ちょいと扇動的なタイトルにしてしまってすまない。
ワトフォードでのショッキングな敗戦で(※敗けてない)、一夜にしてファンのパブリック・エネミーNo.1みたいになってしまったウナイ・エメリ。
ぼくの観測しているツイッターでも、まるでエメリが犯罪者であるかのように、彼の犯したさまざまな「前科」が堰を切ったように騒がれ始め、この世間様の豹変ぶりは怖いくらい。
「コルニーでは若い子たちといつも楽しそうにトレイニングしてましたし、いいひとそうに見えたんですけどねえ……」ウーナイの普段の様子を訊かれたお隣の奥さんも困惑気味。そんな光景が目に浮かぶようだ。。
さて、そんな突然の激しい逆風に見舞われているアーセナルFCとヘッドコーチであるが、チーム内ではさらに不穏な空気が流れているという噂が。。
アラン・スミス「何人かの選手たちがエメリの戦術に混乱していると聞いた」
ワトフォード戦の前にこんな記事がESにアップされていた。
この小さな記事がファンのあいだで大きな注目を集めたわけでもなく、ぼくも初見でまた胡散臭いPV狙いの記事もあったもんだ軽く目を通してスルーしていたのだが、ワトフォード戦のあとになってみて、どうにも見過ごせないことが書かれていたように思えてきた。
Arsenal players confused by Unai Emery’s tactics, writes Alan Smith
元ガナーのアラン・スミスは『Evening Standard』のコラムのなかで、エメリがいまだにMFのコンビネイションを模索していることをアーセナルが現在抱える問題の一例として挙げ、ToT戦でもピッチの中盤に大きなスペイスを与えた守備組織の欠如を指摘したうえでこのように述べた。
スミス:これは理解の欠如に帰結する問題なのかもしれない。
わたしはこんな囁きを聞いたんだ。選手のうち何人かがマネージャーのインストラクション(指示)に混乱しているんだと。つまり、彼らはエメリがやらせたいことをちゃんと理解してないということなのではないか。
もしそうだとしたら、いい兆しではないね。目的が明快であるということは必須なんだから。
「囁きを聞いた(I have heard whispers)」。言い換えればこの件はその程度の信憑性にすぎないが、その内容にはひっかかるものがある。なぜなら試合を観ていると、「理解の欠如」や「戦術的な混乱」が最近のアーセナルのフットボールが低迷している根本的な原因のように感じられるからだ。
現在の選手個人の能力だけで勝負するならトップ4フィニッシュは完全にリアリティがある。しかしそれがチームになるとリーグのワーストチームにもまるで歯が立たない。この矛盾を説明できるものはなにか。
アーセナルの選手たちは混乱している
どうも彼らはその場その場でどうやって動いていいのかわかっていない。ワトフォードだけじゃなく今シーズンの5試合は、多くのファンが薄々でもそう感じていたのではないだろうか。
攻撃は基本的にインスピレイションを発揮する場なので問題はない(まあクリエイティヴィティ欠如の問題はあるにせよ)。
問題は守備だ。組織的な動きや連携が要求される、守備の局面で規律のある動きが見えない。
ツイッターでシェアされていたワトフォード戦のあるシーン。赤シャツがアウェイで1点リードしているビッグクラブだ。ボックス内に9人いて、黄シャツはゴール前にひとり。そして誰一人としてボールにプレッシャーにいっていない。
これがいわゆるPark the busってやつ?(※皮肉です)
