ついにこの日が来てしまった。明日2017年11月18日土曜日はアーセナルがホストするノースロンドンダービー。日本時間21:30キックオフ。
トテナムことス*ーズことToTはアーセナルFCのローカルライバルで、ガナーズにとってはどんなほかのクラブよりも負けたくないという相手といわれている。
極東のフットボールファンというだけのぼくにはスタジアムに足繁く通うようなサポーターのほんとうの気持ちはたぶんいつまでも理解できないので、現地のファンの尻馬に乗るつもりもなく、今回もまたテレビでがんばえーとなま暖かく応援するつもりである。ちなみにToTはぼくの大っ嫌いなクラブのひとつではあるが、それはアーセナルより強いチームはだいたい大嫌いだからである。戸田和幸氏が現役の頃なんかは心の底からどうでもよかった。
さて、この試合、ノースロンドンダービー(NLD)という英国一アツいダービーマッチというだけでなく、トップ6同士の直接対決でもあるのでイングランド国内での注目度は非常に高い。ToTが悪魔に魂でも売ったのかここ数シーズンで異様に強くなったおかげもあるだろう。ニュースも盛り沢山である。アーセナルは前節、マンシティにいいところなく敗れており今回続けて負けるようなことがあると「トップ6最弱」を改めて印象づけることになりそうだ。
負けたらボスはまた一歩退団が近づくが、アーセナル後にインターナショナルレベルで仕事をするかもという噂もあるし(日本代表とか?)、それはそれで楽しいじゃないか。
※ToTという呼称はトッテナム・ホットスパーの一般的な略称であると同時に、泣き顔にも見えるのでぼくはいつもこのブログで都合良く使っている。
17/18EPL アーセナル vs ToT予想スターティング
3-4-2-1
GK チェフ
CB モンレアル、ムスタフィ、コシエルニ
MF コラシナツ、ラムジー、ジャカ、ベレリン
FW サンチェス、ラカゼット、エジル
怪我のジルーがOUT。ミッドウィークのドイツ戦はベンチで出場のなかったコシエルニが要テスト、ムスタフィとウェルベックが復帰の可能性ありとのことで前日(今日)判断となる。もしウェルベックが完全復帰していたら、守備力を重視してエジルかラカゼットの代わりにウェルベックを選ぶというオプションもあるかもしれない。もっともエジル1アシスト、ラカゼット2ゴールと、ちょうどミッドウィークのドイツ・フランス戦で彼らはそれなりに活躍しており、調子は良さそうであるのでどちらかというと今使いたい選手ではある。
個人的に気になっているのが、ウィルシャーをスターティングで使うかどうか。プレス会見では「(EPLでのスターティングに)とても近い」とコメントしている。ないとは思うけど、ボスはジャックが「スーパーフィット」していると本当にそう思っていて、いまもその状態が続いているようなら、ミッドウィークにW杯予選プレイオフを戦ったジャカではなく休養十分のジャックを選ぶのもアリかもしれない。マンシティ戦でぶっつけでコクランをCBに抜擢したくらいだ。ジャックを信じているというのならそれくらいやってみてほしい。
ラムジーとジャックを中盤に並べるなら、このふたりの後ろにアンカーを置いた4-3-3でどうだ。
4-3-3
GK チェフ
CB コラシナツ、ムスタフィ、コシエルニ、ベレリン
MF ラムジー、ジャカ(コクラン)、ウィルシャー
FW サンチェス、ラカゼット、ウェルベック(エジル)
どうだいこの思い切った布陣。
マッチアップ
WhoScored.comの予想スターティンも載せておく。ToTは3-5-2。見るからに強そう。
ToTのほうは、ケインとか出場が危ぶまれていた選手がことごとくフィットしているみたいである。ロリとかフランスの試合には全然出ていなかったから(GKマンダンダ)怪我だと思っていた。
WhoScoredのアベレージレイティングは両クラブで拮抗しているが、ぶっちゃけ中盤も前線もToTのほうが強そうである。こっちはサンチェスとエジルがやる気がないんだから、戦力的なハンディキャップは明らか。
