気もあったので、ソクラティスもいなくなってしまったし、この試合のディフェンスについてはある程度例外的なパフォーマンスだということもできるかもしれない。
しかし、センターバックは守備における最後の砦のようなもので、本来そこに至るまでにはいくつもの障壁が築かれていなければならない。
フルバックを高く上げて攻撃させる戦法そのものが問題なのではない。
問題はチームとしてフルバックの開けたスペイスの守備カヴァーをどうするか。フルバック自身の守備意識をどう持たせるか。CB前、中盤が孤立しないようにいかに攻撃の選手が戻って彼らをフォローするか。
エメリらコーチがそのスペイスを悪用されることを想定していなかったとは思えないが、今回はマンUのボールを前に運ぶ能力が思ったより上だったということなんだろう。
あるいは、アタッカーやCMの選手たちがマンUの素早いトランジションを阻止することについて、彼らが期待以下の働きしかできなかったと。
エメリの試合後のコメントにはそのあたりの落胆が現れているように思える。
ファイナルサードでのアイディア不足。中央からのオプションがない
アーセナルがなかなかチャンスをつくれない試合は、ほんとうにストレスがたまる。
この試合も、アーセナルは左サイドを使ってイウォビ、コラシナツ、ラムジーたちが何度も仕掛けようとしたが、攻撃の意図が見え見え+リズムが単調+相手ディフェンスが揃っている状態、でほとんどマンUの守備を崩すことはできていなかった。
唯一、オバメヤンの得点シーンは極小のスペイスに入って行ったラムジーの個人技によるところが大きい。
最近のアーセナルの大きな問題のひとつは攻撃する場所の偏りで、コンセプトとしてサイド攻撃を重視していることはわかるが、中央からの攻撃オプションがほとんどないことが、相手にアーセナルの攻撃を読みやすくさせているとも云える。
ふつうこのレヴェルのフットボールでは、中央エリアの守備が固い、ゆえにサイド攻撃が有効というロジックなのに、相手がハナから中央から攻撃するオプションがないとバレていれば、サイドの守備をその分厚くするのは当然である。
エジルが入ったことで、それなりに効いていたイウォビの左サイドの攻撃すらなくなってしまい万事休すと、この試合でもエジルの印象はよくなかった。
あの切羽詰まった状況で入ってきたフレッシュな選手がボールを奪うつもりがあるのかないのか、ゆっくりジョグしているのもイライラさせられたものだ。
アーセナルはエジルのクリエイティヴが恋しい。しかし、エジルはワークレイトやワークエシックに問題がある。
ピッチの中央で泥臭いハードワークができて、クリエイティヴな仕事ができる選手、チャンスクリエイトできる選手。
夏のターゲット像だけは明快に思える。
けがの多さ
とくにディフェンスの選手がひどい。
ホールディング、ベレリンのシーズンは終わっているし、AMNがシーズン最初の試合で3ヶ月の離脱、モンレアル、コシエルニが戻ってきたのはついこの前、コシエルニはまた、ソクラティスもアウト(※パパは今回のケガはそこまでひどくなならないという情報アリ)。コラシナツがやっと戻ったのは先月だし、マヴロパノスも最近までずっとアウトだった。
先ほどのブログに戻ると、アーセナルの今季のケガの多さはトップ6ではやはり頭抜けているようだ。
TMからけが人がどれだけ試合を欠場しているかカウントしたところ、以下の数字になったという。
- アーセナル 99試合
- ToT 79試合
- シティ 64試合
- リヴァプール 51試合
- マンU 43試合
- チェルシー 4試合
チェルシーの極端に少ない数などを見てもこのデータ自体、信頼度に疑いはあるが、それにしてもアーセナルのけがが多すぎるという事実は覆らない。
もともとホールディングとベレリンを失って、冬にディフェンスを補強しないことはリスクがあると思われていたのに、ここへ来てコシエルニとソクラティスが揃ってケガをするとは。
これで残ったピュアCBは、ムスタフィとマヴロパノスのみ。
エメリはモンレアル、リヒトシュタイナー、エルネニー、ジャカ(笑い)といった選手もCBにカウントできると思っているのかもしれないが、この試合の1点目(サンチェスがオフサイドトラップを抜けた)などを見れば、ラインコントロールはただでさえ高い練度が必要で、とくにハイラインを敷きたいアーセナルのCBに慣れない選手を入れることはリスクが大きい。
コシエルニは骨折ならフェイスガードなどをすれば、ソクラティスのかかとはそこまで重いケガじゃないという話しもあるので、彼らが早く復帰してくれるならなんとかなるかもしれないが、いずれにせよ残りのシーズンの守備を考えるとますます不安になってくる。
試合については以上。ほんとにマンUには勝てないねえ。
クロンキが所有のNFLチームが巨額ステイディアム建設
最後に胸くそ悪い話しを。ついでだよ。
The Rams’ $5 billion stadium is bigger than Disneyland. It might be perfect for L.A.
アーセナルのオーナーでもあるスタンリー・クロンキ(KSE)が所有するプロスポーツチームのひとつ、NFLのLAラムズが新しい複合ステイディアム施設をロサンジェルスに建設中とのことで、費用総額なんと「5ビリオンダラーズ」ということだから、いくらだろ。とにかく目ん玉が飛び出るくらいすごい金額である。
これはNFLで一番高額なステイディアム建設費用で、施設の広さはディズニーランドより大きいとのこと。
KSEはここではアーセナルでの取り組みとはまったく正反対な姿勢を取っているように思える。アーセナルのファンにとって腹立たしいことこの上ない。
17/18シーズンのアーセナル財政
先日アーセナルが17/18シーズンのフィナンシャル・リザルツを公式サイトで発表。
これを受けて、Swiss Rambleが連続ツイートでアーセナルの財政をまとめていた。
Arsenal’s 2017/18 financial results covered a season when they finished 6th in the Premier League, while reaching the Europa League semi-finals. Manager Arsène Wenger was replaced by Unai Emery, while Stan Kroenke took full ownership. Some thoughts in the following thread #AFC
— Swiss Ramble (@SwissRamble) January 25, 2019
アーセナルの税引き前利益は前年度から増えているが、CLから脱落していることからレヴェニューは減っているようだ。
この連続ツイートはまたなかなかおもしろそうなので、タイミングがあればまとめて紹介しよう。
以上。つぎの試合は日本時間水曜朝のEPLカーディフ(H)。COYG
ホールディングが負傷したのも確か前回のユナイテッド戦だったような。
今月中にポジティブな話題が一つでもほしいですね。
snsについては、信じるところを曲げずがんばっていただきたいです。
がんばってー。とかいてたら電車で座れました!