後半はワーストクラブ相手に多くの時間をこのように守ったのだと。誇り高いわれらのようなビッグクラブが。ファンが半狂乱になったっておかしくないよ。
まあこのワトフォードの後半というのは極端な例ではあるだろうが、選手たちが戦術的に混乱している、あるいは動き方がわかっていないという証拠としては十分だろう。とにもかくにもボールがゴールに入らないよう「守る」。ほかの選手がどういうポジションでどういう動きをしようとしているかわからず、自分の目の前で起きていることしか見えていないということがよくわかるシーンだ。
選手たちはなぜ混乱しているか
理由はいくつか考えられる。
ひとつは戦術的な約束事について覚えるべきことが多すぎる問題。エメリの戦術的な要求がとても大きいことは、エメリ本人も選手たちも認めていたところで、それにがんばって適応しようとしていたのがおそらくは昨シーズンだった。
戦術的な要求が過大であることについては、以前にこのブログでも紹介したフアン・マタの証言がある。
マタ:ウナイほどセットピースにこだわるマネージャーはいないね。毎回戦う相手によって戦術を変えるんだ。頻繁に新しいアイディアを持ち込んできたよ。
ぼくらはよく驚かされたものだ。だってそれはあまりにも複雑でかなりの集中を要するものだったんだ。毎回違うんだから覚えるだけで必死。
敵陣でのフリーキックについてのことを思い出すな。ボールが放り込まれるピッチの密集地帯に選手を配置するんじゃなくて、両サイドにそれぞれ選手を配置して、ふたりをセンターに置く。
サイドではひとりがファーポストに走り込もうとする敵をスクリーンする。フリーキックを蹴る選手は手でどちらのサイドにボールを蹴るか指示を出すんだ。いまでもウナイがそれをやってるかは知らないけど、もしそれが右手なら右側のサイドにボールを送る合図なんだ!
ぼくはフットボール戦術にも戦術流行事情にもあまり詳しくないけれど、昨今よく聞く「ポジショナルプレイ」の解説なんかを読むと、選手たちが直感的に対応できるようプレイをできるだけシンプルにすることが主要なコンセプトだったりする。そうすることによって動きが自動化され、どんなポジションや状況でもなるべく悩まず速やかに動くことができる。すごく合理的だ。
それに引き換え、エメリの与える約束事は「毎回違うんだから覚えるだけで必死」って。笑えるじゃないか(笑えない)。
おそらくエメリはこのような複雑なインストラクションをシステムごと、ポジションごとに細かくやるんだろう。
さらには、エメリは毎試合のようにシステムを変えてくる。それでは選手たちがついてこれなくても仕方があるまい。
ヴェンゲルさんのときは、逆に指示がなさすぎて選手たちが混乱していた面もあったので、そのカウンターとして考えるとエメリのやり方はシッチャカメッチャカになっていたチームに秩序を与えるという方向性は間違えていなかったと思う。
しかし、たぶんエメリのやり方は「やりすぎ」なんだろう。選手たちの理解のキャパシティを超えた指示を出そうとしている。もう水がいっぱいのグラスにさらに水を注ぎ続けている。いくら注いでももう水はあふれるばかり。そんな愚かしいやり方があるだろうか。
そのメリットを認めないわけじゃない。戦術オプションをたくさん持っていることはどんな相手にも武器になるだろうし、選手がそれに適応すればその威力はさらに高まる。
ただ、それを武器として扱うハードルが非常に高い。アーセナルの優秀な選手たちですら習得に難儀しているというのが現実ではないか。その結果、エメリが考える理想の動きができないばかりか、これまでふつうにできていた動きにすら悪影響を及ぼし始めた。それが現在の状況ではないか?