いたるところに興味深いマッチアップがあるが、やはり中盤の攻防がひとつの鍵になると思われる。アーセナルはやはりエジルやサンチェスの守備での動きが心配な部分だ。劣勢の時間が多いならエジルより守備ができて一人でボールを運べるウェルベックのほうがいい。彼らが下がって中盤の選手を助けないと中盤をToTに制圧されアーセナルはかなり苦しくなるはずだ。ToTのクリエイター、エリクセンは先日のW杯予選でハットトリックを決めたらしく絶好調である。
プレミアリーグの公式サイトではジャカとアリのマッチアップをキーバトルとして紹介しているが、エリクセンやアリの相手をジャカひとりにさせないようなカバーリングが絶対に必要だ。
予想スターティンには入っていないが、ToTのRBセルジュ・オーリエが出て来るならレッドカードを出させるよう仕向けよう。それで勝てる。
そしてマイク・ディーン
このNLDのレフェリーを務めるのが悪名高いマイク・ディーンということでファンの間では盛り上がっているようだけれど、都市伝説のように巷で喧伝される「ディーンのレフェリングでアーセナルの勝率は○○%」とか「ディーンはToTのサポーターでアンチ・ガナーズ」というのは果たして本当なのか。データプロバイダーOptaのディレクターでグーナーの@Orbinhoは疑問を呈している。
Orbinho氏の2013年のいささか古いツイートからだが、
- どこから来た話か知らないが、マイク・ディーンでアーセナルの勝率が7%という噂。間違ってる
- ディーンがさばいたアーセナルのプレミアリーグここ20試合の勝率は15%。プレミアリーグ全期間では39%
- ディーンがさばいた直近のマンC、チェルシー、マンU戦の11試合はW0 D5 L6だけど、彼らはぼくらより強いんだからこの成績はレフェリーは無関係じゃね
そして2014年以降のディーン審判のEPLアーセナルの成績はこちら。敗戦(L印)はマンUとチェルシーのふたつのみ(W5 D4 L2)。画像はこちらのサイトから。
ちゃんとNLDでも勝っている。ちなみに2012年のNLDで5点ぶっ込んだあの試合もディーンだし、2015年アウェイでマンシティに勝ったあの試合もディーン。たしかに物議を醸すようなレフェリングも多かったけど、いうほどでもない。というか、一時期さんざん指摘されて気をつけるようになった結果かもしれないけどね。
いずれにせよ、ToT&マイク・ディーンと戦った最後のNLDはきっちり勝っているということ。今回も勝てるよ(目をそらしながら)。
ポッチェティーノはどれだけすごいのか
近年のToT躍進については、ハリー・ケインやデレ・アリといった若いタレントの存在が大きいが、アルゼンチン人監督のポッチェティーノも同じくらい賞賛されている。いまではレアル・マドリッドがジダンの後釜にリストアップしたといわれるほどである。
SKY SPORTSの番組The Debate「ポッチェティーノは初期のヴェンゲルみたいだ」より。
Mauricio Pochettino emulating Arsene Wenger’s early Arsenal years, say The Debate panel
ダレン・ベント:スパーズの一番の心配はポッチェティーノ(をキープできるか)だよ。だって彼はヴェンゲルがアーセナルでやったみたいなことをスパーズでやっているんだから。
彼は若いイングランドのタレントたちを使って正しい方向に向かっている。いまの彼らのプレイは、ヴェンゲルがアーセナルにもたらしたやり方と近いよ。
マシュー・アプソン:比較できるだろうね。マウリシオ(ポッチェティーノ)に聞けば、プロジェクトについて教えてくれるよ。そのプロジェクトに関わっていたら面白かっただろうと思う。
両クラブはいま違うときを迎えているように感じる。スパーズはいまヴェンゲルがアーセナルでやっていたみたいにチームを構築している最中だ。クラブの支援を受けながらね。
近年はより短期間での結果が求められる。しかしスパーズはアーセナルにも劣らない素晴らしいスタジアムとインフラをつくっている。
彼はこれからも素晴らしいヴィジョンを持ったクラブを率いることができるし、彼にとってはエキサイティングなものに違いないよ。
彼はまた選手たちの心理的な側面も把握している。ヴェンゲルがアーセナルで初期にまず行ったのはリクリートをうまくやることで、ポッチェティーノはスパーズでそれに倣っている。
この20年でリクルーティングもだいぶ変わったし、ときにはうまくいかない契約だってある。ヴェンゲルはどこからともなく才能ある選手を連れてくる才能がいつもあった。
そんなにすげえのかよポッチェティーノ。
ちなみにPochettinoは日本では広く「ポチェッティーノ」と表記されているが、英語やスペイン語ではチェじゃなくてド頭のポッにアクセントがくるので「ポッチェティーノ」(ポッケティーノ)と表記するほうが近い(※一番強いアクセントはポッチェティーノのティね)。たぶん、Pochettinoの字面だけ見て中学校で習ったttとtがふたつ重なっているから小さい「ツ」を入れる法則に則ってカタカナ読みした結果がポチェッティーノである。Wikipedia日本語版は本当に罪深い。
ノースロンドンダービーについてさまざまなコメント
イングランドでの注目度は高く、たくさんの人がいろんなことを語っている。
マーク・ロウレンソン(BBC SPORTS Lawro’s Prediction)
ローロ:いろんな噂話が渦巻いているね。インターナショナルブレイクがなければもっとだったかもしれない。この試合はおそらく両クラブともに引き分けで満足できる試合だと思う。
ヴェンゲルは前節のマンシティ戦で敗れたことには満足していないだろうが、あそこにいたわたしにいわせれば、シティは勝利に値したよ。
トッテナムは前節クリスタルパレスに勝っている。ハードワークが必要だったけどね。
週末は彼らのほうが有利かもしれない。ケイン、アリ、ウィンクス、みんな怪我で代表を離れていたからね。
※予想は1-1のドロー。
ポール・マーソン(SKY SPORTS)
マーソン:ここはドローに賭けるね。ただの希望だけどね! もし両チームがガチでやればトテナムが勝つだろう。でもタイトな試合でホームアドバンテージもあるから、1-1にしておくよ。
アーセナルのファンにとって、 1-1のドローでトテナムのタイトルを阻止できるのなら、アーセナルがリーグタイトルを取れなくてもよしとするんじゃないかな。トッテナムの選手たちがインターナショナルの試合に出ておらず休んだのは大きなアドバンテージだし、アーセナルはドローで十分だと思うんじゃないかな。
※予想は1-1のドロー。
チャーリー・ニコラス
SKY SPORTS「エジルとサンチェスをスターティングから外すべき」より。
ニコラス:もしアーセナルがビッグゲームに本気で勝つ気があるなら、わたしだったらラカゼットとウェルベックを推す。エジルとサンチェスはアウトだ。
彼らはベストプレイヤーといえるのかな? もちろんそう思うよ。でもビッグゲームでは十分な働きができない。
ウェルベックは彼らほどの才能はないが、3バックに対して動き回りチャンスをつくれるし、ラカゼットはわれわれのベストフィニッシャーだ。サンチェスはワイドでのプレイが好きじゃない。
イウォビも使いたい。みんなエジルとサンチェスを使わないことに疑問を投げるけどチェルシーではうまくいった。
トッテナムは若く才能ある選手もいるし素晴らしい監督もいるアーセナルよりいいチームだがいいフットボールクラブとはいえない。まだ何も成し遂げていないんだから。
ガス・ポエ(Gus Poyet)
The Big Call (Bet Stars) より。※オンラインベッティング
Q:誰が最初に得点する?
A:簡単だね。ハリー・ケインだ。彼は絶好調だよ。Q:どちらも得点するかな?
A:こういう試合ではどちらも得点するだろうね。Q:どちらが上位でフィニッシュする?