きっとエメリというひとはとてもとても頭がいいひとなんだろう。いろいろなことを考えに考えて、問題に対する解決策を事細かに選手たちに教えたいと思う。そう願う彼の姿はピュアで尊い。しかし彼は教えを受ける相手を見ていない。そんなふうに感じる。それでは教育者(指導者)としては失格だろう。彼は論理を超えたところで有無を云わさないカリスマのあるタイプにも見えない。
エメリは相手に応じて戦術を適応させるような、とかくプラグマティック(現実主義的)と評されることが多いマネージャーだが、こと戦術インストラクションに関しては夢(理想)を見すぎているように思えてならない。
かつてギャリー・ネヴィルはエメリは自分のやり方やフィロソフィ/アイデンティティを曲げるべきではないと云ったが、いまの状況を見るに、今こそエメリが選手たちに合わせなければこの状況は改善はできないように見える。
監督がこういうネガティブなイメージを持たれて批判されてる時に建て直した例をほとんど見たことがない気がするんですよね。あと数試合は見るでしょうけど改善されなかったら解任しそう
少なくともサンレヒはリクルートはじめてるでしょうね。
まさか現代サッカーで戦術派と言われながらプレス練習しない監督がいるとは驚いたなあ
アレグリ来て欲しいですけどね、サンレヒの剛腕で呼べないもんでしょうか
今シーズンのCL圏は必須ですので、フロントも早ければ10月冬までには動く可能性が高い気がします
現実的にはリュングベリでしょうな
個人的にはアッレグリに来てほしいです。
彼がやっていた今いる選手に合わせて最適解を見つける采配をアーセナルでも見てみたいところです。
建て直した例はすくないでしょうが、小康状態のまま契約満了はけっこうあると思います。
ヴェンゲル末期(ラスト3年くらい)はこれくらいの不信論がずっと出ていた印象なので、自分は今シーズン終わりまでなら余裕で待てますね。
エジル「攻撃に約束ごとがほしい」
ヴェンゲル「それはもっともだが創造性を縛りたくない」
みたいなやりとりのあった時代でした。
うーん。これだけネガティブな情報があるとは。
アップされた写真ですけど、ペナルティエリアの対角にあたるエリアはいつもプレッシャーがゆるいと思います。SBかMFのどちらが行くか約束事がないのでは?と思うレベル。いつもあのエリアから簡単にクロス入れられてヒヤヒヤしてます。
個人的には攻撃も約束事というか、ある程度システマチックにする必要があると思いますけどね。シティやリバポはSBとCBの間にサラーとかデブライネ置いてギャップ突いてますし、相手間のスペースを活かして、相手が食いついたら別の選手が飛び込むとか、逆サイドの選手が飛び込むとか、複数人が連動するのは形には出来るはず。選手の才能が効いてくるのは、それを実現するときに現れると思いますけどね。
ペップのドリルはそのへんがすごく考えられてるって聞いたことありますね。
ということで、新監督候補はアルテタで。順当にいけばユングベリでしょうけどね。次のホーム戦で、「エメリアウト、ベンゲルイン」の横断幕あったらさすがに笑ってしまいそう。
まあ不安にもなりますね。シーズン前に狂喜乱舞していた自分たちが本当に恥ずかしい。。。。
ペペはしばらく時間がいるでしょうが、守備は相変わらずですし、
CLもし今期でれなくなるとどうなりますかね。。。ペペの移籍金支払いがやってくるので、
OUT:オーバ&ラカ(売却)
セバジョス(レンタルバック)
ルイス
IN:サリバ、新CB、新FW(A・グレイ、A・バーンズとか)
震えてしまう。。。。
今のアーセナルには戦術はあってもプレー原則がない(あるいは、複雑すぎる)のだなと思います。その結果、原則無きまま部分的に理解した戦術通りにそれぞれの選手が動くため、プレスは嵌らないし、引いたときの守備もできないし、ビルドアップもできない状態になっているのではないでしょうか。サンレヒはエメリと心中することはしないと思うので、結果を出せなければシーズン半ばで解任になると思います。