A:トテナム。安定しているし、今では彼らのほうがいいチームだ。Q:ファイナルスコア予想は?
A:どちらも絶対ポイントはほしいはず。2-2。
エマニュエル・エブエ
エブエ:今年のハリー・ケインは信じられないくらいだよ。
どこからでも打てば入るという感じだ。まるでレヴァンドフスキだね。彼と同じだよ。やることなすことすべてゴールだ。ああいう選手はディフェンダーにとってめちゃくちゃ大変なんだよ。
トテナムはいいチームだね。本当のことをいわないと。
彼らと戦ったら点を取られることも覚悟しないと。
もちろんぼくはアーセナルを応援するよ。息子がプレイしているしね。でもトテナムも強い。いい監督、いいチーム、それと若い選手たち。
この試合はとても特別なものになるね。両チームにとって難しいものになるはずだ。
アーセナルが勝つように願ってるよ。
え? 息子がプレイ? ……ほんとだった。テレグラフの2016年のインタビュー記事によると、エブエの息子、Mathis君(7)がアーセナルアカデミーに所属しているらしい。知らんかった。
リー・ディクソン
ディクソン:ドレッシングルームでのインテンシティなんてもうなくなってしまった。誰かがまたそういうリーダーシップを摂ることが重要だ。
わたしのなかでは揺るぎないが、かつてのチームには絶対に試合に勝つんだという渇望があった。
アーセンだって同じことをいうと思うよ。そうみんなに伝えているかどうかは興味がない。自明だからだ。それが現代の試合かどうかは関係なく、ほかのチームがより渇望している選手を持っている。
わたしたちにはパトリック・ヴィエラみたいな選手がいた。彼は外国人だよ。彼には渇望があった。
そういう選手を見つけなければらなない。
より難しい時代になってきている。いまの選手たちは昔よりソフトになっているからね。ハングリーと渇望は両輪なんだ。
ペトル・チェフ
Arsenal公式サイトにて。
チェフ:NLDはいつも特別な試合だね。観衆の雰囲気や電気みたいにピリピリした空気、みんなすごく楽しみにしているし、こういった試合に勝ちたい。NLDだからというだけじゃなくてね。同じトップ4を狙うライバルとしてだよ。こういう試合で3ポイントを取りたい。
ぼくたちのライバル関係はいつも意識しているし、アーセナルの全員がファンとともに試合に臨むんだ。
みんなにとってたくさんの意味がある。パッション、エモーション、そして6万人のパッションとエモーションがピッチに還元されるんだ。
少しはプレッシャーも感じるけど、パフォーマンスが上がる状況でもあると思う。だって、子どもの頃からずっと思い描いてきた夢のようなビッグゲームに出場するんだから。選手たちに対するこの独特の雰囲気も試合を特別なものにする。
レイ・パーラー
パーラー:キツいよ。でも認めないとね。たくさんの人に「トッテナムとアーセナルはどっちがいいチームですか?」と訊かれるんだ。そのたびにわたしは、リーグ順位は間違いないって答えなきゃならない。
トッテナムは昨シーズンアーセナルより上位でフィニッシュしただから彼らはいいチームだ。シンプルな話さ。傷つくのはそれからしばらくたっているということ。アーセナルは遅かれ早かれひっくり返さなきゃならないけど。
彼らはほんとうにいいスコッドを持っているよ。ポッチェティーノという素晴らしいマネージャーもいて観ていて楽しい。
チャンピオンズリーグもすごかったよ。ドルトムントやレアル・マドリッド相手にあそこまでやるなんて。
彼らがとてもいいチームだということは間違いない。でもこの試合は両クラブにとってとても大きいものなんだ。
わたしたちがトテナムを相手に戦うときは、まあいつも勝ってたから、当時はイージーな3ポイントだった。でもいまは違う。
ポイントを取るために死に物狂いで戦うんだ。この週末の最大の試合になるよ。
書いても書いても終わらない。続きはその2にて。
【マッチプレビューその2】17/18EPL アーセナル vs トッテナム (18/11/2017)【NLDだよ全員集合】