後任は私もアレグリを推します。最近、鳥の眼という戦術分析サイトをよく見ているのですが、昨季のアッレグリ・ユベントスが如何にしてロナウドをチームに組み込みつつ、堅守を築いたのかを細かく分析していて大変面白かったです。そのユベントスを見るにつけ、彼ならエジルをチームに組み込むことも、ジャカをヒーローにすることも、ディフェンスを安定させることもできるのではないかと感じました。
プレッシングのデータは分母次第なのでよくわからないですね。今シーズンの後方ビルドアップ失敗からカウンター浴びている時間が長いのでプレスをかけている時間という点では間違いなく下がっているとは思います。掛けに行く回数としては前方からの場合は印象が昨シーズンと変わりませんので。
昨シーズン感じたエメリの力は相手に対して良い点を消すという点で、決まれば強豪も抑えきれる感じでした。そして失点に関しては改善しなかった。
それが今季は相手に対してハーフタイムに修正も効かず、失点に関する組織は未だそのまま。
ヴェンゲルから変更した理由は前線には選手のクリエイティビティに戦術の助けを、守備に関しては抜本的な整備をと言うはずなのに前線は複雑すぎて混乱、守備は変わらずというので悪化していますね。
割とモウさんに一回頼むのはアリではないですかなぁ
これでエメリがシーズン途中に解任となると、なんかアーセナルも普通のフットボールクラブなんだなと思ってしまうだろうなと感じて現状を見守ってます。でもサンレヒならやりそう。
エメリを擁護する訳じゃないですがミーティングで居眠りしちゃう根本的にプロ意識と脳ミソが足りない選手達が諸悪のような。20年前ならまだしも現代においてそんな選手はCLを争うクラブに居るべきじゃないですよ。僕も後任ならアレッグリが良いですがアレッグリも戦術家なんで結局選手がついていけず腐るでしょう。セビージャの選手達は出来たのにアーセナルの選手達には無理だった、通用しなかったじゃなく選手側が理解出来なかったは相当恥ずかしい。チェルシーは選手と監督の対立がありつつも何だかんだコンテ、サッリのサッカー会得してましたからね。
複雑さの前に単純に通訳どうしてんのかって話ですよね。
試合中の指示をスペイン語で喚いたところで伝わらない。
今はモンレアルもベジェリンもいない。
エメリの英語は我々日本人にはむしろ分かり易い、ゆっくりで簡単な表現が多いけど、選手に対する専門的な指示での英語は十分なの?
特に右腕のカルセドって英語を話せるの?
複雑な説明や指示なら母国語でないと説明しにくいだろうし。
因みにマタの思い出話は10年も前の話ですね
おお。ちょうどどっかで書こうと思っていたのだけど、今回エメリの英語がそもそも問題じゃねっていう指摘はあるのだよね。
エメリの英語はいろんなところで褒められることが多いと思うのだけど、それはあくまでよく短期間で上達したねって話しであって、高レヴェルのコミュニケイションで使い物になるかどうかというのはまた別の話しで。
アレグリはカルチョ出身だからゾーンディフェンスの基本からしっかりたたきこむだろうし(画像のような守備見せられたら発狂死するかもしれない)、もともとプロビンチャの指揮官からビッククラブまで渡り歩いていますからね。適応力と言う意味ではエメリよりも断然あると思います。
まぁ現実的なところでアルテタでも十分です。少なくとも、アレグリなら勝てるチームになるし、アルテタなら美しいチームになります。エメリは一年経ってもどちらにもならないので失敗でしょう。幸い選手のやりくりなどのマネジメントは健全だし、一貫しているので、解任してもマンUみたいにならなそうなのが唯一の救いです。
個人的にはもう数試合、様子を見たい。
ここ数試合は間違いなくエメリが原因でひどい試合が続いたが、監督も人間である以上見込み違いや錯誤はある。
自身の見込み違いに気がついて修正できるのも良い監督に必要な能力だと思う。エスパーじゃないんだからね。
ただ勿論、エメリがあくまでも自説に固執して、ずっとこのまま最低の試合を続ける可能性もある。
ワトフォード戦から何も学ばずにずっとあのやり方を続けたら、降格の危険すらあると思う。
ディーニーがいたら8-2で負けてても全然おかしくない試合だったし、あれで勝てる相手はPLには1チームも存在しないだろうから。